現代思潮社 古典文庫 それは西欧異端文学へのイニシエーションだった。
かって1967年ころからのシリーズで、現代思潮社の発行で、古典文庫というのがあった。
装丁もなかなかしゃれたものであった。
文庫とは言うものの、大判であったしハードカバーで厚表紙であった。
背表紙は布装でしゃれていた。
私はここで西欧異端文学の洗礼を受けたといってよいだろう。
シュティルナーの[唯一者とその所有] これは、ニヒリズムの聖書
ブラントの[阿呆船] 当時の世俗批判の書。
ボナベンツーラの[夜警] 夜警と称するする主人公が世界批判を繰り広げる。
フーリエの[4運動の理論] 空想的社会主義フーリエの代表作。
ノバーリスの[花粉・日記] ノバーリスのメモワール
ジャンパウルの[巨人] ジャンパウルの代表作、ドイツ教養小説の古典
「不可知の雲」 作者不詳 キリスト教神秘主義の本。
「悲劇の哲学」 シェストフ ロシアペシミズムの書。
「巴里の夜」 レチフドラブルトンヌ 巴里の暗黒面を描く。
「幻視者」 ネルヴァル ネリヴァルの評伝集。
「気球乗りジャノッツオの冒険」 ジャンパウルの中篇小説。
「魔女」 ミシュレ 魔女裁判を考察したミシュレの代表作。
ブランキ「革命論集」 ブランキズムの聖書
「テレマックの冒険」 フェヌロン ロマンピカレスク
「放浪の女ぺてん師クラーシェ」 グリンメルスハウゼン著。あの、「阿呆物語」(岩波文庫)の作者の冒険小説。
疫病流行記 デフォー ロンドンのペスト流行を伝えるドキュメント。
テスト氏 ヴァレリー
ドンジュアンとファウスト グラッベ
自伝 チェッリニ
バスチーユ回想 ランゲ
太陽の都 カンパネルラ ユートピア小説の古典
無限宇宙と諸世界について ジョルダノ・ブルーノ ブルーノの宇宙哲学書。
ドンキホーテに関する思索 オルテガ
書物合戦 スイフト
キリスト教暴露 ドルバック 唯物論者ドルバックのキリスト教批判
ルソーを裁く JJルソー ルソーがルソーを裁く。
キリスト教の精神と運命 ヘーゲルのキリスト教論。
向こう岸から ゲルツエン
ハンブルグ演劇論 レッシング
などなどの奇作・怪作をどんどん発行してくれた書店だった。
これらは今絶版で古書店で手に入れるしかない。
現代思潮社は、今でも、現代思潮新社として出版活動を続けている。