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運命のミオ  作者: 鎌月
48/64

学園都市オラシオン2

食堂ー。

大勢の学生達が決められた食事を受け取り席につき食事をとっていく。そしてミオ、マリアンヌ達も受け取るとマリアンヌが話す。

「前の学園長の時は食事は酷かったにゃ」

「え?」

「ええ」

「特にトレの人たちは最悪だったわね。薄いスープに硬いパンだけだもの」

マリアンヌが頷きミオがバランスの取れた食事を見る。

「今はアストレイ国を中心に各国からシェフが集められて作られているそうよ」

「ええ」

「異界のご飯もあったりするにゃー」

「そうなの。私スイーツが大好き」

「私もー」

ー分かる。

ミオが頷いていくと。

「ミオー」

紬が楽しくミオの元へとクラスメイト達とくる。

「友達増えた?」

「え?」

「ラリサ。今から食事?」

「ええ」

紬達のクラスメイトの1人が話すとミオ達のクラスメイトが頷く。

「なら一緒に食べましょう」

「ええ」

「前は一緒に食べることもダメだったどころかトレの人たちは端っこのくらーい部屋だったにゃ」

「え?」

ラリサが頷き女子が話す。

「ええ。今は本当嬉しいわ」

「私も。あと、たまにマーリンが食事を届けてもくれてたの」

ミオが驚きマリアンヌが頷く。

「今の学園長様様にゃ。まあもちろん気に食わにゃいのもいるみたいだけどー、昔と比べるとすごく過ごしやすくなったし、勉強も捗っていいにゃ」

「悪い先生たちもいなくなったし」

「本当ね」

「私は、学園都市は本当に最近知ったばかりだから…。とても酷かったのね」

マリアンヌ達が頷いていくとミオもまた頷くと教師がミオの元へとよりきてもらいたいと話すとミオが返事を返した。

ー…まだどうしても。

タイシが料理を作る。それを瑠奈が見ていた。

「ご飯食べに行った時あったけど」

「それは、信頼してるところだし、お前の知人のところだから…」

「あ、そう」

タイシが頷き瑠奈がやれやれとすると透華がワゴンで料理を運んでくる。

「ご飯ですよー。美味しそう」

「ありがとうございます」

アンナ、透華が配膳し瑠奈が早速食べると複雑な顔をする。

「味。濃すぎる…」

「そう?」

「食べてみます?」

透華が頷き小皿に少しもらうと食べていく。

「そんなに濃くないし美味しいよ」

「そうですか…」

『体がまだ追いついていないんです』

ラファが姿を見せる。

「つまり、ここの食材や味付けにまだ慣れてない」

『はい。今まで瑠奈はパーティでも会場の食事は食べなかったですよね?』

「ええ。脂っこそうだったから。私はあっさりした味が好きだし」

『はい』

「ああ、なら、こちらの食事はまだ慣れてないものと、普段の食生活を考えると食べ慣れてないと言う事なのですね」

「んー、でもここの食事が慣れてないってのが引っかかるなあ。まあ、作って食べたり、持ってきたものを」

「これを食べてみろ」

タイシが緑の果物を向ける。

「あ、それ甘い奴」

「ああ」

タイシが皮を剥き瑠奈と透華に向けると透華が嬉々とし食べていく。

「美味しい。これ高い果物だから中々食べられないの」

「へえ…」

瑠奈が果物を食べると顔を顰める。

「し、ぶ」

「え?」

タイシが食べかけたところを切り透華に渡すと透華が受け取り食べていく。

「甘いよすごく」

「嘘…」

「異界に来たばかりの人たちによくある症状だ」

「あー、そっか。あと、生物とか食べなかったからなあ…。もしかして飲み物もかなあ」

「何か味したの?」

「鉄みたいな味で。ここのもかな…」

瑠奈が水を飲み顔を顰める。

「ここもだ。我慢してたけど…」

「いい?」

瑠奈が頷き透華が飲む。

「鉄の味はしないけどなあ」

「そうなんですか…」

ノックが響きキヨが中へとくる。

「あ」

「ちょっと。返事返してから入ってきなさい」

「すまんな。あと、食事が口に合わないんだろう?」

「はい」

「ああ。おそらくタイシが作ったのも合わないはずだ」

タイシが試しにと作った野菜スープを向けると瑠奈が受け取りのみ顔を顰める。

「ここの野菜や肉類は新鮮でいいものばかりだからな。中々味濃く感じるはずだ」

キヨが持ってきたリゾットを出すと瑠奈が軽くみて口に含み食べる。

「こっちは普通だ。リゾット」

「違いは?」

「作り手だな。私。後はミオが作ったものだ」

「ミオが?」

「ああ。ヒカルにも後で来てもらって作ってもらう。浄化の力が強いものが作れば問題なく食べられるようでな。私もここに来てここの食事をしてわかった事でな。それまでは私が作って出していたか、私がそばで食材などにさわり手伝いをしていたので味の変化に気づかなかったようだ。あと食べながらいい」

瑠奈が頷き、キヨが話す。

「ルナに用意された食事は透華達で食べてくれ」

「はい」

「ああ。そして、瑠奈。食事について慣れるまでしばらくかかる。あと、望と紬も味覚についてやはり変化があったようだ。今までは明美の作ったものを食べていたから問題なかったようだ」

「あー、なら、明美さんもその手の力が強いって事ですか?」

「そうなる。実際に昨日本人に試したらそうだった」

瑠奈がほうほうと頷きタイシが話す。

「俺はここに来た時は酷い食事ばかりだったから気づかなかった」

「ふふ。だろうな。鈴子に関してはやはり浄化の力を持っていたので分からなかったんだろう。まあとにかく、しばらく慣れるまでは特定の作り手が作った料理で生活してもらう」

「はい」

「ああ。あと、好きなリクエストがあれば紙に書いてミオ達にでも渡せばいい」

「分かりました」

「ああ。ならすまんな。その話をしに来ただけだ。私も指導に戻らないとならない。ではな」

キヨが部屋を離れ立ち去る。

「あの女子生徒達の指導かあ」

『意外と面白いですよ。異界のことについても話してます』

「のぞいてるの?」

『すこーし』

「絶対少しじゃない」

「それより、欠片について何か探したか?」

ラファが黙り込み紅蓮が現れる。

『探すわけありません。これが』

ラファがむかっとし、紅蓮が鼻で笑い瑠奈がやれやれとしリゾットを口にし食べた。


ーお菓子も。いいのかな。

ミオがエプロンをし髪を結ぶ。そして手を洗うとさっそく材料を用意していく。

ープリン。ああでも、クッキーも。シフォンケーキも。ああでも、パフェ。パフェが好きだったわ。あそこまでの再現はできないけど。

ミオがほわほわしながら嬉々とし用意する。そして早速作っていく。その隣で茶髪の年配の女が興味深くみていた。

「異界のお菓子を作るの?」

「はい」

「なら、プリンとか作れる?どうしても難しいの。なぜか分からないけど卵の味?あれがうまく出せなくて」

ミオが不思議そうに女を見る。

「作り方は簡単ですけど」

「ええ。でもなぜかできないの。作ってみましょうか?作り方は合ってるはずだから」

ミオがはいと返事を返す。そして女がプリンを蒸し器から出し覚ましていき、ミオもまた出す。それを温かい状態でお互いのプリンと交換し食べる。

「そうそうこの味」

「本当ですね。何か違う」

「そうなのよ。材料も調理器具も一緒なんだけど…」

ミオが頷きふむと考える。

ーなんだろう…。

「美味しいですけど…、淡白になってますよね」

「そうなのね。こっちは濃厚ね」

「そうなんですね。あと、他の方に食べ比べしてもらいますか?」

「そうね」

女がそうしましょうと話す。そして、女の知り合いとミオのマリアンヌを含めた友人達がプリンを食べ比べていく。

「うみゃあい」

「ええ」

「確かに。エルマが作ったのは美味いが味が薄いな」

「でしょう?何故かしらさっぱり」

「ところでミオは何作ってるにゃあ」

「シフォンケーキ。向こうのスポンジだけのケーキよ」

「にゃ?」

「スポンジだけのケーキ?」

「初めて聞いたわ」

『いやあ。匂いに誘われてきたよお』

「遅くなった」

樹が陸奥と共に来ると早速食べていく。

『うーん。確かに』

「俺はエルマさんの方が好きだな。あんまり甘いの好みじゃないし」

「にゃあもだにゃあ」

「味好みは人それぞれだからな。でも同じ材料に器具は同じでここまで違うもんかな?」

『これは多分力の影響もあるねー』

男が選び方と不思議そうに告げると陸奥が頷き離れ卵の入った籠を持ってきて前に置く。

『2人とも好きなの選んで割ってみてー』

エルマがならと卵をとり、ミオもまた取る。そして2人が割り中を出すと、ミオの卵は黄身が濃く、エルマの卵は小さく薄かった。

「ええ?なんだいその卵は」

「え?」

『この世界の卵はエルマが割ったくらいのが普通なんだよ』

ミオが驚き陸奥が話す。

『ミオが割ったのはミオの力の影響。いわば浄化の力だよ』

「ああなるほど。卵を産む鳥も小型魔獣だから魔素を含んでいる。その魔素が取り除かれて見た目も味も変わったわけか」

『その通り』

「へえ」

「なら、私が知ってる菓子屋のとこのシェフも異界人だから。浄化してあの味が出てるわけかあ」

「なるほど」

眼鏡をかけた教師がすぐさまメモを取る。

「目玉焼きにして焼いてみてください」

「ええ」

エルマが早速二つの卵を目玉焼きにするとその教員に向ける。そして食べていきふむふむと頷きながらメモをする。他もまた2人がそれぞれ割った目玉焼きを食べる。

「こっちが濃厚だ」

「本当」

「こんなに味が違うなんて…」

「美味い」

「確かに美味しいですわ」

ミオも驚きながら目玉焼きを食べる。

「副学園長が話された通りか。しかしまだ食べるもの以外にも変化がありそうだ」

教師がぶつぶつと言いながら出ていく。

「あれ何先生?」

「スチュワード先生。魔術科の先生よ。熱心なの」

「ああ」

『あ、そうそうミオ。浄化は無意識でも今みたいに力使うから用心して使ってね』

「ええ」

『はーい。ところでシフォンケーキ食べたいなあ』

「私も」

「にゃあも」

陸奥たちが目を輝かせミオがどうしようと苦笑すると。

「タイシ。どうした?」

女学生含めマリアンヌも固まりタイシが中へと入る。

「ああ。瑠奈が熱を出した」

「もしかして昨日の水浴びか?」

「ああ。というか、あれは氷浴びとも言えるか。アンナの力で」

「はしゃぎすぎてだろ?」

「ああ。昼も食べきれなかったから様子を見たら熱が出始めた」

「ああそれで消化にいいやつを作って欲しいってわけか」

「ああ。俺のだとまだ慣れてないみたいだから。だからミオ。悪いがいいか?」

ミオがこくこくと頷く。

「ああ。あとこれ。お前にだ。部屋で読んでくれ」

タイシが無地の手紙を向けるとミオが受け取りはいと返事を返した。


ーおかゆ。

熱を出した瑠奈が卵粥を食べじいんとする。

「まだ一月…。でもすごい懐かしい…」

「ああ。あと俺も作れはするがまだ瑠奈には無理だからな」

瑠奈が頷く傍でアンナとラファがしょんぼりとしていた。

「そう言えばか、ブレイズ」

「はい」

「お前が出した紅茶は瑠奈は飲めたからな」

「あ、うん」

ラファがすぐさま来るとブレイズが汗を滲ませラファが睨むように凝視する。

「首輪つけようかラファ」

『い、や。そうではありませんからっ』

紅蓮がやれやれとする。

『ブレイズは希少種だからだ。ただ、今こちらでいう希少種とはまた違う』

「違う?」

「ここだと、希少種は魔術の混合したものや、この間の砂漠でみたあの忍者のような変わり身みたいな術。ああいったものを使うのが希少種だ。そちらでは?」

『はい。血です。ブレイズの血は人と龍との血とよく混ざり合っている血。なので、エルハルトたちと違い、龍化はしません』

ブレイズが驚き、アンナが話す。

「そちらは私も初めてお聞きしました」

『ああ』

『そもそも龍化自体。相当追い詰められなければ出来ないことですからね。あと、力についても紅蓮の娘のマナと同様の力を持つことができておりますね』

『あのバカなことは出さなくていい』

紅蓮が苛立ち、瑠奈が話す。

「それと、飲んだ紅茶とどう関係があるの?浄化の力があるという事?」

『それに近い力を持っている。無効化だ』

『はい。全ての力を無い物にする。いえば、瑠奈たちの暮らしていたあちらの世界。あちらでは魔素ま魔術もない世界と同じような効力があるという事です。エルハルトたちはこちらの力を流せばうまく力をつかえますが、ブレイズであればそれは使えない。元々ない力になりますから』

『ああ。ただここでは力を使える。そしてブレイズのみが持つ力になる』

「ええ」

ブレイズが頷き、タイシが話す。

「エルハルトも希少種になるか?」

『いえ。あれは通常です。無効果。あとは、ミオのような相手の持つ力の操作を可能とする者が希少種です。葵と言うものもまた希少種に該当します。ですが、アルスランは該当しません』

「ちょっと、見分け方が難しいな…」

「唯子さんやキヨは?」

『該当しません』

「ああ」

『その力は多様性があるものです』

聖獣の女王が姿を見せる。

『見分けるには紅蓮様やラファ様のような方。あとは私でしか判別できないでしょう。そしてブレイズ。その力は他言無用。あと、うまく使いこなせればとても役立ちますよ』

「そうだよね。いえば、術の全部を無力にするから。ちなみに、体術といった力は?」

『受け止める前に無力化することが出来るはずです。けれど、受け止める前。寸前ですから』

「つまり、当たる直前に力を使う」

「素人とかならわかるけど望さんのは難しそう。向こうでも早すぎて見えないから」

ブレイズが頷きラファが話す。

『透華で鍛えればいいかと思います』

『ああ。女王もいるからな。力の使い方も自然とわかってくるはずだ』

「ええと、でもどうやって」

『透華が本気で殴りにいくだけです』

『ああ』

透華が困惑し聖獣の女王がふふっと笑った。


ーなんだかんだで疲れたな。

大きな浴室のシャワールームでミオが扉で遮られた個室でシャワーを浴びていた。その隣ではマリアンヌも浴びておりミオがシャワーを止めタオルで髪を拭いその場で着替えをする。そして外へと出ると入る前から気になっていた立ち入り禁止の言葉と共に閉ざされた扉を見る。マリアンヌがそれを見て答える。

「そこは元シャワールーム」

「ここが?」

「ああ」

「そうだわん。トレや奴隷制度が使っていたところだわん。今は廃止されたけど」

「奴隷生徒って…」

「賭け事で負けて生徒の奴隷になった生徒だ。酷かったぜ」

「そうだわん。たとえ貴族でも奴隷になったんだわん。あの時は学園内も酷かったわん」

「ああ。今その賭け事も奴隷も廃止されて平和になったな」

「そうだなわん」

ミオが頷きマリアンヌが他にもとミオへと教えながら部屋へと戻った。その後、マリアンヌが寝静まったあとミオがタイシから渡された手紙の封を開け中の手紙を見て僅かに驚く。そして服を着替え静かに部屋を出ると暗闇の中カンテラの薄明かりを灯し門の近くへとくると衛兵へと手紙に入っていた外出許可証を見せた後外へと出て東へと進む。そして広い湖の岸辺へと辿り着くと木の根元を見て近づく。そこにラフな格好をし座りながら釣りをしていたルーシャスがおり、ミオが傍へとよる。

「久しぶりだな。村の図書室依頼だ」

「はい」

「敬語はいい。前みたいに話したくれたらこちらも気が楽だ」

ミオが頷きヘンドリックにここにと示された場所へと座る。

「ルー。ここに来て初めて知ったのだけどどうしてカーラン王家のあなたがあそこに?」

「ああ。知りたかったんだ他国国の情勢も含めて色々な事を。あの時は学園では長期休み中だったのでミオがいたあの国は学ぶために来た国で選んだ領地の一つだった。イーロンに近く、イーロンから流れた難民達を保護している国だと。どのように保護をしているか。俺も何は国を背負うものになる。だから学ぶために来ていた」

「そう」

「ああ。そこで、君に出会った。イーロンの話もだが本の話をする時、とても面白かった」

ヘンドリックが微笑みミオがふっと笑い頷く。

「私も」

「ああ。あと、まさかアルスラン将軍の娘とは思わなかった。私ももし見つけたらと言われて来ていたからな」

「ええ」

「でも、特徴も何も。ただ、魔獣を祓う石を持つ少女としか聞かされなかった。流石にそれだけだと難しい」

ミオが頷き、ルーシャスが話す。

「あの後、見つかったと聞いた。そして特徴を聞き、名を聞いたらあの時の図書室の少女だと分かったな。妹のユナは?」

「元気。今は知人のところに預かってもらってるの」

「そうか。ならよかった。村で生き残りは2人だけとのことだったからな。ただ、だったになる」

「え?」

「生き残りがいる。あのとき何を逃れた少年がいたそうだ。名前はトマ」

ミオが驚き、ルーシャスが話す。

「私が直接話したわけではないが、孤児院を運営していた神父が話してくれた。アストレイにもだがイーロンにも恨みを持っているとだ」

「あの時の、トマが…生きてる」

ミオが腕を握り口をつぐむ。

「特別な相手か?」

「え?まさか」

ルーシャスがやや驚きミオがため息をする。

「いじめっ子。いつもちょっかいばかり。私の悪口ばかり。私が異界人のハーフだからと、変わり者だと揶揄われてたの」

「ああ」

「生きているのは、嬉しい。だけど好きでも何でもない」

ミオがやや不貞腐れルーシャスがふっと笑うと竿がしなる。

「そうか」

「ええ」

竿を引き上げたルーシャスの針に魚がかかっておりルーシャスが手にしバケツに入れる。

「上手になったわね」

「ああ。指南があったからな。初めは虫に抵抗はあったがやはり虫の方が食いつきがいい」

「ええ」

ルーシャスが頷きミオが話す。

「ルー。私は学ぶために学園に来たのだけど昔のことは知らないの。今ととても違うと。食事、入浴、部屋」

「ああ。授業。あとは薬と性行為とかもだな。今はまだ問題はあるが昔のようにあからさまに酷くはなくなった。今の学園長が改変したおかげで中の方の緊張も解かれたし、生徒が野道で野宿するような事は無くなった」

「それも、差別で?」

「ああ。あと、私も会長になったがその前からの会長はあまりよろしくない。その当時の学園長と手を取り合っていた。私は逆で何度か野宿は体験したが、旅をしていたからな。他のもの達と共にこうやって食事を得たりしていた。まあ、それが気に食わなくて酷い目にもあった。ただ、裁かれた後は早かったな。アストレイや私の父が王のカーラン国が一斉にこの学園都市を占拠し生徒調査が行われた。会長や腹心は全て退学させられて、私はこの年に会長に就任した。副会長達もだ。昔の生徒会の一員は誰もいなくなった」

「そう。それだけひどかったのね」

「ああ。もうこりごりではあるな」

ルーシャスが竿を放ち湖にぽちゃんと音を立てる。

「私は、その間に向こうの世界に行ってたの」

「異界に?」

「ええ。そこで、タイシさんのお祖父さんがすぐに亡くなられたり、私の母の家族に会えたりとか。いろいろな出会いもあったけど、別れもあった。怖いこともあったけど、勉強にもなったし勉強もした。異界もまたとても酷い戦争。差別もあったこと。どこも同じだけど、違う理由で戦争が起こるということが分かった。そして多くの犠牲は市民」

ルーシャスが頷き、ミオが話す。

「差別もだけど、戦争も。全て負。負で巡り合うだけ」

「ああ。だからこそ、起きない方がいい。ただ、難しいけれど、防ぐ事は可能ではある。上によるがな」

ミオが頷き、ルーシャスが話す。

「異界のことをよかったら話してほしい。ただ、また違う日にだ」

「ええ」

「ああ」

ルーシャスが竿を引き糸を巻いていく。

「周りに見られたら煩わしいとこになるからな。先戻ってくれ」

「分かった。ルー」

「なんだ?」

「ルーは好かれてないとか話してたけど、好かれているわね」

ルーシャスがミオを振り向きミオが微笑みじゃあと告げその場を離れる。ルーシャスが離れていくミオの背を見てふっと笑い釣り道具を片した。

ー久しぶりに話せたな。

ミオが部屋へと帰り息を吐くとベッドに入る。

ートマ…。生きているのは嬉しいけど、悪いことに手を染めないで。

ミオがその目を閉じ暫くして静かな寝息を立てた。


翌日ー。

「紬ー」

紬をマリアンヌがつつくとちょっといいと手招きする。そしてマリアンヌが女生徒たちの元へと来させる。

「連れて来たぜー」

「ええ」

「お?」

「早速ですが紬さん」

「うん」

女生徒たちが頷く。

「ミオさんの婚約者のダリス枢機卿の事ご存知ですか?」

「知ってるよー。良い人だし強いよ」

「え?」

「強い?」

マリアンヌが首を傾げ紬が頷く。

「強いよ。兄さん曰くタイシさん位って話」

マリアンヌ及び女学生たちが驚愕しこっそり隠れ聞くものたちが驚く。

「そ、そうなのかにゃ?」

「うん。だって兄さんが言うから。それに、人も良いし勉強もできるよ」

「女たらしとか聞きましたが」

「ええ、まさか。逆に嫌な顔してたし気味悪がってたこと見たよ。あれは心から嫌って顔してたから」

「にゃんと」

「やっぱり噂は噂ねえ」

「ええ」

「ああ女たらしに体力ないとか弱いとかはないない。あの人鍛えまくってるしいやらしいことするような女の人大嫌いだから。うちとかミオとか話し合う人とは話すけど他は全然。あと、作り笑いうまいね。だけどキヨさんを前にすると性格が滲み出てた」

「まあ」

「噂は噂だから言いたい人に言わせておけば良いよ。後、本人も何とも思ってないから止めようともしないしね」

「ええ」

「しかしにゃあ。あのタイシ様と同じくらい強いとは」

「ええ」

「あの衣の下…どうなってるのかしら」

「筋肉隆々?」

「意外と筋肉ついてらっしゃるとか?」

「いや。ちゃんとつけるところはつけてて無駄がない身体だね。あれは自分でしっかりー」

紬が後ろに引っ張られていく。

「あっ」

「失礼」

クリスが追おうとしたマリアンヌたちを止める。そして引っ張られた紬が人気のないところで止まると紬がぞわあとしぎこちなく後ろを振り向き含み笑いするキヨ、無表情のダリスを見て脂汗を滲ませた。


「いやはや。紬はやはり面白い」

「どこがですか」

サイモンが苦笑し紬が汗を馴染ませとぼとぼとついていく。

「噂の出所はそちらもわかる通り宗教科の数名の教職員たちだ」

「分かっておりますよ。その中に私の同期もおりますから」

「ああ」

「え?ならその人のとこに今から会いに行って訴えるとかですか?」

「ふふふ。違う違う」

「話すだけですよ。大人の話です」

「上の者と下の者との話し合いだ」

「圧を感じる」

「紬殿」

紬がぎくっとする。

「私の話は余りなさらないように。良いですか?」

「ええと、まあ、どこまで?」

キヨが吹き出し声を上げて笑い、ダリスがややイライラとした。


ミオが紬から聞いたマリアンヌたちから話を聞くと複雑そうにする。

「どうかしたにゃ?」

「ええ。その、本人は余り自分のことを話されたくない人だから。教会の人に止められたなら多分、どこかで聞いてたかも」

「はにゃ」

「ならミオの婚約者のダリス枢機卿が来ているのね」

「多分…。でもどうしてかしら……」

ミオが複雑そうにする。

ー何かあったからなのはわかるけど…。

ミオが考えるがマリアンヌが次の授業があると告げると返事を返し授業の準備を行った。


ー図書室。図書室。

ミオがうきうきしながら巨大な図書室へと入ると早速目当ての本を探していく。

「あった」

ミオが本を取り出すと後一冊と出す。そして机に座り本を夢中で読む。その後夕方となり夜となり人がまばらとなる。ミオがじっと見ていたが肩を叩かれると後ろを向きサイモンとやれやれとするマリアンヌを見て驚いた途端きゅるーとお腹が鳴り顔を赤くさせ項垂れた。


「もう食堂は開いてないからな」

「…分かった」

ミオがきゅるるうとお腹を鳴らすとサイモンが話す。

「ミオ様は以前も何度かありましたね。集中しすぎて気づかないことが」

「はい…」

「しゅーちゅーするのはいいことだわん。でも周りを見ないとダメだわん」

「ええ…」

「そうですね。エリスさんからもよく注意受けてましたし」

「はい…」

2人がサイモンについていき建物の外へと出ると今度は教職員たちが住む住居を過ぎ教会へと向かう。

「ダリス枢機卿ですかわん?」

「ええ。あと、そちらの人形を通してお話しされるのはちょっと」

「…だめか?」

「サイモンさん。ワンダーとカイロスです。一緒にお願いします」

マリアンヌがじーんとしながらミオを見ていきサイモンが苦笑し分かりましたと返事を返した。そしてダリスがいる建物内へと入ると今度は灯りの止まった中庭へとくる。そこにタイシ、樹、ブレイズ、エルハルト、陸奥、望、キヨがおりマリアンヌが硬直し動きをぎこちなくさせる。

「また本の虫か?」

「う、はい。すみません。遅く」

きゅるううと音が鳴るとミオが顔を真っ赤にしキヨが手招く。

「こっちにあるから食べながら話そう。あと、瑠奈は大事をとって休みで紬は看病だ。マリアンヌ。ワンダーとカイロスもだ。教えてくれてすまないな」

「い、い、いいえ」

マリアンヌが必死に声を出すとキヨが立ち上がり二つの紙袋を持つと一つをマリアンヌに渡す。マリアンヌが不思議そうに見ていくとキヨがもう一つの紙袋を開け中にある綿菓子を見せちぎりマリアンヌの口元へとやる。マリアンヌが思わずぱくりと食べるとはっとし目を輝かせる。

「綿菓子という砂糖を風と熱を使い溶かしてわたのように丸めて作ったお菓子だ。夜食べても気にせず食べられる」

「あ、りがと、ございます」

「いや。部屋でゆっくり食べろ。ミオは遅くなるから先に寝ておけ」

キヨが開けたもう一つの袋をマリアンヌに渡すとマリアンヌがはいと返事を返し頭を下げ嬉々とし離れる。

「綿菓子というものですか?」

「ああ。簡単に作れるんだがここにはなかったものなんだな。ミオ。サンドウィッチとかがあるから食べろ」

「はい」

ミオがやって来てキヨの隣に座り早速食べる。

「さて、ここからは極秘だ」

颯が風を使い、松風が鏡張りの盾で壁を作りお互いに結界を張る。そして張ったと同時に姿を消し身を潜めていたギルバートとオーガンが姿を見せる。

「これで見えないし邪魔も入らない。ダリス。揺さぶってもらったからある程度分かった。感謝する」

「いいえ」

「先生をですか?」

「ああ。また薬が出回っている。この地区からだ。なので来てもらい揺さぶりをかけた」

「はあ」

「ま、致し方あるまい。まだ全て終わったわけではないからな」

「だが私が苦労して苦労してようやく。はあ」

ギルバートがため息をする。

「全く…とことんこりない」

「それが人だからのお。サイモン」

「はい」

「わしが教えた忍び込んだ先はどうであった?」

「はい。受け渡しの確認が出来ました。記録もしております」

「ほほ、ご苦労」

「ゆさぶりがうまく行ったな」

キヨが楽しく告げオーガンが頷くとダリスがやれやれとしミオを見る。

「ミオ殿」

「はい」

「恐らくあなたに接触する可能性が高いです。乱暴を働くかもしれません」

「なら、適度にあしらいます」

「…」

オーガンがほほほと笑い、サイモンが苦笑する。

「あちらに行かれて本当に変わられましたね…」

「前よりも素を出せるようになりましたね。ミオ。学園の友人がいる場合は一緒に逃げろ。1人の場合は結界をはれ。相手は魔術師の玄人たちだ。まだミオが相手をするには厳しい」

「先生ということですか?」

「ああ。あとは卒業生か。ただ、見えない相手だから危険を伴う。身を守ることを優先しろ。向こうでも同じように」

「分かりました」

ミオがややしょんぼりとしダリスが若干安堵する。

「まあ、学園での生活も楽しめたらそれで良い。一番はそれが目的だ。そして、欠片か」

「どうにも妨害されているようで不明です」

タイシが告げ、樹が話す。

「なら誰かが所持しているのは分かったことだな」

「ああ」

「奏だったか。あれを呼ぶのはどうだろうか」

タイシたちがダンマリとするとキヨが吹き出しおかしく笑う。

「その、調べて分かったこととして、結構犯罪犯してるようですから…」

「ああ。ギルドでも手配されたからな」

「その方を呼ぶとなると、悪い方向に行きそうなのですよね」

「んん、まあ。話は聞いても見たいがのお」

「映像を見たがあれだけの問題児とわかっているならなあ」

周りが悩み、タイシがミオを見る。

「ミオ」

「えと、はい」

「ああ。協力してもらいたい人物だ」

「あ、あの」

「面倒を見てくれ」

ミオが汗を滲ませ、キヨがふふっと笑う。

「私もみよう。ただし、手配書を取り下げなければならない」

「一時取り下げするよう話しておきます」

「ふふ。ああ」

ギルバートがやれやれとする。

「わかった。ならばこちらも推薦を出す。やることはどうあれ力は十分ついているが、常識を教えるためということでな入学許可としよう」

「あはは」

「あの、私、見られるでしょうか…」

ミオがおずっと手を挙げるとキヨが話す。

「問題ないし適任だ。まあとにかく、相手との接触を取るためにはマナの力がいるな」

「ああ。それは俺が話しておく」

「ならよしだ。さて、まずはそのものが来てからまた行動するとしよう。揺さぶりはかけたから何かしら動きは出る。それはそれで行こうか」

オーガンがそうじゃなと肯定すると周りもまた頷き答えた。


ーえー。

奏がうんざりとしながらマナへと話す。

「がっこー。どーせ私の力がいるから入学させろでしょー」

「その通りだな。あと、音也はうまくあちらに渡れたか?」

「まーだ。音也の前に甥っ子君を連れてった。1人

しか難しいから」

「ああ」

「あと、どーせ問題児だけどなんとかしたいからで特別って」

「マナさん。俺が行きます」

「なんで!?」

「俺が行けば姉さんが来ますから」

「なっ!?そ、そんな、言っても行かないしっ」

奏がそっぽむくがちらちらと音也を見るも再び顔を背ける。

「音哉はあちらに聞かないとわからないな」

「ならタイシに伝えれば問題ないかと思います」

「そうだな。なら話してみよう」

マナが水晶を出し光を灯す。そしてタイシが姿を見せるとマナ、音也が話していきタイシが頷き待って欲しいと告げる。

『いいそうだ』

「なっ!?」

「なら俺が行く」

『ああ』

奏がにぎぎいと歯を噛み締める。

「し、しんないしいー」

マナがくすりと笑い音哉が声が聞こえた奏の方へと顔をじっと向けた。


制服を着た奏が不貞腐れながら興味の目を向けられながら席へと座る。その教室にはミオがおりミオが軽く視線を向けるもふいと顔を背ける。その頃。

「友哉は先に向こうか」

「ああ」

タイシの部屋にタイシ、音哉、樹と陸奥がおり、樹が話す。

「両親はまともだからな。お前のところ」

「ああ。そこだけは良かったし、目は見えなくなったが早く帰りたい」

「その時に相手は?」

「その事だがまず礼を言いたいんだ。タイシの妹の瑠奈さんに。イデアやソフィーを助けてくれたことをだ」

「瑠奈は夕方に会いに来る」

「分かった」

「ああ」

「音哉は戻った後何かするか?」

「暫くは警察の人たちの相手。落ち着いたら出来ることをしていく。そして、イデアをどうするか。僕としては一緒に向こうで暮らしたい」

「両足がないからな」

「わかっている。だから、話をして決める。友哉についても先に向こうに送ったから、もしここに暮らすなら俺もここで暮らす」

「ああ」

「やれやれだな。ちなみにお前の姉さんどうすんだ?」

「どうするもこうするも本人があの調子だし…。ここでは犯罪者にもなっているからな。そして向こうではヤクザと手を組んでもいると聞いた。はあ」

「ヤクザと?」

「ああ。ここの出身者の祖先がいるそうで、姉さんの力を使って武器や機械。あとは宝石や石といったものを輸出輸入している。知人と姉さん本人から聞いた」

「それどっちも犯罪じゃねえか」

「はあ」

音哉がため息をしタイシが話す。

「その件で後で奏さんと話がしたい。向こうの世界ので欲しいものがある」

「まあ、わかった。と言っても、姉さんがまずここに来るかだね。僕はまた後で望さんの奥さんがいる建物に戻らないといけないから。時間が決まってるから」

「ああ」

「そうだな。そしてお前がここにいる間は恐らく来ないだろうな」

「来ない。そして僕が行った後からくるかこないかとなれば来ない可能性の方が高い」

「ああ」

「そんな性格からだとそうするしかないだろ。しかしとんでもない姉持ってたな」

「まあ、本当そう」

音哉がため息をし優しいところあるんだけどさと2人に愚痴をこぼした。


ーつまんない。つまらーん。

「奏」

教師が苛立ち、奏が机に突っ伏し枕を抱きすやあと眠っていた。周りが驚きと囁き笑い声が響いておりマリアンヌが堂々としてるなあと見つめていたがミオが立ち上がり奏の元へと向かい揺らす。奏がうーと声を出し揺らしたミオを見る。

「なにさ」

「授業始まりましたよ」

「あー。そう」

「はい」

奏が面倒臭そうにするもちらりとミオを見るとミオがじいと視線を外さず見ていた。

「…なに」

「枕いただいていいですか?」

「やだし」

「受ける気がないのなら出ていきなさいっ」

教師の怒った声が響くとミオが話す。

『フィビライ語。わかります?』

たどたどしくミオが古代語で尋ねると奏がはあとため息をする。

『それくらいわかるし。後出ていくから』

『いえ。だめです』

『いや出て行けって言われたから』

「すごい流暢」

「綺麗」

周りが驚き、奏が気まずくする。

「本当に流暢だな」

「……」

教師がその場を離れ教壇に立ちたんたんと授業を始める。そしてミオが席へと戻ると奏が顔をしかめさりげなく枕を取り上げたミオを見て大きくため息をついた。


ー魔術の授業。けだる…。

奏が椅子に座りながら欠伸をするもミオが隣に座ると顔を顰める。

「なんなの一体…」

「隣に座っただけです」

「分かって」

「すーわろすわろー」

「にゃー」

「そのパペットマペット取り上げるぞこのおちびって」

奏のその隣に座ったマリアンヌへと向かいマリアンヌがいやいやと人形を抱く。

「マリアンヌの友達だからだめです」

「…っあのさあ」

奏がうんざりしながらミオを見る。

「さっきからなんなのかなあ?私は」

「普通の会話です」

「…」

きょとんとするミオを見て奏が顔をしかめ力無く頭を落とすとマリアンヌがほっと安堵の息をついた。


「ちょっとタイシ君!あのミオって子私苦手なんだけど!」

夕方のタイシの部屋へと奏が突如押しいる。そこに、樹、陸奥、瑠奈やアンナたち。そして音哉がおり奏が音哉を見てハッとし音哉のアポなしで勝手に扉を開けてという圧の視線を感じると顔を背けていく。

「当時のラファエル様に行動にそっくり。同じ魂だからでしょうか。似ておりますね」

「なら王室やら下の人たちは迷惑だったわね」

「姉さん…。ノックもなしで扉開ける?突然開けたら開けたで文句を聞け?」

「う…」

アンナたちが音哉を見る。

「レナードですね。音哉は」

「はい。似ております」

「望さんたちの祖先だろ?」

『そうだよー。あと、ミオが適任だったねー』

陸奥が奏での元へと来る。

『ミオはどう?』

「どーもこーもっ。なんなのあの空気読めない天然ちゃんはっ」

「天然?」

「わからない気もしない」

「ああ。普段は注意したりする時もあるがな」

「奏さんには苦手とするタイプだったわけか。ざまあみろ」

「そこっ!なにがざまあ」

「以前、姉さんが失礼なことをした上、失礼な態度をとったからだろう。何もしていないのにだ」

奏が汗を滲ませ音哉が睨むように見る。

「そ、の、いや、この、世の中。厳しさを」

瑠奈が呆れ、出てきたラファがほのぼのしながら話す。

『本当。ラファエルに瓜二つです』

「はい。でも似ていないのはすぐ逃げないことですね。レーガンの時はすぐに逃げられてましたから」

『そう』

「そこ!思い出に浸らない!」

奏が必死に声を上げると肩にポンと手を乗せられる。そしてすぐに顔を横へと向けミオと目を合わせる。

ーけ、気配、感じなかったんだけどっ。

「勝手に行かれてはだめです」

「い、や」

ミオが奏の手を握りこっちで手続きをしてくださいと警備たちを見せタイシたちを見る。

「手続きしてまたすぐにきます」

「ああ」

ミオが頭を下げ扉を閉め奏の手を引きながら警備たちの元へと向かう。

「音哉さん。子供の頃でも苦労されましたか?」

「した」

「そうだろうな」

再び奏がミオに手を引かれ中へと入る。

「姉がすみません」

「いえ。奏さんはまだ学園のことわからないことばかりなので仕方ないです」

奏が気まずくする。

ーわからないわけないよな。あの顔。

「奏さん。何か用事があってこちらに来たんですよね?」

「…一応、済んだから戻る」

ミオが目をぱちくりとさせ樹が話す。

「そう言えば、部屋は?」

「部屋?」

「寝る部屋だよ寝る部屋」

「しんない」

「私と一緒の部屋ですよ。後マリアンヌとです」

奏がうんざりとした顔をし部屋はまた変わったのでこのまま案内しますと奏の手を引きミオがさっていく。

「適任だな」

「ミオさんにはこれからも世話になりそうだ」

音哉がしみじみとつげる。そしてミオが引いていたが奏が止まり今度はミオを引く。

「あの」

「少しだけ」

奏が壁へと進み手を向ける。すると壁がうねり始める。ミオが驚き奏がミオを連れそのうねりの中へと入り姿を消す。そして今度は白い空間へと来るとミオが驚き奏が大きくため息をする。

「つかれーる!」

「学園生活に」

「違う…。はあ。まあまあいいとして、ミオちゃんだから聞いて欲しい」

「はい」

「うん。まず、多分向こうも私の記憶だから真実だろうと警戒してると思う」

「え?」

「龍が一匹多いの」

ミオが驚き、奏が話す。

「ラファエルが作ったのは東西南北の龍が四匹。そしてさらにその眷属を一匹につき二匹ずつ作った。そしてラファエルの弟子が作った龍は三匹。レーガンとエレノアとそれぞれ一匹ずつと2人で作った龍が一匹だ。陸奥に関してはエレノアの龍。それで間違いない。だけど他の龍について疑ってみて欲しいわけ」

「本物に似せた偽物がいるんですか?なら、あの黒龍と白龍は?」

「そこも怪しんでるし、記憶が曖昧だからわからないんだよ。でもおそらく、レーガンの龍がわかれば全てわかると思うんだよ。だけどそれがわかんなくてさ」

「子孫の方の力とかを使って調べることは?」

「不可能。もう何世代も生まれて遠のいているから。望については別種だね。あれは希少種だ」

「希少種?」

「そう。人を超えるもの。天才ってことだよ。古代の希少種は人を超える。人智を越える天才のこと。ちなみに当時でいえばラファエルもだけどランスロット、エレノア。それから今もまだ生きているブレイズもそう。本人は自覚ないけどあいつも希少種。天才様でさ。なんでもこなすし見るだけでしてもらいたいこと。欲しいものとか当てる。観察眼が優れてるわけ」

ミオがほうほうと頷き奏が告げる。

「タイシ君もその1人ではある」

「瑠奈は?」

「瑠奈ちゃんはちょっと違う。あっちは努力型。そして、どうあれ周囲のお陰で恵まれた生活が出来ている。あの子の場合は運がいいんだ。天才を呼び寄せる運の持ち主だ。こちらについては本人の性格も関係している」

「そうなんですね」

「そう。そしてそっちはど天然」

「言われます」

「はあ。あと、口は硬いし言葉は達者のようだからね。で、誰にも他言無用。偽物の龍が一匹紛れ込んでいる」

「わかりました」

「うん。で、ミオちゃんと一緒のお部屋?」

「はい」

「…」

「愚痴とか聞きますしお話ししません」

奏が息を止め大きく吐き出すと分かったよと返事を返した。


「もう本当さあ。音哉も優しくしてほし〜のよお」

許可をもらい部屋で酒を煽り赤ら顔の奏をミオと頷くマリアンヌが世話をしていた。

「こーんな優しいお姉ちゃんいないってー」

「だにゃあ」

「優しいかもですけど周りに迷惑かけてはだめですよ」

「えー。あいつらがー、寄ってたかってくんのが悪いの。私は悪くーないっ」

奏が酒をごくごくと飲みはあと息を吐く。

「なあ。ラファエルの記憶を持ってんだろ?」

「持ってるよー」

「どうして私がとか思われたことはないのですか?」

奏がコップを咥えんーと声を出すと口を離す。

「あるよ。でもさ。それで何かあるわけないし何か変わるわけはない。そしてそれが自分が生まれ持って持ってしまったものだからね。才能も本当に私のものなのか。知恵も力もぜーんぶ、私なのか。私は私なのか」

奏がはあと息を吐きコップを軽く咥える。

「わはわん」

「それは奏さんのものです」

奏がミオを振り向きミオが話す。

「個性です。みなさんは奏さんのことをラファエルの前世と言われてます。でも、私からしたら奏さんの個性。ラファエルに関しては奏さんが話した通りただの記憶。でも奏さんはその個性、記憶を無駄にせず使われて助けてます。やりすぎることもあってしまう事は悪いですけど、奏さんは奏さん自身の力で弟さんも周りの方も助けてくれてます。似ていると言われても他人でも他人を共感する事は誰でもありますか、ら」

奏がミオを抱きだーと涙する。

「ミオちゃんんんんんん」

「ミオのいう通りだな」

「にゃあたちも反省だにゃ。ごめんにゃ」

「うー。いい子だあ」

ミオが奏を抱き奏がしくしくとミオにだかれ泣き続けた。


朝ー。

ー兄さんは教えるのがとても上手だよ。

「肩の力を抜く」

望が騎士候補生たちに剣の指南をしていた。望のそばには松風が常におり、その指南を様子を見たり盾を出し手伝いを行った。


ーふうん。

唯子のいる部屋に横塚が尋ねていたがミオと奏もその部屋にいた。奏が横塚のスマホをに手にしながら話す。

「満月の日限定のかあ」

「え?」

「あたり。ここの月と向こうの月は力が似ているの。形や数は違うけど」

「そう。ここは別の星で地球から離れているからね。なら、どうやってつながったか。解明されてないんだ」

「え?」

「だから、むやみやたらとこっちあっちと渡ると本当は危険であり、渡る時は満月の日が一番渡りやすい日なんだよ」

ミオが頷き、奏が唯子を指差す。

「そーして、そんな日に渡って影響があるのは妊婦なわけ」

「やっぱりそうなのね」

「なら、その」

「魂があった場合だから。今そのお腹にはまだ魂がない。言い方は悪いけど肉の塊だから。そしてなぜ影響があるかについてはこの星の性質。魔素のせい。魔素は魂に反応してね。無機物のものに関しては何も反応はない。なら、魔石は?あれは死んだ生き物の塊だからなんだよ」

「じゃあ、化石なんですか?」

「その通り。向こうで言う死んだ生き物たちが長い年月をかけて燃料とかになったと言うのと一緒なわけ。でー」

奏が唯子を振り向く。

「今の状態ならギリギリ渡れるね。次の満月までに決めたらいい。その後については生まれてからになるし生まれて半月はここに滞在しないといけない。理由として渡るのも体力がいるからね。まだ生まれたては厳しいけど半月すれば粗方体力はつく。もちろん健康優良児ならの話」

「はい」

「じゃあ、3日後の満月の日がラストってわけね」

「そう言うこと。まず渡せるアテはある?ちなみに私は今力を溜めてる最中だから無理」

「あるわ。そいつは満月じゃなくても渡れる特異体質なの」

「んー、でも代償はありそうだけどなあ。まあいるならいいけど」

「ええ」

「うん。まぁとりあえず渡れるかはその日でってことで。あとは欠片かあ」

奏がやれやれとすると悪態づく。

「マナが勝手に私のを持っていかなかったらこんなことにならなかったのに」

「でも、そのおかげで奏さんとお会いできました」

「…」

奏がミオを抱きしめぐりぐりとすりよる。

「あー、私もこんな妹ちゃん欲しかったあ。いや弟もさあいいやつだけどさあ。厳しいとこあるからあ」

「はいそれより欠片」

「はあ。はいはい分かったよ」

奏がミオから離れる。

「この感じだと偽物の欠片を持ってるのもいるね。そして本物はまだ見つかってない」

「隠した?」

「私は隠してない。隠したのはこの学園都市を作ったマーテル。マーテルはエレノアの姉でね。彼女もまた魔導士として優秀であり知恵者でもあった」

「その学園都市にマーテルの名前はなかったわ。見てない」

「なら、偏見かなかったことにされたね。マーテルはこの学園都市を作ったもので間違いない。私の記憶が語っている。そして、欠片を隠したのもマーテルだ。だから、探し出すには難しい」

「あなたでも?」

「私でも。まあ、方法としてマーテルは従魔がいてね。ここでも言われているフェンリルだ」

「それはこの世界に一体だけですか?」

「ん?そうだよ」

「えと、なら似た方は知ってますけど…。ただその方がフェンリルなのかは…」

ミオが告げ、奏が私が見るよと話した。


ー白夜。

タイシの足元から白夜が姿を見せると奏が話す。

「違うけど近いね。この子はフェンリルの子供だ」

「子供なんですね」

「そう。フェンリルと魔獣の混ざりだ」

『ああ。父はラコーテ。母がフェンリルだ』

「ラコーテか。似た種族と混ざり合ったんだ。あのプライド高々がなあ。ちなみにフェンリルがどこにいるかわかる?」

白夜が頭を振る。

『わからん。母は自由気ままだ。俺も200年は会っていない。会えるのはその時くらいだ』

「偶然のさらに偶然か。まあ、フェンリルは常に姿を消してるから。ちなみに竜の巻物。盟約のね。あれはフェンリルの血液を元に作られててね」

「なら、フェンリルがいれば隠されているかもわかるわけですか?」

「そう言うとこ。まあ、私としてはその前になぜマーテルがこの学園都市を作ったのに名前がないのか調べる必要がある。龍達はみんなわからないとの事だし地道に調べていくしかないね」

「その調べていくことについてここに気になるところがあります。奏さんは知ってるか分かりませんが隠し部屋のようです」

「うん」

「ただ、開け方がわからないんです。今案内できますが」

「なーらしてして。気になるし」

タイシがはいと返事を返す。

「うん。そしてタイシ君はここ。場所だけ口頭で教えて。私とミオちゃんでいくから。理由。目立つからくるな」

「…分かりました」

ー少し落ち込んでる。

気まずくするタイシを見てミオが思い奏がうんうんと頷く。そして、学園都市内のタイシから教わった場所、教会の壁へとくる。その2人は奏の魔術で透明化しており奏が壁に触れる。

ーこれだね。少し古いけど建物と比べると比較的新しい。

奏が小さな模様に触れる。

ーなら、とても昔のものではないんですね。

ーそう。あと、んー。ちょっと待っててね。

奏が指先を光らせその光を宙へと飛ばす。

ーキヨに知らせた。一応学生さんだからね。

ーはい。

奏が頷く。そして颯がその場にくる。

ーきたよ。いいって。

ー了解。さて。タイシ君がわからないと言ったのは暗号だ。

ーこの模様が?

ーそう。あと、これはタイシ君はわからないかもね。

奏が指で模様なぞると模様が動き出す。

ーこれはね。独自の暗号でね。暗部の暗号なんだよ。

ーそれって、教会の?

ーそう。

模様が光壁が窪むと奏が壁を開け階段を見下ろす。

ーさてと行こうかな。

奏が進みミオが颯と共に来ると奏が扉を閉め術で階段を灯し後をまた術だけし共に降りていく。

ーさて、臭いがないってことは術で消し去ってる証拠だ。ミオちゃん。私は死体とかに慣れてる。

ミオが心臓を跳ねさせ、奏が話す。

ー私があそこにミオちゃんを残さなかったのは危険だから。分かる?

ーはい。

ーうん。あと、もしかしたらになるから。一応ね。

ミオが頷き奏が頷くと木製の扉に触れ耳を当てる。

ー風はわかるけど、阻害されてる。

ー厳重だなあ。

奏が扉を離れると扉に手を当て光らせる。

ーどうせこの扉を開けたらわかるからね。目を閉じて耳塞いで。閃光弾。

ミオが目を閉じ耳を塞ぐ。それを颯が見てミオの後ろに隠れ風で音を遮断する。そして奏が扉を破壊した途端部屋中眩い光と音が鳴り響く。わずかな悲鳴が上がるがすぐに静まり返る。奏がミオの手を引き中へと入る。そこに見張りであろう教会の服を着た者たちが倒れ伸びていた。そしてその前方に気絶したままの長いエルフたちが檻に入れられていた。

「これは」

「ご覧のとおり人身売買だ。エルフのみのね」

「だ、れだ」

奏が檻の近くにいた教師の服を着た男を見て楽しく告げる。

「そーんなんだから、同期に追い抜かれるんだよ」

男がかっとなるも奏に吹き飛ばされ壁に叩きつけられるとそのまま動かなくなる。

「このばーか。あと、話聞いてた揺さぶりだね。効いてだわけだ」

「なら、すぐに移動しようとされたんですか?」

「だね。それに、暗部の一員連れてるじゃん。ここはそうそうそんな人たち来ることないから。でも、もし来たら即バレだから慌てたんでしょ」

奏が進むとミオがついていく。そして檻の中の痩せこけたエルフたちを見る。

「十分な食事はとられてないね」

エルフたちの首に奴隷の紋章がありその紋章が突如光出すとエルフたちが苦しみ出すも奏が手を伸ばし1人の紋章に触れる。

「いたいた」

紋章が弾かれる。そして他のエルフたちの紋章も弾かれた途端奥から悲鳴が上がる。エルフたちが再び気絶し奏が進み扉を蹴破り奴隷紋だらけでもがく老齢の神父を見下ろす。

「さて。ここの総取りだね神父さん」

そのそばに裸の少年がおりミオが上着を脱ぎすぐに着せる。

「姉ちゃん」

ミオがはっとし祭壇に縛られたリックを見る。リックが顔を歪め、ミオが向かうも奏が手を掴み止める。

「まった。術が発動してる」

リックの足元が光っており奏が力無く苦しみ悲鳴を上げる老人を蹴り上げ黙らせるとさらに強まる光の術式に触れる。

「助けて…。やだ…」

「まって。まだ」

「知り合い?」

「はい。マーリスで出会った子です。孤児の」

「りょーかい。あと、改良されたキメラを作るための術式だ」

「えっ」

「キ、キメラって、あの化け物っ」

リックが苦痛に顔を歪め苦しみ出す。

「い、たいっ。いだあああっっ」

奏がペンを出し術式の文字に文字を重ねる。

「我慢我慢」

「痛い痛い痛い!!」

「り、りっく、君っ」

ミオがオロオロとし、奏が鼻歌を歌う。

「我慢我慢っと」

光が弱まりだすとリックが息を切らしながら落ち着いていく。

「ちょろい術式だね」

光が消えると奏がペンを離す。

「まだミオちゃんは動かない。落ち着かせたんじゃなくて別の術を新しく作り上げて止めてるだけだから」

「え…」

「発動しなきゃ消えないんだよ。でも」

奏が式の上を歩く。

「分かっている。術を作り上げた私は問題なし」

奏がリックの枷をはずし浮かばせミオの元へと飛ばすとミオが受け止めた途端リックがミオにしがみつき震えなく。

「姉ちゃんんんん」

「さあてさてとー」

奏が不気味に笑い老人、教師、2人の神父を浮かせ術式の祭壇に座らせ縛り上げるとはたき起こす。その4人が起きると教師が冷や汗を流し式の外側にいる奏へと声を上げる。

「ここから下せ!!」

「ひいっ」

「動けないっ」

「恐怖は人を素直にさせる」

術式が光り始めた途端後ろから騎士や魔術師たちが入りその光景を見て驚く。

「観客が来た。さて、どーんなすがたにー、なるのかなー」

奏が楽しく歌いながら光を強める。4人が悲鳴をあげ光がさらに強まる。そして白い煙が上がり汗だくの4人がスライムの鉄格子の中へと収まり息を切らす。

「あはははは!そこのぼく。君スライムと一体化する予定だったみたいだね」

「う、ううう」

『よくもやってくれた』

術師たちが驚きやってきていたハリーが目を輝かせる。

「スライムが喋ってるっ。なんでっ。ていうかスライム初めて見た!!」

「私の従魔にしたから。スラムー。体の穴という穴から痛ぶれ。死なない程度に、面白おかしくね」

奏が不適な笑み浮かべる。

「ま、まれっ!?」

スライムが口を塞ぎそして男たちの耳から鼻からと体を細くさせ滑らせ中に入っていく。周りが汗を滲ませ、ハリーがじっと食いしばり見ていき奏が可笑しく笑っていった。

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