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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第五章

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街へ

「ショウよ!!おるか!?」



 朝いきなりヴァイスは部屋に入ってくるなり大声を出して俺を呼ぶ。俺は眠たい目をこすって起きる。何事かと思い半開きの目でヴァイスに振り向く。



「大変だ!!!我が輩の妻と娘が今日旅行から帰って来るのだ!!!」


「だから、なんだってんだよぉ……」


「早く身を隠せ!!下手をすればショウは今日死んでしまうかもしれないぞ!!」


「何ぃ!?」



 死んでしまうと言う言葉を聞いてようやく覚醒する。しかし、死ぬとはどう言うことなのだろうか?まさか、ヴァイスの妻か娘は人間が死ぬほど嫌いなのだろうか?



「なんで死ぬんだよ?」


「うぬ。妻は問題では無いが問題は娘の方だ」


「リューネ以外にも娘がいたんだな」


「うむ!どちらも可愛いぞ!!って今はそれどころでは無い。さっきも言ったがもう1人の娘がヤバいのだ!」


「だから、どんな風に?」


「我が輩のもう1人の娘は人間が大好きなのだ」


「なら、問題無いじゃねえか」


「違う!!大好きなのは血なのだ」


「血?それなら普通の吸血鬼じゃねえの?」


「わかっとらんようだな。あの子は人間の血が大好物なのだ。つまり、何が言いたいかと言うと、ショウよ、下手をしたら今日でミックの仲間入りだぞ?」


「はぁ?冗談だろ??」


「冗談ならこんな風に慌てんわ」


「いつ、帰って来るんだよ」


「使いのコウモリが先程知らせてくれたが後1時間と言ったところだ」


「………隠れる場所は!!」


「いや、ダメだ!!隠れていても僅かな人間の匂いがあればわかってしまう!!今日は一旦城から離れるのだ!」


「わかった!!」



 俺は早速支度をする。まさか、こんな日が来るとは。でも、よくよく考えてみると吸血鬼が血が大好物ってのは普通のことじゃ無いのか?



 リューネもよく俺の血を吸うが少量だからな。少量と言っても朝昼晩と毎日飲まれるのはキツイものだが。



 さて、支度は済ませた。



 後は城の外へと逃げるだけ。ヴォルフさんが逃げる手筈を進めてくれて居る。ヴァイスはなんとか妻と娘が帰って来るのを遅らせようとしている。



 リューネはまだ眠ったままである。



「ショウよ!準備は整ったか?」


「OKっす!ヴォルフさん!出して下さい!」


「では、行くぞ!」



 ヴォルフさんが用意したのは荷物が沢山入った馬車で俺はその中に隠れる。



 そして、城から出て数十分が経過した頃ヴォルフさんが話しかけて来た。



「ショウよ。居心地はどうだ?」


「最悪っすね。ケツは痛いわ、荷物がぶつかって来るで所々痛いっすわ」


「アッハッハッハッハ。それは良いことだな」


「ある意味最高っすよ。てか、これからどこに向うんですか??」


「街に行こうと思う」


「へぇ〜、俺この国の街って初めてっすから楽しみっす」


「………ショウよ。人間だと言うことがバレないようにするんだぞ」


「なんでっすか?」


「街の住人には家族を人間に奪われたり人間に酷いことをされたものが沢山いる。もし、お前が人間だとバレてしまえば何をされるか分からないぞ」


「なっ、マジっすか……」


「あぁ。くれぐれも気をつけるんだぞ。いくら、私が付いていると言っても襲って来るものはいるからな」



 なんとヤバい街なんだろうか。いや、ヤバくはないな。悪いのは人間の方か。



 くそっ!!



 人外に興味は無いと言ってもやはり、魔族の可愛い女の子とも仲良くなりたいのに!!!



 いや、でも、良くあるラミアっ娘やハーピィっ娘とかはちょっと………いや、女の子だ!!!



 受け入れて見せる!!



 俺は人を辞めても良いから童貞捨てたる!!!



 やるぞ!俺は!!!



 なんて事を考えてる内に街に辿り着いた。ヴォルフさんに降りるように言われたので降りる。とりあえず人間だとバレないようにオリジナル装備を速攻で創り上げる。



 創り上げた物はメガネ。度は入ってない、ただの伊達眼鏡。スキルは《認識阻害》。能力は俺が人間だと認識出来ないようにするもの。



 まあ、これくらいはね。



「むっ……ショウか?」



 メガネを掛けたらヴォルフさんが俺とわからなかった。メガネを外して見る。



「ショウか!さっきのはなんだ?」


「このメガネをすると俺が人間って認識出来なくなるんですよ」


「ほう!それは面白い魔道具だな!人間は皆その様な物を持っているのか?」


「いや、これは俺だけの魔道具ですね」


「便利な物だな」



 俺はメガネを掛けてヴォルフさんと街へと歩いていく。



 見た感じは人間の街とそう大して変わらない。変わってるのは人間が全くいないことだけ。それは以外はてんで普通だと思った。



「なんか案外普通っすね?」


「ん?まあ、そこらの街となんら変わらないからな」



 俺とヴォルフさんは街を歩く。キョロキョロと見回していると食べ物を売っている店を見つけた。そういえば、まだ何も食べていないと思いヴォルフさんと一緒にその店へと向かった。



「いらっしゃい!!」



 景気良く挨拶してくれたのは一つ目の魔族だった。見た感じだとサイクロプスのようだ。サイクロプスと言っても身体はあまり大きくない。ヴォルフさんよりは大きいが。



「これ、なんて言う食べ物っすか?」



 俺が指差した物は焼き鳥に似たような食べ物。



「これはバッケンテっていう奴だよ?食ったこと無いのか??」


「実は遠い田舎から来たもので」


「そうか!なら、食べて見な!!美味しいからよ!」


「いくらです?」


「一本80Wだ!」


「なら、10本で」



 俺は800Wをサイクロプスのおっさんに渡すと10本のバッケンテを受け取る。五本は自分ので残りの五本はヴォルフさんに渡す。



「いいのか?」


「いいっすよ。お金は沢山ありますから」


「なら、有難く頂くよ」



 俺とヴォルフさんはバッケンテを食べながら街を歩く。それにしても賑やかな街だ。



 可愛い女の子いないかなぁ??


名前どうしよ。



では次回!

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