一騎打ち開幕
「いい朝だ……」
「朝からどうしたよ……」
「いや、ホラ今日一騎打ちやん?」
「それがどうしたんだよ?」
「緊張しちゃって……テヘ」
「キモい死ね」
「クロ、せめて何か励ましの言葉とか言えよ。死ねとかありえねえよ。もし死んだらどうする!?」
「骨は拾ってやるよ」
「お優しいですね」
「当たり前だろ。俺様は慈悲深いんだよ」
「はぁ〜〜。朝飯にすっか」
「おう!」
異空間からパンを取り出して魔法で焼き上げる。ついでにフライパンを出して卵を焼き上げて目玉焼きにする、それともう一つベーコンをを焼いてパンの上に乗せて食べる。やはり、シンプルイズベストだな。パンだけでは物足りないのでコーヒーを淹れる。
「ゴフッ……ブラックはマズイ……」
「なんで飲むんだよ」
「カッコいいかなって……」
「お前、ジューダスが淹れたら飲めるのになんで他のは飲めないんだよ」
「わかんねえよ。ジューダスさんが淹れたコーヒーは美味しいから飲めるんだよ」
「わけわからんわ」
「俺もそう思う……」
コーヒーを飲み干してコップや皿を魔法で洗い異空間へと戻す。朝食を食べ終わったのでストレッチをする。空を見上げてみると太陽はかなり昇っていた。時間的に言うと10時くらいかな? 正確にはわからないけど後もう少しで一騎打ちの時間かな。
そろそろ行こうかな……。
ストレッチを終えて歩き出す。とりあえず指定された場所に向かって歩く、その後ろにクロが付いて来る。そういや、荒野までかなりの距離あるよね? ここからじゃ歩いて行ってたら間に合わないだろ! 慌ててバイクを取り出して走り出す。クロを乗せて道案内をさせる。
「ファーーーー!! これ間に合わないんじゃねえの!!!???」
「まあ、まだ数十キロは離れてるからな」
「これ、やべんじゃね?」
「かなりな。まあ、ヴァイスだから待ってくれるだろ」
「そうだといいね!」
いくらヴァイスが寛容だとしても限度というものがあるだろう。てか、現在戦争中ですからピリピリしてるからもしかしたらブチ切れるんじゃね? そうだとしたらヤバイな。魔法駆使してバイクで音速越えよう。
「行くぞォオオオオオオオ!!!」
アクセル全開にして道無き道を突き進む。空を見上げて見ると太陽はほぼ真上に来つつある。このままだと間違いなく間に合わない。焦っていたら目の前にカルナさんが現れる。大慌てでハンドルを切り躱すがバランスを崩して派手に吹き飛び一騎打ちの前に死に掛ける。
「お……エクスカリバー、儚き我が神幻郷……死ぬかと思った……」
「大丈夫?」
「大丈夫です。てか、なんでカルナさんが?」
「ショウ君の魔力を調べたらまだ指定された場所に着いてないから私が助けに来たの」
「なるほど! つまり、転移してくれるんですね!」
「うん、丁度向こうの方に強い魔力反応があるからすぐに転移出来るよ」
「あざぁーす!!」
「それじゃあ行くよー」
「えっ? ちょま!」
いきなり景色が変わったと思ったら目の前ヴァイスが立っていた。
「おう、ヴァイス来たよ!」
「…………もう少し普通の現れ方をせんか」
「すまん……」
「じゃあ、ショウ君私帰るねー」
カルナさんはまたすぐに転移して消えた。もう一度ヴァイスの方に振り向いたらハーピィーの族長が後ろに立っていた。さっきまでいなかったのにいつの間に現れたんだろうな。
「えっと、お久しぶりです」
「ほう、よくそんな口を聞けるな人間?」
「………スンマセン。てか、あのどうして族長さんが?」
「ふん、貴様ら人間が何か企んで無いか監視しに来たのだ。それと魔王と貴様の勝負の行方も確認しなければならないからな」
「なるほど……つまり、見届け人ですね」
「そうなるな」
ハーピィーの族長さんはそう言うと少し下がって行った。ハーピィーの族長さんが下がりヴァイスが出てくる。
「さて、ショウよ、まだ太陽は真上には無い。それまでどうする?」
「暇潰しにお話しようぜ!」
「ふっ、相変わらずだな」
「まあな。ところでお前俺に勝ったら人間達をどうするつもりだ?」
「そうだな、お主を殺した後はリーシャを取り返し友の仇を討つために人間共を根絶やしだな」
「おまっ、物騒過ぎやん」
「ショウよ、これは戦争なのだ。ふざけてる場合では無いのだ。それくらいはわかろう」
「………まあ、俺負けるつもりないし」
「フゥハハハハハハ!! 面白い事を言うな。我が輩に勝つつもりでいるのか。少し言い過ぎでは無いか?」
「いいんだよ、強気で行きゃなんとかなるだろ?」
「フゥハハハハハハハハハハハハ!!! そうだな、そうでなくては面白くないな!」
「ハハハハハハッッッ!! さて、もう太陽は真上に来たぜ?」
「そうだな………始めるとするか」
「ああ、ハーピィーの族長さん、離れてて下さいね。巻き込まれたら無事じゃ済みませんよ」
「わ、わかった」
ハーピィーの族長さんは羽を広げて大空へと飛んで行く。ハーピィーの族長さんが大分高く飛んで行く。かなり小さくなったのでヴァイスに向き直る。
「さて………ヴァイス始めようか?」
「フゥハハハハハハ!! 死ぬ気でかかって来い!」
すぐさま神羅創世を羽織りエクスカリバーと儚き我が神幻郷を装備する。
「ハァアアアアアアアア!!!!」
「ぬぅおおおおおおおお!!!!」
俺とヴァイスはお互いに体当たりをする。そしてお互いに吹き飛び離れる。態勢を整えてエクスカリバーを抜きヴァイスへと走る。
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side???
「クフフフ。始まりましたね。魔王と彼の一騎打ち」
「もしも奴が勝ったらどうする?」
「例の作戦を始動させますよ。それより彼等の戦いは我々だけでは無く皆さんに見て貰いましょう」
黒いフードの男が何かを唱えると人間の陣地、魔国、オルランド王国、アルツェイル、アルカディアの上空に光の輪が浮かび上がりその輪の中にはショウとヴァイスの戦いの光景が繰り広げられる。
「さあ、存分に見せてもらいましょう」
バトル続きます。
では次回を!




