学園2日目
気持ち良く寝ていたら、ブスブスッとフォークが俺に刺さる。
「ぐがああああああ!!!」
寝ていた所に刺されたので飛び起きる。文字通り布団から跳ね上がって宙を舞う。
「おお!! 豚が飛びましたよ」
ふざけるな!!
もう我慢の限界だ!!
「だから、フォークで刺すなって言ってるでしょうが!」
「貴方が朝食の時間になっても起きてこないからですよ」
えっ、もう朝食の時間?
外を見てみると完全に日が昇っていた。どうやら、寝過ごしたらしい。
「早く着替えて食堂に来なさい。今日も学校なんですから」
やばたん!!
俺はすぐに制服へと着替える。アニスさんは先に食堂へと行っていた。俺も追いかけるように食堂へと向かう。
食堂にはシエルとジェーンさんが待っていた。セイジさんは今日もいないみたいだ。
俺は二人に挨拶して朝食を食べる。時間が結構押してるので急いで学園へと向かう。ちなみにシエルは俺がおんぶしている。車椅子を走りながら押すのは危ないので車椅子は異空間にしまってシエルをおんぶした。
慎ましいですが、確かに背中には胸の感触があります。やばいな。将来が非常に楽しみで仕方が無い。
これもこれで最高です!!
うひょおおお!!!
さらにスピードを上げる俺。学園に辿り着くと他の学生も来ていたので、すぐに車椅子を取り出してシエルを乗せる。
そして、8クラスの教室へと向かう。教室に入るとキースが寄って来た。
「よお」
「おはようございます。ベガさん」
「キースでいいさ。俺もシエルって呼ぶから」
「わかりました。キースさん」
「おう!」
俺は空気ですね。わかります。
てか、女子生徒が睨んで来てるんですけど?
勿論俺では無く視線の先にはシエル。どうやら、キースと話しているのが気に食わないらしい。自分が声をかけられないからって妬むのはいけない。
死ねイケメンが!!
てめぇのせいで無用な争いが起こるんだぞ!!
死んで償えや!!
すいません。俺も妬んでます……!
俺とシエルは昨日と同じ席に着くとキースが着いて来た。
「お前の席は向こうだろ?」
「奴隷が何を偉そうに話しかけてんだ? 死にたいのか?」
俺はキースにそう言うとキースが呆れた顔で言ってきた。どうやら、こいつは死にたいらしい。
いいだろう、戦争だ!!
ぶちのめしてやろうか?
俺が立ち上がるとキースも立ち上がり俺に殺気を放って来た。
ふん!
この程度の殺気なんて、今までに比べたらカスだな。
俺も殺気を放とうとしたらシエルに止められる。
「ショウさん。争ってはダメですよ。これは主としての命令です」
ぐっ……
仕方なく俺は席に座る。それを見たキースが調子に乗ったみたいで俺を挑発してくる。
「はっ! やはり奴隷だな。ご主人様にはちゃんと従えよ!」
このクソ野郎が……!
「キースさんもショウさんを挑発しないで下さい」
「わかったよ。シエルがそう言うなら、そうするよ」
こいつシエルに気があるのか?
座って待っているとアンナ先生が入ってきた。アンナ先生が入って来て号令をして朝の連絡が始まる。
今日から通常授業に入るとの事だ。たった二日で通常授業とは早いなと思いながらも話しを聞く。
アンナ先生は一通り報告すると教室から出て行く。鐘が鳴ると眼鏡をかけた初老のおっさんが入ってくる。
「それでは授業を始める」
授業が行われる。どうやら数学のようだが俺のいた世界よりも進んで無いみたいだ。この辺りはテンプレというところだ。
俺は興味無く授業を聞いた。シエルはと言うと話しをちゃんと聞いている。授業の内容を聞いてノートに書いている。目が見えているかのようにスラスラと書いている。
おお、凄い!!
教科書での問題なんかは俺が読み上げている。流石に文字が読めないから。
授業はこんな感じで終わった。
次の授業は戦闘訓練らしいので訓練場に移動する。シエルは戦闘訓練には参加せず魔法の訓練を受けるためアンナ先生の所に連れて行った。
俺は一人訓練場に向かう。
訓練場には俺以外の生徒が集まっていた。最後に来た俺を教師が確認してから説明に入る。
「これで全員集まったな。よーし、これからお前らの実力を測る為に試合を行う。魔法もありだ。武器は向こうにある倉庫にあるから自分にあった物を選べよ。対戦相手は私が決める。武器をとってきてここに集合だ!」
「はい!」
全員が返事をすると武器のある倉庫に歩いていく。
色々な武器があるみたいで皆悩んでいる。俺は最初から決まっているのでそれを手に取る。
その武器は槍だ。俺は槍を持ち先程の場所へと戻る。
「早いな。決まってたのか?」
「ええ、まあ」
俺は適当に返事をするとその場で他の生徒達が戻って来るのを待つ。
ぞろぞろと武器を持って生徒たちが帰って来る。主に剣が多いみたいで槍は俺を含めても四、五人しかいなかった。
ちなみに一クラス五十人だ。十二クラスいるから新入生は六百人はいる。多いのか少ないのかは分からない。
「よし全員決まったな。これから順番に試合を行う。呼ばれた者は残って他の者は試合の邪魔にならないように二階に行って試合を観戦だ」
「はい!」
全員が返事をして先生に呼ばれた者だけが残る。俺は呼ばれなかったので二階の観戦出来る席に座る。
俺の横にキースが座って来る。なんで来るのか分からないがとりあえず無視しておくと、話しかけてきた。
「お前と当たったら叩き潰してやるよ」
「そうか。お手柔らかにな」
「思ったんだけどよ、なんでお前は奴隷なのにそんな態度なんだ? お前は俺を知らないのか?」
「貴族で新入生代表しか知らない」
「お前……どこの出身だ? 少なくともこの国、アルツェイルじゃ無いだろ?」
「どこって言われてもな……オルランドだけど?」
「オルランドだと……あの黒髪の英雄がいる所か……お前も黒髪だな?」
「英雄なら奴隷になんてならないさ」
「それもそうか」
キースは笑っている。キースと話している内に試合はどんどん終わって行く。もう十試合は終わった。
そろそろ呼ばれるかなと思った時に俺の名前が呼ばれる。対戦相手は名前からして女子生徒のようだ。
「次、ショウとルネ!」
可愛い子だったら負けよ。
「チッ! 俺じゃ無いのかよ」
キースが舌打ちをして愚痴を言っているが無視して訓練場に歩いていく。
俺が訓練場に着くともうルネと呼ばれた女子生徒は待っていた。
「それでは、試合を始める。両者準備は良いな?」
「はい」
俺とルネは同時に頷き返事をする。
「それでは試合開始!!」
改訂済み




