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現実RPG  作者: itatanu
5/6

第二ゲーム2

サァァァァ!!!


綺麗な光は私を包み、私はその光を見ながら別に驚きはしていなかった。

その反応に自分も驚いていた。


『どうして驚いていないんだろ・・・。こんなこと、普通あるわけないのに』

私はその光に包まれて、なぜか懐かしい気持ちになったのだ。



ピカッ!!


光は、一瞬ものすごく強い光を放ったがその後消えてしまった。


「天江…」


そばには目を天にしてこちらを見ている冬樹、拓納、波期がいた。

しかし私は、気にせず光が入って行ってしまった地割れを見つめた。


「行ける…!」


私はまたも大きな深呼吸をして、『よーいドン!』のスタートのポーズを取った。


パサっ



何かが開く音が小さくした。


「これは・・・」


私は振り向いた。

そこには何と一面に、真っ白な、まるで白く大きな綿雪のようなものが広がっていた。そう、それの正体は一目でわかった。


『羽』だ。



「おい、これ」


冬樹の唇が小さく開いた。驚愕して、目を見開いている。


「行ってくる」

私は小さな声で、言った。今は、精神を集中させなければいけない。なぜかそう思った。





『ーーーーあら、もうこんなにうまくなっったのねえ。ーーーーーー違うわ。ここはこう。ーーーーーうん、いいわ。ーーーーーーーーーさあ、精神を集中させてーーーーーーーー、ワンっ、ツー、スリー』



「っ!!!!」


目眩がした。

これは・・・・・、何だ?

この感じ。どこかで・・・・・。


頭の中で、女の人の声が響き渡った。どこまでもやさしくて、どこまでも厳しいーーーーー。

そして何より、あの光と同じくどこか懐かしい。


頭を押さえる。今は、光を助けることだけを考えなければ。

他のことは後回しにしなくちゃ。


「ワンっ、ツー、スリー!」


自分の口から、自分でも思いもしなかった言葉が出てきてハッとした。

この言葉あの女の人が言っていた言葉…。

これはいったい?


ううん。今は考えない。一刻を争う時なんだ。


「ワンっ、ツー、スリー!」


気を取り直して、私はこの言葉を言った。



ビュワー!!!!


一瞬にして私を風が包んだ。

暖かい風。


私は地面を思い切りけった。

風に身を委ね、地割れに体ごと突っ込んだ。


地割れの中は暗く、ひんやりとしていた。

目の前が見えるだけで精いっぱい。


「光―!」


地割れの奥へを叫んだ。

返事はなく、代わりに呼応した自分の声が耳に入ってきた。


「光―!」


あきらめちゃだめだ。

胸に湧いてくる不安をお押さえつけ、私はひたすら光の名前を叫ぶ。


何回目だろうか。

もう、結構深くまで来たはずだ。


光の姿は見えない。


どんどん地割れの幅は狭くなってきた。


「!!!」


奥に何か物体を見つけた。

地割れの壁から突き出た、鋭そうな木の枝に服が引っ掛かり、ぶら下がっていた。

まさか、という気持ちで押しつぶされそうになりながら私はその物体を、マジマジと観察する。

まだこの暗闇に目が慣れていないせいか、時間はかかった。


「息・・・・、している」


かすかではあるがその物体は息をしていた。肩がかすかに上下していたのだ。


ようやく目がこの暗闇に慣れてきたようで、次は服の模様を確かめる。

光の服だ。

ハート柄がいっぱいに散りばめられていた。


私は、「フウ~」と、かるく息を漏らし光を枝から外して持ち上げた。

よかった、けがはしていないようだ。

光の体は、光の服が枝に引っかかっていただけのようで、光の体は何ともなかった。

しかし、恐怖のせいか光は気を失っている。


「ん・・・」

光の小さな声が聞こえた。


「光!」


「ご・・・・めん」


光は、まるで息のような声で私に言った。


「謝ることないよ」


私はそんな光を見下ろして、小さくほほ笑んだ。

光が見つかったという嬉しさでもうどうでもよかったのだ。


それから光はまた気を失ったようだった。


私はそんな光を抱え、また来た道を上へ上へと風に乗って進んで行った。







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