第二ゲーム1
「な、何だここ!?」
目を恐る恐る開けてみた。
ここは、どうやら火山活動をしている火山の近くのようだった。私たちの後ろには、大きな山があり、山のてっぺんからは黒い煙が噴出していた。ときどき私たちの近くに大きな石が降ってきて、怖い。こんなところで次は何と戦わなければいけないのかと思うだけで、また足が震えてくるのだ。もう、嫌だよこんなの。
「次は火山かよ、こんなとこでつぎ何すんだよ!?」
また、冬樹のくもった声が聞こえてきた。ヘルメット越しにも、冬樹の怒りが伝わってくる。
「また、あの変な怪物みたいなのかな?」
「くそーっ!何考えてんだ!あのMrなんとかってよ!警察が近くにあったら、ぜって―訴えてんぞ。コンヤロ―!!」
冬樹がまた怒りの声をあげる。私も、怒りの声をあげたかったが、今はそんな度胸はなかった。ただまた戦わなければいいけないという恐怖が、私の体をまだ循環している。
「警察なんてどこにもないしね。なんか、俺らが来るとこって俺ら以外に人いないな。ま、そういうRPGだからそうなのかもしれないけど。でも、ほかにキャラクター居てもいいと思わないか?」
拓納が、難しそうな顔を私の方に向けて言った。
「そこは・・・、どうだろうね。わかんない」
確かに、拓納が言ってることもわかる。これがMrダイが言っているとおり、RPGなのなら一人くらい村人だとか、近くの住人だとか、でてきてもいいのだ。でも、このあたりには私たち以外誰もいない。これ、どんなRPGなんだろう。私は不思議に思った。
「というか、敵来るの遅くないか?」
「あ、そうだね。さっきは結構早く来たのに」
波期の言葉に私は答えた。さっきの敵は早くあらわれていた。今回はちょっと違うのだろうか。
「ででででも、来ない方がいいよ。私もうあんなのと戦いたくないもん。そうでしょ、天江も波期も」
「うん。まあ・・」
「え?」
「だってさ、光。ここ火山っぽいじゃん。いつ大きい石が降ってくるかわからないしもしかしたらドロドロのマグマが来るかもしれないし、だったらいっそのこと早く敵と戦ってここから脱出した方がいいかもしれないって思って」
「でも、勝てるなんてわからないよ」
尚も光は食い下がる。そんな光に、私は
「ここで負けるなんてまだわかってないじゃん。希望を持とうよ」
「・・・・」
光は沈黙してうつむいた。
「大丈夫だよ、多分」
「多分」が余計だったのか、光は「うん」と弱弱しく言って、また黙ってしまった。
「!!!!!!????」
いきなり、地響きが鳴った。わたしは、瞬間的にあの火山を見た。
「あれ!!」
皆が一斉に火山の方を見た。そして、「あっ!!」
ドドドドドドドドド
さらに、激しく地面が高鳴り、地割れが起きる。立っているのも困難だ。どうしよう。
「っ光!?」
波期の声で、光の方を見る。光のすぐ近くでが地割れが起こっていた。
光はその地割れで割れた地面に入って行ってしまった。
「光!!」
すぐ光のいたところへ走った。
「光っ!!」
割れてしまった地面の中に、首を突っ込むような感じで覗き込む。そして何度か光の名前を言った。しかし、返事はなかった。光は、暗い地面の下だ。わたしは、あきらめないで光の名前を何度も何度も言い続けた。言うにつれ呼吸が荒くなった。焦ってきたのだ。
「返事をしてよっ!光っ!」
さらに焦りが激しくなってきた。
私に続いて波期も、冬樹も、拓納も暗い地面の底へ向かって光の名前を言った。3人も、焦ってきているようだった。汗が半端ない。私も、体中汗がだらだら流れている。でも、こんなこと気にしていられない。一刻も早く光を助けなければ。
「天江!?」
私は立ち上がって深呼吸をした。
「これ、使えるかも」
私がそう言って強く握りしめたもの、それは始め集められて部屋で、皆一つ一つとったものだった。私は何かわからないが、黄色の小さな立方体の箱のようなもの。
「このボタンかな」
中央にあっった、丸いボタンを軽く押してみる。
シュイン!
私は一瞬で、綺麗な光に包まれた。
でも、私はこの時わからなかった。この出来事が何を表わしているのかを。