さあ、ご飯はどうする!
あれから、一刻は余裕に過ぎっていったと思う。
最初の登り始めは良かったんだけど・・・・だんだん山の斜面が急になって、しかも道はないからぼくの腰ぐらいある草や、土がぬかるんでいたりするとどうしても登るのに時間がかかっちゃうんだよ・・・
それにしても、お腹すいた~・・・お昼?そんな物ありません。
師匠が『一刻で戻ってくんなら、昼飯は必要ないよな~?』だそうです。
うぅ~師匠の鬼!悪魔!魔王!!ブルッ!!な、なんか寒気が・・・・
兎に角、お昼ご飯無し、夜ごはん無しでは絶対命が持たないので山にある食べられそうなものを集めるしかない!!っとぼくは、考えたわけだ。
だって、どうせ時間は過ぎちゃってるんだもん。いくら遅れようが夕方までに帰れればいいんだよ~だ!
おっ!キノコはっけ~ん!
ん?隣のキノコ見た目が・・・・これは食べちゃいけないと思う。だって白いかさに紫色した点々の模様が散らばっていて、いかにもこれは毒です!って物語っているんだよ。
おお!木の上に生っているオレンジ色の果物!いい匂いがする~。あれは絶対取った方がいいね!
うおっ!このとげとげの殻の中のものなんだか食べられそう。殻の中にまた殻。その中にやっと実が入っていた。なんだか、おもしろ~い!
よっし!!もっと上にいけばもっと違くて美味しいものがあるかも!俄然やる気が出てきた!!行ってやるぞ、頂上!!
* * * *
「はあ、はあ・・・・・し、しょー・・・弟子のリュークが・・・はあ・・・・か、帰ってきましたよ~!」
「よぉ。遅かったな?一刻で戻って来れなかったから、お前の晩飯無しな?」
「い、いいですよ!!自分で調達しましたから!」
そういうと、ぼくが集めた木の実などを事前に貰ったリュックから出して師匠に自慢した。
「ほぉ~。遅れるのを承知で集めてきたか。ずる賢い猫ガキだな~?ま、いいさ。初めてにしては上出来だ」
そう言いながら、師匠はぼくの集めてきた木の実なんかより美味しそうなお肉をちらつかせていた。
(うぅ~いいな~。お肉・・・・師匠意地悪だ。ぼくがこうして必死に集めた(ちょっと貧相な)ものを食べる横で香ばしい匂いを漂わせながら食べるなんて。やっぱり悪魔だこの人!)
そこで閃いた。自分なりに調理してちょっとでも豪華に見せればいいと。
(そうだよ!ぼくの鼻ならどのタイミングでどんなものを入れて、どんな風に出来上がるか分かるかも知れないじゃないか!!)
内心で細く笑むと、肉を焼いている師匠に話しかけた。善は急げだ。
「師匠!次、その料理器具貸して下さい!!」
「あぁ?お前何に使うつもりだ?」
「もちろん、料理です!!」
「ホオ~。お前料理出来るのか?」
そんなの決まっているじゃないですか~師匠~。
「師匠~嫌だな~前まで猫だったんだから、料理出来るわけないじゃないですか~」
ペシッ!って師匠がぼくの頭を軽く叩いた。
「おい。俺をからかうとは、いい度胸してんじゃねぇか。だいたい俺がいった意味分かってねぇだろ?」
「意味?」
「料理もしたこと無いのに、料理して、失敗してお前の晩飯がなくなったらどうすんだってことだ」
「師匠、そんなぼくの事心配して・・・・」
「後々、しくしく泣いた揚句俺の飯をたかられても迷惑だからな」
師匠は少し顔を背けながらいつもより早口で言った。
師匠はこういうときって、照れ隠しのためだってぼく知ってるもんね。
でも、それと料理のことは別なんだよ。
「師匠。ぼく、やっぱり料理してみたい。何事も失敗して学ぶ事だってあると思うんだ、ぼくは。っあ!それに、失敗しても師匠にはたかりませんよ(どーせくれないからね)」
「っふ。せいぜい失敗しないよう頑張んな」
なんか、多分( )の中見破られていたような気もするけどあえて見逃してやったって感じが半端なく伝わってきた・・・・・ような?
「はい!任せて下さい!ぼくの夕ご飯必ずや美味しくして見せます!」
そういうと、タイミングよく師匠の作っていた料理が完成した。
今日はさっき登った山の麓で野営だ。だから調理器具は限られているし、ぼくには見た事も、触った事も、もちろん使い方も分からない器具があるけど分かる物を使って、うんと美味しい物を作ってやる!師匠が驚く位のすごいものを!
リュークが拾ったものは見当がつくかも知れませんが、キノコ、柿、栗です。
ここまで読んでいただきありがとうございました!