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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第四章

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昼休み

 教室へと入ると、いつもより騒がしかった。いつもの席に行こうとしたらキースとルネが先にいた。



「よう。有名人!」


「有名人?誰がだ??」



 いきなりキースがわけの分からないことを口走って来た。何を言ってるのやらと思い首を傾げる。



「ショウ、昨日生徒会長とお茶したって本当?」



 今度はルネが俺に話しかけて来た。昨日、生徒会長とお茶をしたと聞かれる。



 いやしてはいない。


 ああ……待てよ。


 あれはお茶をしてたと言うのか??


 うーん、なんか変な風に噂になってんのか。



「お茶をしたって言うより向こうからやって来たんだよ」


「本当!?」


「なんでそんなに驚く」


「生徒会長って今ま自分から男の人に話しかけた事が無いから」



 へえ~そんな堅物だったんだ。


 まあ、口調からして堅物ぽいっけど。



「よかったな。ショウ、これからお前は生徒会長のファンクラブに追われることになった」



 は……?


 今なんて言った?


 生徒会長のファンクラブ?



「おい、それどう言うことだ?」


「どうもこうもそのまんまの意味だ。ちなみにファンクラブはもう一年生も入っている。つまり、全学年にいることになる。その全員から狙われるってことだ」


「なん……だと!?」


「まあ、殺されないように気を付けろよ。あっそうだった。男子より女子の方が多いからな。過激派もいるみたいだから」



 キースは笑いながら俺の肩を叩いて席に座った。本人は心底楽しそうに笑っていたが俺からしたら冗談ではない話だ。



 嘘だろ……


 確かに生徒会長って美人だから結構狙ってる人がいると思ったけど……


 ファンクラブがあるなんて知りなかった。


 だから昨日あんなに騒がしかったのか……


 それに視線もいつもより厳しくなってるし。


 じゃあつまり俺はこれからそのファンクラブとやらに追われることになるのか??


 そんなの嫌だ!!


 だって、向こうから絡んで来たんだよ?


 俺なんもしてないじゃん!


 むしろ、被害者じゃん!!



「ショウ、貴族もいるからヤバイかもよ」



 ルネがさらに恐ろしい事を言う。悪い方に考えないようにしてたのに。これでは俺の学園生活が脅かされてしまう。



 くそっ!!



 いざとなったらスキル制限を解除して俺に襲って来れなくなるくらいに叩き潰すか。いや、そんなことをしたら多分俺の御主人のシエルに迷惑が掛かることになる。



 そんなことをした暁にはアニスさんとミカエルさんの二人に殺されてしまう。なんとしてでも生き延びねば。



 俺は午前中の授業はずっと考え事をしていた。どうやったらファンクラブとやらに襲われないようにするかを。どのようにして生き延びるかを。



 これは結構難題だ……



 昼休みになり購買へ行こうとしたら、朝に言っていた通り生徒会長が俺達の教室へと来た。



「やあ、待たせたね」



 待ってねえよ!!


 誰も貴方なんて待ってないから!!



「いえ、そんなに待ってませんよ。シュタイン先輩は食堂と購買どちらに行かれるんですか?」



 シエルが俺の代わりに答える。出来る事ならば食事の誘いを断って欲しいのだが、きっと無理だろう。



「ファラでいいよ。私もシエルと呼ぶから。それと私は君達と同じでいい」


「わかりました。なら、一緒に購買に行きましょうか。ファラ先輩」


「ああ」



 生徒会長とシエルとミカエルは購買へと向かう。いつものメンバーに加わって来たのでキースが問いかけてくる。



「なんで生徒会長が?」


「キース、これには深い訳があるんだ」


「深い訳ってなんだよ?」


「朝一緒に登校したら昼休みに来るって」


「マジかよ!! お前死ぬんじゃねえの?」


「ショウ、私はまだ死にたくない」


「俺だって死にたくねえよ!」



 俺とキースとルネはシエル達の後ろを歩く。購買へと着くとやはりそこは戦場のように人がごった返しになっていた。



 あの中に行くのは嫌だな……



「ショウ、よろしくな」


「私も」



 キースは俺に金を渡すとテラスの方へと歩いて行った。ルネもキース同様に俺に金を渡すとテラスの方へと歩いて行った。あの二人に友情はないのだろうか。



「すいません。ショウさんお願いします」


「私の分も頼む」



 シエルと生徒会長も俺に金を託すとキース達がとっていたテーブルの所へと歩いて行った。最早、誰一人として味方はいない。全てを悟った俺は諦める。



 ……やはり俺の役目なのか。



 やむ負えず突撃した。殴られ蹴られ押され吹き飛ばされ踏み潰され放り投げられる。バーゲンセールのおばさん達よりも酷い気がする。



 おかしい……以前より酷くなってる。



 俺は首輪のスキル制限を解除して再度突撃した。同じように殴られそうになるが躱して購買に辿り着いた。おばちゃんにパンと飲み物を貰い料金を払って逃げ出す。



「ハア……ハア……!」


「よっ、お疲れ!」



 キースが気楽に言って来るのが腹立つ。テーブルに買ってきたパンや飲み物を置くと俺はイスに座った。



「私はこれ」


「じゃあ私は~」


「シエル様にはこれを」


「ありがとう、ミカエル」


「いえいえ」



 買ってきたのは俺だからな。



「ふむ、私はこれだ」



 みんなは各々のパンと飲み物を取り食べ始めて行く。俺も釣られるようにしてパンを食べ飲み物を飲む。食べている途中で生徒会長が喋り始める。

改訂済み

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