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運命のミオ  作者: 鎌月
58/64

古代国アルスマグナ3

ー問題が山積みだ。

アルスランたちが王たちと共に集まり会議をしており、アルスマグナなどの話し合いを行なっていた。


ロードが本を重ねもち通路を歩く。そしてユーリの見張りの中箱を持ち歩いていく。その尊を見てロードが足早に駆け寄る。

「ん?」

「異界人の方ですよね?」

ロードが目を輝かせ尊がまあと頷いた。


ーふーん。

尊がココアを飲み、ロードもまた飲む。

「言語学者ですか」

「あ、いやいや。そんなのはなくて趣味なんだ」

ロードが手を振り尊が話す。

「趣味でも結構知ってるんでしょ?」

「どうかな…。ところでこの飲み物美味いね」

「ああ、ココアですね。ここにもあったカカオの実をいって粉末にして作った飲み物です」

「向こうのだろう?」

「ええ」

ロードが頷きうまうまと飲む。

「ところで君は?」

「捕虜で裸体と王様の使われ物」

「え、と、ん?」

ロードがやや首を傾げシンが話す。

「ランスロット王が捕虜として連れてこられたんです。薬物学などに精通しているということで」

「へえ」

「あとは異界の料理を作れるとのことで」

「へええ」

ロードが目を輝かせるとメモを出す。

「どんな?」

「レシピは別のものに渡してますからそちらを書いてください」

「分かった」

「ええ」

ロードがメモをしまうと辺りを見渡す。

「失礼ですけどその腕は?」

「ああ。ロクタークの兵役と見せかけてのイーロンから買い取った武器や拷問具の実験隊に使われたんだ。死体は戦地で死んだ死体たちと共に捨てられた。俺は瀕死で捨てられたところをランスロット王が助けてくれて。しばらく隠れ家で療養したあとこちらが復活するとのことで準備してきたんだ」

「なら、他にもいますか?ロードさんみたいな方が」

「ああ。全員じゃないが俺みたいに殺されかけたり国から追放されたりした人達がいるんだ。何人か話した」

「ええ。じゃあ、王はそういった人たちを勧誘してここに連れてきたのか」

「ああ」

尊が頷きふむと考える。

「なら、あの変わり者もいるかもな」

「名前は?」

「アンヘル」

「はー、俺が会った中では聞かないな。もし会えたら話すよ」

「はい。お願いします」

「ああ。ちなみにどういった人なんだい?」

「酒に目がない人ですね。ですが魔獣や薬草、モノに関してとても詳しいんです。魔獣の特徴。素材。その価値とかも。なかなか覚えるのに苦労すること全てわかっているような人です」

「へえ」

「酒浸しではありますからすぐにわかると思います」

「ああ。分かった。あとそうならもしかしたら部屋に篭りっきりかもなあ」

「尊」

ルクレイシアが中へと入りああと声を出す。

「ロード。ちょうどよかった。これの解読お願い」

「はい」

「ルクレイシア。酒好きの男でアンヘルという男は知ってるか?」

「ああ、はいはい。あのどすけべアンヘルね。なに?」

「睨むな俺を」

鋭く並んだルクレイシアへと突っ込む。

「すけべ?」

「そうよ。あいつは酒飲みながら触ってきて頭にきた。拷問したのに全く通用しないのも腹立たしい」

「まずするな」

尊が苛立つルクレイシアへと突っ込む。

「いるなら連れてきて欲しいんだけど?」

「だれが。ロード。これよろしく」

「はい」

ロードが書類を受け取る。

「すけべなのは知ってるから我慢して連れてきてほしい」

「知ってるなら尚更嫌」

「とにかく頼みたい」

「絶対に嫌っ」

尊が驚きロードもまた目を丸くする。そしてルクレイシアが苛立つ。

「そんなに嫌か」

「嫌なの」

「なら仕方ないか」

「行けるかはわかりませんがロード殿を送るついで私が見てまいりましょうか?」

シンが話し、尊がじゃあとお願いしますと頼んだ。


2人がいなくなり、ルクレイシアが尊と2人きりになる。

「核落とされた後の国はどうなるとか聞いたか?」

「各国の王や代表が協議中」

「そうか」

「ええ」

「なにかくれ」

尊がため息をし空間からポテチを出しランスロットに渡す。

「悪魔の道化師ベッグ」

「知っている。以前夜のこの国を荒らしてくれた上、玉座に侵入し骨を飲み込んだ男だ。元大老になりかけた男でな。ただ、自己主張が激しかったモノだったしよく暗殺もしていた。この国の夜に。そして、私の部屋に侵入し竜の骨を食べますます人を殺した為、ラファエルたちが捕まえて殺さなかったので封じた」

「封印が一度解けたのか?」

「ああ。そして自ら殺していいものを出す代わりに封印に応じると言った」

ランスロットがポテトチップスを食べる。

「で、その道化師は?」

「この国にいて隠れている。乗っ取る気だな」

ルクレイシアがやれやれとし、ランスロットがまた一枚ととるも手を止めその姿を消す。

「いたかな」

「何処に」

「出たらわかる」

ルクレイシアがやれやれとし立ち上がり扉を開け尊を外へと連れ出す。尊が外へと出ると耳を澄ませる。

ーアヒャヒャヒャ。ひーはーーーっ

「気味悪い笑い声のやつ」

「笑い声に関しては同感」

小さな爆発が起きると更に何度も起きる。

「あそこね」

「ヒャハハハハハハハハハ」

砂煙と共にピエロの姿をした男がこちらに走ってくると尊たちを見つける。

「やっほおおお!!」

ピエロが剣を無数に浮かせ尊たちに飛ばす。尊が氷の龍で一掃しピエロが飛び上がる。

「わっほおっ」

尊たちの上を通り過ぎながら姿を消す。尊が即座にルクレイシアの首に剣を当てようとしたピエロの剣をピエロの手を握り防ぐ。ルクレイシアがすぐさま後ろに下がりピエロが尊をまじまじと見て目を輝かせる。

「あっらあ美形。そこの女よりも綺麗じゃないかあ」

ルクレイシアがカチンと来る。尊がピエロを投げる。

「そこで腹立てるな」

「立ててないわよ!」

「うふふふふ」

ピエロが構える尊を楽しくみる。

「いいねえ。いいねえ」

ピエロの手から棘の生えたヒモが現れたうようよと動く。

「捕まえて私のお人形にしてあげる」

「却下だ。後なんでこんなのが元大老候補者だ?」

「竜の骨を喰い」

ピエロが横を向きロレンシオがユーリ達を連れ来る。

「おかしかった頭が更におかしくなりすぎた」

「ルォレンシオオ」

ピエロがロレンシオを振り向く。

「久しいなあロレンシオ。忘れたとは言わせ」

冷たい風が吹き荒れるとピエロが後ろを振り向き尊が氷の巨大な龍を作り上げる。

「んなああああっっつ!!?」

「ちょっと!!」

猛吹雪になる中ルクレイシアが風を塞ぎながら声を上げる。尊が手を挙げ龍が上へと上昇し結界に当たるも破壊し空を飛ぶ。

「己っ」

「ヒャッハァーー!!」

ピエロがロレンシオへと向かうも凍てつく氷の礫がピエロを凍らせ氷の柱に閉じ込める。

「な、あ」

ピエロが震え氷の柱が震えると周りが溶け始めるが鎖が巻きつく。

ー眠れ。

ピエロが止まり動かなくなる。ロレンシオが白いと息を吐きながら空を睨み悔しく歯を噛み締める。そしてランスロットが部屋の中でポテトチップスを食べながらどうするかと考える。その足元に切り刻まれたロードとシンがおりシンが唸りランスロットを見る。

「尊がいったな。しかもこちらがくれてやった部屋ごと」

「へ、やごと」

「ああ。さて、どうするか」

ランスロットが考え始め一瞬目を離した途端シンとロードが姿を消す。ランスロットがやや目を丸くし前を振り向きロードを肩に担ぐ血まみれの尊を見て吹き出し笑う。

「驚いた。いつ入れ替わった?」

「出たくらいだ」

尊の周りに氷の壁が現れる。

「向こうでしばらく療養しておけ尊」

「しばらくどころか二度とここに来るか」

「どうかな」

氷の壁が壊れ2人が消える。ランスロットが楽しく笑いながらポテトチップスを食べた。


氷の竜の上にシンがしがみついていたが柱が現れ傷だらけの尊とロードが姿を見せる。

「尊殿その傷はっ」

「あのピエロです。ピエロ。裸体の王様が来て助けてくれましたよ。シンさんに化けた俺とロードさんを。必要な人材として」

「…」

尊が薬を出し飲むとはあと息を吐きロードに治癒を施す。

「大樹の樹液の薬は?」

「あれはまだ出来上がってませんから。地道に治療です。とりあえず止血どめ。後、また悪いけど、紬ちゃん」

尊が髪を出し念じていった。


ーま、たあああ。

紬がベッドにうつ伏せになり痺れヒカルが呪いを読み解く。傍にタイシがおりヒカルが話す。

「尊がイーロン方面に迎えに来てもらいたい。今すぐ」

「分かった」

タイシが急ぎ外へと出ると回復した紅蓮を呼び紅蓮にまたがり空を舞う。そしてシンが青ざめた尊の体とロードを支えながらひび割れる龍と近づく地面を見る。そこに紅蓮が来るとシンがドキッとしタイシが飛び乗り三人を浮かせ紅蓮へと飛び乗る。尊が目を閉じ氷の竜が宙で破壊され氷の礫が地上へと落下した。


ピエロが目の身を動かしロレンシオ達を見る。ロレンシオもだがランスロットがおかしく見上げていた。

ーお、のれえええ。

「どうされます?」

「あれを殺すには私でも骨がいるからこのままにしておく」

「はい」

氷が震えるとランスロットがその場を去る。

ーロレンシオっ。ランスロットオオオオオオオオ!!!


「いてええ」

尊が治癒を施されていく。その治癒を樹が行っており、傍にナガハラが治癒される怪我の状態を確認していた。

「なかなか鋭い切れ味だから治りは早い」

「はい……」

「お前も苦労したな」

「本当だ。裸体の王様にどんだけこき使われたか。俺のとっておきのワインやつまみも」

「ワイン?が?」

樹が呆れ、尊が話す。

「取られました。保管してたの全部」

ナガハラが樹の頭を掴み指圧をかける。

「なんで、俺っ」

樹が手を剥がし、尊が話す。

「作ればありますから。でも半年かかります」

「くそがっ」

「そんなきれないでください。そして俺に当たらないでくださいよ…」

「どうした?」

タイシがその場に来ると樹が話す。

「ワイン全部ランスロットにとられたんだと。それで先生キレて俺に当たった」

「尊さん…」

紬が顔をしかめながらその場に来る。

「ごめんな紬ちゃん」

「もっと別の方法なかったですか…」

「それが手っ取り早く見つからない方法だったんだ」

「そんなあ」

尊が空間からお菓子を出す。

「これお詫びだ」

「おー。うわあ」

紬が目を輝かせお菓子をもらうと嬉々としながらその場をさる。

「単純」

「くそ。腹立たしい」

「尊。話は明日してもらっていいか?」

「ああ。ロードさんとかは?シンさんも」

「ロードなら父親達が見ている。シンはエリスが話を聞いている」

「はい」

「本当にないのか?」

「…」

尊がこれならと樽を出す。

「ビールです。まだ試作段階なんで美味いかはわかりませんしビールは俺は飲んだことないのでこの味かは」

「樹コップ」

「はいはい」

樹がコップを出すとナガハラが蛇口を捻りビールを出し早速飲む。そして冷やせと命じると尊がビールを冷やしナガハラが再び飲んだ。


「何仕事中に飲んでるんだ」

ヒカルがやれやれとしナガハラがすんとする。その目の前に眠るロードと傍にいるあの老夫婦がおり、ナガハラが話す。

「軽い試飲だ軽い試飲」

「まったく」

ナガハラがしっしっとヒカルを手で払い老夫婦を見る。

「尊よりも酷くはないな」

「助けてくれた方ですか?」

「そうだ。今は血を流しすぎて貧血になって寝ているだけだ。起きたら鉄分のある食事を食べさせて2日安静にすればいい」

「はい」

「良かった。本当に良かった」

老婆が涙目でロードの手を握り老人が頷いた。


エリスがシンを連れ尊、タイシ達がいる部屋へとくる。

「終わりました?」

「はい。あと、お話を聞きました。ギルドで再調査することになりました」

「ええ」

「まあ、戻りはしませんけど」

シンがつんとし、樹が話す。

「プロラテだったか。変わった名前だな」

「プロラタだったら向こうの言葉では金融用語になるけど」

「どうでもいいわ」

樹がタイシに突っ込むとタイシが複雑な面持ちをする。

「とりあえず戻ったんで明日から薬使って販売する」

「なんつうか、平気か?お前の妹のも」

「その妹から言われそうだからな。一度保護した人たちの方に顔出してから行く。それと、シンさんは俺が連れて行っても問題ないですか?」

「はい。お話は聞きましたし尊さんが責任を持たれるならいいとのお話でした」

「ええ。なら、早速」

「まず休め」

「ああ。今日は休め」

「いや俺は」

タイシが頭を振り樹が休めた告げると尊が渋々と頷き返事を返した。


ルーシャスがミオとダリスをイオと共に見ていた。

「ミオは、叔父上の事を想ってるんでしょうか…」

「私には分からない。2人が出た時に聞くしかない」

「……」

「ルーシャス。そちらは今犯罪者としての扱いと、王はお前を王子から除籍した。もう王子でもない」

「構いません。どうせそのつもりだったでしょうから」

ルーシャスがイオから離れる。

「行くか?」

「ええ。もう、何もしません。ただ、父達の思惑にもなりたくありませんが一度戻らないといけないことがあります。2人をお願いします」

ルーシャスが去っていきイオが再び眠るミオ達を振り向くも背を向け小屋へと入った。


青あざに切り傷、そして両手の爪を剥がされたステファンが力無く牢屋の中に倒れていた。しかし小さな悲鳴が上がり倒れていく音が響く。ステファンが目を覚まし体を起こすとルーシャスが立っておりルーシャスが鉄格子を破壊し中へと入りステファンの拘束具を壊し腕を肩に回し立たせる。

「ミオ様は…」

「叔父上と一緒だ。お前は父達の手が届かない国外の療養院に届ける」

「一緒に行きます」

「だめだ」

「いいえ。私は貴方の生涯の騎士としての立場です」

「もう王子でもない」

「構いません。私は貴方について行きたいのです」

ルーシャスが口をつぐみステファンが話す。

「お供しますルーシャス様」

「…ああ」

ルーシャスが移転術式の魔法陣に足を踏み入れると地下牢から姿を消した。


ーっしゅん。

顔を赤くし風邪を引いたルクレイシアがくしゃみをする。エステルが飲み物を出す。

「ありがとう。あー、腹立つわあの男」

「…私も連れて行って欲しかったな」

「ろくな目に合わないから連れて行かなかったのよ」

「そうでしょうか…」

「とにかく、私は腹立つわ」

ルクレイシアが飲み物を飲みはあと息を吐き、エステルが表情を曇らせた。


「来たわね尊」

ギルド長のエルフが指差すも尊が無視し多い薬草を苦笑する受付へと渡す。

「これ売りで」

「あ、その、はい」

「聞きなさい!」

その隣にいるシンが軽くため息をしエリスがふふっと笑う。

「ユハナ。相変わらず元気ね」

「そうね。貴方は相変わらず大人しい事。尊」

「なんですか?今忙しいんです」

「ほかに任せて私の話を聞きに来なさい」

「ここでいいならここで済ませてください」

「本当に腹立たしい男ねっ」

ユハナが怒り、尊が話す。

「結構。で?」

「ふんっ。貴方に依頼よ。アルスマグナ」

「却下。別に回してください」

「エス!!!ランカー!!」

「嫌だから言ってんですよ。俺そこからようやく戻って来れたんですよ」

ユハナがしるかと叫び尊がうんざりとしながら断って行った。


20分後ー。

「取り敢えずはいで返して俺たちに回せばいい」

「ならはいで頼むな」

「そこ!!」

やって来たタイシへと突っ込むもタイシが複雑そうにしユハナが苛立つ。樹がやれやれとし陸奥が話す。

『別にそれでいいんじゃない?』

「よくないのっ」

『あと誰の依頼?』

「各国の王たちよ。署名入り」

ユハナが依頼者を見せると陸奥が手にし樹と共に見るがタイシ達もまた見る。

「タイシは見たんじゃないのか?」

「俺はアストレイ軍としてのこともあるからはいと返事を返した」

「ああ」

「俺この2人の王嫌いだから却下」

「そこ部外者は黙ってなさい」

「こらロードおお!!」

「いた!尊!!」

病室から抜け出したロードが走り尊の元へと来る。尊がやれやれとしロードが息を弾ませる。そして老婆が息を弾ませ小走りで追いかけて来たのがわかった。

「ロードさん。抜け出してはだめですしお母さん困らせたらだめですよ」

「後で謝るから。あと。あわせてくれてありがとう。そして、まだ以外の話を聞いてないから聞かせてくれ。でないと落ち着かない」

「いやまず体を」

ロードの首元に針が刺さるとロードがビクッと跳ねるがそのまま尊に倒れ目を回す。吹き矢で気絶させたナガハラが苛立ち向かいヒカルが気まずくロードを肩に担ぎ回収する。

「父さん押し倒して行ってさ…」

「ヒカル行くぞ!」

「分かったから声あげるな。じゃあ」

ヒカルがついて行き老婆が頭を下げ同じくついていく。

「目の前が見えなくなるタイプか。そこのエルフのギルド長と一緒か」

「一緒にしないでちょうだいっ」

「ならタイシ。俺は参加するけどあとはお前に任せた」

「ああ。わかった」

「それで納得させないわよ!!」

エリスがもうと声を出しユハナが抗議し尊が終わり終わりと告げシンと共に外へとさっさと出て行きタイシが自分もと、樹はギルドじゃないからと同じく出る。

「たけるううううーー!!!」

「叫んでんぞ」

「無視無視」

「はい」

「なら尊。その時になったら知らせる」

「ああ。悪いな」

「いや」

「それよりタイシ。お前はアルスマグナ関係で何か言われないか?」

「言われるのは妹の心配事。後は対策。そして、元から俺を嫌ってた連中からの文句だな」

「なら、周りからとやかくは言われてないのか」

「ああ」

「そうか。あと、悪魔の道化師はしってるか?」

「ああ。まさかアルスマグナに?」

「そのまさか。元々そこの住人で元大老候補者とのことだった。名前はベック。お前のところにいる人たちは知らないのか?」

「後で生まれたからか知らないとのことだった」

「そうか。まあ、そのベックだがランスロットもだがロレンシオを恨んでいる。で、逃げる前にヤバい奴と分かってたから俺の力で封じてきたが乱暴に封じたからすぐに解ける状態だ」

「ああ」

「性格は?」

「ひゃひゃひゃとかひゃっほおとか」

「ああなんとなくわかったわそれで」

尊が頷き、タイシが話す。

「イーロンでミーアさんと魔導局の局長が封じていたんだが解かれていたんだ。死体も何もなかったので誰が解いたかは不明だ」

「自力で解いたとかは?」

「難しいしオリハルコンを使った檻の中にいたがその檻もなかった」

「なら、盗まれたわけか」

「ああ。オリハルコンを集めている連中がいる。アルスマグナとは別組織でそいつらかもしれない」

「まだそう言ったのがいるのか…」

「俺たちの故郷のマフィアみたいなもんだろう。学園は?」

「しばらく休校。何せ槍の雨でボロボロだからな」

「迷惑な話だ」

タイシが頷き樹がああと返事を返すもぱしゃりと写真を撮られると呆れナナオがどうもと楽しく笑んだ。


ナナオが茶を飲み、尊が話す。

「北海道からか」

「その通りです。ミオちゃん達と同じ年齢になりまーす」

「ああ」

「テンション高いな」

「それが私のいいとこなんで。あ、そうそう。エイダ姫の方は前よりもおとなしくなったから。こっちも報酬たんまりもらったよ」

「ああ」

「またよろしくとも言われたから。あ、タイシ君にもよろしく伝えてだって。それから桜ちゃんのいるところわかったよ」

タイシがハッとしナナオがタイシの肩を指で叩くとタイシが汗を滲ませる。

「忘れてたねー。忘れてたなあ」

「…」

「桜?」

「ああ…。俺がいた孤児院の同期だ」

「ああ」

「連れ去られたらしくてね。マナさん達といたそうなんだよ」

「え?」

「オラクルとはまた違う別組織の手のものが師匠達を捕まえたそうだ。師匠が苦手なものを使って動きを封じたらしい」

「苦手なものってなんだ?」

『穢れだよー』

陸奥が樹の頭の上に座りながら話す。

『僕たちは人の穢れた血が苦手でね。特に死体はキツイ。普段は術を使って臭いとか防いでるんだ』

「ああ」

「ならそれにやられたわけか」

「そう」

「ああ。その時に桜がさらわれた。そして奏さんが師匠達を助けたそうだがその場に桜はもういなかったそうだ」

「そう。そして最近分かったのが王室と繋がりのある貴族の人が病弱な妻として迎え入れてるんだ」

「桜本人は元気すぎるがな」

「ああ。後病弱設定なら隠すのにもってこいだしな」

「そう。で、またここが驚き。その貴族は最近皇太子を廃嫡させられたルーシャス元皇太子とダリス枢機卿と繋がりあってね」

「血は争えないかあ」

「ダリスさんは違うがな」

「はいはーい。まあとにかくそこまで言えば分かっての通り、桜さんはルーズウェル共和国にいるわけ」

「あそこか…。正直苦手なんだよな」

タイシが複雑そうにし、尊が話す。

「アストレイに続く都市国家だろ?」

「ああ。だが、治安が悪いし、あの王は…面倒臭い」

「タイシが言うか」

「でも分かるなあ。アストレイの元王に次ぐ異界人嫌いでも有名だから。でもこれは噂。隠れて異界人を愛人にしてるって話」

「へえ」

「まああくまで噂だから。ちなみにダリス枢機卿のことはとっても大嫌い」

「ルーシャスは?」

「嫌いみたいだね。我が息子に嫉妬してるのと、元々嫌いで亡くなった元女王との間に生まれた子だからだね」

「へえ」

「その後自分の推しの女性と結婚したんだ」

「あー」

「そして昨日、ルーシャス皇太子殿下だけだ捕らえれてた自分の秘書であり従者だったステファンを地下牢から出して逃げてるって」

「え?」

「ルーシャスが?ミオのところにもういない?」

「確かか?」

ナナオが目を丸くし頷いた。


ルーシャスが熱を出したステファンを背負い鬱蒼とした森の中を進んでいた。そして膝までの高さしかない平たく四角いものが見えるとその四角いものに座った勉がいた。

「勉殿…」

「…」

勉が立ち上がり背を向け歩きルーシャスが勉の跡を追った。

ー君タイシ君達できて性格丸くなった?

ー五月蝿い。

ステファンが声で目を覚ます。そこに勉とリュウ、ルーシャスといた。

ーリュウ将軍…。

「お前も兄と」

「あーはいはい言わないでよ」

「バカか」

「ステファン」

ステファンがルーシャスを振り向く。

「ルーシャス様…」

「ああ。あと、すまない。お前のことは2人に任せた」

「え…」

「そこのなよっとした奴だけだ」

「なよって言わないでくれる?」

「私はアルスマグナに戻る」

「なぜ、ですか」

ステファンが体を起こそうとするが起きれず顔を歪めルーシャスが話す。

「あそこにはまだ私についてきたもの達が残されている。そして、私も印をつけられている。ここも見つかる」

「そんな…」

「ああ。だから早く行け」

リュウがやれやれとしルーシャスが立ち上がる。

「ステファン。約束は守れない。今まで着いてきてくれたこと感謝する」

「そんな、ルーシャス様…。ルーシャスっさまっ」

ステファンが去って行ったルーシャスへと声を上げ顔を歪める。勉が早く行けとリュウへとジェスチャーするとリュウがはいはいと頷き横たわるステファンを抱き上げ部屋を出た。


ーお腹すいた。

ダリスが目を覚ましぼうと天井を見上げる。だが物音がすると横を向きテーブル一杯に乗せられた料理を貪りたべるミオがおり、ミオが食パン一斤手にし丸ごと口に含みたべるもダリスと目が合うと一瞬固まり顔を真っ赤にしゆっくりと顔を背ける。

「…ふぁ」

ダリスが軽く吹き出しぶくくと笑いミオがますます顔を赤くし縮こまる。

「起きたね」

「うん。あとお腹空いてない?ミオは起きたらお腹空き過ぎて倒れたの」

「私は空いてません」

ダリスが起き上がり傷のない手。そしていくつもの深い傷のあったが綺麗になった顔と触る。

「も、もう、なんほ、も」

「ええ」

ミオがこくこくと頷きくとごくとパンを飲み込む。そこにイオが水を持ちくる。

「食事を食べて明日まで休んでいけ。すぐすぐはいい」

「はい」

「ルーシャスですが…その、出て行ったそうです」

「多分ステファンのところでしょう。共犯者として投獄されましたので」

ミオが表情を曇らせ、イオが話す。

「皇太子を除籍されたとのことでもあった」

「元々実父である皇太子や祖父の王に嫌われておりましたから」

「なんででしょうか…」

「理由は何にでもある」

イオが水を置き椅子に座る。

「アルスマグナはあれから何もないが、まだアルスマグナが送った機械人形、魔獣達があちこちと彷徨いてはいる。元からなのかもだが、いずれにしろ以前と比べ各国へと向かう道は行きにくくなった」

「私がここに来る時も襲ってきましたからね」

「ああ」

ミオが息をつきパンを見下ろしちぎって食べる。

「またかぶりつけばいいのに」

「ばか。遠慮してんのよ」

妖精達に言われたミオが再び顔を真っ赤にし項垂れる。

「明日出るのなら南に迎え。お前は嫌かもしれないがルーズウェルの国境沿いに出る」

ミオがイオ達を振り向き、イオが話す。

「ここは行きも帰りも一方通行だからな。出口はそこしかない」

「分かりました。まあ、国境沿いなら問題ないと思います」

「ああ」

「その、ルーズウェルはダリスさんの故郷ですよね?」

「はい」

「なら、お墓参りしませんか?」

ダリスがミオを見るもミオがお腹を鳴らすとすぐさま顔を背け赤くなりながら食べていくとダリスが小さくふっと笑うも、ふと考えて行った。


ーこれは。

ルーシャスが氷の柱に囚われたピエロを見上げるとピエロがルーシャスを見て不敵に笑う。そのルーシャスの傍にカテリーナがおりカテリーナが話す。

「元大老候補ベック。そして、悪魔の道化師と呼ばれた惨殺者」

「悪魔の道化師…。イーロンの噂で聞いたことがある。夜に現れる奇妙なものがと」

「ええ」

「なぜここに?あとこれは?」

「尊の封印。乱雑ではあるけど暫くは解かれない」

「解かれた後は?」

「また封印する予定よ。彼は死なない体なの。始祖の竜の骨を盗み丸ごと飲み込んだ為に死なない体になったの。首を切られても生え変わり、溶岩に落とされても溶けきれず、とね」

「だから封印を…」

「そうよ。あとこっちよ」

カテリーナが進みルーシャスがその後に続く。

ールーシャス様。

男や女達6名がその場に来るとルーシャスが話す。

「すまない。何かされてはなかったか?」

「いいえ」

「皆様のお世話くらいです」

「そうか」

皆々が頷くも機械人形が来る。

『こちらにいらしてください』

「ああ」

「ルーシャス様。私達は何があろうと貴方様の元におります」

ルーシャスがやや目を伏せ無言でその場を去る。そして機械人形が王座の間の入り口へと案内するとルーシャスが汗を滲ませる。

「戻ってきたかルーシャス」

ランスロットが背後から現れルーシャスの横を通り過ぎる。

「印が、つけられていたと」

「ああ」

「ミオには」

「あれにはつけていない」

扉が開くとランスロットが進みこいと手招きルーシャスが後に続き中へとはいると扉がしまる。

「ミオは、必要ないですか?」

「ある時とない時がある」

「…」

ランスロットが止まりルーシャスを振り向く。

「私は、ミオを守りたい。貴方に」

「ならば、私に従えルーシャス」

ルーシャスが口をつぐみ、ランスロットが楽しく笑む。

「いいな?」

「…はい」

「ああ」

ランスロットが前を歩くとルーシャスが後に続いた。


翌日ー。

マントにフードを被ったミオとダリスがルクスにまたがり霧の道を進む。そして霧が晴れた途端森から出て目の前の国を見る。

「あれがルーズウェルですか」

「はい」

周囲にでこぼことした穴とその周りに砂漠が囲むように出来ていた。

「変わった土地です」

「昔からああなのです。痩せた大地でかろうじてではありませんが、輸入により食物を賄えていましたが今は難しいですね」

ダリスが遠くを見ると死体であろう群がる魔獣達を見る。

「びいいこここここおおおお」

ぴこらげがミオに飛びつくとおいおい泣きミオがぴこらげを抱く。

「ぴいちゃん。ごめんね心配かけたね。ごめん」

ぴこらげがえぐえぐと声を出すと触手を森へと向ける。すると森からタイシとサイモンが姿を見せサイモンが安堵の笑みを浮かべタイシも涙ぐむミオを見て笑んで見せた。


「妹ちゃんよおおお」

奏がミオを抱き頭を撫でていく。そこにエリス、ため息をする音哉、やれやれとする樹と陸奥がいた。

「うるせえ」

『ねー』

「恥ずかしい」

「外野黙ってろごめんよ何も出来ずにいい」

「いえ」

「驚きました。ぴこらげさんが突然ミオ様が来たと言われたので」

「ええ。ここに出るとイオ殿がおっしゃいましたこら。後なぜここに?」

ダリスが尋ねると陸奥が話す。

『まあ、元々は桜のことでだよ』

「桜?」

「タイシの向こうの孤児院の同期で同じようにここに攫われて連れてこられたんですよ。アスクレピオスの遺体を運んだ奴です」

「ああ…。あの少女ですか。その方がこちらに?」

「はい」

「セシリオルーズヴェルトのところにいるんです」

ダリスが気まずくする。

「セシリオのところにですか…」

サイモンがはいと返事を返し、ミオが話す。

「ご存知ですか?」

「ええ。私の従兄弟の兄弟です。父側の方になります」

『あと、この国に竜の生きたままの死体とオーブがあるんだよ』

「え?」

『砂漠化が証拠であり、僕と同じ気配がするからね。あとオーブの気配も』

「ああ。だから、それらも掻っ攫う予定」

「元に戻す。もう、死体は死体でしかないからまた生まれ変わらせる」

「ええと、その生きたままの死体って」

『ゾンビって奴だよ』

「ああ。動く死体だ。ただし、またが見た話じゃ厳重な鎖と結界で封じられているらしい」

『そう。そのままエネルギーだけ取られてるの。そしてそのエネルギーを、あれ見て』

ミオ達が振り向くと大きな音と共に光が現れる。そして魔獣達に当たり一掃する。

『あれさ。あの魔道砲や魔導士達の力に変えられてるんだよ』

「そんな」

「そしてアルスマグナ異常の問題がある」

ダリスがタイシを振り向きタイシがダリスを見て話す。

「竜の力が増してきています。原因は不明です」

「不明?」

「はい」

『僕もこっそりでゆっくりは見られなかったからね。おそらくわざと増してそしてエネルギーを供給してると思う。とにかく急いだほうがいい』

「はい」

「それでこのメンバーなんだよ」

奏がミオを後ろから抱きながら告げると音哉がため息をする。

「ちなみにそこにいる姉さんは中で指名手配されてるんです。二度暴れたそうですから」

『一度目は酔っ払い。二度目は盗み』

「二度目の盗みは正当っ」

「どうあれ盗んだんでしょうが」

「オーブをね。それは紅蓮に渡し済み」

「全く」

「オーブがいくつあるのですか?あそこに」

ダリスが尋ねると奏がやれやれとする。

「私が知る限り6つ。前は8つあったけど2つ取り返した。もしかしたらエネルギーの元はそのオーブの可能性が高い。そうなるとめっぽうまずいし周りの国が滅ぶ。前竜達が話した通り龍はその土地を守っている。ラファエルが作り出したのは元々アルマグナ以外は枯れた土地だった。だからその土地を管理する為に龍とオーブを作ったの。そしてそこに人が住み着き国を成した。で、今やその人のせいで脅かされてるわけだ」

「なら、オーブを取り返せば」

「ひとまず、どの土地のオーブかにもよるけど土地の環境改善に役立つね」

ミオが頷き、タイシが話す。

「陸奥の話だと俺も手配されてます。アルスマグナの件で」

「はあ…」

「後私とダリス。クリス殿もです」

ダリスが頷きやれやれとする。

「ま、こうなったらなんで正面突破しかないわけ。魔獣達もいるから。後各国の王達の呼びかけにも応じなかったからさくさくとやってくれになった」

「さくさくですか…」

「そう」

「あの」

ミオが手を挙げる。

「魔道砲とかあるのに、正面突破出来ますか?」

「出来る」

「いや無理」

『無理無理』

「ああ。出来ないから地下通路をいく」

「姉の意見は無視していい」

奏がふんと鼻を鳴らし、タイシが地図を出し話していくと周りが話を聞いた。そして地下通路を進む中、ダリスがタイシから借りた剣を腰に差し進んでいきサイモンが心配そうに見つめる。

『サイモンより強いからヘーキヘーキ』

「全快してるから問題ないでしょ」

「そ、そう言われましても…」

「ええ。それにどうあれ親族問題でもありますから」

サイモンが複雑そうにし陸奥、樹が頷く。

「ミオは?平気か?真っ二つにされたと聞いたぞ」

空気が変わるとミオが頷く。

「はい」

「ほんちゃに?」

「無理しなくていいからね。本当無理しないでよお」

「ミオ。あとで見せてください」

「いや、平気です。もうなんともないです。元気ですからね。ね」

ミオがあたふためくとタイシたちとが後悔の念に晒されるとさらに心配ないと告げた。


ールーシャス。

ランスロットが裸のルーシャスの髪にオイルを塗りながら話す。

「迎えに行って欲しいものがいる」

「迎えに?」

「ああ。龍だ。いい加減に返して貰う」

「とらわれているのですか?」

「ああ。お前の祖父達の手によって」

ルーシャスが目を見開きランスロットが櫛を手にし髪をすく。

「道は開ける」

ルーシャスがはいと返事を返しランスロットが頷き髪を一房すくい鼻に近づけ匂いを嗅いだ。


ーふふ。

桜が2人の赤子を抱き上げ微笑む。傍には2人の乳母達がおり、1人の黒髪の赤子は明るい女児で、もう1人の金髪の赤子は欠伸をしていた男児だ。そして2人とも青い目をしており2人で桜を見上げると桜がうっとりとする。

「可愛い」

「はい」

「本当愛らしいお二人ですわ」

「ええ」

そこにセシリオが来ると乳母達が頭を下げる。

「桜と話をしたい」

「はい」

「なら、子供達抱っこしてからね」

桜が2人の子供を向けるとセシリオが抱き上げた。そして乳母達が赤子達を連れいなくなる。

「ルーシャスを皇太子から除籍させた話はしたな」

「ええ。私はおかしいと思う」

「ただ、罪は犯している」

「殺人はしていないわ」

セシリオが桜をじっと見る。

「どうかは、わからない」

「無理ね。あと、今までルーシャスが行ってきた事は?民衆が黙ってないと思う」

「その通りだ。ああ」

セシリオが咳き込むと桜が話す。

「セシリオ。働きすぎてない?無理してない」

「いや。それよりか。暫くここを出て別の場所に行かないか?」

「どうして?」

「落ち着かないんだ。ここのところ特に」

桜が頷きセシリオが告げる。

「アルスマグナの事もある。ここから近い場所にあるからな。だから、マーリス。あちらに行こう」

桜が分かったと頷いた。


ーまただ。ここのところ声がする。

踊り子の服を着た褐色の肌と青い目の黒髪の女が首や手足を細い鎖に繋がれていた。そこは地下の部屋の中で光が差し込まず薄暗かった。

ーどんどん強くなってる…。

きいと音が響くと女がビクッと震え伸びる影を見る。そして白髪の老人が来ると女が冷や汗を流し男が不敵に笑う。

「相変わらず怯えているなアイリスー」


ーいや。もう嫌…。いやあ。

暗い中赤い二つの光がより明るさを増す。陸奥がぞわっとし震え、樹が話す。

「陸奥」

『なんか、怒ってる感じ…』

「危険度は?」

『5のうちの4』

「爆発寸前だな」

『共鳴しているな』

紅蓮が姿を見せる。

「共鳴?」

『ああ。待て』

紅蓮がその目を閉じる。そして目を開けると横を向く。

『ちょうどこの先に隠し部屋がある。そこだ』

「ああ」

「なら、ぴいちゃん」

「はいだじょ」

ぴこらげが丸いアンテナを壁に当て光を当てる。すると壁が透明化する。

「おー」

「物体透視か」

「やるねえぴこちゃん」

「ふふん」

さらに壁が透き通ると褐色の女、アイリスがシーツに包み俯き震えながら泣いていた。

ー怖い。助けて怖い。嫌。

アイリスが前屈みになる。

「もう、嫌。あっ」

突然足元が崩れるとアイリスが落下するも浮かびそのまま地面に降り立ち座る。アイリスが闇を見渡すと赤い二つの光が姿を見せる。アイリスがその二つの光を見上げる。それはぐずぐずの肉をわずかにつけた巨大な骨となった竜で、全身鎖がまかれ結界がはられていた。

ーこの感じ…。

「私にずっと呼びかけて応えてたのはあなた…」

ひゅっと音が響くと肩に槍が当たる。アイリスが倒れ苦しく声を上げただ真っ赤に染まる腕を握り身を丸める。

「だれだ!」

「女か!どうやって入った!」

アイリスの髪を見張りの兵士たちが掴みアイリスが涙を流しながら小さく唸る。

「どこから入った!」

龍が声を上げると結界が震える。兵士たちが固まり、龍が結界に体当たりしていく。

「まずい…」

「魔術師達を呼べ!!」

結界にヒビが入る。そして音を立て破壊されると鎖が解き放たれる。兵士たちが叫び逃げるも龍がすぐさまその手を向け押しつぶす。そして気絶したアイリスを向きゆっくりと宙に浮かせると今度は傍にいたルーシャスを見る。ルーシャスがその龍を見上げると跪き頭を深く下げ地につける。龍が足をあげルーシャスへと向けるも。

「何も、私には出来なかった。気づきもしませんでした。申し訳ありません」

足が止まり引く。

「長い間、苦しまれておられたのに。力無くただただ言葉にしか、謝罪でしか」

ルーシャスの横に矢が突き刺さる。龍が前を見ると明かりがらんらんと灯る中老齢の男とボウガンを持つ兵士たちが構えていた。

「ルーシャス。貴様だなドラゴンの封印を解いたのは。本当に愚息だな」

「…」

「聞いているかルーシャスっ。この恥さらしがっ」

ルーシャスが顔をあげ立ち上がり男を振り向く。

「聞こえてはいるな」

「父上。あなた方が行っているのは龍との間に結ばれた盟約違反です。そして、龍の力を利用し武器を使っている。今すぐにおやめください」

「却下だ」

「このままでは国が滅びます。すぐに」

男がボウガンをルーシャスへと向け放つとルーシャスの右腕に突き刺さる。ルーシャスが奥歯を噛み締めるが左腿に突き刺さると痛みを堪える。

「お前の犬だったステファンはどこだ?」

「ステファンは、犬ではない…」

「仲良く共に」

「本当に」

男が後ろを振り向きダリスが冷徹な目を向ける。

「貴様らは屑以下だな」

男の視界が変わる。ダリスが男の腹へと蹴りを入れ強く蹴り飛ばすと男が転がりそのまま白目を剥き痙攣する。

「なあ」

兵士たちの体に触手が巻かれるとぴこらげがにやっとし電撃を放つ。ルーシャスが腕で光を妨げながらアイリスを見上げる。

ー異界人か?

「ルー!」

ルーシャスが目を見開きミオが走る。

ーミオ…。

「ん…」

アイリスが目を覚ますも痛みに顔を歪め唸る。

「あ、くう」

ミオがルーシャスの元へと来るも髪を握り匂いを嗅ぐ。

「…」

「なんでまたあの下衆男のところに」

「…私についてきたものがいる。まだあそこに」

いくつもの音が響くと龍が尻尾を振りルーシャス達へと向けられた矢を祓う。そして、今度は眩い光が現れる。ミオが驚き、老人が冷ややかに見下しながらひかる砲台の横に立っていた。

ーこんな、ところで使えばっ。兵士がっ

ルーシャスがミオを押し退け地面に手をつけ、砲台が光を放つとルーシャスが作り上げたいくつもの土壁を貫く。

「国王!!」

ルーシャスの前に人影が立つと光が散開し消える。

「なっ」

「あなたに王は相応しくない」

青く光る髪をなびかせるミオが男を睨みつける。

「な、にをっ!この小娘が!余に無礼をほざきおって!!」

「ミオです」

ミオの足元から緑に光る蔓が現れると龍を包み込みアイリスを包み込む。アイリスが目を見開き徐々に痛みが引く腕を見る。

「え…」

「盟約違反の最高刑は死刑です」

ダリスが淡々と告げミオが頷く。そして龍が光りアイリスが下ろされるとその手に光る卵が現れる。アイリスが驚きながら卵を抱き止め包む混む。

ー暖かい。

ー気持ちいい。暖かい。心地いい。とても、とても。

アイリスが涙を流しその卵をぎゅと抱く。

「己っ。道具をっ。余の物を勝手に」

「龍はあなたのものじゃない」

「余の物をだ!!」

「違う。そして死ぬまで酷使続けた。苦しみを与えた」

「龍とて人に苦しみを与えた害悪だ!!余はそれを有効的に利用したのだぞ!!」

ミオがむうとしダリスがやれやれとする。

「救えない。これが身内だから恥ずかしい」

「兵士たちが後ろにいるのに攻撃しましたよね!大切な国民ですよ!」

「はっ。国のための犠牲だ!」

「じゃああなたが向けられたら」

「余は王だからな。そのようなことをすればただではすまさん。苦しませて一族郎党処刑だ」

「なら、ダリス枢機卿の実の母と家族は?父親もです」

「うるさかったからな。殺してくれたわ」

ダリスがふふっと笑うと老人が睨みつける。

「何がおかしいっ」

『やっほお』

陸奥が水晶を持ち飛んでくる。

『ダリス。ちょっと。親殺されたのに笑うって』

「もう知ってますから。あと、いい花向けになります。母と祖父母たちのね。一応父もですかね」

「なにを」

『はいご注目ー』

陸奥が水晶を光らせる。そして老人が目を見開き空に浮かんだ巨大なスクリーンとなった雲を見る。そして樹が面白く巨大スピーカーの上に座っており、老人が冷や汗を流す。

『なっ。なんだこれはっ』

「まあそうなるわな。な?」

樹が複雑そうにする囲んでいた騎士達を見る。

「盟約違反どころか国民すら捨て駒扱いの王だぞ。あの時の断罪で裁かれなかったのはギリギリか、龍の力を使って防いだかだな」

「……」

『こ、こんなっ。にせものだ!』

樹がやれやれとし、老人がダリス達を指差す。

「余を、嵌めようとっ。この悪行どもが!!」

ダリスがため息をし、ミオが通常に戻るも。

「何が悪行どもよ!」

アイリスがきっと睨みつける。

「異界人嫌いだと言って夜の相手をするのは私たち異界人ばかりだったわ!そしてこの龍も可哀想よ!ずっと冷たくて暗い中食べ物も食べられない体にされて力だけ吸い取られて死ぬことすら許されない!こんな地獄ありえない!!虐待どころじゃ済まされない!!あんたは悪魔よ!!あとあそこで伸びてる男も同じ!!その男のそこの息子の方がよく出来てるわっ。何も知らずに何も出来なかったと身内のやったことに地面に頭擦り付けてこの子に謝ってっ。この子は許したから兵士たちを死なせてないっ。だってのにあんたは自分の兵士もろとも殺そうと攻撃したっ。おまけにこの女の子も殺そうとしてっ」

口早にアイリスが言いつつ汗を滲ませるミオの腕を掴み引く。

「あ、あの…」

「この人手なしのすけべジジイ!!」

「その、お、落ち着いて」

「落ち着いていられないわよっ」

「いえ、本当に、落ち着いてください。もう十分です。あなたも苦しんできたのですから」

アイリスが奥歯を噛み締め項垂れ卵を抱きしめるとたまごが答えるように淡く光る。

「う、くう」

アイリスが涙を流ししゃくりをあげその場にへたり込み前屈みになる。

ー泣かないで。ありがとう…。

「誰に…」

ミオがはっとし奏が姿を見せ老人へと焔をあげ向かう。

「向けたって砲台を…。ああ?」

「ひっ」

「奏さんダメですから!ああもうっ」

「ルクス」

ダリスの足元からルクスが姿を見せると樹が目を丸くしみていく。

「いいのか見せて」

『奏殿を』

ルクスが動き奏の襟を噛み上げると奏がジタバタとする。

『こらこの犬!!』

「フェンリル」

「神の化身」

国中が驚くと老人が唖然とする。

「何故、何故その男に…。何故だっ。それは何もっ。何も。寧ろ奴隷だ!」

ー奴隷?

『ねね。そろそろもういうの終わりにした方が』

「奴隷だと言うのに枢機卿だとっ。選んだ者達の見る目のなさっ」

陸奥が呆れ、奏がむすっとする。

「そっくりそのままお返しするし」

『だねえ』

「奴隷だからと選ばれたのは枢機卿が出来る方だからです。そして」

「結構」

ミオがいい留まりダリスがやれやれとする。

「どうあれ叔父上。あなた方は盟約を破った罪があります。大罪です」

「勝手なことばかりほざきおって」

龍が老人を押し倒し押さえつけるとその牙を向け咆哮する。老人が悲鳴をあげ見ていた国民達も悲鳴を上げる。

『ロンド』

タイシと共に紅蓮が姿を見せるとロンドが紅蓮を見て僅かに目を伏せるも老人を睨み唸る。

『ランスロットの元か』

『はい』

老人の周りが透明な水晶へと変わると老人がその水晶の中へと閉じ込められ宙に浮かびながらもその水晶を叩き声を上げていく。

『ルーシャス』

ルーシャスが向かいミオが口をつぐませる。

「あっ」

卵を抱いたアイリスがロンドの隣へと来て宙に浮かぶ。

『紅蓮殿。タイシ様。あなた方は王の元には』

「行かない」

『ああ。あれは私の片翼をどうあれ食らったからな。お前達はお前達の考えのままでいい。だが、向かい合う場合はこちらも本気で向かう』

ロンドが息をつき頷く。

『御意。しかし此度は盟約にのっとります。この盟約についてまだ新たな盟約を完全に交わし切っていないので古き盟約のままの裁きを行います』

『許す』

紅蓮の額が赤く光り消えると王の額に赤い古い言葉の刺青が施される。

「そちらはその大罪人を。こちらは他を裁く」

『御意。ではこれにて』

「ルーシャスは?その女性はどうする?」

『ルーシャスは我が王ランスロットの命を受けて迎えに来ました。この女人については新たな龍の育てとして連れて行きます。御前失礼致します』

「育て?」

樹が軽く首を傾げロンドが3人を連れ空を飛び姿を消す。

「行ったなあ」

『やあれやれだ』

陸奥が樹の元へと戻ると樹が話す。

「陸奥。龍の育てってなんだ?」

『あ、うん。そういえば樹には話してなかったね』

「まったく。で?」

『うん。育てはその通り龍を人が育てるんだよ。ただし、生まれてから僕のような子供限定でね。で、育てについて名誉ある事でさ。ま、昔になるけど今も有効だし、盟約の結び直しでまた知られるようになったからね』

「どんな?」

『育てに選ばれた者はどんな国にも龍を連れて入れる。無許可でね。そして必要なものがあれば国は与えなければならない。無償でね』

「悪どい奴にとってはウハウハだなあ」

『そうならないよう僕達もちゃんと選んでるのさ』

陸奥が樹の頭に寝そべる。

『樹は僕の育て』

「なら厳しく行こうか?」

『えー、やだよ』

「やれやれだ」

尊が氷の竜に乗り来ると樹の隣に着地する。

『オーブは?』

「あった。全部回収」

尊が袋に入った淡く光る水晶を見せる。

「あと、ダリスのせいだダリスが悪いとか言うでかいのがしつこくついてきたから大変だった」

「あー、それ多分噂の兄だろ」

『だねー。なんでついてきたの?』

「知らん。あと、そう声を上げながらきたもんだから何がしたいかさっぱりで」

「いたな小僧!!」

尊が大きく息を吐き出し周りのもの達が小太りの男を振り向く。

「あれか」

『確かに似てないねー』

「ああ。あと悪いが最後の大仕事だ」

尊が城壁に移送術を張る。そして繋がるとアルスラン、ミーア達とが姿を見せる。男が硬直し尊が話す。

「王はアルスマグナ側で粛清。他はここで」

『うん。新しい命になった龍は育てと一緒に向こうが連れて行ったよ。ルーシャスもだね』

「ああ」

「ああ。分かった」

アルスランが返事を返し騎士達を見る。

「投降せよ。武器をおけ」

騎士達が1人、また1人と自らの剣を下へとおく。そして男が冷や汗を流し後ろへと向かおうとするが。

「久しぶりですね兄上」

男が硬直しルクスとサイモンを連れたダリスが笑みを浮かべ現れる。

「ダダ、ダ、リス」

「ええ。私に対する数々の冒涜に噂」

「い、やっ。私ではないぞっ」

「ハーン。出所はされているからな」

アルスランが告げ、ダリスが頷く。

「あと、金銭もでしたね。ああ。後で叔父上達にも請求致します。私の金をこぞって盗んでましたから」

「そ、それはお前から許可を得て」

「偽の印鑑が使われていた上、処理していたのはお前との繋がりのある銀行員だ」

「なんもかも暴露されていくな」

『だねー』

「ていうか、さっき俺追いかけながら散々枢機卿の悪口声あげて言ってたぞ。病気だな」

冷たい風が吹くとハーンが青ざめて行きダリスが笑みを絶やさずハーンを見ていく。

「…う」

ハーンが城壁を振り向き走り飛び出す。だが氷の竜が巻き付く。

「ひいえええええっ」

ハーンが震え歯を鳴らし尊がやれやれとするとハーンの胸元のポケットから紙を出す。

「胸元に移送用の術式があるのは分かっているからな」

「この人が枢機卿の異母兄かあ」

『血を争うどころか全くの別人だねえ』

「ぴこおっ」

ぴこらげが来ると尊へとくる。

「尊。ミオが突然倒れて寝たじょ。タイシがそばについてるから平気だじょ」

「ああ。あとまだ完全に回復してないからだな。すぐにいく」

「はいだじょ」

「ぴこらげ殿。その前によかったら」

「ん?」

ぴこらげが振り向きダリスがハーンを指差すと親指を首に当て右から左になぞる。アルスランが口を僅かにつぐみ、軽く咳をしぴこらげがハーンの頭に乗るとやや強めの電撃を浴びせた。

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