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運命のミオ  作者: 鎌月
52/64

学園都市オラシオン6

ミオが眠るのをマリアンヌがミオが眠るベッドに寝そべり見ていた。そしてジュジュがつつくとマリアンヌがジュジュを抱きしめはあと息をつく。


ー郷原尊。

樹、タイシの目の前に尊がおり尊が学園名簿を2人の前に出していた。そこはタイシの部屋でタイシが確認する。

「いや、俺あんまり接点ないけどなんとなーくしか分からない」

「別クラスだったからなぁ」

「行方不明リストに上がってたぞ。2人」

「ああまあそうだろうな」

タイシが頷き樹が話す。

「こいつの両親は」

「いや。両親はいい人達だし、母親は女優の椎原元子さんだった」

「知ってる。まじで?」

「ああ」

「そうだ。あと本名は郷原加奈子。ちなみに父親は帝ホテルの料理長していた」

「セレブすぎだろ。なんで?」

「両親が事故死したんだ。その後俺の母の方の弟夫婦に引き取られて金も全て取られた。最終的に捨てられて売られてここだ」

「あー」

「その叔父夫婦は逮捕された」

「なんでわかるんだ?」

「半年前くらい向こうに戻ったんだと。戻りたい奴がいたからだそうだ」

「ああ。無事に戻ったが、俺が、まあ色々」

「元々向こうじゃいい扱い受けなかったもんでそれがまたさらに酷くなって殺されかけたりもしたそうだ」

「なら、相当散々な目にあったわけか」

「ああ」

「ちなみに聞くけどお前はここに残る?帰る?」

「残る帰ると言ってもな。ま、考えとく。後柚入学したからよろしくか」

「ああ」

「しかしお前ら兄弟2人いっぺんにか」

「家族は失わなかった。それで良い」

樹が頷き、尊が話す。

「トマは知ってるか?」

「知ってる」

「ああ」

「俺の弟分。ハーンか。奴が受け持っていた孤児院で一緒だったんだ。そして、トマと俺とで孤児院を大脱走した」

「なら、話にあった異界人は尊か」

「話にあったならそうだ。あと、これはトマが受け持っていた仕事のリストだ。俺が受け持った」

「は?」

「といっても、トマを預かってる先は俺は特に不要らしい。だけど、トマは超特別扱いされてるからな」

「超?」

「真偽の目を持ち言葉をわかる。つまり、あいつの前ではどんな状態であれどんな状況であれ答えなければならない。そして、あいつの目を見た相手の視界の記憶を読み取り見ることができる。シリウスと別名で言われていたな」

「教会の枢機卿扱いか」

「それ以上だ」

「ああ。だが、何故それなのに危険なところに?」

「あいつの精神面を考慮してわがままを聞いてるみたいだ。相手の視界の記憶を見る。つまり、トマにとって見たくはないグロ映像もながらるわけだ。私的行為もだ。教会の方も無理させないようにしているがあいつが俺たちを探す為に無理してきたみたいでな」

「探す?」

「逃げていたんだ。ハーンと他連中。アウロラの奴らからも。あの孤児院は相当たちの悪いところだったみたいで俺たちはそこから逃げたいわば知られてはいけないものを知ってしまったで殺す為に追いかけられ続けたわけだ。たまに街に出ればすぐに奴らが現れる。まあどうにも視覚的術を持ったやつか、預言者を使ってだかで先回りして来るもんで約6年間は逃げたな。逃げながら技磨いたり未開の地の探索でまた色々知ることできた」

「あそこは危険もあるが面白くもあるからな」

「ああ。で、そこを行ったり来たりしながら逃げて約6年。ようやくトマが見つけてくれたから奴らの悪事も晒されると分かったところだ。ちなみにハーンは異端審問官たちに山間部に連れていかれた。罪の塔だ」

「まんまだな」

「拷問を行う所だ」

「どんな?」

尊が水晶を出すと光らせる。そして鉄の針の椅子に縛られ熱された石を両足に当てられるハーンを見せる。

「こんなんだな。後ハーンだ」

「ああ」

「見せんなしまえ」

尊が光を消すとタイシが話す。

「通常の拷問だな。日本でいちばんの拷問は」

「聞いてない。はあ」

「そのトマは異端審問のところに?」

「ああ。あとは魔人か。ただ、話じゃ魔人とかその周りは上司がコロコロ変わるらしい。今はその異端審問官が上司として動いている」

「そうしたらリリーという女は?」

「いた。ただ、意識不明だったが俺が回復させた。全身の体内が針の筵状態だった」

「つまり?」

「目に見えない無数の針が体内の臓器とかに突き刺さった状態だ。ミオって子がやったと聞いたけどその子は?」

「ああ。そちらも事情あってまだ目が覚めてない。関係は聞いたか?」

「なにも。ただ、トマが特別面倒見ているからって話だ。理由はその魔人との会話ができるかららしい。ちなみにリリーは魔人の制御装置みたいなとこにいるらしくそばに仕方なく居させてるんだそうだ」

「となると、魔人が大事なわけか」

「何故大事かは不明だけどな。あと、一応俺も治療には精通してるから、必要なら見る。信頼できないならそれで良い」

「だそうだ」

「なら、見てもらいたい。今でも良いか?後これはどうすれば良い?」

「覚えたなら好きにして良い。とりあえず俺は変なことした時だけ向こうに話すだけだ」

「分かった」

「話してお前が狙われることはないか?」

「ないな。一応俺もすることはしてきたし、トマとの関係もあるから切れないだろ」

立ち上がったタイシに続き2人も立つ。

「取り敢えず慣れるまで過ごした後は適当にする」

「ああ」

「ならこっちだ」

樹たちが頷き通路を歩くとタイシの後ろをエルハルト、ブレイズがついていく。そして生徒たちのいる通路を歩くと周りがタイシたちを見てざわめく。

ー派手だよな。後、こいつ顔いいし。

樹が高身長に整った顔立ちの尊を見ると今度は尊に熱い視線を送る女子生徒たちを見る。

「前の学校もこんな感じで注目されたよな」

「そうだったか?気にしてなかった」

「そうか」

「ああ。俺としてはタイシの方が注目されていた。悪い意味で」

「まあこいつに関してはな」

タイシが軽く息をつき頷く。そして救護室へと来るとタイシがミオがいる部屋へと来る。そこにミオのベッドに眠るマリアンヌとぴこらげがおりそばには瑠奈が座っていたが尊を見て驚く。

「たしか、兄の家に来た」

「ああ。一回会っただけでよく覚えてるな。近所のダチと同級生。なら見る」

「ああ」

尊がミオの額に手を当てる。

「なんでこっちに?」

「両親が亡くなって売られた」

『警告』

樹が眉を寄せミオの目が開くもその目がまわりを見渡し尊を見る。

『その手を放しなさい』

「は?」

「何もできないだろ?」

『その手を放しなさい』

「望さんが話してたことだな」

「ミオの中にいるギフトの一つ」

「まあ、ギフトではありそうだが。いて」

尊の手をミオが爪を立て強く握る。

「反抗はそれだけだなっと」

ばちっと電気が走るとミオの体が震えマリアンヌがはっとし起き上がる。

「に、な、に」

「見つけた」

尊がミオの体に触れると手が吸い込まれるように体の中へと入る。マリアンヌが驚愕し尊がミオの体内の黒い宝玉をだす。

「また禍々しい」

「それは?」

「この子の中の異物だな。少しだけ残した。そうでもしないと体内に溶け込んでいるから除けばこの子が危険だけど、これ何処かやれるものとかあるか?移すものだ」

「は?」

「ない」

「あー、なら戻すしかないか。タイシ。止め切れるか?」

「やってはみる」

「なら抑えておいてくれ」

タイシが頷きミオに覆い被さり両手首を抑える。

「エルハルト、ブレイズ。足を押さえてくれ」

「はい」

2人がミオの足を片足ずつ抑える。

「ブレイズの無効化の力は使えませんか?」

「持続?それとも完全抹消?」

「持続、だと思います。こちらもまだ把握できていません」

「分かりました。なら、持続でもいいので合図したら使えますか?」

「はい」

「ならそれで。いくぞ。他は下がってろ」

瑠奈がマリアンヌを引き寄せる。アンナが瑠奈とマリアンヌの周りに結界を張る。

「俺は無視かよ」

「あら?なにか?」

「はあ。だから年寄りは意地の悪い」

「あ?」

「はいはい喧嘩しない。もう」

瑠奈がため息をする。そして尊が黒い水晶を戻した途端ミオがカッと目を開けた途端、両手、両足共に強い力が加わる。タイシが歯を噛み締め押さえていき、エルハルト、ブレイズも力を込め抑える。

『警告。警告。離れなさい。攻撃します』

黒い電磁波がタイシたちを襲うと全員が苦痛に顔を歪め尊が奥歯を噛み締め痛みに耐える。

『離れなさい』

「あと、少し、だっ」

ーミオ。

ミオの攻撃が止まる。

ー心配ないわ。

「力をっ」

ブレイズが震える手でミオの足を押さえ掴みながら力を注ぐ。尊が手に光を込めその手を離すとそのまま尻餅をついた後後ろに倒れ息を荒々しくする。

「し、ゅう、りょ」

ブレイズ、エルハルトが倒れこみ、タイシもまたミオの上で苦悶の表情を浮かべるとミオが小さく唸り目を開け苦しむタイシを見てギョッとしわたわたとあたふためいた。


2時間後ー。

ー針の筵。

ナガハラが寝込んだエルハルトと椅子に座るブレイズの治療を行なっていた。その近くにはベッドに寝込む尊、タイシがいた。

「マイクロ周波だな。電子レンジに近い状態で肉を破壊している」

「なら、浴び続けると」

「水分の蒸発と共に膨らみ破裂して死亡だな。針の筵は水分が蒸発したことによる無数の火傷だ」

「無数…」

「ああ。しばらく組織の回復ができるまでは安静だな。しかし、体内から取り除けるとはな」

「ある程度の、条件は必要ですけど…」

「ああ。あと、あの機械人形は押さえられたのか消えたのかとっちだ?」

「消えてないです…。押さえてます。あの子の体内で封印されていたみたいでした。俺の力はそう言った目に見えないものを取り出せる力です。ただ、その後消すことはできないのでその取り出したものを受け入れる器がいります。今回は力がどれほどなのかわからなくて出してみたら圧縮された感じの力でどうしようもなく、元の封印の気配がしたので探してその封印を使って封じたんです」

「ああ。あと封印は葵が施したな。しかしあいつの馬鹿みたいなところが受け継がれてたなら嫌なもんだな」

「先生は見たことありますか?」

「あるから話している。あの時も葵が止めたが敵と決めたら感情の有無なくばかすか攻撃する。元々あまり感情ないやつだが、それに輪をかけて感情無くした上に機械語みたいな言葉を発して攻撃する。力も強まって酷いことになったからな」

「なら、親子合わせて2人か」

「同時に来たら破滅しそうだな」

「言っておくが親の方はさらに酷いからな」

尊が頷き、タイシが話す。

「死ぬまでですよね?」

「だろうな。あと、お前には話してないだろう?」

「はい。ミオの話を聞いて初めて知りましたし、ミオを見て、それより酷いなら多分俺では無理です」

「ああ。無理だな」

「なら、前はどうやって止めたんです?後なぜ瀕死に?」

「騙し討ちされた。止めたのは死んだエルフと葵だ。一番は葵だな。他に比べようがないほど力は強かった。その後は3日寝続けたがな」

「ええ」

「それを考えるとミオは本当半々の力だな」

「それでちょうどいい。あと、俺は行くからな」

ナガハラが礼を述べられながら出ていき、尊がタイシを見る。

「タイシ。明日は多分今日の分の追試受けになるから明後日だ。ちょっと相談がある」

「ああ」

『やっほー』

「お邪魔するじょ」

ぴこらげに乗った陸奥、そしてサムが来る。

「妖精?」

「よ!あと尊のダチ」

「ああ」

「ぴこらげが起きたならミオも起きたか」

「起きたぜ。でも熱出してるって話」

「そうだじょ」

「多分俺の力の後遺症だな。体内に手を突っ込んで抜き出したからな」

「手、洗ってか?」

「浄化の力を利用して。ここではそうすれば細菌の類は問題ないみたいだ」

「本当にか?」

「まじ。こっちも寒天使って実験したからな。指突っ込んでカビの生え方見たわけ。そうしたら浄化の力を使えばカビが全く生えなかった」

「へえ」

「あと、顕微鏡だったか。ドワーフのおっさんに作ってもらっていろんな細菌ってやつみてたぞ」

「ああ。植物や魔獣の毒とかもだ。それで解毒剤をよく作って売ってたからな。おかげでじゃないが俺のは良く売れる」

「コンコルディアか」

「コンコルディア?」

「当たりだ。商売ギルドに登録している名前だ。一応ランクはAになる。ただ、追われてた身だからあちらこちらと場所を変えていたもんで幻の薬剤師と薬と呼ばれるようになった」

「ああ」

「まあとにかく、話を戻してあの子が熱を出したのは外部からの異物に体が拒絶したから出た話だ。こればかりはどうしようもない。しばらくは続くが3日、4日すれば平気だ」

「ああ」

「わかったじょー。ところでお前誰?」

ぴこらげが頭を傾げると尊が自己紹介をし尊と樹と同期であることを伝えた。


翌日ー。

「向こうじゃ犯罪行為だがここだと好きに出来るからな」

ナガハラが先頭に立ち尊を連れ通路を歩く。そこには教会の警備兵たちが所々と立ち警備をしていた。

「ええ。あと、俺の父がシェフだったので衛生法に細かかったのと、サイエンスクッキング。言えば科学を使った料理を作るのが得意だったんです」

「例えば?」

「ドライアイスを使ってアイスを作ったり、素材の比重を利用したテリーヌとか。あと、理科の実験器具を使ってスイーツとかも作ってましたね。なので家はその他の調理機材でキッチンがほぼ埋め尽くされてました」

「そうか。まあ、金持ちの家だからな。坪は?」

「港区の80坪の二階建てでした。後別荘が三棟」

「さすが有名シェフと女優だ。恐れ入った」

ナガハラが扉を開けるとそこにサイモンとクリス、点滴を受けながら体を拘束され意識のないダリスがいた。

「禁止薬物を打たれている。しかも濃い」

「分かりました。あと、束縛されているのは幻覚とかで暴れて?」

「そうだな。そして、その薬は強壮効果もある。ここでだとより強い力になる。そいつの腕を握って簡単におってくれた」

よく見るとクリスの左腕が包帯玉から吊り下げられており、尊が袖を曲げる。

「鍛えてますよね体つきから。なら相当だな」

「そうだ。あとこいつも鍛えてる方だからな」

「ええ。それじゃサム。ビーカー」

「オッケー」

サムがビーカーを出す。

「ミオの元から持ってる力とか呪いは代わりのものが必要ですけど薬とか毒なら出すだけですみますっと」

サイモンたちが驚き尊がダリスの体に手を入れ沈める。

「ピリピリするな。だいぶ濃度濃いのによく我慢して」

尊が赤い液体を出しビーカーに入れる。

「ほぼ取り出したんで後はもう平気ですよ」

「ああ」

ナガハラが脈などを確認する。

「これもらっていいですか?」

「え?」

「ああ。他にも大勢いる。費用は教会のハーンの上。マルス枢機卿殿に請求しろ」

「分かりました」

『いい力を持っていますね』

ルクスが姿を見せるとナガハラが話す。

「お前でも薬にやられては無理か」

『私は浄化ですから』

ルクスが尾を光らせ小さな石を出す。

「おっとそれはっ!」

「興奮して落とすなよ」

「なんですか?」

「高濃度の魔性石だよ」

「え?」

「見たことないですか?あと」

『差し上げます。礼です』

「どうも」

「やったぜ。これでまたうまいの作って食えるな」

「作って食える?」

ナガハラが繰り返し告げ、尊が袋を出すとその小石を流し込み入れる。

「はい。向こうの世界のハーブを勝手にですけど作ってんですよ。未開の地で。その中のいくつかのハーブがここの毒に効くやつもあるんで栽培してます」

「ああ。本来なら毒で死ぬのに解毒できる草があるんだよ。それからこいつの飯が美味いからさ」

「父さんから教わってきたからな」

「お父様からですか?」

「ええ。向こうで料理長してたんで。いえばタイシに教えたのも俺の父親です。向こうではまあ近くに住んでたから俺と一緒に教わってたんです」

「なんと」

「驚きましたね」

「肉だな」

サイモン、クリスがナガハラを振り向く。

「酒に合う肉がいい」

「まあ、いいですけど」

「ああ」

「おっさんも好きだな。あと、酒もハーブにつけてるやつとかあって美味いんだよ。あとえーと、蒸留酒?」

「料理に使うからな。なんでも素材で作ってるんですよ。未開の地で。あと、周りが大型魔獣ばかりだから逆に奪う奴がいないから助かるな」

「なー、そこはオイラに感謝だ。いいとこ教えたからな」

「ああ」

「肉だが夜にいいか?」

「おっさんもごうじょーって奴だなー」

サムがやれやれとし尊がいいさと告げた。


ートマ。とりあえず報告に来たのと菓子持ってきたからお前も食え。

ー美味…

トマがハーブクッキーを食べ紅茶を飲む。そしてユリウスも頂いておりユリウスが美味しいですねと声をかけるとトマが頷きもう一枚と食べた。


ー柚と言います。

「柚は向こうではタイシさんと家が近かったんだ」

「と言っても車で10分の距離だからまあ遠くはあったかな」

柚が紬と教室で話すと紬が頷き女子生徒が話す。

「車?」

「向こうの世界の乗り物の名前。特技は?」

「歌かな。歌が好きなの。後はお料理。私のお父さんが料理長。お母さんが女優で歌手だったから」

「うおー、すごい」

「女優?」

「えーと、演技をして、みんなを楽しませる?」

「そう。ここだと劇場の人達のことで、有名なのがアイリーンさん」

「ええ。確かに有名ね」

「うん。私のお母さんもみんながすごく知ってるくらい向こうでは有名だったの。お父さんも。料理長だったから」

「そうなのね」

「でもわかるなー。柚ちゃんめっちゃ可愛いし。尊さんかー、昨日見たけど顔が完璧な上身長高いよね」

「そうそう私も気になったの」

「私も。ぜひお知り合いたいわ」

「お相手の方とかいらっしゃる?」

「いないよ。あと、お兄ちゃんは、そうだね。なんか、明らかなところもあるからなあ。どこまで嫌いなのかははっきりしてないかな。誰でもいいやって感じに見える。でも、私たちは言えばここでは家柄も何もないから、ええと」

「家族として受け入れられるのが難しい」

「うん」

「ま、まあ」

「そこは、承知の上で」

「なんか変なこと考えてない」

女生徒たちがないないと手を振り頭を振り、柚が複雑そうにする。

「えと、柚様は歌がお得意とのことですがお聞かせください」

「ここでは流石に私も恥ずかしいから。あと、上手なのかはわからないな。でも、お母さんは綺麗だったな。子守唄とかいろんな歌教えてくれたから」

柚が息を吸い吐き出す。

「柚」

女生徒たちが一斉に振り向き柚が教室の出入り口に立つ尊を振り向き向かう。

「何かあったか?」

「ううん。歌のこと聞かれてお母さんのこと思い出したの」

「そうか。まあ、何かあればすぐに言えよ」

「うん。これなに?」

尊から渡された籠を受け取ると尊が話す。

「クッキー。新作の奴だから味確認してくれ」

「分かった。ありがとう」

「ああ。じゃあな」

尊が離れていき柚が嬉々としながら蓋を開けると紬が来る。

「何クッキー?食べさせて」

「待ってね」

柚が開け皿に入れられた熊のクッキーを出す。

「まあ」

「可愛らしいですわ」

「本当」

「かわいいー。これジャム?」

「うん。お兄ちゃんの作ったの美味しいから食べよう」

「お兄様が作られたのですか?」

「うん」

柚が食べて食べてと向けると女子生徒たちが、そして俺たちもと男子生徒たちが集まり食べると柚もまた口に頬張り食べた。


ーか、体の、あちこちが。

ミオが杖を使い部屋の中を歩く。その様子をマリアンヌ、奏が見ていた。

「ミオー」

「しょうがないね。死にかけたから体が硬直して動けない状態が暫くあったから。その反動だよ」

「うん」

「う」

ミオがドアにたどり着き息を弾ませると再び同じ場所を歩く。そこにノックが響くと瑠奈が入るよと告げ中へと入る。

「リハどう?」

「朝より動けるようになったところ。尊来た?」

「来たけどそこまでだから。女子寮だからね」

「やっぱだめかー。よし。ミオちゃん背負うから来て」

「重いですよ」

「軽い軽い」

ミオが頭を下げ奏に背負われ外へと出る。そして女子寮の外にいた尊の元へと向かう。

「きたきた。目が覚めたな」

「覚めてるよ」

「あの、ありがとうございました。治療していただいたとか」

「ああ。その続きだ。それと枢機卿の方は朝から見て治療してさっき目を覚ましたそうだ」

「え?」

「薬物中毒になってて意識不明だったんだよ。会うの遅くなってごめん」

「そうだったんですか…」

「うん」

「今は無事だから問題ない。あとそのままでいい」

尊が向かいミオの背後に周り手を向け光らせる。

「私も確認した」

「ああ。まあ、問題なしだな。あと、地道にリハした方が後遺症にならないからか?」

「そのリスクがぐんと減るからだね。術に頼りっぱなしも体に負担がかかるしよくないから」

「やっぱりそうか。自然治癒と術治癒を行った後の睡眠時間は術治癒の方が長かったからな」

「君律儀に研究する人?」

「んー、まあそうかもしれない」

「ならわたしの知り合いにその類好きなのいるから今度紹介したげるよ」

「術系の?」

「治癒のだね。薬学に精通してる奴。君攻撃系の術使うのは?」

「苦手だし、俺の力自体言えば即死系のもんだから使いたくない」

「即死系?」

「ミオの体の中に手を突っ込んで悪いところを直に取り出したの」

「え…」

ジュジュがマリアンヌと共にうんうんと頷くとサイモンが小走りでくる。

「ミオ様。お加減は?」

「まだ体が思うように動けないです」

「そうなのですか?それは元通りの生活に戻れますでしょうか…」

「規則正しい食事と睡眠。後、運動していけば戻るよ。今はまだ起きたばかりで体が硬直して稼働がうまく出来てないだけ。毎日歩行練習とかしていけば早く回復できるからさ」

「はい」

「そうですか。なら安心しました」

「ご心配をかけて申し訳ありません。あの、ダリス枢機卿のお加減が悪いとお聞きしました」

「ああ、今は尊殿のおかげでもう随分と良くなりました」

「え?」

「毒を直接抜きましたからね。あとこれあげますね」

尊が袋を渡すとサイモンが受け取る。

「こちらは?」

「ははーん」

奏が面白く笑んで見せる。

「なに?妹ちゃんに一服盛られた早速」

「え?」

「ああ。妙な匂いがしたからな。だから、妹とそのクラス用に解毒剤用のハーブが入ったクッキーを渡した。学園長も事情知ってんで許可もらってこっそり配り回ったりしてるところだ。あと、そっちはその残りの毒を解毒する為のお茶です。1日一度夜寝る前に飲ませてください。小分けしてますから」

「ありがとうございます。枢機卿が御礼を申したいとのことでしたが、難しそうですね」

「ええ。あちこちまだその手の匂いするんで。後原因誰か知ってるんだろ?」

「知ってる。サンスト国の皇太子だ」

「ああ。皇太子だから面倒臭いと学園長も話してたな。まあ、違法薬物っぽいから後々問題行為としてあげられるだろうな」

「でも国の皇太子だから手っ取り早く済ませるには」

奏がサイモンを振り向く。

「ちょっと協力が必要だ。あと、フェンリルがいると分かってから考え変わった連中も多数だからね」

「はい」

「フェンリルというと、白い大きな犬か狐ってイメージだ」

「それであってるよ。ここでは神の使いと言われて大変ありがたーい存在なんだ。その神の使いを持つ枢機卿だ。使えるものがあれば使って損はない。ま、今まで自分の力でやりたいと強く願ってたけど、今はもう十分それはなされてるから遠慮せず、今度はフェンリルに選ばれた枢機卿として生きていけばいいさ。あと、認めている奴は認めているし、サンスト国の紋章はそのフェンリルだ。枢機卿の言葉で即事は治る」

「確かに」

「そうしてくれたら助かるな。解毒薬も数に限りがあるから」

「なら、私から話しておきます。尊殿。もし良ければまた後日にでもよろしいですか?」

「はい」

サイモンが頭を下げその場を急ぎ離れる。

「そんな薬が出回ってる?」

「食事と香水さ。相手の匂いを嗅げばその匂いがまとわりついて、香水をつけた相手に魅了される。恋の薬って奴」

「ええー」

「恋の薬?」

「モテない男がずらしてモテようとする薬だ。さてと、なら俺はまた授業出たら薬作る。後これは見舞いだ。その薬の解毒薬だが普通に食べられるから食べていい」

「ありがとうございます」

ミオがクッキーを受け取り尊がじゃあなと手を挙げ離れる。

「いやー、料理もできて気も効く男はいいね」

「ごもっともだわん」

「だにゃー。後クッキーにゃクッキー」

ジュジュがくるくると回り奏が部屋で食べようと告げミオを連れ戻った。


ー何故っ。

ーえ?なんですか?

ー突然話しかけて何かしら?

女性たちが男から離れていく。そして取り巻きの女たちも次々と離れる。

「なぜっ効かないんだ!」

男が絶叫する。その様子を隠れたコンスタンスが呆れつつ聞いており静かにその場を去る。

「うまあ」

「冷えるなあ」

「美味いな」

騎士科の生徒たちが尊が持ってきた冷たいハーブティーを飲んでおり講師たちもまた次々と飲む。

ー大体解毒できたな。後は、

「お兄ちゃーん」

尊が上を向き柚が手をブンブンと振る。

「なんだ?」

「学校終わったらみんなと街に行ってくるー」

「分かった。時間は守れよ」

「うん」

柚が顔を引っ込め紬たちと離れる。

ーかわいい。

ー可愛かった。

「妹もいたな」

「はい。おかわりいります?」

「ああ」

「私も」

尊がコップに茶を入れると講師たちが次々に飲み生徒たちもまたおかわりと飲んで行った。


ー全員が離れていく。

男が落ち込み俯いていたが誰かが座る気配がすると顔をあげ頬杖をつき座った尊を見上げる。

「貴様は誰だ…」

「この前入学した尊という異界人だ。薬を渡せ」

「…」

「誰も寄り付かなくなったなら必要ないだろう」

「なっ」

男が腰をあげたつ。

「まやかしの友情恋愛ばかりの生活だと愛想疲れてますます1人になるぞ」

「なんだと!」

「事実を言っている」

男が歯を噛み締め尊が立ち上がる。

「とにかくもうやめろ。止めるなら今だ。警告したからな」

「異国人のくせに誰にものを言っている!」

「同じ学園生徒として話しているんだ。ここは学園で種族や地位は関係ない。とにかく」

「いたあーーー!!!」

尊が後ろを振り向き男が前の大勢の商人たちを見る。

「な、なんだっ」

商人達が男を押しやり尊を囲む。

「ぜひ解毒薬をうちにおろしてください!!」

「私のところも!」

「私は商人契約してもよろしいですか!」

「ちょっと待ってくださいなんですか急にっ」

「いなくなる前に解毒薬をくれ!」

「契約して!」

「しばらく学園にはいますから落ち着いてくださいっ」

尻餅をついたまま男が唖然とその様子を見ていた。

「な、なんだ…」

ピーと音が響くと全員の動きが止まり音の方角を振り向く。そこに笛を鳴らした柚がいた。そして笛を鳴らし終えると紙が入った箱を掲げ柚が今度は紙を掲げる。

「みなさーん。コンコルディアです。解毒薬購入の方はこちらの紙を受け取ってくださーい。紙には時間が書いてありますので都合が良い時間の紙を選ばれてその時間に案内図の場所に来られて下さい。契約に関してはまた後日相談時間を設けてギルドの広告に出しますのでご覧くださーい。今回は薬にも数に限りがありますので個数制限の購入のみとさせていただきまーす」

商人達が顔を見合わせていく。

「ここではすぐの購入もできません。準備しますので指定した時間と場所に来られて紙と一緒に引き換えます。なので紙も持ってきてください。あと、一ギルドに対し一枚です」

「…仕方ないか」

「ああ」

周りがわらわらと柚の元へと向かうと柚がテキパキと時間の紙を渡していく。そして尊の元に樹と目を丸くする陸奥が来る。

「すごい人気だな」

「…こっちも驚いた」

「ああ」

『柚手慣れてるねー』

「向こうの世界で母さんの手伝いしてからなあ。コミケの」

『コミケ?』

「コミックマーケットのか。でも女優だろう?」

「それプラス趣味でアクセサリーつくりもしてたんだよ。変装でもあるコスプレして柚連れて行って。だから、ああ行った販売系は得意なんだ柚は」

「へえ」

『んーなんかピンとこないなあ。コスプレという言葉も知らないしね』

「ここではないからな」

「それじゃまた後でこさせてもらいます」

「どうぞ」

商人達が挨拶しながら離れていく。

「しかしなんで突然」

すっとタイシが来ると尊がタイシを振り向く。

「…多分俺だ」

「ギルドか?」

「…いると話してしまった」

尊がお前かよタイシの頭を叩きため息を漏らす。

「まあ仕方ないさ。まさかここまでとは誰しも思わなかっただろ」

「はあ」

「ならお願いね」

「はい。お待ちしてます。おにいちゃーん。全部配布したー」

「ああ。助かったし忙しくなるな」

柚がその場に来る。

「ところで皇太子どっか行ったぞ」

「ああ、まあ、別いいけど」

「柚ちゃん悪かった」

「いいよいいよ。あとお兄ちゃんの作る薬みんな欲しがってるの知ってたから前もってここきた時に準備してたよ。また作らないとね」

「だな、商売になるからいいか。あとどれくらい作ればいい?」

「それより薬って一つじゃないだろ?」

「ああ。5種類だ。各種効能がある」

「うん。一番人気はやっぱり即効性の高い獣の毒の中和ができる解毒薬だね。後は病気と植物。食中毒用の解毒薬。それからゴブリン専用の毒」

「なんで専用なんだ?」

「ああ。あいつらは自分のクソとかもまぜた強力な毒を作って使う。通常の解毒薬でも麻痺が残ったり毒が中和できず中途半端に回復してダメなんだ。だからそれにあった解毒薬を作った」

「そう。その代わり後で強い睡魔が襲うから要注意の解毒薬でもあるんだ」

「ああ。薬もどうあれ毒だからな。何かしらの後遺症があるのは仕方ない」

「へえ」

「でもここには術もあるからあらかたそれで補えるんだよ」

「そうだ。ま、そこはその人の容量次第だな」

「うん。後お兄ちゃん。ナガハラ先生が飯だって」

「はあ。分かった。なら柚は小瓶の用意とラベル張りを頼むな」

「分かった。できたら明日でいい?」

「ああ」

「…手伝うことないか?」

「ない」

「…」

「じゃあお夜食作って。お兄ちゃん今日徹夜すると思うから」

「ま、そうだな。後それで詫びはいいからな」

タイシが分かったと頷き柚がうんと明るく頷いた。


ハーブバターを溶かした肉をナガハラが食べる。そしてワインを飲み尊へと話す。

「これは」

「葡萄ですよ。ただし、未開の地に自生していたブドウに似た果物です。向こうの世界のブドウと寸分違わないですし、作り方は父が自分用に違法に作ってたの教えてもらって知ってますから分かります」

「よし」

「父さん貪欲すぎ」

「ほほほほ。いやだが確かにこのワインは美味いのお」

「そうだな」

そこに、ヒカル、オーガン、ギルバートも来ていたが誘われたアルスランもお忍びできており、マナもまたゆっくりと酒を嗜みつつ肉を食べていた。そきてハリーもまたうまうまと肉とワインを飲み食らっていた。

「ハリー。強い酒だから気をつけろよ」

「わ、分かってるよ」

「しかし、未開の地で植物園を作っておるとはいやはや」

「生きるためにですから」

「未開の地は私も家作ってるよー」

奏が勝手に来るとマナの近くにあったパンを拝借と口にし食べる。

「あと、ブドウとかオリーブとか自生してるよ。それは相当昔に向こうからやってきた種が勝手に育ってそうなったんだよ」

「じゃあ本物のブドウ?」

「そうだよ。でも、未開の地でないと繁殖はできないんだな。理由はもちろん適した土地がそこしかないからと龍がいないから」

「む?」

「育つ植物にも影響があるんですか?」

「そうだよ。だからここだと好きな植物を植えても、野菜を植えても育ちにくいし時間がかかるんだよ」

「それは初めて聞いたのお」

「龍達は話さないから。性格悪いし」

「ふふ」

マナが笑い、奏が話す。

「約束の日まで後1週間だけど巻物の集め具合はどうだい?」

「残り1つだな」

アルスランが答え、奏が話す。

「なら頑張れ」

「手助けしないのー?」

「しなーい。これは約束したもの同士でおこなってもらうから。後飲み過ぎ」

顔を赤くしたハリーへと告げるとヒカルがたくっとぼやき酒から水へと変え飲ませていく。

「龍と盟約した巻物ですよね?広告にもなりましたから知ってます」

「ああ」

「ふふ。巻物は姿を隠す」

尊がマナを振り向きマナが話す。

「そして欠片もまた同じ」

「欠片と言うと古代の?」

「ああ」

「まずなんで知ってんのかな?」

「尊はなんでも知ってるぜ」

サムが顔を赤らめながら肉を手にし告げる。

「物探しが上手いしな。探索」

アルスラン達の目が変わり、尊がサムをつまむ。

「違う。飲み過ぎだお前も」

「えー」

「とにかく俺は関係ない。ですよね?」

じーとこちらを見るアルスラン達の視線を受けつつ話すと尊が関係ないと腕をクロスさせ頭を振る。マナがふふっと笑い、奏が告げ口しちゃうぞおと皆に伝えた。


ー小瓶小瓶、の材料。

開けられた備品庫の中へと紬を連れた柚が入る。紬が古びた道具や素材、そして新品の教材と見る。

「一杯」

「他は触らないように」

そこにルーフェウスとステファンがおり2人がはいと答え柚が奥と進み小瓶を見つける。

「あったー」

「一杯ある」

『見つけられるのがとても早かったですね』

焔が話すと柚が告げる。

「うん。探すの得意なの。解毒薬の薬草とかも私がよく見つけるんだよ」

『では、探索がとてもお上手なのですね』

「そう」

「へえ」

柚が空き瓶の箱を出し持ち上げ、紬もまた持ち上げる。

「うわー、長くて大きな巻物」

「どこ?」

紬が止まり柚が話す。

「そこの壁に立てかけられてる」

「えー?どこあっと?」

「どこあっと?」

巻物が僅かに動きばたんと倒れる。

「そこ。何か触ったか?」

「いえ」

「勝手に倒れて」

巻物が動き紬と焔、柚を包み込む。

「なっ」

ステファンが進みその手を前に出すも宙をきり辺りを見渡す。

「消えた…」

「ステファン。探してくれ。私は人を呼ぶ」

ルーフェウスが離れステファンがはいと返事を返した。


ー柚。

紬がいくつもの文字が飛び交う空間を泳ぎ手を向ける柚の手を握り引き寄せる。柚が驚き周りを見渡し紬もまた見る。

ーここ、なに?

ーわからん。文字が一杯。

ー巻物の中です。

紬の肩を掴む焔が告げる。

ー巻物の中?

ー見てあれ。

紬達が前を見ると巻物が浮かんでいた。

ー巻物。

ー本当だ。巻物の中に巻物

ーあれは龍の盟約書です。

ーあれが。

焔が硬直し紬と柚もまた硬直する。そして白い手が伸び2人に触れ抱きしめる。

ー愛しい子…。

焔が震え突如紬から離れる。

ー紬っ。紬いいっ。

焔が飛び出すと備品庫の管理人がすぐに抱き止める。

『紬!紬!』

「ちょっと何があったのさ」

呼ばれた奏がくると焔が慌てふためく。

『紬が!隠れていた巻物にとらわれました』

「隠れていた巻物に?」

「盟約書か?」

「そんな機能盟約書にはない」

ルーフェウスへと告げると焔があわあわとする。

『盟約書もその中にありました』

「…ちょっと予想外。サラサ」

奏に呼ばれサラサが姿を見せる。

「話聞いた?」

「聞きましたけど…」

「悪いけど緊急。焔も離れてる時点でおかしい」

「まあ、確かに…。わかりました」

サラサが額に触れ角を出し光らせる。そしてその場に小さくなったラファが姿を見せる。

『おかしな気配がします』

「するんだよ」

「見つけました」

サラサの角の光がまっすぐに進み壁に当たると縦長い巻物が姿を見せる。

「盟約書とはまた違います」

「…まずい」

巻物が黒いモヤを吐き出すと奏が腕輪をはめる。

「まずいまずいまずいまずい!」

奏が手を床に告げると巨大な結界が張られる。そしてモヤがその中に止まりとまる。ルーシャスが汗を滲ませモヤが生きているように蠢くと巻物が変形しゆっくりと骨が現れ吐き出される。

「な…」

「人骨」

「カテリーナ」

ルーシャスが奏を振り向き奏が話す。

「創立させたのに当時のもの達によって作った全てを乗っ取らたあと殺されて封じられたのか」

「殺された、のか?」

「ああ。あーまずい」

巻物から紬が姿を見せると焔が目をうるとさせる。

『紬…』

その紬の目が赤く染まっており腰に刺した刀が抜かれる。

『……つ、つむ』

紬が奏の元へと一直線に来るとサラサがすぐに爪を出し刀を受け止め応戦する。

「私は動けない!カテリーナ!!こら!!」

サラサが汗を滲ませ奥歯を噛み締める。

「こっちは関係ないでしょうが!!」

奏達が僅かに浮かび上がると奏が手を離さないと必死に力を込め、ラファがその奏の体を押さえ込む。

『な、んて、力』

キンと音ともに細長い鎖、切先の尖った振り子が小さな障害物を避け動き巻物に巻き付く。柚を抱く顔のない女が上を見上げこちらへと向かうダウジングを見る。

ーあれは。

ダウジングが柚を巻き取り、別に浮かんだ巻物も巻き取る。

ー己。

柚が目を覚まし手を向ける顔のない女を見てぞおとする。

ーいやああ!!おばけええええ!!!巻物のお化けいやあ!!

女が怯み柚と巻物が上へと上がる。

そして外へと共に出た途端、アルスランが巻物を掴み光を当てる。巻物の中の女が悲鳴をあげふらめき落ちていく文字の中上を見上げる。

ー許さないっ。くっ。

巻物がアルスランの手を弾くと1人でに動き屋根を突き破りその場を逃げ去る。アルスランの足元には頭蓋骨と共に多数の骨が落ちており、奏がはあと息を吐き出し紬がはっとしサラサを見てすぐに刀を引く。

「え?え?なんで?なんがあったと?え?ええ?」

「巻物のお化けがああ」

「落ち着け」

怖がりなく柚を尊が抱きながら背を叩き落ち着かせる。その足元には盟約の巻物があり、ラファが不貞腐れる。

『己…。最後の一本…』

「でも、まさかあんなところにあるなんて私たちも予想外でしたよ」

『そうですけど』

「え?なにがあったの?」

紬が泣きつく焔をあやしつつ柚の元へと来る。そして巻物をアルスランが持ち上げる。

「なら、1週間後に」

『…ち』

「はあ」

アルスランがそのまま退散し奏がやれやれとしルーシャスへと話す。

「カテリーナは呪いそのものになったね」

「カテリーナ?」

「この本来の学園の創設者だよ。殺されて乗っ取られて寂しくここで恨みながら呪い殺していたみたい」

奏が骨を一本握る。

「教会の講師達に見えるように作ったな」

「そちらの生徒は?」

「元から強い見る力を持ってるから入れたみたい。アルスランの破壊する力で壊されると分かって逃げたけど。あーもう」

奏がため息し骨を置くと腕を組み顔を顰める。

「こう言っちゃ悪いけども、私も龍側ではあったからなあ」

「こんな風に手に入れるのずるい」

『はい』

「しかし手に入れたのは事実ですよ」

マナがその場にタイシと瑠奈と共にくる。

「来たるべき時のために我々も話し合いをいたしましょう」

「はあ」

『わかりました…』

「柚ー。けがなかか?」

タイシがタオルな顔を埋める柚と慰める紬を見る。

「か、顔のない、女の人のお化けええ」

「そら怖かったたい。うん」

紬が頭を撫で瑠奈が話す。

「顔がない?」

「これだな」

瑠奈がタイシを振り向きタイシが骨の中の特に古い骨と頭蓋骨を引っ張り出す。そして、傷跡を見る。

「体の至る所拷問された後だ。顔は顔面骨折している。あちこちヒビが入っているからな」

「なんでそんなに…」

「当時の異端審問官たちが魔女と勝手に決めて罰したんだろうね。そしてそのままこの学園を乗っ取った」

奏が頭蓋骨を手にし僅かに表情を曇らせる。

「カテリーナー」


ー己…。

巻物が草むらに落ちると周りの草が枯れ地面がひび割れる。

ーよくも…。よくも。

「変わり果てたなカテリーナ」

ロレンシオがユーリと共に巻物の前へとくる。

ーロレンシオ。

「私と共に故国を蘇らせないかカテリーナ。そして、憎むべき外のもの達。その子孫に復讐をしないか?」

巻物がざわりとしロレンシオがふっと笑う。

「どうする?カテリーナー」


ー愛しい子って言われた。

柚が聞き取りで恐々しながらキヨ、オーガン、奏に話、紬が突っ込む。

「うちも聞いたけど、愛しい子なのに刀振り回させて突っ込ませるかなあ」

「ははは」

「何はともあれ無事でよかったの。しかし、魂はあの巻物に乗り込んでどこかに行ってしもうたからなあ」

「はあ。そうその通り。どうすることもできない。どこかで呪い殺してなければいいけどさ」

「うちたち殺されかけたってさ」

「うー」

「いやないない」

「しかしか。彼女に同情はするものの呪い殺してきた無実なもの達もいるからな」

「ああ。それは事実である」

「はあ。色々ほいほい出てくるなあ」

奏が頭をかく。

「さて、あとはまた私たちが事後処理をする。奏は2人を部屋におくれ」

「はいはい」

「小瓶が…」

「わしのところからよこそう。ハリーが世話にもなってるからのお。やれやれだ」

「え?」

「酔っ払ったからだ。あとは食事だな」

「そうだ。なので後で贈ろう」

柚がありがとうございますと頭を下げる。

そして尊が天秤はかりで薬の量を測り今度は蒸留装置で薬液のみを抽出する。その様子を樹が陸奥と共に見ており陸奥が話す。

『もっとぱぱっと』

「出来ない。解毒薬は特に慎重に作らないとダメだ」

『はいはい…』

「尊。あの鎖は隠しておきたかった力なんだろ?」

「そうだ。俺の十八番だった奴」

『おはこ?』

「一番得意だったものだ。仕方ない。柚のこともあったからな」

「ああ。しかし、巻物に取り込まれるか。あと、顔なしお化けとはな」

「拷問で顔を潰された跡があったという話だったからな」

ビーカーの液体を試験管に入れるとしゅわあとモヤが出る。

「しかし明後日だろ売り出しは。学校は?」

「特別許可もらって後日単位取得のための個人授業することになった。俺がただ忙しくなるだけだ」

「ご苦労さんだ」

「ああ。話したい時間も取れなくなったからな」

「タイシとだろ?なんの話だ?」

「ああ。あいつここで中佐で土地。領地を持ってるんじゃないかと思ってな。一部俺に提供してくれって話だ」

「商売用か?」

「それもだが孤児院も考えている」

「なぜ?」

「俺たちみたいなバカな大人に嫌な目に合わせたくないため。あとは学ばせるための学校もだな。ここ以外学校という組織は国にあるかないかだ。アストレイにもあるが首都だけで地方にない。だからもう一つ欲しい」

「建てたとして校長は?」

「俺がするさ。一応、高1までは出たからな」

「いや、出たからでできるもんか?あと、高1までそこにいたならダチとかいるだろ向こうに」

「いるけどこっちにもいる。だから、今後どうするか。どう生きるかは柚と共に話して決めていくさ」

「ああ」

『でも尊も大変な中よく作っていけたよね。薬とか見る限り面倒だもん』

「作っていくしかなかったんだ。手間ではあるが一番金になるからな」

陸奥が頷く。そして樹が去り尊が1人になるとタイシが作った夜食を食べつつ作業を行う。その後結界を張りそばのソファに横たわり仮眠を取った。


朝ー。

「お忙しい中申し訳ありません」

「いいですよ。経過の方も聞かないといけませんから」

尊がそうベッドに座るダリスへと話す。その足元にフェンリルのルクスがおりルクスが話す。

『アルスランが昨日の礼もしなければならないと話していた』

「昨日?」

「お食事をいただいたと聞きました」

「あー」

『あとは盟約の巻物を見つけた礼との事だ』

「そこまではいいですけどね。まあ、後で話あると思いますので聞いてみます。薬を飲んで変化とかは?」

「体温が高い気がしますしだるいです。ただ、これが毒のせいなのか分かりません」

「ちょっと見ますね。そのままいてください」

ダリスがはいと返事を返し、尊がダリスの胸元に手をやり青い光を当てる。

「…少し薬が強いか。薬のせいですね。あと、結構抵抗力があるからだと思います。薬は個々人によって配分が変わってきますから。ダリス枢機卿の場合は体の抵抗力が強いので薬を毒と勘違いして少し攻撃して熱を出してるかと思いますから、今ある薬の半分の量を夜寝る前に飲んでください」

「わかりました。あと、術でわかるのですか?」

「はい。逃げ回りながら薬を使ってはいろんな方の症状に合わせて飲ませたあと回復するまで体を見て回りましたから。感覚に近くはなりますがわかります」

「どれだけの方を見られたのですか?」

「んー、まあ、大半はイーロンから逃げてこられた村の方です。まあ」

尊が腕を組み悩む。

「保護してるんですよね。もし受け入れ先があればお願いしたいところではあるんですが…」

「数はどの程度ですか?」

「あちこち、なので、二千か三千ほど」

「え?」

「では、その中に研究者達もいますね」

「いますね。元軍関係者も。今は力仕事してますけど。そして政治関係の方も。手配されておられる方とは別で元大臣の方だそうです。ご家族はドームで死去したとの事でその方は生き残ったんですけど、左肩と左耳がないです。ドームの最初の大きな爆弾なような術でやられたそうです」

ーアルスラン将軍の…。

「生存できたのは部下の方が命からがら連れて逃げてくれたからだそうです。それで、逃げ回ってる俺たちと会ってからは、見つけた土地で暮らしてます。未開の地です」

「はい」

「イーロンの逃げ逃れてきた方々がそこに一堂に集まったわけですか…」

「こちらもイーロン国内の被害についてある程度現状は知っておりましたので、未開の地に潜んでいるとは思いましたが、あなたが保護されていたのですね」

「流れもありますね。もし会うなら会われて構いません」

「今は検討します。また後日返事をいたします」

尊がはいと返事を返しダリスがゆっくりと頷いた。


ーふうん。

「なら、未開の地に村作って暮らしてるのか」

「ああ。そう聞いた」

タイシが樹達へと話す。そこにライアスの姿もあり紅茶をブレイズに習い作っていた。そして、松葉杖を横に置いたミオがそわそわし瑠奈が話す。

「他の村に知り合いとかいた?」

「ええ…。だから、いるかなって」

「ええ」

「だけどか。ミオの場合アルスランさんの娘だろ?それを知ってたらどうなるかだな」

ミオが小さく頷き、タイシが話す。

「どちらにせよ難民を保護しているに変わりはないからな」

「ああ。それもイーロンだ。俺も見てきたがたまに」

扉がノックされるとエルハルトが扉を開ける。

「タイシ、いたな」

尊が顔を出し、タイシが立ち上がる。

「ダリスさんに話したら受け入れしてくれるって。助かったよ」

「いや」

「明日にでも案内して欲しいって事だった。お前はどうする?」

「ミオが行くなら俺もついていく」

「…」

ミオがドギマギとするもこちらを見る尊を見上げる。

「行きます…。知り合いがいるかもしれないので」

「ああ。まあ、アストレイについて恨みを持ってる人ももちろんいるが、国のやり方に不満を持ってきたのもいるからな。いくなら明日の早朝に出る。柚もいく。あいつが付き添えば問題はない」

「はい」

「ああ。ならそれだけだ。他に行く奴がいれば夕方までに教えてくれ。俺が連れて行けるのは20名まで。今、お前とミオちゃんを合わせて12だ」

「分かった」

尊が頷きすぐに出ると樹が話す。

「あいつも忙しいな」

「ああ」

ミオが不安、喜びと複雑な思いをさせつつ胸を抑え息を吐く。タイシが座り瑠奈がミオの背を叩きつつライアスが入れた茶を飲み65と点数をつけるとライアスがややしょんぼりと落ち込んだ。


ルーシャスが手紙を持たせた小鳥を飛ばすと小鳥が姿を消す。

ーまさか、フェンリルを従えてたとは。

ルーシャスが奥歯を悔しく噛み締める。

ー本当に、腹立たしい。ハーン。

「使えない奴が」

ルーシャスが僅かに声に出し窓から離れ部屋を出た。

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