第二ゲーム2
サァァァァ!!!
綺麗な光は私を包み、私はその光を見ながら別に驚きはしていなかった。
その反応に自分も驚いていた。
『どうして驚いていないんだろ・・・。こんなこと、普通あるわけないのに』
私はその光に包まれて、なぜか懐かしい気持ちになったのだ。
ピカッ!!
光は、一瞬ものすごく強い光を放ったがその後消えてしまった。
「天江…」
そばには目を天にしてこちらを見ている冬樹、拓納、波期がいた。
しかし私は、気にせず光が入って行ってしまった地割れを見つめた。
「行ける…!」
私はまたも大きな深呼吸をして、『よーいドン!』のスタートのポーズを取った。
パサっ
何かが開く音が小さくした。
「これは・・・」
私は振り向いた。
そこには何と一面に、真っ白な、まるで白く大きな綿雪のようなものが広がっていた。そう、それの正体は一目でわかった。
『羽』だ。
「おい、これ」
冬樹の唇が小さく開いた。驚愕して、目を見開いている。
「行ってくる」
私は小さな声で、言った。今は、精神を集中させなければいけない。なぜかそう思った。
『ーーーーあら、もうこんなにうまくなっったのねえ。ーーーーーー違うわ。ここはこう。ーーーーーうん、いいわ。ーーーーーーーーーさあ、精神を集中させてーーーーーーーー、ワンっ、ツー、スリー』
「っ!!!!」
目眩がした。
これは・・・・・、何だ?
この感じ。どこかで・・・・・。
頭の中で、女の人の声が響き渡った。どこまでもやさしくて、どこまでも厳しいーーーーー。
そして何より、あの光と同じくどこか懐かしい。
頭を押さえる。今は、光を助けることだけを考えなければ。
他のことは後回しにしなくちゃ。
「ワンっ、ツー、スリー!」
自分の口から、自分でも思いもしなかった言葉が出てきてハッとした。
この言葉あの女の人が言っていた言葉…。
これはいったい?
ううん。今は考えない。一刻を争う時なんだ。
「ワンっ、ツー、スリー!」
気を取り直して、私はこの言葉を言った。
ビュワー!!!!
一瞬にして私を風が包んだ。
暖かい風。
私は地面を思い切りけった。
風に身を委ね、地割れに体ごと突っ込んだ。
地割れの中は暗く、ひんやりとしていた。
目の前が見えるだけで精いっぱい。
「光―!」
地割れの奥へを叫んだ。
返事はなく、代わりに呼応した自分の声が耳に入ってきた。
「光―!」
あきらめちゃだめだ。
胸に湧いてくる不安をお押さえつけ、私はひたすら光の名前を叫ぶ。
何回目だろうか。
もう、結構深くまで来たはずだ。
光の姿は見えない。
どんどん地割れの幅は狭くなってきた。
「!!!」
奥に何か物体を見つけた。
地割れの壁から突き出た、鋭そうな木の枝に服が引っ掛かり、ぶら下がっていた。
まさか、という気持ちで押しつぶされそうになりながら私はその物体を、マジマジと観察する。
まだこの暗闇に目が慣れていないせいか、時間はかかった。
「息・・・・、している」
かすかではあるがその物体は息をしていた。肩がかすかに上下していたのだ。
ようやく目がこの暗闇に慣れてきたようで、次は服の模様を確かめる。
光の服だ。
ハート柄がいっぱいに散りばめられていた。
私は、「フウ~」と、かるく息を漏らし光を枝から外して持ち上げた。
よかった、けがはしていないようだ。
光の体は、光の服が枝に引っかかっていただけのようで、光の体は何ともなかった。
しかし、恐怖のせいか光は気を失っている。
「ん・・・」
光の小さな声が聞こえた。
「光!」
「ご・・・・めん」
光は、まるで息のような声で私に言った。
「謝ることないよ」
私はそんな光を見下ろして、小さくほほ笑んだ。
光が見つかったという嬉しさでもうどうでもよかったのだ。
それから光はまた気を失ったようだった。
私はそんな光を抱え、また来た道を上へ上へと風に乗って進んで行った。