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運命のミオ  作者: 鎌月
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ルーシャス5

魔導局ー。

目が覚めた尊が子供の服へと着替える。オーガンがその様子を見ながら鳥籠の中でくったりとする小鳥を見る。

「まあ、体内の方は幸いにも健康であったからよいが、魔力が半減されているのは厳しいな」

「…」

尊が鳥籠を掴み無言で揺らすとオーガンがすぐさま止める、

「これこれ」

「この年増」

『と、とし。まじゃ、ない…』

「やれやれじゃな」

「うわ。尊ちっさ」

「好きで小さくなったわけじゃない」

「ハリー。お前は言葉がすぎる。まったく」

ハリー、ヒカルが中へと入るとヒカルが手にした籠を尊へと向ける。

「尊。これ兄さんから。つわりにハーブが効いたそうだから」

「ああ、ならよかった。食欲は?」

「ああ。少しずつ戻ってきたそうだ」

「ならもう少しの我慢だな」

ヒカルが頷きオーガンが話す。

「あの男に孫か。どんな孫好きなじじいになるか楽しみだのお」

「はい。兄も話してました」

「ああ」

「なんだかんだで先生子供に甘いしね」

「ああ。しかし、まさか魔術でこうなるとは。そこはさすが女神といえるな」

「年増の魔女だ魔女」

『だ、か、ら、誰が年増よ!!魔女でもない!!くぬううううっ』

小鳥が飛び上がり光るも光が消えるとまた倒れくてえとなる。

『出しなさいいい』

「俺の体が戻るまで出してやるものか」

『くううう』

尊が鼻を鳴らし籠の中の金貨を見る。

「こんなに」

「礼だから受け取っておいてくれ。あとまた頼るかもしれないからその前金みたいなもんだ」

「俺は医者でもなんでもないからな」

「なんとまあ」

キヨが中へと入ると尊、小鳥と見て面白く笑む。

「変わりすぎた小鳥だ」

『うるさ、い』

「ふふ」

「なんじゃ?」

「ああ。これを」

キヨが青色のオーブを出す。その後ろから陸奥が姿を見せ手を挙げる。

『発見したんだー。あと、なんで尊?え?尊?』

尊が鳥籠を指差すと陸奥が見てあーと声を出す。

『なるほどね。なら、アケゾラに行ってみたら?』

「アケゾラ?」

『な、んで貴方がそのことっ』

小鳥が慌てて口をつぐむと陸奥がみるも尊を振り向く。

『女神のことをよく知ってる古代の木があるんだ。話せるんだよ』

オーガンが目を丸くし、尊が話す。

「顔面樹か?」

『言えばそんなの。僕と樹か見つけてね。大分生い茂ってたから樹が切ってあげたら喜んで昔の話とかたくさん話してくれたんだ。その中に女神たちの話もあってね』

『ちょっ』

「どんな?」

尊が上下にふっていき小鳥を黙らせ陸奥が気にせず話す。

『面白がって人を困らせることもしていた。悪い事大好き。それが女神』

『ちちちちがあうううう!!!』

「なるほどその通りだな」

尊が振り続けるとオーガンが再び止める。

『ただ人も含めた生物たちの生活の為に力も使ってもいたよ』

「微力ながらにだろ?」

『び、びりょ、くい、じょおお』

小鳥が目を回し尊がオーガンに鳥籠を渡す。

「その樹は?」

『未開の地だからね?僕なら案内できるよ。でも結構危険いっぱいだからさ。あの時は透華がいたから良かったけど今の尊には厳しいかな』

「俺以外もいる」

『うーんなら、いけるにはいけるね』

「よし。ならそこに行く」

『了解。そしたら一回樹の所に行って話してくるね』

「ああ」

陸奥が出ていきキヨが話す。

「私も興味はあるが残念ながら忙しい。他にも色々な野暮用もできたからな」

キヨが面白く複数の手紙を見せると尊へと向け尊が手にし目を通す。

「婚約の」

「ああ」

「アルスランの妹で学園の副学園長。それから聖獣持ちじゃからな」

「ふふ。権力という力はたとえどのような状況であっても欲しがると言うわけだ。特に女であれば尚更のようだ」

「はい。全て国の代表ばかりですからね。ですけど、キヨさんの相手を務めるには骨が入りますよ」

「あはは。兄にも似た話をされた」

「はい」

「ああ。なら私はこれで失敬する。尊。どこぞの裸の王様が来たら私に一報くれ」

「分かりました」

キヨがああと答え部屋を出る。

「キヨ副学園長が結婚とか、考えられないな」

「わしはお前に相手が出来るかと心配だな」

「悪かったね」

ハリーがむすっとしヒカルが相手かと手首に嵌めたブレスレットに触れた。


ーあ。

ルーカスが気まずく顔を背ける。目の前に顔や体、腕に擦り傷ができているのかガーゼがあちこち貼られたミオがおりミオが目を丸くしルーカスをみる。その後ろにエリスとユナがいたがユナがルーカスに抱きつく。

「ルーっ。ルーだ」

「その…」

「髪切ったんだ。いいね」

ミオがルーカスをジロジロと見る。

「さっぱり。その方が似合う」

ルーカスが顔を赤らめエリスがくすりと笑うと目を丸くしやってきた尊を見る。

「尊。どうしたんですか?」

「え?」

「あ…」

尊がため息をし鳥籠の中でぐったりとする小鳥を前に突き出す。

「こいつのせいですこいつの。女神」

「女神?」

『も、ものの、ように、あつか』

「うるさい」

エリスが鳥籠を持ち驚きまなこをひらく。

『え、エルフ、のむす、め。私を、解放、しなさい』

「…」

ミオが鳥籠をそっとエリスから取り尊に渡す。

「そんなこと言われても困ります。2人の問題なのでこちらに持ち込まないでください」

『な、あ』

「その通りだ」

エリスが苦笑してみせる。尊が鳥籠を握り直しミオへと話す。

「顔とかどうした?なぜここに?」

「ええと、力がまだ使いこなせなくて。これはその怪我です」

「バンって爆発したの。ハリー達の張った結界も壊れたの」

「はい…」

「タイシは?」

ミオが気まずくしエリスが話す。

「奥方のご体調が芳しくないのでおそばにおります」

「はい…」

「ええ。なら、望さん」

「タイシさんの代わりを務めてくださってます」

「ならいないか…」

尊が考えミオを見る。

「ならミオ。しばらく俺たちと同行しないか?」

「え?」

「これから行く目的地が厳しい場所でな。力が強いのがいるだけでいい。ハリーの結界を破壊するくらいだ。それだけ有り余ってるんだろう?」

「で、でもまだ、危ないですし、制御が」

「使い続けろ。俺の力も最初は上手く出来なかった。こなせるまでとにかく疲れ果てるまで使ったからな」

「えと…」

「行く先は未開の地だ。魔獣達の宝庫になる。そしておそらく今は特に魔獣の数も増えているはずだ」

ミオが頷き尊が話す。

「危険は話した通りあるからな。タイシにも伝えて確認はとる。その間に決めて欲しい」

「はい」

「ああ。なら」

尊が指を上へと向け氷の小鳥を作り出す。

「これに返事を。5日まで」

「行くと」

尊がすぐさまはりせんでミオの頭をはたくとヒカルが吹き出し大笑いするとその笑い声が響き渡る。そしてミオが涙目で呆れ顔の尊を見る。

「人の話を聞け。そして話し合ってからこの鳥を使って返事を返せ」

「は、はい」

「ああ」

「すごい音ー」

エリスがもうとため息しユナが驚きルーカスもまた目を丸くした。


ナガハラが突然の昏睡状態に陥ったユーフェミアの元に来ており、そばにはタイシが心配な面持ちでユーフェミアを見ていた。そこに尊がくると僅かに驚きナガハラが振り向く。

「どうした?お前もキメラ化か?」

「違います」

尊がつんとする小鳥が入った鳥籠を向ける。

「こいつのせいです」

『ふん』

「鳥?」

「鳥は鳥でもここの伝記にも書かれている女神の1人です。封じられていた」

「ああ、話にあったやつか」

「ええ。それで」

尊がユーフェミアを振り向きナガハラが話す。

「悪いが俺もここで調べるのに限度がある。原因不明だ」

タイシが口をつぐみ尊がユーフェミアに近づき鳥籠を置く。

「何かわかるか原因は?」

『…さあ』

小鳥の足元が凍ると小鳥が尊を振り向く。

『酷いわね!』

「誰が」

「わかるなら教えて欲しい」

小鳥がむすっとしタイシが必死の顔を向ける。

「頼む」

『…』

小鳥が不貞腐れながら話す。

『脳の出血』

尊がユーフェミアの頭に触れ指先の感覚を研ぎ澄ませる。

「頭か。頭痛は?」

「何も…」

『こことあちらと世界を何度も行き来した後遺症よ』

小鳥がやれやれとする。

『リスクは体にもついてくるの。特にこの子みたいに長い時を生きて百を超える数を行き来すれば体にも何かしら影響が出るし、どうあれ寿命もある。そして今回妊娠した。体や脳にとって大きな負担なのよ。妊娠は』

「ああ。確かにな。体の作りが全く変わる」

『そう』

「あった」

タイシがはっとし、尊が話す。

「中央に近いか?」

「いえ。ただ圧迫している感じです」

タイシが汗を滲ませナガハラが難しく唸る。

「開頭手術されたご経験は?」

「まず、経験がない。あと、脳だからな。術で回復は不可能だ」

『その通り。これは本当の話よ。体ならいいけど頭は危険ね』

「あとは、胎児がいる。それも含めて麻酔がか」

『ええ、その』

「冬眠状態に近い形にすれば?」

「人口冬眠か…」

「はい」

ナガハラがむうと考える。

「冬眠状態に?」

「ああ。麻酔なし。ただ代謝を落として痛覚や神経を鈍くさせる」

「そうだ。それによって血管などは通常に維持したままできるが…」

『それも難しい、ってなに?』

「協力してもらいたい」

小鳥がむすうとし尊が話す。

「そうしたら解放してやる」

『……本当に?』

「ああ。ただし、2人の命を助けるための協力で俺の力も戻せ」

『…』

「とにかくまず2人だ。タイシ。ユーフェミアさんだが完全に回復するかはその時次第になりそうだな」

「それは…」

「意識が戻らない。後遺症が残る可能性は高い。出血による圧迫が強いみたいだ。急いだ方がいい」

ナガハラが大きくため息をする。

「道具はある。尊。お前は術をかけて冬眠状態を維持し続けろ。タイシ。こっちも急ぐがつべこべと言うなよ」

ナガハラが出ていき尊が鳥籠から小鳥を出すと小鳥がじいと尊を見続ける。

『…』

「俺の力を戻せ」

『…分かったわよ』

小鳥が光りそして消えると尊が指先を動かし氷を出し礫を回す。

『それじゃあね』

小鳥が羽ばたき外へと出る。

「…あれに」

「女神は奇跡を起こさない」

タイシが言葉を閉ざし頷き尊がユーフェミアの頭に両手の指をつける。

「まず、これ以上の出血がないよう体を冬眠状態にさせる。多少和らぐはずだ。いいか?」

「…俺は何も手立てが思いつかない。頼む」

尊が頷きゆっくりとユーフェミアに冷気を送り体の体温を下げる作業へとかかった。


ータイシ。

iPadの画面にタイシの画像が映される。

「サクラ、樹」

サクラ、樹、透華と次々と画像が映し出される。その周りは森が生い茂っていたが所々魔獣やゴブリン達が隠れながら一点を見ていた。そこに褐色の肌に白髪、そして耳の長い男が姿を見せる。

「カズハ」

肩の上まで癖のない真っ直ぐに伸びた黒髪に着物姿の女へと呼び掛ける。女はiPadを持ち下を向き見ていたが声をかけられると男を見て笑む。

「ガイ。オークは?」

ガイが何もない手を向けた途端その手に醜い顔のオークの血まみれの頭が現れる。

「…わざわざ見せなくても」

ガイの手がオークの頭を離し落とすと頭が青い炎に包まれる。

「あちらの世界の住人達はどれほど来ていた?」

「ええ。100余。そのうち10余は活躍しているわね」

「俺が知っているのはタイシという男だ」

「ふふ」

「驚いたな」

カズハ達がやってきたランスロットを振り向く。

「ちっとも変わりはしない」

「あなたもね。ランスロット。相変わらずのわがままな男」

「分かっているだろう?」

「ランスロット。国をどうするんだ?今更」

「あら?」

カズハがランスロットの後ろのロレンシオを見る。

「あちらは?」

「私の側近の部下だ」

ロレンシオが頭を下げ視線を2人に向ける。

ー日本人か?あと、ダークエルフ…。

「1000年の時を生きた倭人とエルフだ」

「倭人?」

「平安時代から生きているのよ。女神の呪いでね」

「女神の?」

「祝福ではなくて?」

「呪いよ」

カズハがiPadを脇に挟み岩から降りる。

「ランスロット。あなたもどうして今になって動き出したの?」

「気分だ」

「気分ね」

「ああ」

「ランスロット。何をしにここにきた?」

ガイが尋ね、ランスロットが答える。

「近々2人の元に俺の知っているものが偶然会う。後はカズハ。お前の知っている葵の親類もだ」

「あの子ね。ならランスロット。アルスランはあなたにとっての天敵になるわよ」

「もう天敵だし痛い目も見た」

ランスロットが義手を見せるとカズハが話す。

「なら結構」

「ああ」

「ええ。あと、親類と言うことは娘でしょう?」

「その通り」

「ええ。知ってるわ」

カズハがランスロットから離れガイが後に続く。

「どこに行くんだ?」

「あちこちね。ランスロット。一応、あなたに幸在らんことを」

「どうも」

カズハがガイと共に離れ去る。

「王」

「戻るか」

ランスロットがまた元きた道を戻るとロレンシオが何も言わずについて行った。


ー手術終了…。

ナガハラが疲れ長椅子に寝転がる。そして尊もまた長椅子にもたれかかっていた。別室では包帯が巻かれた頭を固定されたユーフェミアが深い眠りについていた。ヒカルが毛布を持ちナガハラ達のところへ来るとナガハラ、タケルがヒカルを見る。

「コーヒー…」

「カフェインだろ?仮眠しろよ」

「栄養ドリンク…」

「なんだ?リポDはこの世界にないぞ」

「あれはクソまずい…。あー」

タケルが疲れ果てながら告げる。

「ニニなら分かる」

「分かった。なら待ってろ」

「ああ」

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