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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第五章

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悪い奴退治

 フェアリー達に連れられて来た場所は森の中だった。ヴァイスは先程からフェアリー達と談笑している。俺はと言うと…………。



「ねぇねぇー!」


「………」


「ねぇったらねえー!」

「……」


「わぁぁあああ!!!」


「うおっ!」


「なんで無視するのー!?」


「頼むから大声を出すな!!」


「どうしてぇえ!!!」


「やめろ!!鼓膜が破れる!!」


「ごみんねー」



 激しくウザい。



 こいつは俺の鼻を蹴飛ばした奴だ。正直言うと握りつぶして投げ飛ばしたい。



 まあ、しかしだ。



 一体悪い奴とはどこにいるのだろうか。



 先程から探しているがどこにも見当たらない。もしかして本当はいないのでは無いかと思う。だが、俺とヴァイスを拉致するくらいだから居るはずなんだが。



 とりあえず神羅創世を羽織っておこう。



「わあー!何それ?」


「いちいちうるさいんだよ。これはコートだ」


「へえー!なんか強い感じがする!」


「なあ、一体悪い奴はどこに居るんだ?」


「待っててー長老呼んで来るからー」



 フェアリーはそう言うと森の奥へと飛んで行った。長老と言ったな。先程からいるフェアリー達は全て女の子だ。まさか、長老だけは男なのだろうか。



 しばらくして先程のフェアリーが帰ってきた。その後ろには他のフェアリーよりも一回り大きい女の子が浮遊していた。



 まさか、長老か?



 でかくね??



「連れて来たよー」


「どうも、初めまして」


「えっ、ああ、初めまして」



 長老が挨拶して来たので一応会釈をする。



「ふむ、お主が長老か?」



 いつの間にか俺の横にはヴァイスが来ていた。ヴァイスは長老と呼ばれる大きなフェアリーをジロジロと見ている。



「はい。私がこの子達の長老になります」


「そうか。それで我が輩達を呼んだ理由の悪い奴はどこにいるのだ?」


「はい。ここより、南西に進んだ場所にいます」


「お主達では勝てなかったのか?」


「実は魔法の類が一切効かないのです。それで、私達にはどうにも出来ないと思い魔王様とそちらの人間をお連れしたのです」



 無理矢理連れて来られたんだけどな。



「なるほど、そう言うことか」


「はい。それで退治してはくれないでしょうか?」


「勿論、我が輩達が退治してやろうではないか!」


「そうですか!ありがとうございます!!」


「ありがとう!」

「あんがとー」

「あじゃーす」

「あじゃじゃーす」

「あっーしったー」



 どこのコンビニ店員だ。



 ていうか、さっきから俺空気。



 もういいよ。



 別に!!



 拗ねてないからね!!!



「どうしたの〜?」


「なんでも無い……」


「でも寂しそうだよ?」


「……なあ、お前名前は?」


「フーだよ」


「そうか」



 何故かフーは俺の肩に止まる。俺は気にせずヴァイスの方へと近付き話をする。



「ヴァイス、すぐに行くのか?」


「うむ、早く退治してフェアリー達を安心させてやらねばな」


「わかった。なら行こう」


「うむ!」



 俺とヴァイスとフェアリー達は悪い奴がいると言う南西の方向へと進む。歩いているとフーがよく話しかけてくるが適当に相槌を打っておく。



 しばらく南西の方向へと進んでいると開けた場所に出る。中心には大きな木がそびえ立っている。周りを見てみるが悪い奴はいない。



 それらしい気配も感じれないのでまだ先かと思った俺は先へ進もうとするとヴァイスに止められる。



「待て、ショウよ。何かおかしい」


「何かおかしいってなんも気配感じないぞ?」


「そうだ、それがおかしいのだ」


「なんでだよ?」


「この辺りからは我が輩達以外の気配が全く無いのだ」



 そう言われて見れば確かに俺とヴァイスとフェアリー達以外の気配が全く感じれない。道中には確かに他の生物の気配を感じていた。



 なのにここだけどうして?



「ショウよ、警戒して進むぞ」


「ああ、わかった。おい、フー、俺のコートの中に隠れてろ」


「う、うん」



 フーは俺のコートのポケットに身を隠す。他のフェアリー達はヴァイスの周りに近づく。



 大きな木の横を抜けようとした時にそれは現れた。



「グガアアアアア!!!!」


「ッッッ!!」



 突如として現れた熊の様な魔物が襲いかかって来る。警戒していたおかげで回避することに成功する。体勢を整えて魔物へと目を向ける。



 フェアリー達の言っていた通り大きくて毛がゴワゴワとしている。そして、あの凶悪なツラに禍々しい牙。上と下両方に生えており噛まれたら一発で絶命しそうだ。



「ヴァイス!アレが何か分かるか?」


「ツァンベアだな。しかし、あれ程の巨体にあの様な牙は無かったはず。突然変異種か?」


「とりあえずヤバいのはわかった!」


「ゴアアアアアアアアア!!!」



 ヴァイスの方へと突進するツァンベア。ヴァイスは飛んで躱す。ツァンベアは方向転換して再度ヴァイスの方へと突進を仕掛ける。



「フゥハハハハハハハ!!我が輩と力比べをしようではないか!!!」



 突進して来たツァンベアをヴァイスは受け止める。ヴァイスは少し後ろに押されたがすぐに押し返す。



 おいおい、どんだけ力強いんだよ。



 まあ、ヴァンパイアだし、魔王だからな。



「ガアアアアアアア!!!」


「ぬっ!?」



 ツァンベアも負けじとヴァイスを押す。少しずつだがヴァイスの方が押されて行く。このままではいけないと思い干将・莫耶を取り出し助けに行こうとしたら………。



「良い!我が輩1人で倒せる!」


「だけど!」


「フゥハハハハハハハ!我が輩は魔王であるぞ!!この様な魔物風情に負けはせぬ!!」



 そう言ったヴァイスはなんと、ツァンベアを持ち上げた。ツァンベアは足が地面から離れた為空中でバタバタとしている。



「もう少し楽しませてもらいたかったがこれにて終わりだ!!!ぬぅうん!!!」




 ヴァイスはツァンベアを上に投げ飛ばし自分の爪を使いツァンベアを斬り裂いた。




 マジかよ!?



「フゥハハハハハハハ!!!突然変異種と言ってもこの程度よな!」


「俺いる意味ねえじゃん」


「フゥハハハハハハハハハハハハハ!!!!」



 森にはヴァイスの笑う声が鳴り響く。

なかなか進まない


では次回!

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