新発見
sideヴァイス
現在、我が輩達は食堂にて昼食を食べている。我が輩はチラリとショウへと視線を向けた。ショウは何時ものようにリューネを膝に抱えながら昼食を食べていた。その隣にはリーシャとラニが座っており女性に囲まれていた。
ふむ、普段とあまり変わりは無い。
しかし、ショウの表情はどこか暗い。
やはり、何かあるのだろう。
今日半日ショウをリューネと共に付け回していたが廊下で独り言を喋り始めたと思えば虚空に向かって蹴りや拳を放っていた。
何故か段々とイライラしてきたようで、遂には光属性を手に纏わせ始めた。光属性を纏わせたと思ったら急に走り出した。後を追いかけると急に立ち止まりキョロキョロと周りを見渡していた。
我が輩達も立ち止まりショウを見ていると、ショウはまたも急に走り出した。また、追いかける。今度は立ち止まる事なく城のあちこちを走った。
一体何がしたいのだろうか?
もしかしたらショウには我が輩達には見えない何かが見えているのだろうか?
結局ショウを付け回して半日、殆ど城内を走り回っただけで終わった。
うぅむ、何とか助けてやれないだろうか……。
よし!!
昼食後に直接聞いてみるとするか!
****
sideショウ
……心なしかヴァイスがこちらに視線を向けて来ている。
何やら深刻な表情をしている。
何か悩みでもあんのか??
でも、あのヴァイスに限って悩みなんて……。
もしかして、最近リューネが構ってくれない、とか?
あり得る!!
昼飯食べ終えたら聞いてやるか……。
そして、昼食を食べ終わりヴァイスの元へと向かう。ヴァイスの方も丁度俺の方に向かって来てくれる。何か覚悟を決めたような表情をしている。
余程、リューネに構ってもらえないのが寂しいのか。
「………ヴァイス、お前そんなに娘に構ってもらえないのが寂しいのか??」
「は?? 何を言っているショウよ?」
「いや、ホラ最近リューネは俺に付きっ切りじゃないか。だから、お前が寂しがってんのかなって」
「何故そう思う?」
「いや、なんか昼食の間、深刻な顔をしてたから」
「そうか……。お主にはそう見えたか……、だが、違うのだ。ショウよ、我が輩はお主が何か悩みを持っておると心配しているのだ」
「悩み? んなもんねぇよ」
笑いながら答えるとヴァイスはオレの肩を掴み鬼気迫る勢いで揺さぶってきた。
「し、しかし、お主、今日の午前中急に独り言を言いだしたり虚空に向かって拳を振るったり城内を駆け回ったりしていたではないか!!」
俺が変態幽霊と戦ってたのを見られてたのか!!!
なんとか弁解せねば!!
「い、いや、アレはそのアレだよ!! アレ!! 架空の敵に備えた修行だって!」
「嘘を言うな!! まるでそこに誰かいるように話し掛けていたり、変態幽霊と叫んでいたではないか!!」
やばばばばい………。
全部見られてる……。
どど、どうしよう!?
「悩みがあるなら我が輩はなんでも聞くぞ!! さあ、遠慮なく言うがいい!!」
「い、いや、本当に何もないから!」
「いーや、ダメだ! あんな現場を見てしまったからには何が何でも聞き出す!!」
こりゃダメだ……。
話す……しかないのか?
いや、でも、幽霊が見えるって信じてくれんのか?
くっそ! ダメ元で話すか!?
でも、やっぱり変な目で見られたくないし……。
どうすりゃいいんだよぉおお!!
「ど、どうした!? 急に頭を抑えたりして!」
どうやら、俺は無意識に頭を抑えて考えていたらしい。ヴァイスは急に頭を抑えた俺を見て心配しているようだ。
「い、いや、何でもないんだ………」
「しかし……」
「本当に何でもないんだ!!」
俺は一際大きな声を出してその場から逃げるように立ち去った。ヴァイスは何か言いたそうだったが俺が走り去る様を見て何も言わなかった。
ちくしょう!!
あの変態幽霊のせいだ!!
除霊してやるぅ!!!
誰も居ない地下へと一人向かう。地下へと辿り着き変態幽霊を呼び出す。
「はぁ〜い」
「………」
「あれ? ショウさん、何かあったんですかぁ〜?」
「貴様のせいで俺はヴァイス達に心配させちまったようだ……。よって俺は貴様、変態幽霊を本格的に除霊してやる!!」
「えっ!? ちょ!!! ほ、ほほ本気ですか!?」
狼狽えてる変態幽霊を無視して掌に光属性を纏わせて行く。それも今までより凝縮させている。これを当てればこの変態幽霊も除霊、いや、消し去ることが出来る!!
「覚悟しろ……」
「あ、謝りますから、落ち着いてください」
「ふふふ……落ち着いているさ………だから、早く貴様を消し去ってやるぅうう!!」
「ちょ!!! いゃああああああ!!」
俺と変態幽霊の死闘が幕を開けた。全速力で変態幽霊を追いかける。変態幽霊も必死になって逃げる。壁をすり抜けようとした所に魔法をぶちかます。
変態幽霊に壁抜けが出来ないようにさせる。
くけけけけ!!
これで!!
ようやく!!
俺の平穏が訪れる!!!
俺は面倒になったので光の結界を作り変態幽霊の逃げ場を無くす。変態幽霊は結界から出られずに焦っている。
「さぁあ……覚悟しろ……」
「い、いや……いやぁあああああああ!!」
血迷ったのか変態幽霊は俺へと突撃してきた。自ら来てくれるとはありがたい。掌を変態幽霊へと向けて一気に振り抜いた。
だが、掌には何の感触もなく空を切っていた。
あれ?
あれれ??
光属性なら幽霊倒せるんじゃないの?
てか、変態幽霊はどこいった??
(あれ? ここどこですか??)
あれ?
なんか脳内から可笑しな声が聞こえるよ??
(あっ! ショウさんの声がしますね)
ちょっと待て。
(何か?)
お前どこにいるの?
(多分……ショウさんの身体の中ですね!)
…………わーお。
(ビックリですね! 私こんな事今まで出来なかったのに!! 人間やれば何でも出来るんですね!)
お前もう死んでるし、幽霊だろうが!
(まぁ、細かい事は良いです!! それより試したい事があるので遠慮無く!!)
えっ?
ちょ?
身体が勝手に動いてるお。
俺の意思関係なく動いてるんだけど!?
(どうやら、ショウさんの身体を使う事が出来るみたいです!! 新発見ですー!! こ、これなら……)
てめぇ、何を考えてやがる!!
(念願のリューネちゃんとあんな事やこんな事が出来ますぅうう!)
お前、ロリコンだったのか!!
(違いますね! 私は可愛い子が大好きなだけです!)
それをロリコンと言うのだ!!
(さて、それでは行きましょうか………リューネちゃんの元へ!!)
ちょ、足が勝手にぃいいいい!!
俺、もとい変態幽霊が俺の身体に憑依した。変態幽霊は俺の身体を使いリューネの元へと走る。
また、更新が遅れてしまった。
最近は中々話が進まない………。
不定期更新ですがよろしくお願いします。
では次回を!




