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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第四章

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お披露目最強装備

 俺は福田と戦った時に思い付いたあるオリジナル装備を取り出す。その装備は――



「神羅創世」



 うむ……厨ニ病ですわ。



 格好からして厨ニ病ですからね。黒を基調としたコートですから。今回は見た目にもこだわりました!それに能力はチート満載です。俺が持つ全ての魔力を注ぎ込み能力を付加したのですから!!



 ただし、スキルは――


 ▼▼▼▼

【神羅創世】

 《スキル無効化》

 《状態異常無効》

 《全属性耐性》

 《魔力超速回復》毎秒10万

 《物理的ダメージ激減》八割減少

 《魔法ダメージ激減》八割減少

 《魔力検知》自身の周囲3キロ

 《自動修復》装備の一部が破壊された時、瞬時に自動で修復される。

 ▲▲▲▲



 見事にチートだ。ただし、効果は凄いのだけど何故か分からないが、これ以上能力は増やせないのだ。能力を付加しようとしたら一番古い能力が掻き消される。その為、厳選した能力だけを付加した結果がこれだ。



 まさに最強装備。それともうひとつ判明したことが俺のスキル、武具創造はいくらオリジナル武器が造れると言っても能力に制限を付けられるのだ。それに武器には最高でも二つだけしかスキルを付加出来ない。これが新たにわかったことだ。



 それと圧倒的なチートも付加出来ないみたいだ。魔法無効化や空間指定や時間操作などのぶっ飛んだチートは作れないらしい。俺の想像力が不足しているのかと思うが現段階では不可能である。漫画やアニメに小説の知識だけでは不可能なのもあるようだ。



 福田との戦いで学んだからな。スキルを戦闘中だけ消されたり魔力を減らされたりステータスを半減させたりと無茶苦茶なチートがあること。それに対抗出来るようにと造った装備だ。



「さて、これでこちらは全力だ」



 一人呟き、神羅創世に付加した魔力検知で魔力を探る。ひとつだけ反応があった。しかし、これはアンナ先生の反応であろう。



 静かにして待つ。敵の出方を伺い反撃の時が来るまで。



 反応があった。ナイフが飛んで来る、それを難なく避けると反応のあった場所にあるものを投げつける。それは神話でフェンリルを縛り付けたとされる縄、グレイプニルだ。俺が改良を加えて自動追尾と捕縛機能を付けてある。



「手応えありだ!!」



 どうやら空間属性を持つ乱入者を捕らえることに成功したようでグレイプニルに反応がある。俺はグレイプニルを思い切り引っ張り乱入者を自分の方へと引き摺り出す。引き摺り出された乱入者は顔を黒い布で覆っていて顔が分からないようにしていた。



「お前がミカエルさんを撃ち落としたのか?」


「……」



 チッ、だんまりかよ。



「答えろ。お前シエルさんをどうした?」


「……」



 これじゃラチが明かない。


 こいつの顔を拝見させて貰おうか。



 黒い布に手を掛けると抵抗しようと暴れるがグレイプニルでさらに縛り付ける。抵抗出来なくなった所で黒い布を剥ぎ取り顔を露わにする。



 驚くことにその顔は見知った顔だった。



「ル……ネ……?」


「……」


「なんで、お前が……」


「貴方には関係の無いこと」


「関係無いだと……? ふざけた事言ってんじゃねえぞ! なんで、お前が乱入者なんだよ! 答えろ、ルネ!!」


「……」



 ルネは答えようとしない。無理矢理にでも聞かなければならないと思いルネに近寄ると――



「凍結弾!」



 氷属性の魔法が飛んで来る。先程まで何の気配も無かったのに。魔法を躱す為ルネから離れる。しかし、それがいけなかった。ルネの元に顔を黒い布で覆った乱入者が近付きグレイプニルを外した。



 ルネはグレイプニルを外して貰うと助けに入った乱入者を転移させる。ルネは転移をしようとせずに俺へと振り返る。



「私は貴方達を騙していた。学園すらも。私の名はルネ・アスターク。そして、レベル120にして空間属性を持つ。故に貴方では私に勝てない」


「なんだと……? お前がアスターク家の末裔だったのか!?」


「ええ、そう。それより貴方は危険。ここで倒す」


「俺を倒すだと。何の抵抗もしないと思うなよ!」



 ルネへと突っ込む。しかし、ルネは転移をして逃げる。逃げた先は俺の背後で短剣を刺してくるが、身体を回転させて躱すと同時に回し蹴りを放つ。



「くっ!」



 シュンッと姿を消したルネはまたも転移で避けると今度は遠くに現れる。



「氷槍、雷槍、炎槍!」



 三つもの魔法を放ってくるが真っ直ぐ撃って来たので躱してルネへと突っ込むが、いきなり真横から先程躱した魔法が飛び出してきて直撃を受けてしまう。



「ぐっ! まさか、転移させたのか!」


「そう、空間属性はこういう風にして戦える!」



 そう言うとルネは転移をして目の前に現れると膝蹴りを放ってくるが片手で受け止める。すると、魔法を撃とうと顔面に向けて手を翳してくるが軸足を蹴り転倒させる。



「ッッ!」


「そこだ!!」



 転倒したルネに掌底を打ち込もうとしたが間一髪の所で転移される。しかし、こうも転移をされると攻撃が中々当たらない。だが、いくら空間属性が優れていると言ってもルネの魔力が無限にある訳では無い。いずれは底を尽き転移どこらか下級魔法すら撃てなくなるだろう。



「ハア……ハア……!!」


「へっ、どうやら魔力が少なくなってきたみたいだな。転移のしすぎじゃないか?」


「うる……さい!」



 再び転移をする。今度はどこからと思い周りを見渡すがどこにもいない。逃げたのかも思ったが上から気配を感じて見上げるとルネが、かかと落としを決めようとしていた。寸前の所で避ける。



 着地した所に魔法を放つ。



「雷球!」


「あっ!!」



 どうやら転移が出来なくなったみたいで躱す事が出来ずに直撃を受けてしまったルネ。倒れたルネに近付こうとしたら再び乱入者が現れる。



「チッ! まだ空間属性持ちがいたのかよ!」


「……貴様が探しているのはこの娘か?」



 乱入者が何もない空間に手を入れて見せてきたのは眠っているシエルだった。



「シエル! 貴様……獄炎弾!!」



 乱入者に最上級の魔法を放つもすり抜けてしまう。これは以前に俺がオルランドで戦った時と同じ現象だ。



「な、に!!」


「焦らずとも、いずれ時が来れば彼女に再び会える時が来るだろう」


「ま、待ちやがれ!!」



 乱入者はシエルを異空間へとしまうとルネを回収して何処かへと転移していった。魔力を探るも見当たらない。多分だが逃げられたのだろう。



「くそっ! 何がどうなってんだよ!!!」



 悪態をつく。裏切ったルネ、いや、最初から欺き騙していたルネ。そして、ルネと同じく空間属性を持つ乱入者。目的は一切不明。



 一旦アンナ先生と合流しよう。



 俺はその場を離れるとアンナ先生の元へと走った。

改訂済み

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