表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

176/684

混沌の宴

 フェアリー達のいる森へと入った。しかし、昼間と違ってとても不気味だ。本当にフェアリー達がいるのか不安になってくる。



 ともかく先へ進もう。



 それに何故か皆の口数が少なくって来た。先程まではあんなに喋っていたのに。まるで嘘だったように静かになる。正直耐えられない。



 気を紛らわす為にクロに話し掛ける。



「なぁ、クロ、なんで皆黙ったんだろうな」


「そんなこと俺様が知るわけねえだろ」


「それもそうか」


「ねー何話してるのー?」


「うおっ!フーか、驚かすなよ」


「ねー何話してたの?」


「知りたいか?」


「知りたーい」


「教えなーい」


「ケチー!!!」



 フーは怒ったようでリューネ達の方へと飛んで行った。



 まあ、気にしないでおこう。



 しばらく歩き続けてようやくフェアリー達のいる所へと辿り着いた。



 あれ?



 どこにもフェアリー達が見当たらないんだけど?



 ていうか、気配すら感じない。



 どういうこっちゃ??



 俺は周りを見てみるが何も感じない。どうやら、本当にフェアリー達がいないようだ。ヴァイス達も俺と同様に周りを見渡している。



 うむむ。



 俺が考え込んでる時、森に光が灯った。光が灯ると同時に今までいなかったフェアリー達が一斉に飛び出してきた。



「ようこそ!!魔王様!!!」



 エラい勢いでフェアリー達が飛び出てくる。しかも、その数は以前に見た時よりも増えている。一体どれだけいるのだろうか。



 周りを見渡す限りにフェアリー達が溢れている。森には明かりが灯り幻想的な風景になっている。



 ふつくしい………。



 心からそう思った。



 妖精達が出迎えてくれて宴は始まった。今はどんちゃん騒ぎで酒を浴びるように飲んでいる。俺はそんな様子を少し離れた場所から眺めている。



「フゥハハハハハ!!!これ程楽しい宴は何年ぶりだ!!」


「アッハッハッハッハ!!もう覚えておりませんよ!」


「イッーヒッヒッヒッヒッ!!!こんなに楽しい宴は生まれて初めてですよ!!」


「フゥハハハハハ!!ミックよ!お主は蘇ってからの間違いだろう!」


「そうでした。そうでした!!イッーヒッヒッヒッヒッ!!!」



 うるさいな。



 でも、楽しいからいいか。



 目線を変えて他の人達を見てみる。ミランダさんは妖精の長老と仲良く談笑しながら酒を飲んでいる。その横ではザードさんが妖精達に料理の作り方を教えてもらっている。



 相変わらず熱心な事だ。



 リューネとラニはフーと一緒に踊っている。というより、変な舞をしている。あれはなんだろうか?



 まあ、気にしても仕方ない。



 俺も酒を飲もうかな。



 ちなみにまだ、僕未成年です。この世界には未成年は酒を飲んだらダメという法律なんてありません。マジありがとうございます。



 妖精達に酒をもらおうとしたらリーシャさんが横からコップに酒を注いでくれた。



「あ、あざっす!」


「ふふっ、ショウもお酒飲むのね」


「まあ、ボチボチですね」


「そう。ところでショウ?」


「何すか?」


「血を貰えないかしら?」


「ヒエッ!?」



 リーシャさんは俺の返事も待たずに首筋に噛みつき血を啜る。



 アベベベベベベベベ。



 なんかいつもより多く吸われてる気がする。



 いや、気がするじゃない!!!



 ちょっ!!



 マジやばたん!!



 慌てて首筋に噛み付いたままのリーシャさんを引き離す。



 よく見るとリーシャさんの顔は赤く染まっており目の焦点も定まっていない。



 もしかして………。



「リーシャさん、酔ってます?」


「酔ってないわよ」



 嘘です。



 どう考えても酔っ払ってます。



「ショウ……もっと頂戴?」



 あかん。なんかいやらしいかんじ。



 こんな風に迫られたら上げたくなるけど俺の血がなくなる恐れがある。



「ヴァイスゥウウウウウウ!!!!助けてくれええええええええ!!!」



 とりあえず助けを求める。



 しかし、俺の叫びは届くことはなかった。



「フゥハハハハハハハハハハ!!我が輩こそ魔王なりぃ!!!」


「アオーーーーーーン!!!!」


「オボロロロロロロロロロ……」



 ダメだ………。



 完全に出来上がってる。



 てか、ヴォルフさん遠吠えするなよ。仲間が来ちゃうだろ。



 三人の方を向いていたら背中に衝撃が走る。誰かが飛び付いて来たみたいだ。



 誰かと思っていたら。



「ウヘヘヘヘヘヘェ」


「うぅ……ヒック……エグ……」



 リューネとラニだった。リューネは酔っ払っているみたいで笑いっぱなしでラニは何故か泣いている。



「ウヘヘヘヘヘヘェ。ショウ〜。血をくれ〜」



 あかん。ここにも小さな殺し屋が。



「うぐ……ショウ兄さん〜…エグ…ヒック…うぅう」


「どうした。何があった?」


「うぅ……うわああああああん!!!」



 どうやら、リューネは笑い上戸でラニは泣き上戸のようです。どうやら、この場はカオスになったようです。



 そうだ!!!



 まだ、あの二人がいる!!



 魔王一家の常識人、ザードさん!!



 ザードさんがいる方へと振り向くと、そこには誰もいなかった。



 あれあれ??



 ザードさんは何処に??



「クローーー!!!」


「んあ??なんか用か?」


「ザードさん知らない?」


「ああ、確か料理教えて貰うためにどっか行ったぞ」


「マジかよ」



 つまり、残りの選択肢はミランダさん唯一人!!



「ミランダさーーーーん!!!」



 ミランダさんの方を見てみると大量の妖精達が地に落ちていた。一体何事なのかと思いよく見ると長老とミランダさんが酒を飲み比べていた。



 ああ……俺を救える人はいないのか。



「フゥハハハハハハハハハハ!」


「アオーーーーン!!!アオン!!アオーーーーーーーン!!!」


「イッーヒッヒッヒッヒッ!!!オボロロロロロ……」



 ダメだ最早カオス以外の何物でもない。



 俺は明日の朝日を拝めるのか。

ようやくです…………。


楽しみにしていた方達には大変申し訳ありません。


では次回!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ