孤高の技術者
ネオンが夜空を彩り、俺の歩む道を淡く照らしていた。都市の喧騒の中で、俺は常に一人であり続けた。孤独は俺が選び取った生き方だが、それは決して悪いことではなかった。俺の目標は、この街で「いい生活」を手に入れること。それは、安定した収入や平和な日々を求めることを意味していた。
裏社会では、俺は「狂犬」として知られていた。特別な改造を施された身体は、高度な技術力と戦闘能力を誇る。俺は自らを磨き続け、常に技術の研鑽に没頭している。孤独を恐れず、それを力に変えることを知っている。
その夜、取引の前に「ネクサスリンク」を使って知人と連絡を取った。神経リンク型通信デバイスを通じて、遠くにいる友人と直接繋がる。彼の声が頭の中に響く。
「アキラ、今夜の取引は大丈夫か？」
「問題ない。準備は整っている。」俺は静かに答えた。
「でも、気をつけろよ。あいつらは危険だ。ギャングが絡んでいるって噂もあるから。」
「了解。警戒はしている。」俺は軽く頷き、リンクを切った。デバイスを使うことで、孤独を感じながらも、仲間の存在を心強く感じることができた。
その後、俺はいつものバーで取引を行うために向かった。テーブルには精密に組み立てられた機械部品が並んでいる。向かいには顧客の男が座っており、緊張した様子で金を渡した。
「これで間違いないですよね、アキラさん？」
男は囁くように言った。俺は冷静に金を手に取り、確認した。
「問題ない。約束通りの品だ。これは最新のセキュリティバイパス用だ。誤用するなよ。」
俺の言葉には自信が溢れていた。男は安堵した表情を浮かべたが、その目には不安が垣間見えた。俺はそれを見逃さなかった。
「何か隠しているな？」
低い声で問いかけると、男は一瞬怯んだが、すぐに笑顔を作り、首を横に振った。
「いや、何も。あなたに逆らうことはしません。」
取引は無事に終わったかに見えたが、その時、店のドアが爆音と共に吹き飛んだ。
ギャングたちが乱入し、中心にはタバコを吸いながら冷笑を浮かべるリーダーがいた。
「お前がアキラか。噂通りの狂犬だな。」
俺は瞬時に状況を把握し、冷静に立ち上がった。ギャングは俺に向かって銃を構えたが、俺は怯まずに彼らを睨みつけた。
「俺に用か？」
リーダーは鼻で笑い、銃を構えたまま言った。
「お前を片付けるのが俺たちの仕事だ。」
その言葉と同時に、店内に銃声が響いた。俺は瞬時に身を翻し、テーブルを盾にして銃弾を避けた。動きは人間離れしていた。
身体には強化された筋肉とハイパーショックアームが組み込まれており、その動きは舞うように流麗で、攻撃をかわしつつ、次々とギャングを撃ち倒していく。無駄な動きは一切なかった。
一人のギャングが俺に突進してきた。動きを読み、瞬時に身を翻してギャングの腹に強烈な蹴りを見舞った。その一撃は並の人間では耐えられない威力だった。ギャングは苦悶の声を上げて崩れ落ち、そのまま動かなくなった。
残りのギャングを掃討し、最後の一人を地面に押さえつけた。
「これが俺のやり方だ。」
冷たく響く声の背後には、確固たる自信があった。倒したギャングたちの身体を調べ始める。彼らもまた、身体の一部を改造していた。俺は彼らのアームやデバイスを外し、後で使うために集めた。
その後、全てのパーツを回収し、店を後にした。街の喧騒を背に受け、静かに自らのアジトへと戻った。
家に戻ると、そこには静けさと共に、過去の記憶が待ち受けていた。幼い頃の思い出が詰まっている。棚の上に目をやり、一枚の写真に目を留めた。
写真には幼い俺と両親が写っていた。両親は、まだ発展しきっていない街を技術の力で支えてきた。彼らは俺にとって誇りであり、生きる指標でもあった。
幼少期、俺は両親と共に過ごす時間が何よりも楽しかった。毎週末には家族で公園に行き、大きな噴水の前で弾ける水しぶきを浴びながら笑い合った。母は優しく微笑み、父は技術の素晴らしさを俺に語って聞かせた。
「アキラ、大きくなったら何になりたい？」と母が尋ねると、俺は「お父さんみたいな技術者になりたい！」と答えたものだった。父はそれを聞いて誇らしげに笑い、「じゃあ、一緒に頑張ろうな」と俺の頭を撫でた。
こうした日々が、俺にとってのかけがえのない宝物だった。しかし、成長するにつれて、俺の人生は大きく変わっていった。街は技術の進化と共に急速に発展し、その中で俺は自分の道を模索する必要があった。
改造技術に強い興味を持つようになり、自らの身体をも改造していった。技術の持つ可能性と危険性を学び、自己の力をどのように使うかを考えるようになった。
その夜、新たに手に入れた改造パーツをじっくりと観察していた。手元には、次のステップへと進むための鍵が握られていた。自らの身体にその技術を組み込むことで、さらなる可能性を模索していた。
作業を終えると、静かに窓の外を見つめた。夜の街は静まり返り、遠くでネオンがぼんやりと輝いていた。この街を見守り続ける決意を新たにした。両親が愛したこの街を、俺もまた守りたいと思ったからだ。
幼い頃に両親と交わした言葉を思い出していた。「いつか、この街をもっと良くするんだ。」その言葉を心に刻み、未来に向けて歩み続けることを誓った。
俺は一人であっても、技術を通じて自らの信念を貫き、この街で「いい生活」を手に入れるために努力し続ける。その孤高な姿勢こそが、俺の強さの源であり、生きる指針だった。孤独を恐れず、むしろそれを力に変えることを知っている。
はじめましてふらっとです。
最近サイバーパンクを見てショックを受けてしまいました…
読んでいただければお分かりかと思いますが、限りなく寄せています。
ただ、あれほどの名作と比べられるとクオリティーは限りなく低いものです…
よければアイデア、こうして欲しいなど教えていただけたら助かります。
