再会と紹介
「よう、ショウじゃねえか!」
「ガ、ガストンさん!? と、誰です?」
「ん? こいつか?」
ガストンさんの横には兎耳を生やした美人が立っていた。服装がエロく胸元がはだけているのに何故か袖が長めであり手の半分が袖に隠れている。すると、その兎耳を生やした美人が俺に握手を求めて来たので応えようと手を差し出したら相手の袖から鏢が出てくるとそれを握り俺の首目掛けて刺そうとしてくる。
これは漫画なんかでよく見たやつだ!
多分俺の実力を見ようとわざと寸止めにするはずだ!
そう思い微動だにせず待ち構えていたら全然違った。思いっきり俺の喉を突き刺しに来てた。これは避けなきゃシャレにならない。なんとか紙一重で躱す事に成功したかと思ったら掠ったようで首筋から血が流れる。
「ふぉおおお!! いきなりなんなんすか!?」
「へえ〜、今のよく躱したね! アタシの名はロザリー、よろしくね、黒髪の英雄さん」
「よろしくじゃねえっすよ! 挨拶代わりになんで喉を突き刺しに来るんすか!?」
「いやぁ〜あんたが本当に黒髪の英雄かどうか確かめたくてね〜。本当は寸止めにしてビビらせようと思ってたんだけど寸止めってバレたからさ」
「とんでもねえ人だ」
「ハッハッハッハッハッハ!! 早速やりやがったか!」
「ガストンさん笑い事じゃないっすよ!! 下手したら死んでたんすよ!!」
「大丈夫だって、その時はその時だ」
「じょ、冗談じゃねえぞ!」
「まあ、生きてるから良いじゃねえか」
「はぁ……寿命が縮まりましたよ……ところでロザリーさんとは知り合いなんすか?」
「ああ、こいつとは良く仕事でパーティ組んでたんだよ」
「へぇ〜そうなんすか?」
「おうよ。こいつは昔っからこんな性格でよ、俺にも同じ事してきたんだよ。こいつ兎人族の癖に短気で戦闘好きなんだよ。なんでこんなんになっちまったのかは分からねえがな」
「全部聞こえてるよ! 誰が短気だって!!?」
「そういうところだろうがよ!」
「ああん!? やんのかい!?」
「お前そう言って俺に勝ったことあんのかよ!?」
「はっ! 良く言うね! 決着がついたことすら無いじゃないか!!」
「あっ? なんなら今ケリつけてやろうか?」
「上等だ! やってやろうじゃないか!!」
なんかヤバそうな雰囲気なんだけど………。
(と、止めた方が良さそうですよ?)
無理無理無理!!
この2人に近付きたくない。
(もう、フリードさんに任せちゃいましょうよ)
今だけはお前に賛成だわ。
「お、おい、フリードお前止めて来いよ」
「無茶言わないでくれ! あの間に入ったら命がいくつあっても足りないよ! 」
「た、頼むよ。サインなら幾らでもやるから、さ?」
「流石に無理だよ……ていうか君の方が強いんだから君が止めれば良いじゃないか!」
「アホ言うなよ! ガストンさんとロザリーさんの2人を止めるって本気出さないと不可能だぞ!」
「出してくれよ本気を!」
俺とフリードが言い争ってる時一人の兎人族の女性が2人に近付いて行くとロザリーさんの腕を掴んだ。ロザリーさんは掴まれた腕の方に勢いよく振り返ると気まずそうな表情になる。
「ロ、ロゼッタ……」
「姉さん、喧嘩はダメだって言ってるでしょ!!」
「い、いや、これは違うんだよ、これは………腕試しの話をしてるだけなんだ!」
「嘘ですね! さっきやってやろうじゃないか! って聞こえましたもの!」
「うぐっ…………」
「ハッハッハッハッハッハ!! 相変わらず妹には弱いな!」
「ガストン様! 姉さんを煽るような事を言わないで下さい!! 姉さんもすぐに怒らないで下さい!!」
「はい」
「お、おう」
おおっ!
あの子すげえ!
(可愛いですね!)
同意だ!
「彼女凄いね。まさかあの2人に割って入っただけじゃ無く止めるなんて」
「全くだ。ん? こっちに来るぞ」
ロゼッタとガストンさんとロザリーさんの3人がこちらへと戻ってくる。ロザリーさんは耳が垂れて先程までの覇気が無くなってる。それにガストンさんも少しばかり表情が暗い。どうやらこのロゼッタと言う子はよく二人の喧嘩を止めてたんだろうな。ロゼッタは俺とフリードの前に来ると勢いよく頭を下げる。
「あ、あの!! は、初めまして……」
「ああ、初めまして」
「初めまして」
「あの、その……えと……あの……」
きっとフリードだろうな。
こいつイケメンだから。
「落ち着いて」
流石イケメン。
フォローの仕方が上手いわ〜。
俺も見習わないとなぁ〜。
見習ったところで出来るかどうかわかんねえけど……。
(なんでそうネガティヴなんですか!)
可愛い子来る。
イケメンがいる。
俺空気。
(……もう少し別の考え方を)
イケメンいた。
恥ずかしい。
俺空気。
(どうやったらそんな思考になるんですか!)
先ほどのやりとり見られた。
イケメンに。
俺論外。
(これはもう何を言ってもダメですね)
「あの、えと……黒髪の英雄様!!!」
「へっ!?!? はっはい!!」
えっ?
何!?
めっちゃビックリなんやけど!?
「あっ、ご、ごめんなさい。大きな声を出してしまって」
「い、いや、良いけど」
「あのその黒髪の英雄様のお話は聞いております」
「う、うん」
「……えと、私ファンなんです……」
「う、うん?」
「だから、あの……握手を………してもらえませんか?」
喜んでぇええええ!!
(声に出しましょうよ!)
心の中で叫ぶのが俺なんだよ。
「俺なんかで良ければ」
「あ、ありがとうございます!!!」
手を差し出したらがっちり掴まれた。しかも両手で包み込むように掴まれた。物凄く喜んで貰えてるようで嬉しいのだが凄い力で握って来てるからものっそい痛い。幸せと痛みが同時にやってきた感じです。
何故新キャラを出したのか……
では次回を!




