生中継される一騎打ち
今回はバトル無しです。
俺とヴァイスが戦っている頃、オルランド、アルカディア、アルツェイル、魔国、人間の陣地の上空に光の輪が浮かび上がっていた。光の輪の中には俺とヴァイスが戦っている光景が映し出され、それぞれの国の住民達はその光景に目を奪われていた。
〜オルランド〜
突如として上空に現れた光の輪。その中にはショウとヴァイスの戦いが映し出されている。ショウとヴァイスの戦いは熾烈を極め見るもの全てを虜にしている。そして、その中には勇者と呼ばれる者達も含まれている。学園で普段通りに授業を受けていた勇者達は光の輪が現れてからずっと映し出されている光景に目を奪われている。
「なぁ、アレ」
1人が指を指す先にはショウが映っている。周りの者もそれに気付いている。
「ああ、アレ、山本だよな」
「ええ、山本君ね」
「あいつあんなに強かったのか」
「てか、戦ってる相手イケメンじゃね?」
「ああ、確かにな。ビジュアル的には負けてるけど互角の戦いしてるな」
「そうね。でも、なんで山本が戦ってんの?」
「知るかよ、そんなこと」
「あいつ、いつの間にあんなに強くなってたんだよ」
「……正直さ、カッコいいと思うのは俺だけか?」
「いや、俺も思うぞ」
「ウチもカッコいいと思う、でも敵の方が数倍カッコいいけど」
「顔かよ……」
「………行け! そこだ!! 行け山本ー!!」
「おい、いきなり大声出すなよ、ビックリするだろ」
「ああ、悪い悪い。でもなんか応援しなきゃって思っちまってよ」
「それわかる。なんか山本に勝って欲しいよな」
「うん………山本君がイケメンだったらなぁ」
「ひでぇなオイ」
勇者と呼ばれる者達の後ろから1人の男性が歩いて来る。勇者の1人が後ろを振り返りその男性の名を呼ぶ。
「おっ、鉄人!」
「先生と呼べと何度言えば分かる!!」
「うぇーい先生」
「はぁ……」
「先生も山本君の戦い見に来たんですか?」
「まあな………いつの間にか山本はあんなにも成長していたんだな」
「強くなってますよねー」
「ああ、立派になった」
そう言うと再び全員空を見上げて映し出されている光景を眺める。
城下町では歩いていた人々が足を止めて光の輪の中に映し出されいる光景に目を奪われて足を止めている。その中にはショウの友人もいた。
「リジー、僕はとんでもない人と友人になったみたいだ」
「嫌なの?」
「嫌じゃないさ、むしろ誇りに思うよ。あんなにも強くて頼り甲斐のある友人なのだから」
「ええ、私もあの人が私達の友人であることは誇りに思うわ、本当に」
「ああ、帰って来たら二人でお礼を言いに行こう」
「そうね!」
再びクルト夫妻は光の輪を見上げる。
城下町のとある宿屋でも同じように光の輪を見上げる人達が3人いる。
「見て見て! ショウ兄だよ!」
「もう、うるさいマルコ、見れば分かるわよ!」
「ふふっ、マリーは本当にショウ君の事が好きね」
「ええ、だってあんなにもいい男滅多にいないから。それに多分ショウ以上の男の人にはもう会えないと思うしね」
「そうね。あんなにも良い子はもう見ないかもね」
「ねぇねえ、僕もショウ兄みたいに強くなれるかな?」
「そうねぇ……まずは好き嫌いを無くすことね」
「うえっ……」
「必ず帰って来なさいよね。また、荷物持ちしてもらうんだから!!」
〜アルカディア〜
アルカディア城のバルコニーではララとニーナとリーベルとニルナとレミアともう一人女性がお茶を飲んでいたら突然上空に光の輪が現れる。城の兵士達が慌てて六人を守ろうとしたが全く意味がなかった。光の輪の中にある光景が映し出されたからだ。光の輪が無害だと分かり城の兵士達は安心している。光の輪の中に映し出された光景を見てララが驚きの声を上げる。
「ショウ!!!!」
光の輪の中に映し出された光景にはショウが戦っている姿だった。ララは座っていたイスから降りてバルコニーの手摺りまで走り光の輪を見上げる。その後ろに5人が続き同じようにして光の輪を見上げる。
「お母さん、ショウがショウが戦ってる!」
「ええ、ララ。見ればわかりますよ」
「ショウ、また強くなってる」
「凄いですね彼は。私達と戦ってた時よりも遥かに強くなってます」
「ショウ様……」
「むっ、ニーナもショウのこと好きなの?」
「えっ!? いや、私なんかがその……あの……はぃ」
「じゃあ、ライバルだね!」
「ララちゃん………はい!」
「ふふっ、微笑ましいことね」
「ええ、彼ならば何も問題ありませんからね」
「僕もあんな風に強くなれるかな、母上?」
「なれるわ、だって貴方はリュードの息子なんですから」
「でも、父上はショウさんに負けましたよね」
「ああ〜それは言っちゃダメよ」
「………きっとショウさんには一生掛かっても追いつけそうに無いですね」
「諦めたらダメよ。でも、確かに彼には追いつけそうにはないわね」
6人は光の輪を見上げて二人の激闘を静かに見守る。
〜アルツェイル〜
アルツェイルの学園は今昼休みが終わろうとしていた。しかし、終わりのベルがなろうとした時にアルツェイル上空に光の輪が現れる。学園の生徒達は何事かと混乱していたが映し出された光景に目を奪われる。生徒達が映し出された光景に夢中になった頃に昼休みの終わりのベルが鳴る。しかし、誰も教室に戻ろうとせず光の輪を見上げ続ける。先生達が誰も教室に戻ろうとしないので呼びに来るが生徒達同様に光の輪に映し出された光景に目を奪われる。
「お、おい、アレってショウじゃねえか!?」
「うるさい見れば分かる」
「ルネちゃん、ショウさんですよ!! ホラ、ショウさんです!!」
「うん、わかってるシエル」
「ルネ、俺の時と反応違うくね?」
「そんな事はない」
「ふむ、確かにショウだな。また、強くなってるようだ」
「あいつどんだけ強くなんだよ」
「ふふっ、ますます私は彼が欲しくなってきたよ」
「ファ、ファラ先輩だろうとま、負けませんから!」
「シエル、私も私も」
「羨ましいこった。いや、逆に可哀想か? 修羅場が見れそうだな」
「楽しそうですね」
「アンナ先生!」
「まさか、アンナ先生もショウを?」
「そうですね、私がもう少し若ければ好きになっていたでしょうね」
「好きじゃないんすか?」
「私みたいなオバさんでは相手にしてもらえないでしょうから」
「そんな事は無いと思いますよ」
「どういう意味でしょうかルネさん?」
「ショウは良くアンナ先生見てたから」
「そ、それ本当ですかルネちゃん!?」
「本当本当」
「そうですか………」
「かあ〜、こりゃ荒れるぞ!」
学園の生徒達は授業など忘れて光の輪を見上げる。
クライン家の住人達も同じく光の輪を見上げている。
「豚……」
「アニス、いい加減名前で呼んであげたら?」
「いえ、奥様。ショウには豚がお似合いなんですよ」
「素直になればいいのに」
「私はいつでも素直ですよ」
「ハハッ、アニスらしいね」
「セイジ、笑い事じゃないわよ」
「まあ、いいじゃないか。それにしても強くなったね彼は」
「本当にね。それにしても私達はとんでもない人を奴隷にしてたのね」
「それがショウですよ、奥様」
3人の他にもクライン家で働いているメイドや執事、使用人達も同じように光の輪を見上げる。
誤字脱字などがありましたら遠慮なくおっしゃって下さい。
感想などもよろしくお願いします。
では次回を!




