お話
「えっと、結局相席しても良いのかな?」
「ダメだ!!」
「だから、なんでお前が断ってんだよ!」
「だって、どう考えても空いてる席はあるのになんで俺達の所に来るのかがわかんねえんだよ!」
そう言われてみれば確かにそうだ。ここ以外にも空いてる席はチラホラとある。それなのに、どうして生徒会長さんはわざわざここを選んだのか気になる。
「理由を聞いても良いですか?」
「唐突だね。まあ、理由なんてものは簡単だよ。君と話がしたかったんだ」
お、俺と!?
つまり、この生徒会長は俺に気があるのか!?
ふ、フラグはいつ建てたんです!?
「勘違いすんなよ。ボケ助」
クロの一言で我に帰る俺。冷静に考えれば、今まで接点がなかったんだからフラグなんて建ちようが無いことは分かりきっていることだ。
「それで話ってなんですか?」
「立ったままなのは辛いから座っても良いかな?」
「ああ、どうぞ」
生徒会長は席に座ると俺の方を向いて来て口を開いた。
「話と言うのは、君も知っての通り三日後にダンジョン探索があるだろう?」
「ええ、はい」
「そこで、君のご主人様、シエル・クラインのパーティに取り入って欲しいんだ」
「目的は?」
「何も無いが?」
「確かに上級生を入れるのが俺達の一年生のルールです。しかし、俺と、いや、何故シエル様のパーティに入りたいんだ」
少し言葉に力を入れる。威圧感を出して生徒会長を試すように喋る。この程度の威嚇で怖気つくならお断りだ。
「……君は三大貴族と言うものを知っているか?」
「まあ、一応は」
「じゃあ、四つ目の貴族は知らないだろ?」
「四つ目? 三大貴族以外にもまだいるんですか?」
「そうだ。四つ目の貴族は……闇に葬られた貴族だ」
なんだその中二くさい貴族は……
「それがどうしたんですか?」
「実はその四つ目の貴族がシエル・クラインを狙っていると言う情報が入ったんだよ」
「なっ!」
「大声は控えてくれ。まあ、まだ確証は無いが」
「それを防ぐ為に生徒会長がシエル様のパーティに入ると?」
「そうだ。私一人で防げるかは分からないが……だが、ギルドから監督員としてA級冒険者が来ることになっているから心配は無いと思うんだが、一応ね」
成る程、そんな理由があったのか…
アンナ先生は知ってたのかな?
いや、それは無いだろうな。アンナ先生はそんな事を言ってもなかったし、俺の実力がズバ抜けてたから別の形で参加させたんだろう。それより気になるのが四つ目の貴族だ。
うーむ、ややこしい事になって来たな。
「それじゃあ、良い返事を待ってるよ」
生徒会長は俺にウインクするとイスから立ち上がりテラスから出て行った。
……可愛かった。
「何惚けてるんだよ!」
「イテッ!」
「お嬢さんの所に行かなくて良いのかよ」
「やべっ!」
慌ててテラスから走り出してシエルがいる所へ向かう。教室に着くと同時に顔面に風球を食らった。
「がっ!!」
勢い良く後ろへと吹き飛んだ。多分、ミカエルの仕業だろうなと思い立ち上がり、再び教室へつ入ると雷槍が飛んで来たが魔力を手に込めて叩き落とした。
「チッ!」
「そう何度も喰らうか」
「ショウさん! どこに行ってたんですか?」
「少し暇つぶしにテラス方に」
「そうだったんですか。てっきり先に帰ったと思っちゃいましたよ」
「すみません……」
「謝るくらいなら最初からしなければ良いのでは? シエル様、これからはこの者に鎖を付けた方がよろしいのでは?」
「流石にそれは……」
「甘いですよ、シエル様! 鎖を付けて躾けるくらい全然なんともありませんよ!」
「あうぅ……」
「帰ったら鎖を付けましょう」
「や、やっぱりダメですよ~」
やっぱり、この天使は皮被った悪魔じゃねえのか?
結局シエルがなんとかミカエルの怒りを鎮めた。俺はなんとか鎖で繋がれる事を免れる。
屋敷へと帰り夕食を食べた後はすぐに書斎へと向かった。あそこなら四つ目の貴族の事が書いてある書物が見つかるかもしれない。
ジェーンさんかセイジさんにでも聞けば良いのだろうが下手に聞いて疑われると厄介なので自分で調べることにした。
前は掃除の時に来て歴史の本を読んだな。まあ、ものすごいフラグ的なものだったが。さて、目当ての本はと探す。
「ニャア」
「うおっ!!」
「何してんだよ?」
「てめえこそ、いきなり出てくんなよ! びっくりしただろ!!」
クロはいきなり現れた。いや、暗い所から現れたから目がキラリと光って怖かった。
「で? 何してんだ」
「ああ、四つ目の貴族ってのを調べてんだ」
「今日あの女が言ってたやつか。お前信じてんの?」
「嘘着いてるようには見えなかったんだよ」
「だからって急にあんなことを言う女なんかロクなのいねえぞ」
「良いんだよ別に!」
「そうかい。なら好きにしな」
言われずとも好きにするわ。
目当ての本を探す。色々と探してようやく見つけた。この国の歴史に着いての本だ。この本になら四つ目の貴族のことが書いてあるはずだ。
改訂済み




