いよいよ学園へ
「ぐおおおおおお!!!」
寝ていたらフォークで刺された。痛みにより飛び起きる。誰に刺されたか確認しようとしたら再びフォークが飛んでくる。
「おうっ!」
顔面に当たる寸前の所で躱す。横の壁の方にフォークが刺さる。
この技はアニスさんか!!
「チッ……!」
確実に殺す気で来ていた。しかも、舌打ちしてるので本気の度合いが窺える。
「なんなんすか、一体!?」
「貴方が朝になっても起きてこないから、こうやって起こしに来てあげたんですよ」
「だからってもう少し優しく起こして下さいよ!」
「これ以上どう優しく起こせば良いんですか?」
「貴方の優しさはフォークですか!!」
「いいえ、ナイフですよ?」
「もういいわ!!」
「それはそうと今日入学式ですよ。これが貴方の制服です。早く着替えなさい」
「わかりましたから、ナイフをしまって下さい!!」
俺は制服を受け取ると早速着替える。着替えるのだがアニスさんが出て行こうとしない。流石に見られながら着替えるのは恥ずかしい。
「あの、なんでまだいるんすか?」
「待ってるんですよ」
「いや、恥ずかしいじゃないすか!!」
「乙女じゃ無いんだから恥ずかしがる必要無いでしょう」
「それはそうですけど、なんでジロジロ見るんすか!?」
仕方ないか……
観念して着替える。途中アニスさんはジロジロ見てくるが、もうそんなの関係なく手早く着替えた。
今回、俺が通う学園の制服は赤を基調としたブレザーだ。中々にかっこいいデザインだ。
「馬子にも衣装ですね」
どういう意味じゃゴラアッ!!!
やはり顔なのかな……
イケメンでは無いにしろ、フツメンだと信じたい。
いやでも、結構ブサイクって言われてるな……
やっぱりブサイクなのかな……
信じたく無いけど信じなきゃいけないのか……
やっぱり信じたくねえよおおおおお!!
「ぐはぁっ!」
「何を頭を抱えているんですか。着替えたなら早く食堂に行きますよ」
だからってフォークで刺さなくても……
着替え終わった俺はアニスさんに連れられて食堂へと向かう。食堂にはまだセイジさんとジェーンさんしかいない。シエルはまだ来てないみたいだ。俺が席に着くとセイジさんに話しかけらる。
「おはよう。昨日はよく眠れたみたいだね。君が寝坊するなんて」
「ハハッ。いやまあ……」
苦笑いで答える。言える訳がない。魔法具を創るのに夢中になっていたなんて。
いや、待てよ?
アニスさんが知ってるからいいのか?
まあ気にしなくて良いか。
しばらく、シエルを待っているとアニスさんがシエルを連れてきた。
あれ?
アニスさんはいつの間にシエルを迎えに行ってたんだ?
シエルを見て見るとシエルも赤を基調とした制服を着ていた。
「おはようございます。お待たせしてしまってすみません」
シエルが頭を下げて謝ってくる。別にそこまで待ってないから特に問題は無い。シエルが席に着いてから、朝食を食べる。そしたら、セイジさんが話しかけて来た。
「今日から学園だけど二人とも大丈夫かい?」
「はい」
俺は返事だけしておく。まあ、別にそこまで大したことは無いだろう。不安があるとすれば、奴隷だからとい理由で目をつけられないかだ。
「私は少し不安です。私みたいなのが上手くやって行けるかどうか……」
どうやらシエルは不安らしい。無理もない。目も見えない上に足まで不自由なんだから。
でも、多分大丈夫なんじゃね?
容姿は抜群ですから。
「大丈夫だよ。彼が居るじゃ無いか」
セイジさんは俺を指差す。
「でも……」
それでも不安な様子のシエルにジェーンさんが話しかける。
「大丈夫よ。彼のレベルは520よ。それにこの屋敷に来たショウをよく見てたけど素直で良い奴隷じゃない。きっと貴方を守ってくれるわ」
俺の行動見られてたのか!?
「……そうですね。わかりました。私がんばってみます! それと、ショウさん、これからよろしくお願いしますね!」
おおう……
張り切っているシエルに少し圧倒される。これでも一応奴隷なのでシエルの言葉に答える。
「任せてください!」
朝食を済ませた俺達は学園に向かう為、外へ出る。学園までの道は教えて貰ってあるから大丈夫だ。俺はシエルを押して歩く。
後ろを振り返るとアニスさんとジェーンさんとセイジさんが見守っている。
ふむ、これは責任重大ですな。
「ショウさん、楽しみですね!」
ワクワクしているのが伝わってくる。どうやら不安は無くなったらしい。
まあ、俺も楽しみますかね!!
オルランドでは良い思い出が無かったからな!!
「そうですね!」
俺とシエルは学園へと向かった。
改訂済み




