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運命のミオ  作者: 鎌月
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古代国アルスマグナ(前兆)2

尊がパンと飲み物、串焼きを頼みキムへと渡すとキムが小さく喉を鳴らし尊が向こうと指差す。そして街が一望できる橋へと来る。キムが景色を見ていき尊がここでいいなと橋の手摺りに乗せると早速食べる。キムもまた串焼きを頬張り食べながら景色を見る。

「あんまりゆっくり見ることないだろ?」

「あ、えと、はい」

「ああ。生きるためには必死だからな。そして、あの店主の場合はよくがあり姿結果だ。真似すんなよ」

「…はい」

「ああ。人を呪わば穴二つだ」

「え?」

「人を呪えば自分にも後々返ってくる。穴二つってのはその呪ったやつと呪いをかけた自分の墓穴二つってわけだ。人を陥れたところで結局最後は自分に返ってくる。あの店主は悪いことをした。あの様子だとおそらくあの人が預けていた遺品を我が物にしたわけだ。金はな。作ればある。だが、その人の持っていたものはたった一つだけだ。世界で一つだけのものだ」

「世界で一つ…」

「ああ。命だってそうだ。お前は誰か恨んだりしてるか?」

「恨んでるとかと言われ、ましても…」

キムが複雑そうにする。

「思い浮かばないです…」

「ならそれでいい。あと、お前の場合金を盗んだだけだからな。金は払えばそれで済むが、遺品は戻ってこない物もある。大切な物だからな」

「その、尊、さんも」

「ああ。事故死した両親の物を全て売られたり自分のものにされた。叔父夫婦から。金も家も大切な道具も服も靴も何から何まで全部だ。残されたものは何も無い。あるとすれば妹だけだな。そして妹からもすれば俺だけだ」

「…」

「キムは?」

「俺は……」

キムが汗を滲ませ、尊が黙ったキムを見て話す。

「今は?大切なものはあるか?」

「ある。それは、あります。チビたちもですけど、ワンおばさんとか…。ワンおばさん…、殺されませんか?」

キムが表情を曇らせ、尊が話す。

「殺されはしないが、あの身体を治すには時間が必要とは聞いたな。ただ、また会えるかは俺にもわからないし俺はどうやって治すか不明だ」

「…は」

「きいむ」

キムがビクッと震え屈強な男たちのうち眼帯の男がキムの肩を掴む。

「どこ行って何食べてんだ。美味そうじゃねえか」

「それよりそいつ異界人だぞ」

「ん?」

尊がやれやれとし、キムが青ざめ手を震わせる。

「お前らなんだ?」

「あ?」

男の1人が尊の胸ぐらを掴む。

「口の聞き方が悪いな異界人がよ」

「異界人でも坊ちゃん嬢ちゃん学園の生徒様か」

「ほお」

キムの肩に男が手を回す。

「で?何か御用ですか異界人の坊ちゃんよ?」

「つうか、顔いいから通えてんのか?貴族様に売られてよ」

ー面倒臭え。

尊が呆れていくとキムを見る。

「キム…。なんだこの脳無し筋肉どもは?」

「なんだと?」

「お前らはそれが脅しか…。生温いし、ギルドの奴らか」

「ああ?」

「それがどうした?」

「まあ、俺も最近知られてきたからな…。はあ」

「何言って」

「這いつくばって跪け格下野郎。だからギルドが難癖言われんだ」

尊が腕を掴み捻り上げ橋から投げると男がその下の川に落ちる。そして男たちが次々とくるが簡単に投げ落とされ、最後にキムに男がナイフを当てるが簡単に払われまた投げられ落とされる。尊が手を叩き川から顔を出した男たちへと声を上げる。

「お前ら全員上に話しておくからな」

「ってめ!」

「ぶっ殺してやる!!」

「やってみろよ」

尊が上を指差すと男たちが上を見上げる。そこに魔法陣が浮かんでいた。そして氷の竜が現れ男たちを咥え凍らせ引き上げる。

「な、ななな」

「さ、さみいいい」

キムが呆然とし、尊がやれやれとするも耳の尖った女が憲兵隊とギルドのものたちを連れその場にくる。

「ぎ、ぎぎるど、長お」

「ギルドの資格を剥奪するわ」

「そ、ぞんな」

「あと、彼はエスランカーよ。それから商業ギルドのAランク」

「なあっ!?」

「最近そのエスランカーになったばかりだ」

「ええ。元々与える予定が中々姿を見せないから伸びたのよ」

「はい。お前らそのまま刑務所行け」

龍が動くと男たちが叫びながら離れる。

「彼ら連れてきた意味ないんだけど?」

「なら戻しましょうか?」

「はあ。いいわ」

「ええ。あと、何か用ですか?」

「ええ。古着屋の店主が拷問されて殺されていたの。その殺される前にあなたがその子と一緒に出たそうだけど知ってる?」

「知りません」

キムが汗を滲ませ女がじいと見るとキムを見てキムが頭を振るとはあとため息をし踵を返しその場を離れる。

「後で手紙を送るわ」

「分かりました」

「ええ」

女と憲兵隊たちが離れていくとキムがドキドキしながら尊の傍へと来る。

「で?お前はさっきの馬鹿どもに何されたてきたんだ?」

「う」

「話しとけ」

「…金、集めさせられて、ました。チビの1人が、あいつらのうちの1人に手出されて。その後は…」

キムが俯き尊がやれやれとする。

「わかった。ちなみに気になってたが服がボロい割には肌が清潔だな」

「あ、ああ。その、一応俺は魔術使えるんで、せめて、風呂っていうか…。上からお湯をかけて」

「下川だからやってみろ」

「え」

尊が川を指差し、キムが困惑しながら術を渡されたペンと紙に書き川の水を操ると今度は電気を流した。


ーキム優しいよ。いつもみんなの体の事気にしてくれてる。

ーその、僕が怖いおじさんに連れてかれそうになった時キムが助けてくれた。

ーキムがね。お風呂作ってくれるの。気持ちいいの。

ー飯とかもさめてくれてたら温めてくれたりした。

ー寒かった時もだよ。

タチヤが困惑し、他の大人たちも困惑する。

「あの、子がねえ」

「人は変わるものよお母さん。あと、その子って1人だったの?家の中で」

「まあ、ええ」

「親は?」

「私たちに任せっぱなしだ。それ考えると、あの子も寂しかったかもね…」

タチヤがはあとため息すると寝ていたが泣き出した赤子を見て立ち上がり抱き上げる。

「キムきたー!」

「キムー」

子供達が走り尊と共に戻ってきたキムのそばへと来る。タチヤがはあとため息を再びし赤子をだか連れてくる。

「肉買ってきたから分けてくれ」

「はい」

「おにくー」

「キム坊ちゃん」

キムがタチヤを振り向きタチヤが泣き出す赤子を向けるとキムが受け取り背を叩きあやす。そして赤子がすんと鼻を鳴らし泣き止む。

「赤ちゃんキムだよー」

「ねー」

赤子が笑うとタチヤがふっと笑う。

「そ、の…、坊ちゃんは、もういいです…。敬語も…」

キムが辿々しく話すとタチヤがふっと笑う。

「分かったよ。あと、その子お腹いっぱいになって寝る以外は泣き続けてね。あんたに抱かれてほっとしたんだろうね」

「え…」

「うん」

「赤ちゃんはキムに抱かれると泣かないし笑うの」

「そうかい」

キムが口をつぐみ項垂れると肩を震わせ涙を落とす。子供達がどうしたのと覗きタチヤが近づき抱きしめキムの背を優しく叩いた。


ーもう夕方。

ミオが橋から景色を見ていき、ダラスもまた見ていた。そして離れた位置でヒカル、ハリーがいた。その2人の目の前に尊が近づくとハリーが思わずあっと声を漏らす。尊がミオを見て、ダリスを見て驚き近づく。

「サイモンさん探しまくってますよ」

「あ、えと、はい」

「そろそろ戻りましょうか」

「戻る前によかったらその上の広場に行かれてみてください。サイモンさんの方は俺から上手く話して止めときますから」

ミオが戸惑うもダリスが頷く。

「お願いします。あと、よければ他言無用でお願いします」

「分かってます。一応気をつけて」

「はい。いきましょう」

「はい」

ダリスが進みミオが軽く頭を下げ離れる。そしてヒカルたちが尊に手を挙げ跡を追うと尊がまず探すかとサイモンを探すためにその場を小走りで離れた。


ー綺麗。

移動したミオたちが広場から町やその先の草原を眺めていた。そして夕日が沈みオレンジ色から徐々に暗くなり始める。ダリスが景色を眺めるミオを振り向く。するとハリーたちの視界からダリスたちが消えるとハリーが慌てるもヒカルが制してその場に留めさせる。

「ミオ殿」

「はい」

「色々ありましたが、いい暇つぶしになりました」

「よかったです」

ダリスがふっと笑い頷く。

「そろそろ戻りましょうか」

「そうですね」

ミオが頷くとダリスが近づきミオの額に口づけする。ミオが驚くも徐々に顔を赤くさせダリスが離れミオの額についた口紅を指で拭うと微笑んだ。


ー広場にいますから。はい。

尊が男者の服をサイモンに渡すとサイモンが尊を見る。

「まあ念の為から持って行かれて下さい」

「ええ……」

サイモンがはっとすると汗を滲ませる。

「まさか…、あの女のドレスかっ」

「ん?」

サイモンが素早く走ると尊が首を傾げるが鳥便が来ると手紙を取り空へ飛ばす。すると視界に僅かに右往左往とするルクレイシアの姿が映ると眉を寄せた。


カテリーナが息を弾ませ暗い路地を壁に触り走っていく。そして後ろから笑い声が響くと再び走る。

ー怖い。怖い怖いっ。怖いっ。

カテリーナの脳裏に襲われた記憶が蘇る。

ーいや。あんな事もう嫌っ。拷問も嫌だ。お腹を、裂かれて。

カテリーナが出された赤子へと手を伸ばすと頭を抱えうずくまり震える。

ーいや。いやいやいやいっ。

その体が浮かぶとカテリーナが声を上げ暴れる。

「落ち着け」

「いやあああ!!」

「可愛い声だな」

「あははっ」

影が伸びるとカテリーナがその声を聞いてゾッとするが強く抱かれると足元が浮く。そして軽い衝撃が走ってすぐに風が吹く。カテリーナが涙を流す目を開け尊を見上げ驚き、尊が屋根に着地し下を見下ろす。そして男たちが消えたカテリーナを探し始める。尊が顔を引き震えるカテリーナを見るとカテリーナが恐怖の目で尊を見るも手が差し出されるとその手から淡い青色に光る花が現れる。カテリーナが驚き、尊がその花を持たせると。

「上だ!誰かいるぞ!」

「探索か。馬鹿みたいなことに使いやがって」

尊がカテリーナを抱き上げ屋根を飛び走る。

「な、なん、で」

「話すな。噛むぞ」

カテリーナが口をつぐみ尊がこの辺りと人気のない場所へと降りるとルクレイシアと目を合わせる。ルクレイシアがすぐに向かい、尊が話す。

「早くこの街を出ろ。ここのところこの街は流れ者が増えて荒くれたやつが多いからな」

「ええ。行きましょう」

ルクレイシアがカテリーナの手を引き、カテリーナが手を引かれながら離れていく尊を一度見るも再び前を見る。尊がやれやれとし手紙を見てため息をする。

「荒れた奴らの捕縛よろしくかよ。なんつうギルド長だここは」

男たちが上から降り注ぐも氷の竜が絡みつきすぐに凍りつく。

「あー、メリットあるからと引き受けなければよかったくそ。後」

集まった男たちを見て指を光らせる。

「凍りたいやついるか?ー」


ハリーがうわあと声を出し、ヒカルがふうんと声を漏らす。その2人の先に氷の竜たちが右往左往と生きているように動き獲物を見つけると一目散に向かうのが分かった。そして一体の氷の竜のそばに尊がおりハリーが話す。

「すご」

「ああ。あと、どう動いているかわからないな」

「うん」

「行くぞ」

ヒカルが離れるとハリーもまた離れる。そして別の場所ではミオが驚きながら街のものたちとその氷の竜たちを見ておりぴこらげがふわあと声を漏らす。

「すごいじょ」

「ええ」

そこに手が伸びミオが力強く引っ張られると路地へと消える。そして壁に押し付けられると目の前のルーシャスを見る。

「ルー」

「何故叔父上といた。ダリスと」

「ルーシャス」

「何故私を選ばない。何故皆叔父上ばかりをみる」

ルーシャスが顔を歪め、ミオがはあと息をゆっくりと吐き出す。

「それで、私を欲しているのルーシャス。ダリスさんばかりが注目されるから?欲しいものを手に入れているから?」

「違う…」

「あなたの話していることは私にはそう聞こえる」

「違う。違う違う違う」

ルーシャスが頭を振り項垂れる。

「ルー。私はあなたと友達でいたい」

ルーシャスが奥歯を噛み締めミオの腹部に手を当て衝撃を起こす。ミオが目を見開くも顔を歪め目を閉じ力をなくす。ルーシャスがミオを抱き上げる。

「ミオー。ミオどこー」

ぴこらげがその場にくるとはっとしミオの元へとくる。

「ミオ。ミオどうしたじょ?」

「霊獣」

ぴこらげが冷ややかな視線を送るルーシャスを見てぞくりとすると黒い手が伸びぴこらげの口と目を抑えると電撃を浴びせる。だが触手が動き伸びていき黒いものを捕まえ束縛する。ルーシャスがミオを連れすぐに移動するも横から突如大きな影が現れる。ルーシャスが止まり冷や汗を流し、アルスランがじっとルーシャスを見る。

「な、ぜ、ここに」

「これ以上、過ちを犯す前に娘を返していただきたい。殿下」

アルスランの騎士達が現れるとルーシャスが口をつぐませる。

「なぜ、私ではなく、ダリスを選んだんですか。ミオの、相手に。なぜ?なぜですかっ」

ルーシャスが苦しく声を上げる。

「ダリスならば娘を任せられると考えたからです。そして娘の我儘も重みも全てです。そして貴方ではその娘の全てを受け入れるほどではないと感じ断りました」

「だれも、かれも!ダリスダリスダリスと!」

ミオが小さく唸りルーシャスが鋭く睨みつける。

「あなたもかアルスラン将軍!」

ーアル、スラン……。

「お、とうさ…」

2人の間に壁が突如現れるとアルスランがすぐに剣を手にし壁を切り壊す。そして破壊されたその先にミオとルーシャスの姿がなかった。

ー殿下。

「将軍」

「ミーアに伝えてすぐに探せ」

「はっ」

騎士達が動きアルスランが壁に手をつけ耳を澄ませる。

ーミオ。どこだ。ミオ。


ルーシャスが奥歯を噛み締めミオを担ぎ地下通路を歩いていく。そこにルクレイシアが姿を見せるとやれやれとする。

「かわいそうな坊やね」

「黙れ」

「はあ。まあいいわ。こっちよ。アルスランが追ってるから急ぎなさい」

ルクレイシアが踵を返し進みルーシャスが後を追う。そして角を曲がり進もうとしたがその足を止める。ルーシャスが尊を睨みつける。

「下がってなさい。彼、結構やばいから」

「やばいのはあんただろ?頭やら体やらに万力使って拷問して古着屋の店主を殺したくせに」

「悪いのはあいつで私は粛清したのよ」

ルクレイシアが赤い宝石が嵌められた手袋をする。

「痛い間に合いたくなかったら上に行ってくれないかしら?一応、カテリーナの恩人でもあるから」

「却下だ」

「そう。なら」

ルクレイシアのもつ宝石が光ると赤い剣が作られる。そしてその剣をルクレイシアが握り尊へと走る。尊がはあとため息をし後ろ身を翻す。ルクレイシアが目を見開き歯を噛み締め剣を握り締め、そのルクレイシアの剣を受け止めたダリスを見る。ダリスがルクレイシアを飛ばし、ルクレイシアが身構える。

「ダリス…」

「……」

ルーシャスの後ろにサイモンとむくうとむくれたぴこらげがくる。そしてサムが姿を見せる。

「えげつない剣持ってるな。魔獣の血を固めて作ってんな」

「となると、掠れば猛毒だ」

「ああ」

「そこを退きなさいダリス。剣を下ろして」

「…」

「お願いよ。ダリス」

ダリスが頭を振りルクレイシアが僅かに歯を噛む。

「そこまで、あなたは邪魔をするか…」

ルーシャスが怒り、徐々に殺気立つ。サイモンがぞくりとし、ぴこらげが震える。

「なんじゃ…」

ルクレイシアもまたルーシャスを気にし始めるとルーシャスの周りの水が浮かび止まる。そしてその足元に紋章が現れる。

「なにっ」

「たけるううう」

紋章にサイモン達が触れかけると尊が鎖を飛ばしサム、サイモンとぴこらげを巻く。ルーシャスが剣を出し自分の心臓へと向ける。ダリスが素早く走り、ルクレイシアが声を上げる。

「よしなさい!ルーシャス!!」

ルーシャスが手に力を込め剣を胸へと突き刺す。だが、その胸に剣の刃がなくルーシャスがミオへと視線を向けミオが睨みつけルーシャスから離れ紋章に手をつく。そして周りにヒビが入り壁や天井が割れ崩れる。

「わわわ」

「枢機卿っ!」

尊が結界を張り落ちていく瓦礫を防ぐ。

「軽く触れてこの破壊力。恐ろしいな」

「え?」

「ミオですミオ」

サイモンが汗を滲ませぴこらげがみおおと瓦礫の下敷きになるミオへと声をあげた。


ーう…。

ルクレイシアが目を開け目の前のカテリーナを見る。カテリーナは頭から血を流しておりルクレイシアが触れる。

「い、行きましょう…。早く…」

ルクレイシアが頷きカテリーナを抱きしめ移転の式を使いその場から姿を消すとカテリーナの結界に支えられていた瓦礫が崩れ落ちる。


ー中々、こたえました。

ーすみません…。

ルーシャスが目を覚ます。そして目の前に腕を服で固定されるダリスと固定するミオがいた。

「まだ上手く加減できなくて……」

「ええ」

ルーシャスが起き上がるとミオがルーシャスを見て顔を歪め涙を落とす。

「あ、れは、ない。よ…」

ミオがルーシャスに手を伸ばし抱きしめる。

「もう、やめて…。あんな事、しないで……」

ダリスが見ていきルーシャスが苦しく顔を歪めるとミオを突き飛ばす。ミオがダリスに受け止められ、ルーシャスが睨みつける。そしてその後ろから黒い影が現れルーシャスがその影に飲み込まれ姿を消す。

「ルーっ」

ー許さない。絶対に。ダリス。ミオっ。

しんとその場が静まり返るとミオが啜り泣きダリスが片腕で抱きしめ息をついた。


コンスタンスが窓から夜の外を眺めながら息を吐く。その後ろに跪く女がいた。

「ルーシャス殿下が薬物を流していたようです」

「至らない生徒の排除の為ね。はあ」

コンスタンスが女を振り向く。

「ミオさんが来てしまったからルーシャスも焦ったのね。ミオさんとダリス枢機卿の2人が来たことでよ」

「私も同じ考えです」

「ええ。まあ、ルーシャスはあの子に惚れて、ダリス枢機卿を恨んでいたから。ばかね」

コンスタンスが窓を閉める。

「学園長達と明日お話しねら。父達にもこのことを伝え早急にこちらに伺うよう手配をお願い」

「はい」

「ええ。行って」

女が頭を下げその場から姿を消す。コンスタンスがやれやれとすると表情を曇らせる。

「忙しくなるわね。本当、もっと考えてくれないかしらあの馬鹿、本当ばかー」


「お前がまさか女装をする日が来るとはな」

ナガハラがダリスの治療をしながら話すとそばにいたサイモンが告げる。

「知ってたのでしたら教えてくださればよかったではありませんか…」

「ああ、ついアホだと思って放置した」

「されないでください…」

「あちらの世界に渡った時に、唯子殿達により女装させられましたからね」

サイモンが驚愕し、ダリスがやれやれとする。

「お前の見栄えだとしたくなるだろうな。あと。ルーシャスか。俺はあいつがガキの頃でしか見たことないから知らんが相当お前を恨んでいるな」

「そのようです」

「ああ。あと、ルクレイシア。あの女はどうする?」

「敵です」

「そうか」

ー罪人ではなく、敵か。こう、言い方が…。まあ、わかりやすくはあるが…。

サイモンが複雑そうにする。

「ミオ殿は?」

「唯子のところだ。安心するらしい」

ダリスが頷きナガハラが治療した道具を片していった。


ーなんの花かしら…。

瓶の中に入った淡い光を放つ花を包帯を頭に巻きベッドに安静にするカテリーナが見ていく。そして手を向け瓶を握り眺め見る。

ー綺麗じゃなくて、かわいいわね…。

カテリーナが尊のことを思い出すと胸を熱くさせその瓶を抱きしめた。


ーあ、れは、ないよ。もう、やめて。

暗闇の中ルーシャスが項垂れながら奥歯を噛み締めていた。

ーミオ。美桜を思い浮かびたいのに、ダリスが邪魔をする。

ルーシャスが顔を手覆い殺気だつ。

ーダリス。ミオは私のだ。私だけのミオだ。

ルーシャスがそばに置いていた紋章の彫られた剣を握ると勢いよく自らの胸を貫き刺した。そして、胸元から血が吹き出し口からも血が溢れ出るとルーシャスが軽く笑い渦巻く靄の中で天を仰ぎ笑った。


アストレイー、早朝。

ーい、つううううっ。

明美が顔を歪め布を握り涙を浮かばせながら女達に囲まれいきんでいた。

「もうちょっと!!」

「いたいいたいいたい!!!いああああ!!!」

「足押さえて足!!」

ばたつく足を女達が押さえ明美を横で女が声をかけ落ち着かせる。

「後少しっっっ」

「出た!」

赤子が抱かれると力強く声をあげる。明美が力抜けし息を弾ませると手を目元に当てる。

「声大きくて元気ねー。はい、坊ちゃんだ」

明美に産声をあげる男児を見せると明美が小さく頷いていった。そこにやれやれとするナガハラが入る。

「先生。ちょうど出たとこだよ」

「ああ。なら次だ」

「え…」

「しばらくそのまま待機。中にまだある胎盤を出す。裂傷部分の縫合。麻酔なしだから痛むぞ」

「ま、だ…」

「産むより軽い」

「頑張れ」

「ああ。後私たちよりも随分と産む環境とかも良くなってるからね」

「ああ」

明美がううと小さく声を漏らしナガハラが胎盤と明美の腹を抑えると明美が苦痛の唸りを上げた。


アルスランが書類仕事をしていたが、書記官の1人が中へと入る。

「失礼致します。リュウ将軍からのお手紙です」

「ああ」

アルスランが受け取り中を見ると軽く息をつく。

「分かった。ラダン」

「はい」

「子が生まれたとのことだ。男児だ。祝い物の準備をしておいてくれ」

「承知しました」

ラダンが頭を下げ出ていく。ダンガンがそれを見てこそっと話す。

「よろしいので?」

「祝いは祝いだ。あと、古代国の連中がうるさいようで今は何もしていないようだからな。そして、婦人と生まれた子は関係ない」

ダンガンが頷き、アルスランが話す。

「あと、あれもあの歳で父親か。おかしな話だー」


「抱き方慣れてへんなあ」

リュウが顔をしかめふにゃあとする赤子を恐る恐る、恐々としながら抱いていた。それをベッドに座った明美がやれやれとしリュウの手から受け取り抱く。

「初めてだからさ…」

「ナガハラ先生達は?その子ども」

「あー、2人とも隠しての出産だったから。何せ、アルスランは断罪された元王でしょ?ナガハラはイーロンになるかな。その連中から狙われてたからお互い子供が危険に晒されないよう人のいない所にお互いの婦人を隠して子供を作ったからさ。だから僕もその時全く見てないわけ」

「へえ。大変やったんやな」

リュウが頷く。

「そう」

「ええ。あと、アルスランさんに生まれたって話した?」

「手紙で話した」

「言えば簡単なのに」

「手紙でもいいでしょ」

「将軍。そろそろお時間ですよ」

秘書官がノックし告げるとリュウがため息をし明美が頑張れと手を振った。


ーミオちゃん。ミオちゃん。

ミオがすやあと枕を抱いて気持ちよくまだ寝ていた。唯子がやれやれとしながら見下ろしぴこらげが話す。

「昨日の疲れが残ってるのかにゃ?」

「そうね」

「失礼します」

瑠奈がやってくると眠り続けるミオを見る。

「ええ。あとごめんなさい。ミオちゃんだけどまだ起きてないの」

「あー、ならこうすればいいです」

瑠奈がミオを持ち上げるとミオが顔をしかめ頭をぐらつかせる。

「ミオ。ミーオ学校」

「…がっきょ」

「そう。いくいかない?」

「い、きゅ」

ミオがばたりとベッドに倒れるも体をのろのろとあげる。

そして瑠奈と共に学校へと来るとミオがゆっくりと息を吐き胸を痛くさせる。

ールーのことは、もう知られているし、退学のはず。

瑠奈が表情を曇らせるミオの隣へと来る。

「平気?」

「ええ…その、ん」

「一応無理しないように。それじゃ」

瑠奈が離れミオがうんと頷き通路を歩く。そして誰もいない廊下を静かに歩くも止まり恐々とする。

ーなんだろう…。まだいつもなら人がいるのに、誰もいない。

ミオが腕をさすり自分の教室へと向かう。そして扉を開けようと手を向けるがその手が掴まれる。ミオがはっとし引っ張りその場を走る奏を見る。

「奏さん」

「参った参った」

「え?」

「学園内の生徒や講師達がほぼ術かけられてんの。手間いるのよ」

教室の扉が開くと瞳に六芒星の模様が浮かんだ生徒達が一斉に現れ跡を追う。

「な、なにっ」

「操術だよ。瑠奈ちゃんは?」

「別の教室に」

「ふうん。了解」

「瑠奈は」

奏が角を曲がりすぐにミオを抱き壁の中へと入ると生徒達が一斉に通り過ぎる。ミオが驚き僅かな生徒たちと講師がいる空間を見る。コンスタンスがすぐに向かう。

「ミオさん。無事ね」

「は、はい」

「学園長達はまだ閉じ込められてる?」

「はい。副学園長がこじ開けているようですがまだ」

「かけらの力を使われちゃあね」

「欠片?」

『僕たちが集めてたの…秘密で』

陸奥がその場にくる。その奥に意識のない樹が倒れており奏が話す。

「私が頼んだのよ。フェンリル動かないからなんとか見つけてって」

『そう。それで、またこれが苦労したよ。何せ学園中のあちこちの壁に割られて埋められてたからね。誰がやったかわからないけど集めて揃ってやったと思ったらルーシャスが奪って』

「ルーシャスがっ。いつっ」

「今朝よ」

コンスタンスが話し奏が告げる。

「そう。ここにいるのは私の周囲にいた子達」

「き、っつっ」

中へと尊が入り息を切らす。

「あーくそ。柚が休みでよかった」

「問題探すのできた?」

「ああ。ただ瘴気が渦巻いているし、あれは龍だな。手を貸している」

「え?」

「話したでしょ?偽物の龍がいる」

ミオが頷き、尊が話す。

「俺の前に現れなかったのは俺に即バレるからだな。樹はどうだ?」

『まだ意識戻ってない』

「瘴気浴びまくったからな。見せろ」

「その、瘴気って、ルーが」

ミオが心臓を痛々しくさせると、コンスタンスが口をつぐみ奏が話す。

「その通り。あれは自分を糧に悪魔と契約したね。つまり、魔人のようなものになってるわけ」

「ほんと、ばか」

ミオに衝撃が走る。

『どう?』

「これくらい減ったら行ける。よし」

尊が樹の腕を切りバッグから瓶を出すと樹の胸に手を当てる。すると黒い液体が腕から流れ浮かび瓶の中へと入る。

『いいねー。見ていて清々しい』

「ミオ!!」

「ああもうっ」

奏がそこにいるようにと奏の術式から出たミオを追う。

「一度目は止められたが、二度目はだからな」

『そっか…。でもなんでそこまで執着してるのかな』

「馬鹿なのよ彼は。本当に」

コンスタンスが表情を曇らせる。そして樹ががはっと声をあげ咳き込むと苦しく息を弾ませる。

『よかった。樹』

「よ、よく、ねえ。体、いてえ。頭もまだ」

「これ飲んだけ」

尊が小瓶を陸奥に渡すと陸奥が受け取り樹に飲ませる。

『ありがとう氷の貴公子』

「いうな。あとまた行くか」

尊がやれやれとし立ち上がる。

『タイシと連絡取れた?』

「ああ。すぐ来る。それまでの時間稼ぎだな」

尊が出ようとするもコンスタンスがすぐさま引き留める。尊がやれやれとしコンスタンスを連れ外へと出た。


瑠奈が部屋の中でラファと相対しており、瑠奈が話す。

「陸奥が来た時に感じたのよね」

『何を?』

「本来の竜の気配よ。ラファ。陸奥の前の陸奥。次元龍を食べて龍の力と姿を得たでしょ」

『さ』

「とぼけるところが人らしいのよ。あなたは紅蓮やアンナと違う。龍らしくない」

ラファがやれやれとし瑠奈が手の甲に記された紋章に触れ消すと槍を手にし身構えるとラファが光り金髪金眼の男の姿へと変わると剣を手にしふっと笑んだ。


ールーシャス。ルーっ。

ミオが学園内をかけ走り周りを見渡す。

「どこ。どこにいるの。ルーっ!!」

ミオが止まり声を上げ息を切らす。

ー私のせいだ…。でも。

「みおー!」

ぴこらげがその場にくるとミオが顔を上げる。

「ぴいちゃん。あ、そう言えば朝からいなかった」

「…置いてかれた」

ぴこらげがむすうとしミオが汗を滲ませる。

「あ…」

「ふんっ。いいじょ。それより、霊獣とかみんな出られないじょ」

「え?」

「ぼきゅは置いてかれたからかけられなかったけどみんな出られなくなっちゃぞょ」

「ルーシャスの、術とかで?」

ぴこらげが頭を振る。

「別だじょ」

「ミオいたっ」

尊がその場にくるもぴこらげが光り尊に電撃を浴びせる。尊が姿を変え蝙蝠の翼が生えた男が姿を見せる。

「ふん」

「ノエルさんの種族の人」

「こっわすぎ!!」

「きゃああああ!!!」

コンスタンスを抱いた尊が姿を見せると尊がミオを見つけコンスタンスを投げる。ぴこらげがすぐさま膨らみコンスタンスを受け取る。そして操られた透華が尊へと光る拳を向け、尊が避けるとその拳が建物に当たり建物を破壊し貫通する。

「と、透華さん!!」

「一緒に居ろ!!!」

尊が着地し透華の差早い拳、蹴りを避ける。

「くそ!!透華!おい!!」

透華が紅の目をさせ無表情で攻撃をする。

「まじっ、こっわっ」

尊が後ろに飛ぶと透華が追いかけ前進し尊に拳を当てる。

「あっ」

だが、透華が吹き飛び瓦礫となった建物にぶつかると砂煙を上げる。尊が両手に強靭なゴム板を握りながら恐々と見る。

「起きてくるなよ…」

瓦礫の中で透華が意識を失っているのを見て尊が拳を握りすぐに2人の元へと向かう。

「尊やるなあ」

「命縮んだがな…。ミオは勝手に出るな」

「ルーシャスの、ことが。私の、せいで…」

「ミオさん。それは違うわ」

コンスタンスがミオの手を握る。

「ルーシャスが悪い。いいえ。馬鹿なだけ」

ミオが口をつぐみ、尊が汗を滲ませる。

「ミオ。奏さんは?」

「え?」

「後を追ったのを」

風が吹き荒れ道が切り裂かれる。尊達が風を浴び吹き飛びかけるが尊が2人を支え前を見る。そこに汗だくの奏と目を赤くさせる望がいた。

「げ…」

「透華さんより最悪です…」

「の、望さん!!」

望が消えると奏が小さな結界を張り望の剣を最小限に防ぐ。

「あの人相手じゃなあ」

「はい」

「恐ろしい相手ですからね」

「ああもう透華やったならこっち手伝いなよお!!」

「休ませてくださいよ」

「休むな!!」

「どうしよう…」

ミオがおろおろとしコンスタンスが話す。

「操っているものを見つけるしか…」

「あー、知ってるし、無理だ」

「え?」

「ラファだ。竜を食った人間が操っている。そう簡単にはいかない」

ミオが驚愕する。

「ラファって龍は俺の前に姿を見せなかった。俺は見破られるからな」

尊が地面に手をつけ冷気を放つ。

「そこに必ず居ろよ」

奏が高く空を飛び望が追いかけようとするもその足が凍りつく。望が氷を弾こうとするもその両手、胸元まで凍りつく。

「まだまだ」

望に光る鎖が巻かれ、三重の結界が張られると再び鎖がその結界を囲む。

「すごい」

「ええ」

「よし」

奏が息を弾ませながらおり、望がその中でもがいていく。

「あーーーーー、ちいいいくしょっ!!!」

「奏さん」

尊が木の身を投げると奏が受け取り木の実を食べる。

「多少疲れ取れるんで」

「ん、貴重な品どうも」

「え?」

「これは未開の地の更に奥深いところでしか取れない幻の木の実で学園都市4分の1程の価値があるな」

ミオが硬直し頭を真っ白にさせるがはっとし頭を振る。

「そ、それより、ルーシャスっ。どこにいるか知ってますか?」

「あいつはあちこちと移動している。だから、ミオがここにいれば自分からくるからいろ」

尊が地面に手をつけるとその手から根が伸び地面を這う。

「罠ですか?」

「ああ。ま、何か出るかはランダムだ」

奏がそばへと来る。

「ミオちゃん出ないでよお」

「すみません…」

「出たからには利用するしか手がないですよ」

望の目が赤から元の色へと戻る。

「戻った」

望が氷を見て軽く息をつき尊が氷を破壊し結界や鎖から出す。

「……すまない」

「いえ。元に戻って」

透華が襲いかかると望が透華を掴みその場に拘束し押さえ込む。

「よかったです」

「ほーんと。私の苦労が叶ってよかったわ。あと、偽物龍が操ってんな」

「ですね。2人とも跳ね返さなかったくらいの力ですから」

「うん。望君そのままー。あと、君のお嫁さんとかはアルスランとかが避難させたから」

「そーだじょ。ぼきゅ置いてかれたから知ってるじょ」

「ごめん……」

望が頷き透華がううと声を漏らし目を覚ます。

「い、いたい、です」

「よしよしよし」

「どうやって戻したんです?」

「瑠奈ちゃんが相手してて力が弱ってる」

「えっ」

「ラファの相手をしてくれてんの」

ミオが冷や汗を流し、奏が話す。

「むこうは殺しはしないから。さてと、おいでなすった」

奏が伸びをし、ミオが空に浮かぶルーシャスを見上げる。その髪は白髪に変わり目が紅に染まっていた。

「操られているわけでは、ないのですよね?」

「ないね。ない。あと、武が悪いな」

周りを生徒達が囲み始めるとコンスタンスが汗を滲まさせ、ミオが奥歯を噛み締める。

「ルー。何をすれば、戻してくれる?あなたが望むことは何?教えて」

「叔父上を呼べ。ダリスを」

奏がやれやれとし、尊が話す。

「やはりな。向こうもそれで準備している。少し待て」

ミオが胸を激しく痛めるも宙で稲光が起こる。

「え?」

「やばいっ」

「ドリアード!!」

木の根が成長し生徒達の上に覆い被さる。そして空に穴が開くと血を流す瑠奈が姿を見せ、金髪金眼の男も姿を見せる。

「瑠奈!!」

瑠奈が槍を光らせ光の雨を降らせると男が剣でやすやすと跳ね返す。

「ランスロットっ」

「だれだ?」

「最後の王!レーガンに殺されたと思ったら生きてたなあ!!」

「最後、じゃないな」

ランスロットがいくつも穴を開け大砲や銃火器を出すと一斉に下や瑠奈へと向け砲撃を開始する。生徒達に覆い被さった植物に被弾し、瑠奈にもまた掠っていく。尊が頭をかく。

「くそ!オムニ!!」

尊の足元から黒い闇が現れ巨大な鬼の頭が姿を見せる。

「えっ!?」

「鬼!?」

「うわお驚き。よく御せたね国殺しを」

「国殺し?」

「1週間睨めっこだったがな!!」

鬼の角が光り黒い炎が現れる。それはランスロットの銃撃を掻き消しランスロットへと向かう。

「おっと!?」

ランスロットが素早く逃げると鬼のオムニが唸り睨みつける。

「恨みの中の恨みにより作られたモノを我が物にするとは恐れ入った。私の元にくるか?」

「断る。後、契約の中で、だからな」

ミオがはっとし、尊の口端から血が流れる。

「強力な力は使えない」

「だろうな」

「血が」

「集中しろ。その破壊力も使えるから使って俺を楽にさせろ」

ミオが頷きぴこらげが銃を持つ。

「はい」

「だじょ」

「頼もしい限りだ」

ランスロットの視界に光が映るとランスロットが槍を光らせる瑠奈を見る。瑠奈が集中しランスロットを睨みつけ構え、ランスロットが身震いする。

ー避けられるかもしれない。でも。

瑠奈がラファを思い出すも奥歯を噛み締め鋭く睨みランスロットへと飛ぶとその剣と撃ち合う。望が生徒達を見て手にした刀を地面に突き刺す。

「尊君」

「はい」

「オムニはしまっていい」

地面がひび割れゴーレムが姿を見せると今度は機械じかけの人形が現れる。

「呼び覚ました」

望が刀を引き、ゴーレム、機械人形たちが光その場に鋼鉄の壁と天井が現れる。ルーシャスが目を見開き望が淡々と告げる。

「第一は学園のものたちの守護」

『是』

『承知いたしました』

「ああ」

オムニが穴の中に潜り姿を消すと尊が尻餅をつきはあと息を吐く。

「やっぱり頼りになるわ望さん。奏さん戻してくれて助かった」

「ねえ?私も頼りになる存在じゃないの?なんかその言い方一番頼りになるのあいつって言い方してない?」

「なぜ、地面から岩の人形や鉄の人形たちが突然現れたのです?」

奏がやれやれとする。

「レーガンがここにたくさん隠してたみたい。望君は感知してもしものための保険にしようと隠してたみたいだね」

「うー、ぐらぐら、痛い」

透華がふらつきくる。

「お前もう操られるなよ」

「それより体中痛い…」

「飲んどけ。サムの鱗粉の薬だ。あいつの鱗粉は治癒の効果があって強いからな」

「そう。妖精の薬は妙薬と言われてこの都市の半分ほどの値段になるからね」

ミオが更なる衝撃を受ける。

「はん、分」

「そお」

透華がごくごくとのむ。

「…普通に飲まれましたね」

「はあ。いや、だって、サム君いるからいつでも作れるよ。あーだいぶ楽」

透華が肩を動かし腕を回す。

「瑠奈の加勢できるか?」

「ん」

「私は援護するよ」

透華が頷き両頬を叩く。そしてその目をきっとさせ姿を消す。ランスロットが後ろから拳を向けた透華の拳を避け、瑠奈の槍も避けるも透華がその槍を握りランスロットの横腹を殴り飛ばし、すぐに瑠奈に渡す。ランスロットが止まり、瑠奈が素早く攻撃し透華が近距離で援護をする。

「楽しませてくれる」

瑠奈が奥歯を噛み締め右手を光らせる。

ー奏の。

その光が近距離でランスロットに当たり吹き飛ばす。ランスロットが建物を貫通していき校舎にあたる。

「はっ。ざまあみろ」

奏が光っていた手を消すと右を見る。ルーシャスが奥歯を噛み、ミオがサイモンを連れきたダリスを振り向く。

ーダリス。

ルーシャスが鋭く睨み、サイモンが汗を滲ませる。

「あれが、殿下」

「……」

ー中々、痛い。

ランスロットが起き上がりその目を光らせる。そして瑠奈が来るのを見て体を動かそうとするが動けずにいた。

ー奏。ラファエルの記憶の持ち主か。

奏が得意な笑みを向け遠方からランスロットの体を押さえていた。ランスロット槍を手にしきた瑠奈を見る。

ーまずい、か。

瑠奈が槍の切先を光らせ横へと振る。

ーラファッ。

ランスロットがふっと笑む。

「そんな顔をするな」

大量の鮮血が宙を飛ぶ。透華が目を見開き、奏が唖然とする。そして瑠奈の目にミオが映る。ランスロットと瑠奈の前でミオが大量の血を腰から流し吐き出す。

「え、あ」

「ミオ………」

『き、きど、せ、き』

ミオの掠る声が響くと半身ずつ落ち地面に向かう。静まり返った中で瑠奈が叫び声をあげ、奏がその眼を迸らせる。

「ランスロットオオオオ!!!!」

巨大な雷がランスロットへと向け走る。

ーミオ…。

ルーシャスが姿を消しすぐに地面に落ちかけたミオを抱き留める。そのミオの目は虚になり視界から消えておりルーシャスが苦しく息を吐き出す。

「ミオ……」

「っあっ」

透華が地面に激突し血を吐き咳き込むとミオの上半身を抱くルーシャスとそのミオを見て顔を歪めるも力無くその目を閉じる。瑠奈が狂い叫び涙を流しランスロットが楽しく笑みを浮かべその瑠奈を見る。

「ミオっ。わ、たし。ミオ。やだ。やだやだやだやだっ。やだああああっ」

「かわいそうに」

ランスロットが瑠奈に近づきそのままに近づく。

「綺麗に切れたな。何。痛みはなくいったからよかっただろう」

瑠奈が震え呼気を乱す。そして力を無くす。ランスロットが気絶した瑠奈を抱き向かってきた奏の攻撃を結界で受け止める。

「可愛い妹分がまさか私の盾になってくれるとは嬉しい限りだ。そう思わないか?」

「思うかこのくそやろう!!!」

「ランスロットだよ。ラファエルの記憶の持ち主」

ランスロットが眉を寄せその左腕が消え去る。奏がすぐに避け、ランスロットがふらつき左腕から流れる血を見て遠くを見る。そこに殺気立ったダリスが弓矢を構えておりその矢が放たれるとすぐに消えランスロットの右足に突き刺さり弾き消す。

「ぐっうっ」

ランスロットが声を上げ奏の雷を結界を使い弾く。

ーなんだ、あの、矢はっ。知らないっ。学べっ。

ーミオちゃん。

ランスロットが下を見るとルーシャスとミオのそばに柚がいた。柚が淡く光を放ち輝いており尊がミオの下半身を上半身に合わせる。

「悪いな。柚」

柚が微笑み頭を振るとその姿を消す。そしてミオの腹が光皮膚が繋がる。ルーシャスが冷たくなったミオを抱いていたが心臓がわずかに動くのがわかる。

ーミオ…。

「瑠奈を離せ」

ランスロットのもう片足が切り裂かれると今度はその体を切り刻まれる。ランスロットが血を吐き出し剣を握りしめるタイシを睨む。

「心臓は何処だ?」

「…素直に教えると思うか?」

紅蓮が姿を見せると下へとおりミオたちの元にくる。

『妹の姿をさせた精霊とはな』

「そうだ。ああ。妹は死んだ。柚はこの世界で死んだ」

尊が拳を握る。

「死なせはしない」

ミオの体がわずかに浮かぶ。そこにランスロットが現れると紅蓮が弾き飛ばされ尊がその首を掴まれ締められる。

「動くな」

タイシが睨み、ランスロットが冷や汗を流しながら力を吸われる尊を向ける。

「場合によって殺しはしない」

ランスロットの両足が生え変わると尊が力無く手を落とし意識をなくす。ランスロットが尊を下ろし懐に手を入れ欠片を手にする。

「ルーシャス」

ルーシャスがランスロットを振り向きランスロットが告げる。

「今、お前の手にいるのは誰だ?」

ルーシャスが口をつぐませまだ冷たいままのミオを抱く。

「お前の仇敵は向こうにいる。このまま」

「死なせたのは貴様だろう!」

ルーシャスがすぐに弓矢を構え睨むダリスを振り向く。

「仮死状態に、なったか。よかったじゃないか。それで済んだ。瑠奈も、友を殺さずに済ませてくれた」

足元に寝かせられた瑠奈を抱き微笑む。

「それで円満だ」

ダリスが怒り立ち、タイシもまた魔剣を手にし紅蓮が吠える。

『ふざけるなこの下郎が!!』

「妹たちを返せ!!」

「いやだ」

大きな揺れと共に地面が揺れる。そして無数の槍が一斉に学園都市に降り注ぐ。望が奥歯を噛み締め力を込め、鋼鉄の壁や天井に突き刺さりながら進むとその先をさらに天井が走り作られるも間に合わず家や建物、人を貫いていく。ランスロットが高笑いしルーシャスがミオを抱き恐怖に打ちのめす。

ーミオ。平気。強い。

槍が一斉に吹き飛ぶとランスロットがふっと笑う。

「アルスラン」

更に槍が吹き飛び消える。奏の術で守られていたサイモンの周りの槍が姿を消すとサイモンがすぐに後ろを振り向く。そして1人立つアルスランを見る。アルスランが息を吐き進むとその後ろをラダンたちが姿を見せ続く。

「救助者の救助を優先。私は大元の元へといく」

「はっ」

ラダンたちがすぐさま散会し、アルスランが力付き倒れた奏を通り過ぎランスロットの元へと向かう。

「ご、め、ん」

「…」

奏がその目を閉じ意識を失う。ランスロットが向かってくるアルスランを見るもその前方血まみれで睨みつけるダリスを見て楽しく笑む。

「分かった。彼女は私が預かる。もちろん、全快させる。約束しよう」

ダリスが殺気立ち、ランスロットの後ろの空間が裂ける。紅蓮の血に濡れたタイシが走り、ランスロットが青ざめた尊を向けるとタイシが歯を噛み締め、ランスロットがくくと笑う。

「親しい仲になると痛いな」

ルーシャスがミオを抱きダリスへと力のない視線を向けランスロットと姿を消す。

ーさて。一先ずは。

ー腕一本。

ランスロットがゾッとし、アルスランの冷ややかな視線を受ける。

「貰う。大切な私のものたちを傷つけたのだからな」

ランスロットの腕がもげるとランスロットが奥歯を噛み締め血の出ない肩を抑えぞっとするが吹き出しふふふと笑う。

「いい。強敵がいればいるほど、楽しめる」

空間に穴が空くとランスロットが瑠奈を抱き、尊を浮かせ進む。その後をミオを抱いたルーシャスが無言で進む。前方に大勢が出迎えており、その中にロレンシオやルクレイシアたちの姿も見受けられた。そして巨大な扉に集められた欠片が全てはまり扉が開かれる。ランスロットが尊を下ろし瑠奈を連れ進むとその扉が閉まる。ルーシャスが項垂れルクレイシアが駆け寄るとルーシャスを連れ、尊もまたユーリが運びルクレイシアの後を追う。

ーああ。久しい。

玉座と共に、巨大な虹色に輝く龍の骨が天井高く浮かんでいた。そしてランスロットが瑠奈を抱き進むもその胸に衝撃が走ると瑠奈を見下ろす。瑠奈が涙を流しながら憎しみの目を向けランスロットの胸に小刀を突き刺しておりランスロットが楽しく笑みその小刀を持つ手を離し抜く。

「私の心臓はない。瑠奈。お前の兄は分かったようだがな」

「だ、として、も」

ランスロットの体が震え、瑠奈がランスロットの服を掴む。

「つな、がっているっ。この体は、生きてるっ」

瑠奈が顔を歪める。

「私と、一緒に、死ね」

「…それもいいが、ミオ。あれはまた生き返った。尊と魂の精霊の手によって」

瑠奈が目を見開くも歯を噛み締め睨む。

「それでもか。悲しいな」

ランスロットが瑠奈の首を握り締めていくと瑠奈が苦しみ唸る。そして痙攣していく。

ーあ、い、や。

瑠奈の視界が虚になる。

「どうだ?死ぬというのは、こういう事だ」

瑠奈が涙を浮かばせそのランスロットの手を掴み爪を立てる。ランスロットが緩めると瑠奈が息を吐きその手を力無く落とし再び意識をなくす。ランスロットが瑠奈を抱き直し玉座へと向かうと玉座に座る。すると周りから大量の画面と術式が姿を見せる。

「久しぶりの我が家に部屋だ。さあ。起きようか我が国アルスマグナー」


大地と海が裂け巨大な城や建物が姿を見せる。そして各国の眠りし機械人形たちが起動し動き出し、森から魔獣たちが姿を見せるとゆっくりと各国へと向かう。そして、魔獣や機械人形たちが国を襲い、ギルドや王宮の騎士たちがその対応に追われていった。


ーダリス枢機卿。

サイモンが包帯だらけのダリスの元で護衛をしていた。そこにナガハラがやれやれとくる。

「まだ目は覚めないな」

「はい…」

「ああ、お前は外の魔獣たちを追い払っておけ。こっちは平気だ」

「しかし」

ナガハラがサイモンの服を掴みぽいと部屋の外へと出す。

「憂さ晴らしにでも行け」

「…はい」

「ああ」

サイモンが立ち上がりノロノロと歩く。ナガハラがやれやれとし眠り続けるダリスを見る。

「まったく。どいつもこいつも無茶して俺の仕事を増やしやがるな」

「先生」

「はあ」

ナガハラが外へと出るとルクスが姿を見せじっとダリスのそばに付き添った。


ーミオちゃん。

ミオが目を開け目の前の微笑む柚を見る。

ー柚。

ーうん。短い間だったけど楽しかったよ。

ーえ?

柚が光り小柄な羽の生えた金髪金眼の子供に変わる。

ーミオの中にいるよ。寂しくない。私はいる。

その子供のそばに葵が姿を見せるとミオが手を伸ばし葵がその手を握り子供と共に抱きしめる。ミオが涙を浮かばせ葵が包み込んだ。


ーアル。

アルスランがわずかに目を見開きうっすらとひかる若い頃の葵を見る。葵がふっと笑みアルスランが僅かに口をつぐむ。

ー私は私がまた運命に従ったわ。私の我儘であの子を不幸にさせた。

「…私も同罪だ」

ー…そう。

アルスランがああと頷き葵が話す。

ーミオは生きているわ。彼の力も借りたおかげであの子は無事。ただ、危険にかわりない。アル。ランスロットは心臓を隠していたの。この世界に。

「自分の国ではなく?」

葵が頭を振る。

ー違う。そして、その心臓は力の元でもあるわ。その力の元が今、半減された。ランスロットと同じ姿の赤子。そして心臓そのまま。この話、信じるかはあなた次第よ。

「信じる。ああ。葵。お前は常にそう話していた。自信のなさがあったからな」

葵がふっと笑う。

ーだった?

「ああ。あとは、私や周りがする。私の大切なものたちを取り戻す。そして、娘との約束を果たす。その為に私はなんでもする」

ーええ。

葵の姿がさらに薄れる。

「教えてくれて、会いに来てくれた。まだ、話したいことがあったがいい」

アルスランが微笑み葵が涙を流しぐしゃりと顔を歪めるも微笑み姿を消す。

ー私もよ。アル。ありがとう。

アルスランがはあと息を吐き顔を手で覆いしばらく項垂れるとその手を下ろし名前を呼ぶ部下たちの元へと向かった。


ミオが巨大な樹木のコブのその中で樹液の中にその体を浮遊させていた。そしてその腹の傷は僅かに光りながら回復しており、ルクレイシアがじっと見つめその大樹を見る。

ー世界樹、ね。まあ。

今度は足元を見て骨を見下ろす。

ーそう言わせた人喰い大樹。だけど、その力は強い。ルーシャスがその場にくるとルクレイシアがルーシャスを振り向く。そして足元に死体が転がると根が死体を掴み吸い込んでいく。

「ミオは?」

「まだね。まあでも、前よりもよくはなってるから後少しよ」

「ああ」

「ルーシャス。聞くけど、ミオをこうさせた相手の元にいる」

「分かっている…。ああ」

「ルーシャスが腕を掴む」

「そして、何もできなかった…。何も」

ルクレイシアがやれやれとしルーシャスが表情を曇らせその顔をあげ眠るミオを見つめた。


ーあー、くそ。

尊が必死に体を起こそうとするも力が入らず倒れ息を弾ませる。

「重い…。無理だな…」

そこは見張りのいる部屋で尊がなんとか顔を横へと向け見張りたちの背を見る、


ーなかなか強いのよこしてんな…。

そこにカテリーナがくると尊がはあとため息しカテリーナが尊のそばへとよる。

「あいつと、前も一緒に、国にいたのか?」

「…実物を、ご尊顔を見たのは初めてよ。今まで見たのはラファエル様とレーガン様と言った限られた方達だけだから」

「そうか」

「…どうして、あの時私を助けたの?」

「助けたからだな。後、死んだ妹との約束もあるし、女を弄ぶ男が俺は大嫌いだ」

「妹と関係があるから?」

「ああ。妹は性病で死んだ。叔父に犯されて。病気を持ちながら売られてこの世界に来た」

尊が拳を握る。

「日に日に弱っていく妹を見て苦しかった。向こうには特効薬があるがこの世界にはない。妹は病に侵されて死んだ。苦しかったはずなのに最後まで笑っていった。なら、俺は二度と妹のような間に合わせたくない。苦しむ相手を助けたい。そして、女を犯すクソどもを1人残らず踏み躙る。だが殺しはしない。死んだ妹がそれは願ってないからな」

「死んだら…、わからないんじゃ」

「そばにいる」

「え?」

尊が手を挙げ胸を親指で指差す。

「ちゃんといる。だから、兄として、恥ずかしい生き方は、したくない」

「…」

尊が手を落としはあと息を吐く。

「以上だ…ねる」

尊が目を閉じすぐに眠りにつく。カテリーナが眠った尊を見てはだけだ布団を掛け直す。

ー愛されていた。愛していた。とても、愛していた…。

カテリーナが静かに立ち何も言わず部屋をさる。そして自分の部屋へと戻るとポケットから花の入った小瓶を出しその目を閉じ抱きしめた。


ー腕の代わりは機械人形しかないか。

ランスロットがロレンシオを連れ奥へと進む。そしてその奥に巨大石の柱があった。その中にルイスがおり柱の中で眠っていた。

ー私は私の役割を果たします。それが、彼女との約束ですから。

「全く、これも困ったことをする」

ランスロットが柱に手を当て衝撃を与える。だが柱は動かなかった。

「まあ、見事ではある」

「でも困りませんか?」

ロレンシオが睨む。その先にヘラヘラと来た玄海が現れる。

「心臓を二つに分けられた。しかも、一つは人として生まれ変わらせた。おかげで力は半減」

「玄海」

「その通りだ。それで?」

玄海が赤い水晶を出しランスロットへと向か投げるとランスロットが受け止める。

「確かに。ならば」

「そっちは残念。生まれ変わった方の心臓はアルスランの元にいる。これは偶然になる。じじいが術使って蘇らせた。生まれ変わらせた赤子をすぐに誰かが見つけて保護したらしい。今はそいつの手の元で、アルスランの元だ」

「それは、困るな」

ロレンシオがランスロットを振り向きランスロットが軽く息を吐く。

「その赤子は連れて来れそうか?」

「いや俺には無理。アルスラン以外にもあそこは強者揃いだ。そして、気付いたみたいだ」

ランスロットがため息をし玄海へと視線を向ける。

「…」

「わかった、あと、一応これだけは持ってきてくれたからな。だが、その赤子。やはり必要だ」

ランスロットが楽しく笑む。

「暫くいろ。それにお前は使えるからな。玄海」

玄海がふんと鼻を鳴らし背を向け離れる。

「呼ぶまで休んでおけ。部屋でもな」

玄海がむかむかしその場を去る。そして、ある部屋の中で横塚が鎖に拘束されており、部屋の扉が開けられ玄海が中へと入る。

「あー、あの小根悪いクソ大将が」

「…ごめん、私のせいで」

玄海が横塚を抱きしめる。

「可愛いからいい。許す」

「…ばか」

玄海がんーと声を出し横塚が表情を曇らせた。

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