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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第一章

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一方そのころ……

「……ハァ……ハァ……」



 僕は今、限界を超えて走り続けている。立ち止まれば命がないからだ。後ろから迫る死に怯えながら走り続ける。



 どうして、こうなったんだ……!



 ◆◇◆◇



「あ、あれ? ここは?」



 いきなり足元が光ったと思ったら別の場所にいた。今まで見た事のない景色に混乱しながらも状況を整理していく。



「誰もいない…」



 確か僕以外にも足元が光っていた人達がいたはずなのに、誰もいない。もしかしたら、全員別々の場所に転移させられた可能性がある。



 いつも女の子といる桐谷大輝のグループ。


 それと、何と無くだけど僕と似たような感じの山本君。


 あまり他人と、喋ってる姿は見たことないけど。



「そんなことより今魔物に襲われたら大変だ。」



 今は他の事を考えてる場合ではない。僕だけだと魔物に襲われたら間違いなく死ぬだろう。何せ、スキルも無ければステータスも最弱なのだから。



「ハハッ、情けないな……」



 とりあえずこの辺りを調べてみよう。


 何かあるかもしれないし、でも魔物が出て来たらどうしよう?



「……まずはここがどこだか把握しないと」



 僕の予測だけどここはきっとダンジョンの中だと思う。ただ見覚えがない景色だから、多分20層よりも下の層だという事はわかる。



「確実に魔物と出くわしたら終わりだ」



 最悪のビジョンが脳裏をよぎる。自分に言い聞かせるように頭を振り、最悪の予想を振り払う。



 やめよう……


 変なことは考えないようにしとこ。



 しばらく、ダンジョンの中を歩き回る。周囲を見回すが壁ばかりで階段は見つからない。



 それにしても結構歩いたな。


 今の所魔物とは会ってないのが助かるけど。



「上に行く階段はどこなんだ??」



 僕が呟くいたその時、物音がした。背筋を震わせて後ろを振り返る。恐怖に震えながら道の先を見詰める。



「い、今物音がした気が!?」



 もしかして魔物か!!??


 だとしたらやばい!!



「逃げないと!」



 そう言って僕は今いる場所から走り出した。すると、何かが聞こえる。背後からこちらに向かって来ているようで物音が大きくなる。



「ギギィィ!」



 鳴き声のようなものが聞こえた。全身から血の気が引いていくのが分かる。きっと、今の僕は顔を真っ青に染めながら走っているのだろう。



 やばい、やばい、やばい!!!



「ハァハァ!」



 息を切らしながらも必死で逃げ惑う。僕は後ろを振り向く余裕さえないまま走り続ける。やがて、魔物の足音が近付いて来る。



 このままだと殺される!



 そう確信した僕は人生で一番の走りを見せる事になる。頭の中は死にたくないという思いで一杯だった。



 嫌だ嫌だ嫌だ!!!



「ハァ……まだ……まだ……死にたくない!」



 とにかく逃げる。


 逃げなきゃ殺される。


 きっと!!



 一体どれだけ走り続けてるのかもわからなくってきた。もう、呼吸もまともに出来ない。今はただ死にたくない気持ちひとつで走ってる。



 だが、そんな悪夢の逃走劇も終わりを迎える。逃げた場所は行き止まりだった。辿り着いた先が四方を壁に囲まれていたのだ。



「嘘…だ」



 最早、絶望以外の言葉が見つからない。気力さえ使い果たした僕はその場に崩れ落ち四つん這いになる。



「ハァ……ハァ……」



 ここが僕の死に場所か……


 なんだか笑えてくるよ……


 怖いはずなのになんでだろう。



 振り返って見るとそこには、巨大なサソリの形をした魔物がいた。しかも、一匹じゃない。何十匹といた。もはや絶望だ。どう足掻いても勝てる数じゃない。



 そもそも僕には戦えるだけの力がない……



「ここで、死ぬのか…」


「ギシャァッ!!」



 僕はサソリ型の魔物に倒され、そして噛み付かれた。



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛!゛!゛」



 痛い痛い痛い!!!



 今までに味わったことのない痛みが僕を襲う。今まで虐めらていたから多少の痛みには慣れていたがもはやこれはそんなレベルではない。



 グチュ…グチュ…バリッ…ボリッ…


 腸を貪られる…腕を食い千切られる……


 足を喰われる……



 もうほとんど意識などなく、そのおかげで僕は痛みを感じなかった。逆に不思議と落ち着いていた。



 何故僕がこんな目に合わなければいけない!


 何故僕はこのような仕打ちを受ける!!


 何故僕は死ななきゃいけない!!!


 何故僕は……



 グルグルと頭の中を何故という単語が飛び回る。そのうち、どんどん負の感情が高まっていくのを感じる。



 どうして!


 僕だけがこんな酷い目に会う!!


 理不尽だ!!


 前の世界でも理不尽な理由で虐められた!!


 世界は残酷だ!!


 力が無いだけでこんな風になる!!!


 こうなったのは誰のせいだ!?


 奴らだ!!!


 クラスの連中だ!!


 奴らのせいで僕は!!


 死ぬはめになったんだ!!!


 僕に力があれば!!!


 復讐だ!!


 復讐してやる!


 僕を!!


 いや!


 俺を虐めていた連中に!


 そして見て見ぬ振りをしていた奴らもだ!!


 もしがあるなら俺は奴らに復讐してやる!!


 絶対だ!!


 そこで俺の意識は途切れた。



 はっと目が覚めると、そこは地獄でも天国でもなかった。



「はっ……生きてる?」



 なんでだ??


 確かに俺は魔物に喰われた筈……


 ならなんでだ??



 疑問に思っていると水のような物に手が触れる。周囲を見てみるとそこには血の海が広がっていた。



 俺の周りは血の海だ。


 それにズタズタに引き裂かれた服もある。


 推測するに俺は一度死んだみたいだ


 でも、どうして生きてる!?


 まさか!!!



「ステータス!」



 ステータスプレートを見つけ出してステータスを唱えた。


 ◆◆◆◆

 福田隆史 男 17歳[称号]異世界人,復讐者

 Level 5


 体力:12000


 魔力:25000


 知力:8000


 筋力:15000


 俊敏:11000


 器用:12000


 耐久力:30000


 運:700


【スキル】

 《黄泉還り》1日に一度だけ死から蘇る。

 《復讐の焰》憎悪によりステータス強化

 《歪んだ心》精神的負担が無くなる。

 《終わりなき絶望》自分に敵意あるもの全ての魔力を減らし続ける。任意型

 《無慈悲なる暴虐》自分が敵と認めたもの全てのステータス値を半減させる。任意型

 《秩序なき消滅》相手のスキルを消す。任意型

 ◆◆◆◆



「フフッ……ハッーハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」



 思わず笑い声を出してしまった。あまりのチートっぷりに笑わずにはいられなかったのだ。



 なんてステータスだ!!


 これならあの桐谷大輝ですら怖くない!


 いや、むしろこのステータスなら恐れるものは何も無い!!!


 これで復讐ができる!!!


 見てろよ!!


 俺を虐げていた者たちよ!!


 俺は地獄から蘇った!!


 さぁ!!


 復讐の時だぁぁ!!!

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