まさかの衝突
なんで近づいてくんの?
現在俺はソード・ゲシュペンストによって貫かれた腹を抑えながら膝をついている。そんな俺に近寄ってくるタカシ。
なんか怖いんだけど……
「ハッ。不様だな山本」
山本だと。俺の名字を知ってるって事は、やっぱりこいつは福田君なのか。しかし、全くと言って福田君の面影が無い。まるで別人だ。
「どうした? そんな驚いた顔して」
「いや、まさか君が福田君とは思わなかったから」
「まあ、そうだろうな。俺自身も自分の姿を見た時は疑ったほどだからな」
「そうか。で、君の目的はやっぱり復讐か?」
「フッ……流石だな。お前もやっぱり小説とか読んでたんだろう?」
「まあね。君が読んだ小説の中の復讐者になるとは思わなかったけどな」
話してる間にも血は流れる。流石に血を流しすぎている。これ以上はやばいと思いエクスカリバーの鞘とエクスカリバーを取り出す。鞘の能力で傷が塞がる。それを見た福田君は目を見開き驚いている。
「なっ、それはなんだ!」
「これはアーサー王伝説に出てくる魔法の鞘だ。俺が創ったんだよ」
「創っただと……成る程、そういうスキルを持ってるのか。神話を再現出来るなんてチートだな」
「君が言うなよ。死んでも蘇るなんてそっちの方がよっぽどチートじゃないか」
「フッ、それもそうか」
「それで俺を殺すのか?」
「……当然だ」
俺が何をしたって言うんだよ!
まあ、イジメられてるのを見て見ぬフリをしてたからかな。傍観者もイジメに数えらるみたいだし。しかし、一応は聞いておくことにした。
「理由は?」
「お前は直接的では無いが間接的にイジメてたからな。傍観者も立派なイジメだ」
「そうか……なら、君はクラスの全員を殺すのか?」
「勿論、一人残さずこの世から消し去ってやるよ」
「……なら、抵抗するまでだ!!」
すかさずエクスカリバーを抜いて福田君目掛けて振り抜く。しかし、読まれていたようでバックステップで躱されてしまう。
距離をとった福田君が魔法を連発してくる。それらを全てエクスカリバーで斬り払う。
「チッ! 厄介な奴だ! だが、これならどうだ!終わりなき絶望、無慈悲なる暴虐、秩序なき消滅!!」
福田君が一気に三つものスキルを発動させて来た。福田君がスキルを発動させた事により違和感が起こる。身体が重い。それに魔力が減ってきている。
どう言うことだ?
待てよ。
確かソード・ゲシュペンストも福田君がスキルを発動させて弱々しくなった。
まさか!!
ステータスプレートを取り出す。ステータスと念じてステータスを表示させると驚きの数値が刻まれていた。
◆◆◆◆
山本 翔 男 17歳[称号]異世界人・Aランク冒険者
Level 520
体力:60万←120万/120万
魔力:75万←150万/150万
知力:40万/80万
筋力:49万/98万
俊敏:46万/92万
器用:45万/90万
耐久力:50万/100万
運:125/250
【スキル】
《武具創造》己の知識にある武具を魔力を消費して創造可能。武器、防具、道具は性能により魔力消費量は異なる。
《異空間収納》別の空間に物を収納できる
《魔力化》魔法を体に固定させる事で魔力体になり、属性と同じ性質に変化する
《気配感知》常時発動
◆◆◆◆
どう言うこっちゃ!!
武神が無くなっているではないか。しかも、ステータス値が半減している上に魔力はどんどん削られていく。
まさか、これが福田君のスキルか!?
だとしたら戦闘面においては俺かなり厳しいんじゃないの?
「ハハハッ!! 驚いているな! よく気付いたと褒めてやりたい。だが、これでお前の負けは確定だ」
福田君が魔法を撃ってくる。魔法を使えば俺の魔力はさらに減少して行く。どう考えても不利過ぎる。
くそっ!!
向こうは接近して来ない所を見る限り接近戦は得意では無いと思われる。つまり、接近戦に持ち込めばまだ勝機はあるとみた。
「おおおおおおおおおお!!!」
「ふん、叫んだ所でどうにかなると思ってるのか!」
俺は叫んで福田君の方へと一気に走る。少しでも距離を縮めようと。
「接近戦に持ち込む気か! そう簡単にはさせん! 雷斧、風魔螺旋珠!!」
「ッッッ!!!」
中級と最上級を撃ってくる。それをなんとかエクスカリバーで斬り払うが福田君はさらに距離を離した。
チッ!
このままだと先に俺の魔力が尽きる。こうなったら俺の持つ最高速度で福田君に一気に近付くのみ。
「雷神! 光神!!」
魔力化を発動させる。俺が出せる最高の速度で距離を詰める作戦だ。
「光輝迅雷!!」
「なに!?」
「行くぞ、雷速迅翔!!」
雷光と同じ速さになり一気に福田君へと近付く。この速度は見た事がない福田君が目を開いて驚きの声を上げる。
「は、速い!!」
「貰った! 雷光瞬撃破!
」
福田君の懐へと入ると一瞬で連打を喰らわす。連打を受けた福田君は吹き飛んで、壁に激突して倒れる。
うしっ!!
「タ、タカシ様!」
エレノアが福田君の元へと駆けて行く。やり過ぎてしまったかもしれないが殺そうとしてきたんだからと開き直る。
「うぐ……」
「大丈夫ですか、タカシ様!」
「どけっ! 俺は奴を殺す!」
倒れていた福田君は起き上がると心配しているエレノアさんを払い退ける。そして、怒りの形相で俺を睨みつけている。丁度、その時俺の魔力化が解けてしまう。
「はっ! 魔力が無くなったみたいだな。山本!!」
福田君の言う通り魔力化を維持することも出来なくなり、魔力が尽きてしまった。だが、魔力が無くなっただけだ。別に俺自身は戦える。
経験の差を見せてやるよ!!
改訂済み




