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現実RPG  作者: itatanu
2/6

謎の男

「ここは?」

目が覚めた。暗い。寒い。ここはどこ?リビングじゃない。

「天江?」

波期の声だ。

「波期!!ここ、どこなの?」

「わからない。私もさっき間が覚めたばかりなんだ」

波期はあたりを見回しながら言った。

「ちっ、見えない。かろうじて天江が見えるくらいだ」

私と波期の距離は、1メートルもなかった。それだけここは暗いのだ。私も、波期の顔が見えるので勢いっぱいだった。

「あれ?波期と、天江?」

この声は光の声だ!!声からしてさほど遠くない。近くに光がいる。

「どこだ?光」

波期は手を思いっきり伸ばした。私も手を思いっきり伸ばす。

「光、てをのばして!」

しばらく暗中模索が始まる。すると、何かが手に当たった。

「光!?」

私はその手が当たったところにすぐ駆け寄る。

「天江ーー!!」

光は抱きついてきた。私は受け止めた。

「会えてよかった!一人でさびしかった―」

光は、泣いているようだった。その声が大きかったせいなのか、周りでも「光!?」という声が上がった。そして、声を頼りに二人が来た。

「拓納!冬樹!」

「よかった!会えた!」

二人も、胸をなでおろしていた。

「よかったな、全員会えた」

波期は、うんっとうなずく。

「皆様、ようこそ」

機会を通した声が鳴り響く。はっとして振り向くと、大きなモニターが浮かび上がった。暗闇に浮かぶモニターはとても怖かった。

「私は、Mrダイ。君たちはこれから、RPGをプレイしてもらう。といっても、ただ普通にプレイってだけじゃあ、つまらない。だから、現実性のあるRPGを君たちに実際にプレイしてもらう」

Mrダイと名乗るのは男だろう。口調から推測できる。そして、モニターには背広を着た、うさぎさんの仮面で顔を隠した男の姿が映し出された。私は思わず、ごくりと生唾を飲んだ。この暗闇で、こんな気味の悪いものを見たのは初めてであった。

「実際にプレイってどういうことだ?」

波期が質問した。私は、「下手に言わない方がよい」と言おうとしたが、言えなかった。

「いい質問だ。実際にプレイというのは、君たちにこのRPGの登場人物になってもらうということだ。つまり、実際にこのゲームを君たちがプレイする。普段のゲームみたいに操作するユーザーはいない。君たちがそのユーザーだ。わかったか」

どういうことだ。私たちが登場する人物でユーザーって。

「なんで私たちがそれをやんなきゃいけないの?」

光が言った。確かにそうだ。私たちがやる理由なんてどこにもない。

「ただの気まぐれさ」

Mrダイと名乗る男は、サラッと言った。

「なんだそれ?」

冬樹は、ふざけているMrダイに、嫌気がさしたのか強い口調で言う。

「ま、とりあえずここに来たからには私の作ったゲームをプレイしてもらおう。プレイといって簡単さ。ただ闘えばいいだけだ。戦って、勝ち抜けばそれでクリアさ。それを君たちに実際にプレイしてもらう」

「つまり、俺たちが肌でプレイするっていう意味だな」

拓納が言った。声が少し震えている。

「そう」

Mrダイは楽しそうに言う。なんていう奴だ。

「では、早速やってもらおう」

ボタンを押すような、〔ポチ〕という音がした。そして、場所が変わった。どこかの秘密基地のようなところだった。

シュイン!!

音とともに、空中に武器が現れる。

「これ」

よくゲームに出てくる武器。これといっても、特徴がない。盾と、剣。

「これで、やれということか」

「でも、怖いよ。ほんとにわたしたち戦うの?」

光が言った。

「戦うんだろう。武器も出ている」

「あの」

後ろから話しかけられた。

「誰?」

「あ、螺見澄といいます。私も、あなたたちと状況は一緒です。その、ご一緒してもいいですか」

澄という子は、私たちと同じくらいの年齢だと思われる。気の弱そうな子だ。

「別にいけど」

拓納がそっけなく言った。

「あ、ありがとう」

澄の表情がパッと明るくなった。

「あの、僕たちもいいですか」

つぎは、男の子とあんなの子の二人組。こちらも同じくらいの歳だろう。

「いいよ」

「ありがと!」

私たちは、ともに武器を取った。盾と剣は一人一つずつ。他は、特殊なアイテムだろう。それも一人ずつ取った。

ウイ~ン

ドアが開いた。

「行こう!」

私たちは、この未知なるRPGをスタートさせたのだった。

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