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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第一章

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チート炸裂!そして決着

 うおおおおおおおお!!!!



 口には出さないが心の中では雄叫びを上げている。そんな俺は、我武者羅に戦い続ける。生き残る為、出し惜しみなどせずに必死に剣を振り続けた。



 ウル・キマイラの爪を弾き飛ばし、迫り来る牙を避けながら斬りつける。しかし、多少の傷は気にしないウル・キマイラは俺を嘲笑うかのように吼える。



「ゴアアアアアアアアアアアア!!!」



 くそっ!やっぱりステータスの差がありすぎる!!



 咆哮で耳がやられないように距離を取りつつ、心の中で悪態を吐く。



 押されてるな……



 離れていたらウル・キマイラが尻尾を伸ばしてきた。慌てて横に転がるようにして回避する。決して取り乱した声は出さない。



 おわあっ!!


 危ねえ!


 尻尾でも攻撃してくんのかよ!


 くそっ!


 リーチも体格もパワーもスピードも全部向こうが上!



「グルアアアアアア!!!」



 相変わらず巨体のくせに物凄い速さで動き、俺に向かって爪を振り下ろしてくる。避けれないと判断した俺は剣を使って防ぐ。



 ぐぅぅうう!!


 やべえ!


 なんて力だよ!


 ぐっ、衝撃が剣を伝わって来やがる!


 腕が足が痺れる……!



 《武神》の補正のおかげでなんとか保ってるがこれはかなりやばい状況だ。このままだと爪で引き裂かれてお終いなんてこともあり得る。それだけはなんとしてでも回避せねばならないと言葉に出す。



「なんとか隙をつくんねえと!」



 ッッ!!


 やべえ!尻尾か!!


 くそっ!


 ぐっ!


 うおっ!!!



 爪を受け止めていたら尻尾で攻撃してくる。なんとか身体を、捻って躱すことができた。ただ次も上手くいくとは限らないので、この状況をどうにかしないといけない。



 間一髪だったぜ!


 なんとか奴の動きを止めないと!



「はあああああああっ!!!」



 ビュッと空気を切り裂く音が聞こえた。その音は会長が弓矢を放った音だった。俺にばかり集中していたウル・キマイラは他の四人の存在を忘れていた為に矢を避ける事は出来なかった。



 ズブッっと何かに突き刺さる音が聞こえる。そして、次の瞬間、ウル・キマイラがたまらず咆哮を上げる。



「ギガアアアアアアアアアアア!!」



 ウル・キマイラから離れた俺はどこに矢が刺さったのかを確認すると、目に矢が刺さっているのを見つける。流石のウル・キマイラでも目は頑丈じゃなかったらしい。



 目に命中してる!


 ナイスだぜ!


 会長さんよ!



「今だ!!」



 桐谷の掛け声で俺は全力で地面を蹴りつけて跳躍する。剣を構えてまっすぐにウル・キマイラの顔面に飛び掛る。そして、俺は今出せる最大限の力でもう片方の目を突き刺した。



 おおおおおおおおおおおお!!!!


 もう片方の目も貰うぜえええ!!!



 ズブリと肉に突き刺さる感触が伝わってくる。俺が剣から手を離して着地すると、ウル・キマイラがもう一度痛みによる叫びを発した。



「グギャガアアアアアアア!!!!!」



 よし!


 これで両目とも潰した!!



 両目を潰したから、こちらに大分有利になったと確信する。そしてもう一つ。今が逃げ出せる絶好の機会だと判断して四人に向かって合図を出した。



「今のウチっす! 逃げて下さい! 俺が時間稼ぎしますから!」


「わかった! みんな逃げるぞ!!」


「うん!」

「はい!」

「うむ!」



 俺の言葉に素直な返事をした四人が一斉に出口へ向かって駆け出した。四人が出口から出て行き見なくなるのを見届けて内心喜ぶ。



 これでようやくあいつらが消えた……


 さてと……!


 こっからは俺の独壇場だ!!



「ガオアアアアアアアアアア!!」


「おお! キレてるキレてる」



 両目を潰された事に怒り狂っているウル・キマイラは空に向かって吼える。俺はそれを見ておどけた態度を見せた。



 天高く吼えたウル・キマイラが駆けて来る。両目が使えない状態なのに全く怯んでいない。衰えた様子もないので少々焦る。



「うおっ!!危ねっ!」



 奴は目が見えないから所構わず攻撃してくる。その内のいくつかは俺を捉えており、驚きはしたが避けれない事はない。



 くそっ!


 目を潰したのは失敗だったか!?



「ギオオオオオオオオオオ!!」



 部屋の中を縦横無尽に動き回り、無闇矢鱈と爪や尻尾を振り回している。その為、なかなか近付く事が出来ない。



 なっ!


 尻尾を振り回すな!


 くっ!


 迂闊に近づけない!


 どうする!?


 はっ!?



 暴れ回るウル・キマイラに手をこまねいていたら、俺目掛けて突進してきた。しかも、正確な位置を把握していたかのように。



「うわっ!!」



 な!


 あいつ突進して来やがった!?


 見えてるのか??


 いや、見えてはいない…


 ならなんで!?


 そうか!


 匂いか!



「くそっ! 俺の居場所が分かるのかよ!」


「ゴガアアアアアアアアアアアア!!」



 どうやら、匂いで俺の立っている場所を嗅ぎ分けているようだ。それに加えて奴の方が速いせいで攻撃を躱すのが精一杯である。



 これじゃいつかこっちがやられてしまう!


 ちくしょう!


 あの技を使おうにもこう暴れられると難しいぜ!!



「なっ!? 上に飛んだ? まさか!!」



 予想通り火を吐いた。上からだからこのフロア全体に火が広がる。やばい、このままでは丸こげだと理解した。



 逃げ場は無いってか!?



「だが、俺にはこれがる! イージスフィールド!!」



 周囲にバリアのようなものが張り巡らされると迫り来る火を跳ね返した。



 へっ!


 これは漫画の道具で能力は絶対防御圏だ!!



「今度はこっちの番だな!!」


「ガアアアアアアア!」


 火を防ぎ切った俺は意気揚々と反撃に移ろうとしたら、ウル・キマイラが羽を広げ羽ばたかせると竜巻が生まれた。



 なっ!?


 ぐっううううう!!



 火の次は竜巻とバリエーション豊かなウル・キマイラに文句でも言いたくなる。



「だあああああああ!!!」



 なんとか竜巻を防ぎ切った……


 だけどやばいな……



 予想以上にに魔力を消費してしまった。このままだと魔力が尽きてしまう。早々に決着を付けないと先にこちらが魔力切れでダウンしてしまう。そうなれば一巻の終わりだ。



「へへっ……決着付けようぜ!」


「グルアアアアアア!!!」



 俺の言葉に反応するようにウル・キマイラも咆哮をかえしてきた。俺の言葉を理解できるだけの知性があるのか、単に次で俺を殺そうと吼えたのかはわからないが、どちらにしても俺は次が最後の一撃なのは間違いない。



「俺のとっておきだ!! 来い、グングニール!!」



 この槍は神話に出て来る主神オーディンが持つ槍だ。この槍は必ず敵を射抜くことが出来る。しかも外すことなくだ。そして、敵を貫いた後は自動的に持ち主の手元に戻って来る。まさにチート武器だ。



「ゴオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアア」



 奴も俺がグングニールを出した途端、今まで以上の咆哮をした。目が見えないくせに俺がグングニールを取り出したことに気付いたのだろうか。もしくは野生の勘で危険だと感じたのだろうか。



 まぁいい!


 お互いに本気ってわけだ!



「貫け!! グングニィィルゥゥ!!!」



 俺は雄叫びと共にグングニールを投げた。《武神》のおかげで俺の投擲は神業といっても良いくらいだ。俺の投げたグングニールがウル・キマイラに直撃する。



「ガッガアアアアアアア!」


「貫いた!!」



 俺の投げたグングニールは見事にウル・キマイラを貫き通した。空中で絶命したウル・キマイラがゆっくりと落ちてくる。しかも、俺の頭上にだ。



 んんん?


 やばくね??


 俺ペチャンコになっちゃうよね?


 これ!!!



「うわあああああああああ!!!」



 ウル・キマイラの巨体が落ちてきて部屋全体が落下の衝撃に揺れる。落下の衝撃に巻き込まれた俺はゴロゴロと転がる。



「ゲホッ……ケホッ……イテテ、かっこ良く決まったのにこれかよ……」



 念の為、ウル・キマイラの死体に近付き死んでいることを確認する。これで生きていたら、こっちが殺されてしまう。



 ウル・キマイラは完全に死んでいる……!


 あれ?


 おかしいな??


 ダンジョンには魔物の死体は残らない筈なのに?なんでだ??


 まぁなんにせよ、武器の性能のおかげで大勝利だなぁ!!


 でも……よかった。



 昔、中二病で神話を調べてたおかげで武器を再現出来て大勝利が出来たのだ。あの頃の俺グッジョブと褒めてやりたい。


改訂しました。

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