荒れるサバイバル
今、俺は森に一人でいる。その理由は、勿論サバイバルが始まったから。学園の所有している森でサバイバルを行っている。森の他にも草原と山があるのだが始まりは森である。
簡単なルール説明をすると戦闘不能になれば即終了。学園の先生が審判として各配置についているので戦闘不能になれば回収される。空間属性を持つ先生がいれば話しは楽なのだが生憎居ないので全教師が総動員しているのだ。
まあ、それはいいとしよう……
「殺せええええええ! あの奴隷野郎をぶちのめせええええええ!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」
「じゃあああオラァあああああ!!」
「血祭りに上げろおおおおおおおお!!!」
「いつもいつも女の子とイチャ付きやがってえええ!!」
これは無いと思うんだ……
確かにさ、サバイバルだ。手を組むのも一つの手だけど。流石にこの人数は多いんじゃないか。
後ね、あれイチャイチャしてないんだよ?
弄られてるだけだからね?
周りを見渡すとアンナ先生が木の陰からこちらを覗いていた。どうやら、俺があいつらを倒した時の為にいてくれるようだ。これなら心置き無く倒せる。そう思い俺は手に魔力を込める。
三十人以上の男子生徒が襲いかかって来るが俺にとっては大した数では無い。あの時の、アルカディア戦争の時の三万の軍勢に比べたらどうと言うことは無い。むしろ、余裕過ぎて欠伸が出てしまう。
さ、とっとと片付けよう。
「じゃあな!!」
俺は三十人程いた男子生徒を片手で数える間に全て気絶させた。とりあえず、日頃のストレス発散の為に結構な威力で殴ったり蹴ったりした。ラリアットやエルボーなどの技も使って爽快に暴れた。
「やり過ぎです……」
「アンナ先生じゃないすか」
「あからさま過ぎです。気付いてたでしょう?」
「ええ、まあ」
「それにしても、この人数……私一人では多過ぎますね。他の先生方を呼んで来ますので貴方はサバイバルを続けて下さい」
「ありがとうございまーす!」
俺はアンナ先生と別れると再び森の中へと入る。しばらく動き回っているが敵が現れない。一体どう言うことなのだろうかと思ったが、その時に山の方で爆発音が聞こえる。かなり、大きな戦闘が行われているようだ。まあ、特に俺には関係無いだろう。
うぬぅ……
敵が誰一人として居ない。
皆、やられたのか?
「奴隷ーーー!!!」
えっ、この声って?
上を見上げるとミカエルさんがいた。とても焦っている様子に見える。肩で息をしているようでかなり慌てている。
なんで、シエルの元を離れている?
何があったんだ!?
「シエル様が大変なんです! 今すぐに来て下さい! このままではシエル様が!」
「わかった! シエルさんはどこにいる!!」
「私について来てください!」
ミカエルは空から俺を案内する。そのあとを全速力で追いかける。向かっている方向は山のようだ。もしかしたら先程の戦闘音はシエル達のものだったのかもしれない。
くそっ!!
何が関係無いだ!!
あの時、俺が向かっていれば状況は変わっていたかもしれないのに。今は考えても仕方ない。ミカエルの後を追いかけよう。
山にたどり着いた。急いで駆け上がりシエルを探す。ミカエルも上空からシエルを探しているようで飛び回っているがミカエルの翼が魔法により撃ち抜かれた。不意打ちを受けてしまいミカエルは空から落ちて行く。
「ミカエルさん!!!」
俺は落下して行くミカエルさんの元に全速力で向かう。なんとか間に合いミカエルさんを受け止めることに成功する。天使のミカエルさんに不意打ちを喰らわす奴がいると言うことがわかったが状況は最悪だと言える。
これは油断出来なくなった。
「くっ……不覚です……」
「ミカエルさん、今は休んでて下さい。後は俺が片付けます」
「貴方にこんな事を頼む事になるとは……どうか、シエル様を頼みます」
ミカエルさんは悔しそうに頼むと消えて行った。ミカエルさんは使い魔達のいる世界に帰って行ったのだろう。俺は頼まれたとおりシエルを探す。しかし、ミカエルさんを撃ち落とした奴も近くに潜んでいる為、警戒を怠らないように駆ける。
頼む……
無事でいてくれ、シエル!!!
改訂済み




