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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第四章

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四つ目の貴族

「あーダメだ。全然わかんねぇ~!」



 とは言うもののわかったことはある。まずは名前だ。四つ目の貴族、アスターク家。三百年前までは三大貴族ではなく四大貴族として栄えていたそうだ。



 まあ、地位の高さを利用して悪行ばかり行っていたから他の三大貴族により潰されたらしい。その時の当主の名前はヘーベル・アスターク。



 このアルツェイルの歴史上最も最悪の犯罪者として名を残したそうだ。だか、それだけでそれ以外の情報は全くと言ってない。



 なんだよ!


 ちくしょう!!


 どうすりゃ良いんだよ!!


 四つ目の貴族がシエルを狙ってるってどう言うことだよ!!


 あの生徒会長のが言ってる事って本当に正しいのか!?


 くそっ!!



「何悩んでんだ?」


「いや、あの生徒会長が言ってたことなんだけどよ」


「だから、俺は言ったはずだ! あんな女が言ったことを信じんのかって!」


「う……」


「はあ……俺、知ーらね」


「あっ、おい! どこ行くんだよ?」


「風呂だ」


「待てよ! 俺も行く」



 クロと一緒に風呂へと向かう。猫の癖に風呂に入るとはどういうことなのか。気にしても仕方が無いか。



 結局、俺は風呂に入った後は物置に戻り寝入った。



「いでえええええ!!!」



 翌朝、目が覚めたらフォークが尻に刺さった。正確に言えば刺されただ。こんな起こし方をするのはあの人だけだ。



「アニスさん!! せめて一本にして下さいよ! 五本とかいくらなんでも痛過ぎますよ!」


「良いじゃないですか。懐かしくて嬉しいでしょう?」


「そりゃ確かに最近は起こされる前に起きてますからね! でも、だからってこれはないでしょう!」


「まあ、良いじゃないですか。それより朝食が出来てますので早くして下さい」



 はあ~この人は……全く。



 俺は着替えると食堂へ向かう。食堂にはジェーンさんとセイジさんにシエル、それとミカエルさんが待っていた。



 ミカエルさんがめちゃくちゃ睨んで来る。俺が遅れて来たことがそんなにいけなかったのかな。睨まれつつも俺はイスに座り朝食を食べ始める。



「あの、ショウさん。アンナ先生から話しを聞きました」


「話って?」


「ショウさんが今回のダンジョン探索に監督員として参加することです」


「ああ、そうか。その、すいません」


「いえ、ショウさんが謝ることじゃないですよ。アンナ先生の言い分は正しいんですから」


「はあ……でも、監督員として守りますから!」


「はい、ありがとうございます!」



 俺の言葉にシエルは微笑む。ミカエルさんがそれを見て怒ったのか分からないが口を開くと俺を罵倒してくる。



「こんな者にはシエル様を守れませんよ。私がシエル様をお守りします」


「そうですね。ミカエルの言う通りですよ」



 なんでこの二人は俺を潰しにかかってくるの?



 そのあともボロクソに言われた。泣けてくるわ。そんな事を思いながら朝食を食べ終える。朝食を食べ終えた俺とシエルは学園へと向かう。



 通学中にとんでもない人と出くわした。とんでもない人とはうちの学園の生徒会長ことファラ・シュタインだ。



 なんで、この人が?



「やぁ、おはよう」


「えっ、この声は生徒会長のファラ・シュタイン先輩ですか!?」


「うん、そうだよ。初めまして、シエル・クラインくん。それとショウくん」


「おはようございます」



 ぶっきらぼうな感じで挨拶を返す。この人はいまいち信用できそうに無い。



「えっと、あのショウさんはシュタイン先輩とは知り合いだったんですか?」


「ええ、まあ、そうですけど昨日たまたま知り合いになっただけです」


「そうなんですか」



 俺がシエルに話しているとミカエルが閉じていた口を開いて話に入ってくる。



「まさか、昨日教室にいなかったのはその生徒会長と話していたからですか?」


「ああ、そうだけど」


「クズですね。自分の御主人を放っておいて他の女と話すなんてクズ以外何もありませんね」



 なんでそこまで言われなきゃならんのだ。



「別に俺は」


「そうやってすぐに言い訳ですか? 情けない」


「ぐっ……!」



 マジでこの天使の羽根毟ってやろうか!!



 俺とシエルとミカエルさんとファラ会長での四人で学園へと向かう。



 道中いろんな人が見てきた。珍しい光景だったんだろう。男子が結構殺気を向けて来たが俺の首輪を見て途端に憐れみの目をして来た。



 どうやら俺はどこへ行っても憐れみの目を向けられるのだろう。確かに俺は彼女達に比べたら月とスッポンだ。いや、スッポンに失礼だな。



 ミジンコあたりが妥当かな……


 うっ……そう考えると泣けてくる。



 思い返せば、俺って出会う女性はみんな美人だけど美人過ぎて俺が憐れみの目をされるんだよ。



 オルランドでもリズ達といたら、最初は嫉妬や羨望の眼差しだったけど俺が荷物持ちしてたらいつも憐れみの目を向ける。



 なんか本当に俺って悲しいな……



 そんな事を考えていたらいつの間にか学園に着いていた。



「じゃあ、私は二年の教室に行くからここでお別れだ。お別れと言っても昼休みに君達のクラスを訪ねるからね」



 生徒会長はそう言って手を振り階段を上がって行った。正直来ないで欲しいが言えるわけも無いので黙っておく。



「じゃあ私達も行きましょうか」



 俺とシエルとミカエルさんは教室へと向かう。

改訂済み

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