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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第一章

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これから……

 ふぅ……


 大分回復したかな!



 ウル・キマイラを倒した俺は休憩をしていた。心身ともに疲れ果てていたので長めに休んでいる。大分、回復したと思うのでお待ちかねのレベルアップの確認だ。



「ステータス!」



 ◆◆◆◆

 山本 翔 男 17歳[称号]異世界人

 Level 36


 体力:3600/5200


 魔力:120/4200


 知力:2500


 筋力:3500


 俊敏:3200


 器用:3400


 耐久力:3600


 運:250


【スキル】

 《武神》常時発動。ありとあらゆる武具武術において神の領域に達する。ステータス補正、筋力、俊敏、器用、耐久力。物理的攻撃力八割上昇、物理的ダメージ八割減少。

 《武具創造》己の知識にある武具を魔力を消費して創造可能。武器、防具、道具は性能により魔力消費量は異なる。

 《異空間収納》別の空間に物を収納できる

 《魔力化》魔法を体に固定させる事で魔力体になり、属性と同じ性質に変化する

 《気配感知》常時発動

 ◆◆◆◆



 おおおお!!!



 予想外の結果に思わず目を疑ってしまう。まさか一気に20もレベルが上がるなんて思いも寄らなかったからだ。それにステータス値の上昇値も凄い。



 もっかい出てこいや!


 いや、冗談です……


 出て来ないでね……


 今の俺、魔力ほとんど無いんだから……



 しかし、一つ問題がある。この、ウル・キマイラの死体の処理についてだ。ダンジョンで倒した魔物は魔石、もしくは素材だけになると団長から聞いていたのに死体が残ってしまった。



 放置しておくのもどうかと思ったが、このままでも別に問題ないだろうと判断した。



「でも、どうしようか? このままあいつらが行った方向に進んでみようか?? 

 いや、でもな〜めんどいしなぁ〜……

 そうだ!! 旅に出よう!! 戦争とか正直参加したく無いし! いや、元々俺は参加する予定なかったし!

 それにこの世界を見て見たいからな! ちょうど良いや!! 

 ここで俺は死んだことにしよう! 

 そうだ! それが良い!!」



 そうと決まればここにはいられないな。


 でもここがどこだかわかんねえや!


 とりあえず歩くか……


 ん?


 あいつらが行った方向と反対方向にも道があるな!


 そっち行ってみるか!



 結構な距離を歩くとそこには魔法陣があった。しかもでかい。もしかしてこれは団長が言っていた帰還用の魔方陣ではないのだろうか。



「団長が言ってた帰還用の魔法陣か?? そういやダンジョンの最奥にはボスがいてそいつを倒すと魔法陣が出るんだっけ?? でもここのダンジョンは攻略済みだから最初からあったのか!? まぁなんでも良いや! とりあえず使わせてもらうか!」



 てか、ここが最下層だったんだな。



 そして、俺は魔法陣の上に乗った。その瞬間魔法陣が輝き出す。次の瞬間、俺の視界が真っ暗になった。目を開けると光が飛び込んできたので思わず手で光を遮る。



「ん……ここは?」



 どうやら転移したらしいな……



 周りを見渡してみるとそこには、ダンジョンの入り口があった。どうやら、無事に外に出る事が出来たらしい。



「団長の言った通りか」



 誰も周りにはいないし、このまま適当にどっか行くことを決める。幸いなことに大事な物は異空間に収めてるので問題は無い。



「善は急げだ!!さらば!!!」



 ◆◇◆◇


「ハァ……ハァ……!」



 あれから俺達は走り続けてる。たった一人のクラスメイトを置き去りにして。



「だ、大くん……少し休憩しようよ」


「ハァ……ハァ……そうですよ。さっきからずっと走り続けてますよ」


「大輝ここは少し休んだ方が良い」


「だけど! 今も下では山本君が一人戦ってるんだぞ!! こんなところで足を止めるわけにはいかない!!」



 そう、俺達は彼を囮にして逃げたんだ。圧倒的な敵を前にして俺達は為す術もなく逃げだした。絶望的な戦力差に逃げる以外の選択肢が残っていなかった。



「でも、仕方ないよ! あれは今の私達じゃ勝てないもの!」


「沙羅さんの言う通りですよ! それに彼が提案したことじゃ無いですか! 自分を囮にして私達を逃がすことを!!」


「だ! だけど!!」


「大輝!!! 落ち着け! 私達が取り乱してどうする!? 今は一刻も早く団長達の元に辿り着かなければいけないだろう? だが無理して走り続けても辿り着くとは限らないだろう? 団長達がどの層にいるかもわからないし、それに私達も!」


「……ごめん」


「謝る必要はない」


「大輝さん……」


「大くん……大丈夫だよ!! きっと!」


「沙羅……?」



 沙羅はいったい何を根拠に大丈夫と言っているのだろうか。沙羅には彼が生きているとわかって言っているのだろうか。俺には沙羅の考えている事が分からない。



「えっと! 多分だけど大丈夫だよ! だって山本君はあの魔物と結構戦ってたし、それになんか強そうだし! あんまり喋ったこと無いけど……」


「そうだな! 沙羅の言う通りだ! 私も山本の戦いを見ていたが奴は中々に骨がある! 根性もあるみたいだからな! きっと大丈夫だろう!」 


「沙羅……楓……」


「大輝さん、先程楓さんが仰っていたように私達は団長達の元に無事辿りつかなければいけません。だから今は身体を休めましょう」


「わかったよ留美……みんな心配かけてごめん」



 だから謝る必要なんてない、そう、みんなが言ってくれた。ああ、やっぱり俺は彼女達を失いたくないと改めて思う。



 だから俺に出来ることは最大限努力しよう!!



 その後も俺達は走り続け団長達がいるであろう上の階層に急いで向かう。途中、魔物がいたが全て魔法で蹴散らした。



「だれかああああ!!! いないかああああ!!?」



 この声は、まさか!?



 辿り着いた階層で団長と思わしき声を耳にする。希望が沸いてきた俺は皆の方に振り返る。皆も希望に満ちた顔をしているので聞き間違いではなさそうだ。



「大輝さん! 今の声!?」


「ああ! 団長だ!!」


「よし急ぐぞ! 大輝!」


「おう! みんな急ぐぞ!!」


「うん!」

「はい!」

「うむ!」



 俺達は声のする方向へと駆け出した。大急ぎで俺達は団長の元へと向かい、視線の先にクラスメイトと団長を見つける。



「だ、団長!! あ、あそこ! あそこ見て下さい!!」


「むっ!? あ、あれは!!」


「いなくなった四人ですよ!」

「生きてたんだ!」

「よ、よかった〜」

「うおおおおお!!」

「ああ……よかった……」



 みんなが騒いでるのが見える。それも当たり前か。いきなり消えたんだからな。俺だって他の人が消えたら驚くに決まってる。



「良く無事だった!! そ、それより他の2人は!??」



 団長は喜んだのも束の間で他の2人の心配をする。俺たち、四人を見渡して後方を確認しているが残りの二人は決して見つかる事はない。



「は、はい1人は今ここから5層、下で戦ってます!! 後の1人は……」


「なっ! 1人死んだのか……?」



 団長は顔を真っ青にしながら聞いて来た。俺は慌てて答える。



「い、いえ……ただ何故か居なかったんです」


「ということは別の場所に飛ばされたということか……」


「はい、そうなります」



 そうだ!


 それより早くしなければ!



「団長! それより彼が1人で戦ってるんです!」


「うむ! それはわかった! 魔物の正体が何かわかるか??」



 俺は解析した魔物の名前を言う。きっと、団長なら倒してくれるに違いないと勝手に想像しながら、その名を伝えた。



「はい! ウル・キマイラです」



 その言葉に団長に騎士の人達がざわめく。もしかして、何か不味いのだろうかと一抹の不安を覚える。



「なっ! ウル・キマイラだと!? それは本当か!?」


「は、はい! とても強力な魔物でした。俺も解析したのですがステータス値は75000で体力は12万もありました」


「おいおい!! 12万て化け物かよ」

「そんな魔物聞いたことねえぞ」

「何よそれ! 勝てっこ無いじゃ無い!」

「無理だろ……」



 クラスの皆も俺の言葉に騒がしくなる。それも当然だろう。俺達はまだレベルが低い上にウル・キマイラのステータスを聞いたら腰を抜かしてもおかしくはない。



「当たり前だ!! ウル・キマイラはレベル120の魔物だ!! それに奴は皮膚は硬く自由に空を舞うことも出来る! 我々だけでは太刀打ち出来る相手ではない!! しかし、何故だ? 本来ならウル・キマイラほどの魔物がこんなところにいる筈が無いのだ!!」



 団長は声を荒げながら俺に問うて来る。まるで、俺が幻覚でも見たのではないかと疑っているように見える。



「でも奴はいました」


「私も見ました!」


「私もです」


「ああ、私も見た」



 俺の他に三人が見たことを証言する。そうして、やっと団長も信じてくれた。団長は振り返って指示を出した。



「それが本当なら一旦引き返して、小隊を引き連れて来ないと勝てないぞ!! 冒険者ギルドの二つ名持ちにも要請をしなければ!!」


「なっ! ま、待ってください! 今彼は1人で戦ってるんです! 俺達を逃がす為に1人残って!!」


 俺は鬼気迫る勢いで団長に助けるよう促す。しかし、団長から帰ってきた言葉は淡い希望を粉々に打ち砕いた。



「すまないが諦めてくれ……」



 団長は俺に頭を下げて来た。これ以上何を言っても駄目だと悟り、落胆する。



「そんな……」



 もはやどうしようもない。どうする事も出来ない現実に打ちのめされた俺達はダンジョンを脱出する。

改訂しました


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