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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第五章

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宴の後

 うっ………。



 頭がグワングワンする。



 目を覚ました俺は起き上がろうとするが腕が重くて上がらない。右腕を見るとリーシャさんが腕枕をして眠っていた。



 ファッ!!??



 何故リーシャさんが腕枕をしているんだ!!??



 いや、今はそんな事はどうでもいい!!



 美女が俺の腕枕で眠っている事実だ!



 遂に彼女が出来たら一度はやりたい事の一つが出来た。彼女では無いけども、リーシャさんみたいな美女が俺の腕枕で寝ているこの事実!



 ご褒美ですね神様。



 本当に感謝します。



 てか、左腕も重いんだよね。それにお腹も圧迫されてる感じがするし。



 左腕も見てみるとラニが腕枕をして眠っていた。どうやら、昨日ラニは酔ったまま俺に抱き着き眠ってしまったのだろう。



 次にお腹を見てみるとリューネがいた。ヨダレを垂らして寝てる。俺のお腹にヨダレが垂れている。勘弁してくれ。起こしたいけど両腕がふさがっているから起こそうにも起こせない。



 仕方ない。3人を無理に起こしても可哀想なので、もうしばらく俺も寝ていよう。



 しばらく目を瞑っていると、誰かが起きたようで足音が聞こえて来た。薄眼で見てみるとヴァイスが起きていた。どうやら、頭が痛い見たいらしく抑えている。



「ウヌゥ……昨夜は呑みすぎたか……。トイレにでも行ってこよう」



 ヴァイスはヨロヨロと森の方へと歩いて行く。歩き始めたヴァイスは俺の方を見て立ち止まり目を見開いた後ニヤニヤと笑い始める。



「ほほう?ショウも中々罪な男よなぁ。リーシャにリューネにラニの3人を抱いて寝るとは」



 抱いてはいない。勝手に抱き着いて来たのだ。



 勘違いはやめて欲しい。



「ふむ、やはり、次の魔王はショウで決まりか」



「ちょっと待て!」



 ヴァイスのあまりの爆弾発言に目を見開き反論する。身体を起こしたいが今は起こせないので、首だけを起こしてヴァイスの方を向いている。



「ぬおっ!起きておったのかショウよ」


「そんな事はどうでもいい。なんで俺が次の魔王なんだよ??」


「む?別に構わないだろう?リーシャもお主を気に入っておるからな。どうだ?リーシャを嫁にするのは?」


「なに!?」


「我が輩もどこぞの馬の骨にリーシャを任せるよりお主に任せた方が安心するからな」


「待て待て!!そりゃリーシャさんみたいな美女なら願っても無い話だけど……」


「何か問題があるのか?もしかしてリューネとラニも伴侶に迎えたいのか?」


「ちげえよ!」


「安心しろ。お主なら3人を平等に愛せるはずだ」



 ダメだ。会話が絡み合ってない。なんかドッチボールのように一方的にぶつけられてる。



「そもそも、なんで俺を魔王にするんだよ!?」


「ふむ。本来魔王というものは曖昧な存在なのだ。我が輩が魔王になったのは先代の魔王をぶっ飛ばした事により魔王として祭り上げられたのだ」


「なんで、先代の魔王をぶっ飛ばしたんだよ?」


「簡単な事よ。種族差別や弱者を虐待などしておって腹が立ったのだ」


「納得だわ」


「我が輩も成りたくて先代の魔王を倒した訳ではないのでな」


「まさか、お前、魔王辞めたいのか??」


「正直に言うとな」



 なるほど、この魔王は早くもご隠居したいのか。



 そんなの許すか!



「残念だが俺は魔王になる気はない」


「そうか。だがリーシャを嫁に貰うのはどうだ?」


「そ、それは……」



 正直めっちゃ悩む。リーシャさんみたいな美女を嫁に貰えるなんて願っても無い話だ。



 確かにリーシャさんと結婚して平穏に生活するという選択肢もあるけど………俺は………。



「まあ、焦らずともよい」


「………」


「我が輩はトイレに行ってくる。ではな」



 ヴァイスはヨロヨロと森の方へと歩いて行った。



 森の中にトイレは無いからきっと立ちションだな。



 首を元に戻して空を見上げる。俺の目的は彼女なんだよな。いきなり、嫁って言われてもなぁ。



 まぁいいか。



 今はまだ考えないでおこう。



 二度寝でもするかな………。



 ****


「起きろ!!ショウーーーーー!!!」


「グホォッ!!!」



 腹にとてつもない衝撃を受けて目が醒める。腹の方を見てみるとリューネが乗っかっていた。



「リューネ……もう少し優しく起こしてくれ」


「何度も起こしたのに起きないショウが悪い!」



 そう言うとリューネは腹の上から降りてラニ達の方へと走っていく。起き上がって周りをみると俺以外は全員起きていた。



 空を見てみると太陽も大分昇っていた。どうやら二度寝して大分時間が経っていたようだ。



「むっ、起きたかショウよ」


「ああ、悪いな待たせて」


「いや、大丈夫だ。我が輩達も二日酔いでダウンしてたところだ」


「そ、そうか」



 ヴォルフさんとミックさんを見てみると二日酔いのせいで頭を抑えていた。



 そりゃあ、あれだけ昨日呑んでたらそうなるって。



 他の人も見てみる。ミランダさんは昨日あれだけ妖精達相手に飲み比べていたのにも関わらずケロッとしている。侮りがたし。



 ザードさんは至って普通だった。そういえば昨日は確かザードさんだけは呑んでなかったな。呑んでたらどうなってたんだろうな。



 リーシャさんを見てみると、目が合った。何故かほんのり顔が赤くなっている。そのまま見ていると目を逸らされた。まさか、フラグが立ったのか。



 くっ……勘違いしたくなる。



 ちくしょう!!!



 俺に読心術があればぁあああああ!!!



「へっ……フラグ折れろ」


「やめろ、クロ」



 いきなり現れて恐ろしい事を言いやがる。



 はあ〜。

不定期更新ですがよろしくお願いします。



では次回!

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