ラニ
現在俺はテンションMAXになりダークエルフの子が逃げた方へと走っている。てか、あの子、殴られたり蹴られたりしてるから遠くへは行けないだろう。
とりあえず見つけて怪我を治してやるか。
でも、警戒されてるだろうなぁ。
まぁいいか!!
裏路地を走り回っているとうずくまり倒れていた先程のダークを見つける。どうやら、さっきの連中にやられた怪我が痛み出したんだろう。
「大丈夫か?」
俺がダークエルフの子に問いかけるとダークエルフの子はこちらを睨み付ける。
「大丈夫に決まってる…」
「その割りには苦しそうだけど?」
「少し躓いただけだ……」
どう見ても無理をしている。これ以上は見ていられないのでエクスカリバーを取り出す。
「なっ!ボ、ボクを殺す気!!??」
「違う違う。とりあえず見てろ」
エクスカリバーの魔法の鞘を取り出してダークエルフの子に装備させる。すると、魔法の鞘の効果によりダークエルフの子は怪我が治った。
「えっ……」
「どうだ?まだ痛い所あるか?」
「い、いや無い」
「そうか。良かったな。俺はショウって言うんだ。お前の名前は?」
「あ、えっ、ボクの名前はラニ……」
「そうか、ラニって言うのか。所でなんでスリなんかしたんだ?」
俺がそう聞くとラニは俯いて喋ろうとしない。話したくないことなのだろう。俺は無理に聞かずにラニを立たせた。
「よしっ!ラニ!腹減ってるか?」
「えっ?べ、別に…」
「別にかよ。まあ!良いか!!ついて来い!」
「えっ!ちょ、どこに連れて行く気?」
「美味い物食いにだ!」
ラニの手を取り裏路地をどんどん進んでいく。しかし、行けども行けども裏路地から出る事が出来ない。ムカついたのでガムシャラに進むが行き止まりに突き当たってしまう。
「お兄さん……方向音痴なの?」
「ふっ、この程度の壁ぶち壊してやる!!」
「わぁあああ!!ダメ!ダメに決まってるだろ!!」
「俺の行く手を阻む物は全て粉砕してやる!」
「ボ、ボクが大通りまでの道知ってるから!!」
「えっ?マジ??それを先に言えって〜」
「ハァ………こっちだよ。着いて来て」
俺はラニの後を追う。しばらくすると、大通りに戻ってこれた。
「おおっ!!ラニ、何か食いたい物あるか?」
「…………なんで怒ったりしないの?」
「えっなんで怒る必要があんの?」
「えっ?だったボクはお兄さんの財布を盗んだんだよ?普通なら怒ったり捕まえたりするのに、なんでお兄さんはボクに優しいの?」
「俺はロリコンじゃない!」
「へっ??」
「いや、すまん。今のは気にするな」
「あっ、うん」
「そうだなぁ。別に財布は取り返したし怒る事でも無いかな」
「どうして?」
「どうしてって別に俺の勝手だろ?怒られたいなら怒るけど?」
「あっ、いや、いいや」
「なら、この話は終わりだ。なんか飯食いに行くぞ」
「うん、わかった」
ラニと二人で飲食店を探す。そう言えば何かを忘れている気がする。
………ヴォルフさん!!!
「ラニ!!まずは狼男を探すぞ!」
「狼男?それってお兄さんの後ろにいる人?」
「へっ???」
俺はゆっくりと後ろに振り返るとそこには明らかに怒っているヴォルフさんが仁王立ちしていた。
「ショウよ。私が言いたいこと分かるか?」
「ボクオイシクナイヨ」
そのあと俺はヴォルフさんに怒鳴られて説教された。勝手にいなくなったことをめちゃくちゃ怒られた。理由としては俺は今魔王の娘に会わないようにしているのにとのことだ。
「それで、その子は?」
「この子はラニっす。俺の財布を盗んだ奴です」
「そうか。捕まえたのか。どうする気だ?」
「とりあえずヴァイスに相談するっす」
「ふむ、それはいいが」
ヴォルフさんはそこで言葉を切ってラニの方を向き再度口を開く。
「ラニと言ったな。親はどうしてる?」
「………いません」
「………そうか。すまない」
「ううん。気にしないでください」
「おい!ラニなんで俺には敬語使わない!」
「少し黙れショウよ。喉笛を噛み切るぞ」
「………」
「ボクの家族はみんな人間に殺されました。ボクは捕まりそうになったんですけどなんとか逃げて生き残ったんです」
「それで今までスリをしてきたのか?」
「はい。罰なら謹んで受けます」
「私には裁く権利は無い。魔王様の判断に任せるしか無いな」
「わかりました…」
俺空気。
「ショウよ、それでこれからどうする?」
「まずは飯っすよ!!」
「なら、美味い店を知っている。行くぞ」
俺とラニはヴォルフさんの後ろを着いて行く。ラニはさっきから下を向いている。話しかけて見るが適当に相槌を打つだけで全く反応が無い。ヴォルフさんも何も話そうとしないからこの空気が辛い。
「ここだ」
ヴォルフさんが連れて来てくれた店を見て見る。木造で造っている店だ。中からは良い匂いが漂って来て食欲を刺激してくる。
「早速入りましょうや!!」
「そうするとしよう」
「ホラ!ラニ、いつまで下を向いてんだよ!中に入るぞ」
「う、うん」
中に入ると結構綺麗な内装をしていた。テーブル席に座る。俺の横にラニが座りヴォルフさんは向かい側の席に座る。メニュー表をとって見ると見たこともない名前が沢山書いてあった。
「…………」
「どうした、ショウ。頼まないのか?」
「ぶ、無難に日替わり定食にするっす」
「なら、私はバイスベアのがっつりセットで」
「ボクはこれ…」
恥ずかしそうにあるメニューを指差すラニ。指を指したメニューを見て見ると。
「お子様ランチですね(笑)」
「う、うるさい!悪いか!!」
「痛っ!そう怒んなって」
「ゔぅ〜」
「ハァ……すいませーん」
ヴォルフさんが手を上げてウエイターを呼ぶ。呼ばれて来たウエイターを見て驚く。ウエイターの手が羽になっていた。よく見ると足の方は鳥のような足をしていた。
「どうしたのお兄さん?さっきからウエイターさんをガン見して?」
「おま、お前、あの子なに?」
「えっ?ハーピィだよ?それがどうしたの?」
「いや、可愛くね?」
「……お兄さんって変態?」
「バッカ!てめぇ!男なら可愛い子見たら反応するだろうが!」
「ふーん」
「えっ、なにお前男が好きなの?」
「な、何を!」
「ほう、その慌てようだとお前ホモだったのか」
「ち、違うよ!」
俺とラニは話し合っていると料理が運ばれて来た。
「おっ!いただきまーす」
俺は日替わり定食を食べる。結構なボリュームがあったが美味しかったのですぐに完食してしまった。それと、ヴォルフさんの料理は本当にがっつりだった。それをあんな口で食べるからホラーを見てるようであった。
「………」
「どうした、ラニ?いらないのか?」
「食べてる途中だろ!」
「ハッハッハッハッ!」
「何が面白いんだよ……」
ブツブツ言いながらお子様ランチを完食するラニ。ラニが食べ終えたので会計を済ませようとする。三人分の会計を1人で払い外へと出る。
「ショウ、どうする?」
「うーん……ヴァイスの娘さんが怖いけど………魔王城に帰りましょう!」
「わかった」
結局俺は魔王城に帰る事にした。どんなことが待っているかわからないがいつまでも隠れるってのも嫌だからな。それに…………ヴァイスの娘さんを見てみたいお!!
うし!やる気出てきた!!!
ああー名前がー
では〜次回を〜!




