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現実RPG  作者: itatanu
6/6

第二ゲーム3

「天江!!」


私は光を抱えて地割れから出た。そんな私を見て、3人はあわてて駆け寄る。

そして、私の腕の中にいる気を失ったままの光を見て、息をのんだ。


「大丈夫だよ。気を失っただけだから」


私がそういうと、3人はほっとしたようで胸をなでおろした。


「でも、天江はいいよね。羽が出てくるアイテムもらってさ」

少したってから、冬樹が私の背中にある羽を指さしてうらやましそうに口をとがらせた。

「冬樹のヘルメットだって、頭を守れていいと思うけど?」

私が言うと、冬樹は

「これは、羽みたいにレアそうじゃねえもん」

といって、コツコツとヘルメットをたたいた。

「私の羽は空は飛べるけど守れるわけじゃないし」

「空を飛べたほうが戦闘じゃあ、有利だよ」

拓納が言う。その一言が今の冬樹には、火に油を注ぐ一言だったようだ。冬樹は、私の羽を見ながら「いいな、いいな」と、小学生のようにリピートし始めた。


「ん・・・」

その時、まだ私の腕の中で気を失っていた光が小さく声を出した。

「あっ、光!」

光は、ゆっくりと目を開けた。まだ焦点の定まらない目で、私、冬樹、拓納、波期、そして遠くで様子をうかがっていた螺見澄ちゃん、男の子と女の子の二人組にも眼をやり、最後にまた私を見て「助かったんだ…」と、蚊の鳴くような声で呟く。


「光っ、よかった」

「有難う、天江…。本当に」

光の頬を、眼から出た雫が伝った。

「大丈夫?」

波期の言葉に、光はうなずいた。

「でも、まだちょっと恐怖が取れてないみたい」

そういって光は、小さく笑った。

「もう、おろして大丈夫だよ、天江」


「ごめんね、みんな。心配かけて」

光は降りるとみんなに頭を下げた。

「どこもけがしてない?」

「うん!全然」

光はガッツポーズをして見せた。

「よかったね」

波期は、笑顔を送った。






それからしばらく経ってからだっだ。

「あっ!!!天江!後っ!!」

拓納が私の後ろを指さして叫ぶ声が聞こえた。


あわてて振り向く。

拓納が指さした先、そ子には私の方に向かって飛んでくる大きな岩。


「危ないっ!!」




「いけーーーーーーーーーー」


私の目の前を、何と冬樹が飛び出していった。


「え!冬樹!?」


冬樹は、岩に向かってものすごいスピードで飛んでいった。そして、大きな岩にこぶしをめり込ませた。


メキメキメキメキーーーーーーーーーーー!!!


岩は大きな音を立て、砕け散った。


「冬樹・・・・」


私たちは口をあんぐりに開けて、うれしそうに空中で笑う冬樹を見た。


「ちょっと見て!」


波期が冬樹を指さした。


冬樹の体の周りには、何やらオーラのようなものが体を包むような感じで有った。

「す・・・すごいじゃん!冬樹」

波期は、冬樹に向かって叫んだ。

冬樹は、まだうれしそうに満面の笑みをしながら着地した。


「冬樹どういうことなの?」

「いやぁ、とっさに手に持っていたこれを押してみたら、なんか」

冬樹が「これ」と言ったのはヘルメットの表面に埋め込まれていた赤い楕円形のもの。小さくてきずかなかった。

冬樹は「なんか」といった後言葉を切って、続きを考え込んだ。

「体中をなんてゆーかなぁ、蒸気みたいなのが覆って…。で、ブワーッて力がみなぎってきてさ、いけるって思ったんだ」

「へぇー」

何かよくわからなかったけど、あんな大きい岩を一発でぶち壊したんだから、すごいんだろう。


「ねえねえ、今までのを整理してみると、天江が『羽』、冬樹が『超人パワー』、波期が『光線銃』だよね。だったら、私のと拓納、澄ちゃんのや、そこの子たちのもすごいやつかもしれないよね?」

光が一つ一つ数えながら言った。

「あぁ~。そうだよな」

拓納は自分が持っているものを見つめた。

「試してみたら?」

「そうする」

拓納が持っているものそれは、指輪のように真ん中がくり抜かれている円形のものだった。

「でも、これをどうやったらいんだ?」

やってみると言ったのはいいものの、やり方がわからないのでは、どうしようもない。拓納は、顎に手を添えてまじまじとみつめる。


「考えてみれば今までの俺や波期、天江のもとっさのときだったもんな。普通のな~んも起きてない時じゃなぁ」

「やっぱり試すのはあきらめるか」

そう、拓納が言った時だった。なんとなく、指輪のような形をしていたものだから拓納は自分の指にはめてみたのだ。

指輪のようなものは七色に光りだした!


「えっ!これ・・・」

拓納は驚いて、指から抜こうと思いっきり引っ張った。

「ぬ・・・、抜けない・・!」

さらに光は強くなって行く。

その場にいた皆は、思わず目をふさいだ。



「・・・。何も起こらないね」

「う・・うん」

光は出たのはいいが、それから何も起こらない。

「どういうことかなぁ」

「あれ?」

異変にきずいたのは澄ちゃんだ。

「どうしたの?」

見ると澄ちゃんが頭に着けているヘアピンが、ぴくぴく動きだしている。

「うわぁっ」

それから、ヘアピンは澄ちゃんの頭から離れ、宙を舞う。

「まさか・・」

拓納は自分の指にある指輪のようなものをハッとしてみた。

「光ってる」

それからヘアピンは、キーッという音を立て空中で超スピード回転した。しかし、しばらくすると回転は止みヘアピンは拓納のそばに落ちた。

「どういうことだろう」

「このヘアピンに何の意味があるのかなぁ」

私はいろいろ頭の中で考えてみたけど、あまりいい考えは浮かばなかった。

「ヘアピンかぁ、役に立つには思わなえないけど」

「役に立つ…か」

拓納が、そう言った時また指輪は七色に光りだした。

そしてヘアピンはまた宙を舞った。

さっきと同じようにキーッという音を立てて、超スピード回転。ヘアピンはその細長い形から、どんどん太くなっていった。そして、親指ほどの太さになると回転は止み、次はどんどん長くなっていった。

「す、スゲー」

20センチメートルほどになると、ゆっくり下りてきた。

「これ、武器みたいだよね」

私のさりげない人言。

「それだ!」

「え?」

拓納は変形したヘアピンを持って興奮気味に言った。

「多分これは『武器を作る』だと思う。武器以外のものを武器に変える。うん、これだ!」

確信したように言った。

「っすごいじゃん!」

「確かにこれ、槍みたいな形してるね」

先端部分か尖がっており、武器にはもってこいのものだ。

「じゃあ、次、私試してみるね」

光は力強く言った。




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