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運命のミオ  作者: 鎌月
45/64

瑠奈5

朝ー、

ー望君っ。

望が後ろを振り向く。目の前には鍛錬するミオと罰を受け走っている紬。そして見物する瑠奈達がおり瑠奈が望むを見て話す。

「望さん。どうかしました?」

「…呼ばれた気がする」

「誰に?」

「分からないがそんな気がする」

瑠奈が頷き望が再び振り向く。

「調べようか?」

瑠奈が勉を振り向き勉がカードを出す。

「昨日のトカゲ共の後始末をしてくれたからな」

『トカゲじゃないんですけど?』

「そのトカゲっていうのやめてもらえないかしら?」

「なら大トカゲだ」

「大がついただけじゃない!!」

勉がやれやれとしながらカードを光らせる。

「占いみたいなもの?」

「そうだ」

「も、もうギブ」

「残り3周だ」

紬がうえええと声を上げながら通り過ぎ走り終わり息を整えたミオがそばへと来る。

「キヨさんは」

「もう占いとか出来なくなったって」

「ここにきて?」

瑠奈が頷く。

「そう。ただその代わり見えないものがよりさらに見えるようになったって話。悪いことをした人とかわかるんだってさ。隠れててもね」

「そうなのね」

カードが動き円を描き再び戻ると勉が上のカードを取る。

「スペードのクイーンだな。来てるかもしれないか連れ去られてきてるかもしれないな」

望が僅かに目を見開き勉がカードをしまう。

「お姉さんが、ですか?」

「ああ。もっと調べるならそこのオオトカゲの力を借りろ」

「アンナよ!!瑠奈様の父親じゃなかったらあもおお!!」

アンナが声を上げ、勉が肩をすくめる。

「アンナうるさい」

「人質で…」

ミオが汗を滲ませ、瑠奈が考える。

「人質もかもだけど人材として使えるからじゃない?そうやってこっちに運ばれてきたりもするんでしょ?」

「ええ…」

「それにまだ根本は取れてないから」

勉が何かを呟き始めると今度は親指を噛む。紬、瑠奈がはっとしミオがやや驚く。

「松風」

『はい』

「すぐに調べてくれ。キヨさんにも協力を頼む」

『御意』

勉が頷き指を離し勉に礼を述べた後足早に離れる。紬がうわあと声を出し、瑠奈が話す。

「分かってはいたけど相当怒ってる」

「えと、指を噛むのが?」

「そう。癖、紬が勉さんの大切にしていたトロフィーを勝手に持ち出して勝手に壊した時に相当腹立てたんだよね」

「当たり前」

「事故なんだあああ」

紬がヘトヘトになりながら告げ、瑠奈がため息を漏らす。

「持ち出した時点でアウトでしょ」

「ちなみに何?」

「ええ。警察の全国剣道大会初優勝トロフィー。根元からおった」

「あんな細いとは思わなかったとおお」

「もつなって言われてたでしょうが」

『紬はどこか抜けていますね』

「と言うより瑠奈様のご友人がこのような方で問題ないでしょうか。今後」

紬がしょんぼりとする。

「酷い…」

「そこは私があれこれ注意したりするから」

「わたしは子供かあ」

「当たってるじゃん。私たちはまだ子供」

紬が顔をしかめ瑠奈が話す。

「でもなんか呟いてたのは初めて見たな。紬は知ってる?」

「あー、うん。あれは自分のもんとったことに怒っとるとよ。これはうちがしたことじゃなかけど、兄さんをライバル視しとる人おおかとよね。高校の時が特に多かったと。その中には意地悪な人もおってさ。その人が兄さんの亡くなった友人から貰ったお守りを盗んだとよね。それで犯人がわかった時に同じような事したと」

「した後は?」

「盗人連中全員のした。問題にはなったけど盗みがあったけんが兄さんは軽い注意だけでお咎めなし。そいつらは向こうさんの監督含めて相当怒られたけど大会とかには出られたらしか。でも、兄さん見て恐れてほぼ敗退」

紬がぶらりと震える。

「うちも盗まれた後の兄さん探した時にさ。その場にでくわしてみたったいねー。あの時の兄さんの怖さ怖さ」

『紬。松風より望様の元に来られるようにとのことです』

「わかった。ならいくかなあ。ミオと瑠奈は?」

「気にはなるけど、まだ分からないから。だから手伝うことがあれば手伝うわ」

「うちも。望さんにはお世話になったばかりだから」

「オッケー。なら伝えるねー」

2人が頷き紬が軽く走りながら向かう。

「…本当に唯子お姉さんかな」

「可能性はあるんでしょ?」

「ああ。さて、俺も見物に行くか。暇だからな」

「…は?」

勉がその場を離れ去っていく。アンナがむすっとしながら見ていく。

「なんで勝手気ままなのですか」

「前からああ言った性格だか仕方ない。あと、はあ。人前であれこれ言うの嫌いなのに」

「誰しも嫌いだと思うけどな。一部を除いて」

「ええ。あと、ああはいったもののそろそろ戻んないとなあ。ラファ。アンナ。戻ろう」

2体が返事を返し瑠奈がならまたねとミオへと告げるとミオがうんとだけ答えた。


ーいやあ。

陸奥がホクホクとしながら出納帳へと数えた金額を書いていく。そこに樹もまたおり樹が瑠奈につける飾りを確認していた。

『一気に増えたよー』

「だろうな。後陸奥。俺はこの世界にこれから先死ぬまで住むからな」

『ん?それは嬉しいけど向こうはいいの?』

「ああ。どうせ俺のことを覚えてる奴らはごく僅かだし、売られてここだし親戚もクズばっかだし戻っても俺に利益なんざねぇ」

『そっかあ』

「ああ。そう言うわけでこれからもよろしく会計係」

『オッケー。よろしくー』

樹と陸奥がお互いに拳をぶつけ合う。

『そうしたら住まいとかどうする?』

「そこなんだよなあ。どの国もいいとこもあれば悪いところもある。取り敢えず商売できて過ごせるところだな」

『だねえ。異界人の商売が可能な国はごく僅かだしね』

「ああ。それに厳しくもある」

陸奥がうんうんと頷くとノックが響く。

「樹君いるか?」

『望だね』

「はい」

樹が扉を開けると刀を腰に差した望が立っており傍に紬、勉がおり樹、陸奥が共に驚いた。


ー奥さんか。

「なら、心当たりあるとこが数箇所あるので潰していきましょう」

「ああ」

望達がアルスランの元へ移動しており、陸奥が話す。

『でもどうしてアルスランのところに?』

「協力を要請したい」

「あと、兄さんのお嫁さんはアルスランさんの奥さんの兄弟の娘さん。だけん親族になるとよ」

『そうなんだ。ならミオって子の従姉妹にもなるな』

「そぎゃん」

『そぎゃん?』

「そうだって意味だろ?博多弁」

「性格には球磨弁です」

『弁?』

「方言だ。あと、親族なら協力してもらえる為の話が早いし、ミオがいれば陸奥が調べられますよ」

望が止まりかけるが再び歩く。

「分かった。頼む」

「はい」

「お嫁さんのお腹に子供がおる、います」

「え?」

『そーれは急ぎだね』

望が頷きアルスランの住まいのある地区へと来ると警備の騎士達へと話伝えた。


袖口まである白いワンピースを身につけ手錠をかけられた唯子が檻の中で1人ぽつんと入っていた。その周りは何もなく誰もおらず、食事だけが檻の中に入っていたが手付かずのままだった。唯子が腹に触れながらその目を閉じる。

ー助かるから。落ち着いて。

扉が開くと唯子がはっとし派手なドレスを着た女が骨ばった痩せこけた派手な男と共に中へと入る。

「確かに似ているな。葵に」

男がいやらしく見ていき唯子が睨みつける。

「力も感じる。素晴らしい」

女が微笑み男が話す。

「なら、お連れください」

「ああ。もちろんだ。アルスランには知られてないな?」

「知られませんよ」

ーアルスラン。ミオちゃんの話してたお父さん、よね?

「檻ごと運べ」

「はい」

魔術師である使用人達が姿を見せ唯子の檻を浮かせる。唯子が柵にしがみつき冷や汗を流す。

ーまさか。ミオちゃんが話してたもう一つの魔法がある世界…。

唯子が鼓動を早める。

ーなんで。叔母様と関係しているから連れて来られたの?

唯子が喉を動かす。そして外に出されるとその外にはリリーや機械仕掛けの腕を持つ男が立っていた。リリーがじっと見ていき男が僅かにフードで顔を隠すとリリーが背を向け男と共にその場を離れ去る。唯子がそれを見るも僅かに揺れると再びしがみつき直す。男がそれを見てくくっと不気味に笑い唯子がぞわっと鳥肌を立て青ざめその目を強く閉じる。

ー望君っ。


ミオが指の腹を針で刺し血を出すと陸奥の額に当てる。すると陸奥が額を光らせ目を閉じる。そこに望たちもまたおり、樹がやれやれとしながらアルスランの命を受けてきたダンガンを見る。

「親子の約束とはいえですか」

「はは。似ているだろう。ただ、頑固なところは母に似ていると俺は聞いたな」

「そうなんですね」

「ああ」

『うーん。樹が思うところはみんなハズレ。移動した後かも』

「え」

「なら売られたな。そうしたら周囲を見てくれ」

『オッケー』

樹が頷き望を見る。

「唯子さんでしたか?容姿はミオに似てます?」

「ああ」

「目の色はまだ濃い青色だったたいね」

「ああ」

「髪は?」

「金髪に近い混ざりのある茶色だ」

『ふむふむ』

「アルスランさんを恨んでる連中の中で、葵さんを好んでた連中は?もしくは欲しかったとか」

「大抵は貴族だな」

「陸奥」

『はいはーい』

「質問続けます。その中でアルスランさんと年が近いのは?」

陸奥がダンガンの頭の上に飛び、ダンガンが軽く見るも顎をなでむむっとし考える。

「いるな」

『そのまま顔だけ浮かべて』

「ああ」

「陸奥は記憶とか見れるんですね」

「ああ。アンナたちの話だと陸奥はまた特別な龍らしい」

「え?」

「話だとラファエルの弟子が作った龍だそうだ」

『そう。カリーナとエレノアが僕を作ったんだよ。みーつけた!』

陸奥が飛び上がりくるりと回転し望が鞘を掴み気を落ち着かせるために僅かに息を吐き出した。


「来ないで!」

唯子が不気味に笑う男を見てぞっとする。そこは天蓋付きのベッドのある部屋だが鍵がかけられ男と2人きりとなっていた。男が壁に背をつけ逃げる唯子を見て更に興奮し唯子が扉のノブを掴み必死に動かす。

「嫌!」

「無駄だ。魔術も使えないよう封じているからな!」

男が飛び掛かるも唯子がすぐに避ける。

「素早いなあ。ふふ」

唯子がぞわっとし歯を噛み締め顔を歪め腹を抑え声を上げた。

「助けて望君!!私達はここにいるから助けて!!」

「望?私達?まさかっ!?」

無風の部屋に風が吹くと唯子が突如現れた望の背中を見て驚くが顔を歪め赤くし涙を落とすと望を抱きしめる。

「聖獣持ちの異界人っ」

男が固まり冷や汗を流し心臓を跳ねさせ望が怒り冷ややかに男を睨む。

「あ、ひう」

男があぶくを吐き白目を剥くと後ろに卒倒する。それを開けられた扉から樹と陸奥がみて驚き紬が扉をよいしょと開ける。

『殺気でケーオーだっけ?』

「ああ。後俺も鳥肌やばい」

「他校の剣道部で兄さんに意地悪した連中が気圧されて敗退した人もおるとですよね」

「ああ」

「唯子お姉さん!」

唯子がはっとしミオがすぐに唯子の元へと駆け寄ると抱きしめ唯子もまた抱きしめる。

ー望ちゃんいた?

ーいました。

望が警戒しながら玄海の念話に答えると玄海が頷く。

「オッケー。後こっちも終了」

玄海の後ろで瑠奈とラファたちを前に平伏する者達がおり先頭にいる杖をつく老人が震えながら床に頭を擦り付けていた。その玄海の隣にダンガンが立っており、ダンガンが瑠奈の背中を見て僅かに鳥肌を立てる。

ータイシとはまた違う感じだ。

「怖いよねー」

ダンガンが玄海へと視線を向け玄海が話す。

「瑠奈ちゃんは元ご主人さんな。タイシ君と違う異質な力の持ち主だから。それもここで開花して強靭になったみたいだし」

「どう言った力だ?」

「惹かれる力。従える従われる力。今の目の前の奴らはみーんな瑠奈ちゃんの圧に従わざるを得ない状況に陥ってるみたいだな。それは崇拝する神様を前にみんなが頭伏せてる感じだ」

「神か。確かに言われてみればそう感じもしなくはない」

「だから敵回したくはないなあ」

「ああ」

玄海が頷くも後ろを振り向くとシーツを掛けた唯子を望が抱き連れてきていた。その後ろをミオたちがついていき、上を松風の術により気絶した男がふよふよと浮かんできていた。

「彼女がお前のか」

「はい。すぐに見てもらたいです」

「ああ」

「望ちゃん。ナガハラせんせーさんが来てくれてっから外いけそ」

「お許しください!!」

「おっと」

「はい」

望が移動し紬があーと声を出すも望についていく。そしてミオが瑠奈の背中を見て気まずくすると玄海が気付き近づき囁く。

「ははーん。さては、支配力を強めたのはミオちゃんかなー?」

「…まあ、はい。以前、鈴子さんの幻獣さんから教えてもらいました」

「ああ」

「その、念話も私に…その、どう止めたらいいですか?」

ミオが戸惑い尋ねると玄海が瑠奈ちゃんがヘルプ出してんのと尋ねるとミオが小さく頷いた。


ー一時間後。

瑠奈が水を一気飲みしアンナがニコニコしながら話す。

「姫様。素晴らしかったですわ」

「ぶっ。どこがっ」

瑠奈が呆れ声を上げ今度はちびちびと飲む。勉がやれやれとしながら干し果物を食べていく。

「いっそ全員窓から飛び降りろと命じればよかったものを」

「できるかっ。あーもう疲れたあ。あんな支配するやり方好きじゃない」

「いいではございませんか。馬鹿な人間どもたちが平伏す様をご覧になられるのですから」

瑠奈が更に呆れ勉がボソッと告げる。

「鼻高々トカゲだな」

「トカゲではないと言ってるじゃない!!」

「あーもううるさいうるさい。ラファ」

『はい。唯子と子供は問題ないとのことでした。今眠ってます』

「この中で一番」

瑠奈がラファの頭をなでなでとするとラファが嬉しく照れていき、アンナがむっと軽く嫉妬する。

「さて、下手人達の様を見にいくか」

『唯子をやりかけた相手はミオが相手してますよ』

「は?なんで?」

『まあ、従姉妹だからとか』

瑠奈が大きくため息をし案内してと告げるとラファがはいと返事を返した。

そして尋問室へとくると扉にニーナと部下が立っておりニーナが話す。

「何?」

「はい。中にミオが」

扉が開きミオが姿を見せる。その後ろに壁を向き土下座し震える男がいた。

「は?」

ニーナが思わず声に出し部下達と共に中へとすぐさま入る。

「もう、いたしません。致しません。何もしません」

ニーナが眉を寄せ、ミオが話す。

「やりたい事、かな。出来た」

「なら、向こうで話してもらっていい?」

「…」

ミオが頷き瑠奈がならこっちとミオを連れその場を離れた。


望が落ち着き眠る唯子のそばに付き添っており、横塚が話す。

「明日様子を見て話せたら話するわよ」

「はい。横塚さん。唯子と共にいた男は?」

「ええ。話じゃミオちゃんが話に行ったとか」

「ミオがですか」

「ええ。危なくないかしら」

「ミオに危険はないと思います」

「え」

「むしろその男の方がどうにかなりそうです」

横塚が眉を寄せ、望が話す。

「唯子から以前ミオがこちらからきたものを言葉だけで圧倒させたとの事でした。言葉だけとは言いますがその時のミオ自身の殺気。気迫」

「あの子が?そう見えないけど…」

「瑠奈があの時術を使い支配力を高めたと言いますが俺としてはミオが後ろで圧倒させていたようにも思えます。本人はあらかた自分の感情で制御するようですが」

「いやまってまって。そんなことあるわけ?」

「そーれがあんだなー」

玄海がその場にくると横塚がため息を漏らす。

「なんでため息すんだよ冷たいなあ」

「うるさい」

「ちぇー。あ、唯子ちゃんを辿って唯子ちゃんを売り捌いた奴隷小屋は叩いておいたわ。向こうはお偉いさん達が潰す手筈をするとさ」

「はい」

「ああ。あと、きらり」

「名前を言うな。何よ」

「ここはなーんでもありだ」

「はあ?」

「気だけで圧倒させることもできるわけ。ミオちゃんの場合、父親譲りみたいで人を圧倒させるカリスマ的な力を持ってるみたい。その結果見せるよ」

「ええ」

玄海が横塚を連れ一旦離れる。そしてしばらくして再び戻る。

「まじでああなったわけ?」

「まじまじ」

「捕まえた伯爵の息子ですか?」

「ええまあ…」

「精神やられてお座りしてすみっコぐらししてるぜ。そんで質問に素直に答えてるとこだ」

「はい」

横塚が困惑し、玄海が目を覚ましているが顔色の悪い唯子を見る。

「ま、尋問しやすくなって良いだろ。唯子ちゃんどお?」

唯子が軽く息をつく。

「頭がぐるぐるです…」

「色々あって?」

「それもですけど、本当に」

「この世界の力による酔いね。世界の力。力を含んだ空気の澱みによる酔いが起こってるみたい」

「あー、ならしばらくは安静だな。初めての奴らには結構ある」

「はぁ…その、お腹とかには」

「そこは先生に聞いたが早いなー。またくるからその時聞いたら良いさ」

「はい…」

「なら、私たちは出るわ。話はまた明日」

「そうさな」

2人が出ていくと望が目を閉じはあと息を吐く唯子へと声をかけていく。

「まったく。面倒なことになったわね」

「確かにな。それと、殿様が気にしてたな。唯子ちゃん姪になるし」

「そりゃそうでしょう。あと会う予定?」

「になるだろうな。そんで戻るまで自分のとこに居させるだろ」

「ええ」

「ところでー夜暇?」

「忙しい」

「えー、嘘だろ?何もないきいてんぜ」

「私個人は忙しっってこら!!」

玄海が横塚を肩に担ぎ上げる。

「個人はならいつだって良いだろー。部屋部屋ー」

「何が部屋よ!あんたはやることしか頭にないのか!」

「せーかーい」

ぎゃーぎゃーと横塚が声をあげ抵抗するも玄海が気にせず運び去った。


ーあーっ!

「ラファ様私のプリン食べましたね!!」

サラサが声をあげ抗議するとラファが口をもがつかせながら頭を振る。サラサが食べたとラファを掴み揺らす。そこに瑠奈とプリンを食べるアンナ、みっともないとリオルがうるさげに見ていた。

「サラサ。まだあるから。ラファ。夕方のプリンは抜き」

『えっ!?』

「どこにありますか?」

瑠奈がプリンを手のひらに出して見せるとサラサに浮かせ渡す。サラサがすぐさまとられないようにプリンを食べていく。

「プリン一つでねえ。龍は甘いもの好きなの?」

「はい」

「ならリオルいる?」

「…私は良いです」

『わた』

「ラファは3個食べたからダメ」

ラファががくっと頭を落とししょんぼりとする。くつろぐ瑠奈達の部屋でノックオンが響き渡る。瑠奈がどうぞと告げると扉が開きアルスランが中へと入る。

「休んでいるところにすまないな」

「いえ。馬鹿した連中は?」

「ああ。あらかた檻の中だ。奴隷を雇っていたからな」

「アストレイでは違法なのですか?」

「ああ。ただ、やはり区別が昔と違い難しい。奴隷紋も隠すことが出来るようになったからな」

「奴隷ではなくなって隠すなら分かりますけど…奴隷のまま隠すんですね」

「ああ。主従契約。それも強い縛りだ。そちらが龍と契約しているものと違う」

「主人の命に従うしかない契約ですよね?」

「そうだ。そして、種類が多いのでな」

「奴隷契約で行う術は簡単に組み換え可能だものね」

サラサがうんうんと頷く。

『ラファエルが作った契約を人が大勢作り直しているので私でもわからないものが多いですし、中には呪いもありますしね』

「ああ」

「奴隷か」

瑠奈がやれやれとする。

「唯子さんにはありましたか?」

「なかった。あと、望と話してこちらが元の場所へと戻るまでの間保護する」

「はい」

「赤子がお腹にいると厄介なのよね」

「それは連れてこられた時は?」

瑠奈がアンナに尋ねるとアンナが考える。

「多少あったかもしれませんね。あちらとこちらの世界の力はとても違いますから影響は」

『影響はないです』

「え?」

『こちらに戻る時に彼女にミオが贈り物をしたようですね』

瑠奈がああと声を出す。

「ピアス。確か片方はあげたって話してたししてた」

ラファがそうそうと頷く。

『こちらのものを身につけている。そして、あのピアスから2人の力を感じましたから。ミオとミオに近い血を継ぐものの力ですね。そちらがこちらの世界に連れてこられた時の加護をしたようです。彼女を見た時に加護の力を持っておりましたから』

「なら、あの変態野郎に襲われかけても」

『まず触れられませんね。ピアスを外して試したら分かりますよ』

「なら後で試してみようかな。実証されたらそれさえつけていれば多少なりとも身は守れるから」

『はい』

「ええ。でも、加護があると分かっても」

「分かっている。警護は行うしナガハラにも協力してもらう」

「はい」

「ああ。あと、学校の許可が取れた。タイシもだ。ただ、私からタイシに伝えられる手立てがないので頼みたい」

「分かりました。それと、もし兄に会えたらお話しされますか?」

「ああ。話したい。これからについてもだ」

瑠奈が頷き、アンナが話す。

「勉とは話がついたの?」

「タイシについてならばついたと言えばついた。お互いの意見に反対はなくだ」

「ええ」

「ま、元は放任主義もある父親だから」

「でも姫さまは」

「兄についてだけ。私は私でまた特別だし、私は私から父親としての義務を果たせと言ってる。母親もそう。兄は2人からいい目見てないし、虐待受けてたから放っておいていいの。ただ、私の場合は何も受けてないから今、義務を果たせと言ってるの」

「はあ…」

「ま、どうあれ血の繋がりのある切ってもきれない家族ではあるから。ただ、家族といっても形もまたそれぞれ」

アルスランが頷き瑠奈が話す。

「そうとなれば私から話をします」

「ああ。頼む」

「はい。それと盟約の方はどれだけ集まりましたか?」

「今のところ五本だな」

アンナがふっと笑う。

「まだまだ」

『はい』

「人としてはやれてるかなって数」

「リオル」

アンナ達が反応し、瑠奈が話す。

「ラファエルの記憶を持った奏と接触できたでしょ?」

「…はい」

「リオル。あなた何かしたの?」

「………」

「兄のとこにいる紅蓮の力を借りて奏にあわせて話したの」

瑠奈がリオルへと手を向けるとリオルが袋を瑠奈に渡すと瑠奈が早速中身を取り出しルーペと鏡を出す。

「鏡で巻物がある国をうつし、ルーペで隠れた巻物が見えるようにと私が渡したのを奏がその通りに作ってくれたのでどうぞ」

「ああ」

『ちっ』

「な、なんてことをっ」

「…ずるい」

「……」

アルスランが受け取り、瑠奈がやれやれとするもラファたちがはっとし瑠奈が来たと立ち上がりアルスランもまた立つと扉を振り向いた。


奏が長椅子に寝そべりぐったりとし音哉が直哉を抱き本を開き見せていた。

「己ちいひめええ」

「瑠奈さんだな。そろそろマナさんもついた頃だろう」

「くううう。人の集めたかけらをおお」

「何を怠けているんだ」

「怠けてない」

奏がルキウスへと言う。その後ろから王嘉もまたやってくる。

「トカゲのおじちゃん!」

直哉が即座におり王嘉が直哉を抱き上げる。

『王嘉だ。まあいい』

「奏。マーラックを見てくれ」

「分かったよお」

「僕もいくー」

「私と?」

直哉がすぐさまいやいやと頭を振ると奏がしょんぼりとしながら去っていく。

「そのマーラックさんですが体調が悪いのですか?」

『ああ』

「そうだ。そして奏にしか見れない。できない治療だ。音哉。そちらが話していた奴隷場はアストレイ側が制圧した」

「そうですか」

「ああ。ただ、おまえをはじめに購入した者は逃げたようだ」

「残念ですが、その奴隷場だけ制圧されたのならよしと言うところです。あとは完全に解体されて無くなることを願うだけです」

「制圧したのはアルスランだ。綺麗さっぱりなくなる」

「そのアルスランですが、俺の周りでも脅威とされていたようです。どんな方なのですか?」

「強い」

『ああ。そして王ではないが王としての力を持っている。いわば人の上に立つ者としてとても優れている。部下達もそうだ。あとは、お前が知るタイシの養父でもある』

「タイシの。そういえばアルスランがでればタイシの話もあったな。そう言うことか」

「トカゲのおじちゃん。たんれんじょー」

『奏が戻ってからだ』

直哉がうーと声を出すが頷き、ルキウスが話す。

「音哉。また手伝いを頼みたい。直哉は王嘉が相手をする」

『ああ』

「分かりました。お願いします」

王嘉が頷いた。


朝ー。

ーはあ。

裸の横塚が突っ伏しながら大きく息を吐き出す。その横塚に覆い被さった玄海が抱きしめ甘え密着していた。

「きっつ…」

「オールナイトしたからなあ。朝もするか?」

「遠慮するわ」

「えーそんなこと言うなよお」

「鬱陶しい」

横塚が玄海を押し退けるとベッドから降り玄海がちぇーと声を出す。

「長原警視正から連絡あったわよ」

「ん?連絡?」

「ええ」

横塚がスマホを出すと玄海が目を丸くする。

「通じんの?」

「ええ。私のもう一つの力でね。でも条件が」

「めっちゃ便利じゃんー。さすが俺の女ああ」

玄海が抱きしめてくると横塚が顔を押さえ押し出す。

「条件があるのよ。後私も使えば疲れるの」

「ほんないわがらなくてもいいはろーって」

玄海がやれやれとしながら離れ横塚がまったくとぼやいた。


ーどこにするか…。

瑠奈の髪を整えながら樹が考えており瑠奈が軽く視線を向けた後前を見る。

「居住地ですか?」

「ああ。悩む」

『だねー』

「それなら学校に行けばいい」

「は?」

『どう言うこと?』

瑠奈を尋ねてきた座って茶を飲むオーガンを振り向くとオーガンが話す。

「ああ。そこは多くの国から子供や大人。はたまた貴族から貧しい者達まで学びにくる」

「その貧しい者達は誰かの推薦を受けてでしょう?」

「勿論じゃ。タイシから日本という国の教育について話は」

「まあ義務教育でも子供縛り付けて出さない親居ますけどね」

「その実例が言えば兄だからなあ」

「そなたらは最後まで聞け全く。まあそうじゃ」

オーガンがやれやれとする。

「その学校には義務教育というものはない。なので推薦しかなくてな。その推薦を行うのは各国を旅する卒業生たちや教師が行う。いわば学校に関わりを持つ者達になる」

「なら、タイシの場合は?」

「推薦だな。瑠奈やミオもそうだ」

「ならぬるい推薦なんですね」

「お主はどーしてそのように小馬鹿にするように言うかのお」

「小馬鹿にはしてませんよ。ただ、タイシならともかくまだ来たばかりの瑠奈ちゃんと地味なミオ」

「地味で悪かったですね…」

その場にミオが来ると後ろにいたエリスがふふっと笑う。

「瑠奈については古代人の血を引くものとして。そしてタイシの妹であることが認められている。その力もあっての推薦入学だ。ミオはアルスランの娘であり、聖女の娘でもあるからなのと、旅をしながら強い結界の力を持って人を守ってきたから。そしてギルドの推薦もある」

「ギルドの?」

「ああ。ギルドの長たちもまた推薦する立場を持っててな。教育すればより力がつくと思うものには長が話をつけにいくのだ。ミオの場合、死んだ南の砂漠の長、テオドハルドの推薦があった」

ミオが驚きオーガンが話す。

「砂漠での襲撃から村を守ったこと。あとはタイシから学ぶための旅と聞かされてのことらしくてな。落ち着いてから話そうと思っていたのだろう。冬の国カルドアで残された荷の中に推薦書などがあったからな。その中にはユナの分もあってな。将来的に期待できるかもしれないとの判断でつくられていたようだ」

ミオが口をつぐみ頷く。瑠奈が話す。

「ユナちゃんとか可愛がってくれた人でしょ?」

「そう……」

「はい。それで、そのテオドハルド殿の奥方がギルドの塔から出てこないとのことです」

「テオドハルドさんの仕事場で、お家でもあったところだからだと思う…」

「ええ」

「だが、そこは次のギルド長のためのとこだろ?い続けるわけにはいかないからな」

樹が告げオーガンが頷く。

「ああ。そうじゃ。説得もなかなかうまくいかなくてなあ。それで、タイシがいたらと皆がいうてなあ」

「なんで兄が?」

「信頼と心配か。夫婦共に我が子のように見て思ってくれたのがタイシでな。タイシを思うものもだが、恩を感じる者はここに大勢おる。わしもそのうちの1人だ」

「はい」

「向こうと大違いだろ?」

「はい。一部。本当に一部だけでした。あとはみんな目の敵にしてます」

瑠奈が樹へと話すとオーガンへと告げる。

「兄の代わりに私から話してみましょうか?」

「関係ないかもだが、長く続いてるからなあ」

「樹さんも何かあるんですか?」

「ああ。ちょっとな」

『テオドハルドと樹もまた交流があっててね。テオドハルドに貸した樹の道具があるんだよ』

「ああ…。いやまあ、言えないやつだけど。ただ本人が亡くなったからどうだったか聞けなくなったし…。でも道具は返して欲しいし。ただそれがそこにあるか。なかったらまた作り直しだからなあ」

『作るのに三年かかったものだから。テオドハルドには実験台として持たせてたんだ』

「ほう」

「身につけるものですか?」

「ああ。もし、遺品として扱われてるならそこにあると思うんだよな。奥さんに内緒の品で、継続料金は貰ってたからなあ…」

『延滞料どうする?』

「いや。本人死んでるから無効だろ。実験も出来ないからな」

「その実験は話せないのか?」

「あ、はい」

『話さないよー』

「そうか」

「なら、行ってみましょう。ミオもいくでしょ?」

ミオが頷き瑠奈がええと返事を返しアンナへと予定を聞いた。


ー砂漠。

熱く照りつける太陽に乾く砂が広がった砂漠がより暑さを上昇させていた。その太陽の下、砂漠の上に汗をかく瑠奈が嫌な顔をさせながらアンナ達と共に街へと向け歩いていた。

「あついー。なんで、ギルドのある村に移転のがないのかなあー」

樹がため息を漏らす。

「前はあった。消されたんだろ」

「え?あったんですか?」

「ああ。アーサーギルド長の話通りかもな。全て乗っ取られたって。この状態があと一月続いたら制圧するって話だからな。もう砂漠の盗賊として考えるって話だったしな」

「…はい」

「迷惑かけちゃおしまいですもんね」

「ああ。しかし、暑い。俺もどれくらい前か…。6年か。こんな暑くなかったはずなのに」

「南の龍が関係しているのよ。恨み。侵食」

アンナがさらりといい、瑠奈が話す。

「その件についても調べることがあるしここに来て気配がする」

「龍の?」

「はい」

「私たちには感じられないのですが…」

「え?こんなにするのに?」

アンナが頷き、瑠奈が話す

「古代の血と関係あるかもしれないな。元々作った側の血らしいし」

「はい」

「ええと、ああでもまだ、タイシさんは覚醒されてなかったからわからなかったのかな…」

「それは当たりだ」

ミオが横を振り向く。そこにフードを被ったマナが微笑んでいた。

「私が力を封じていたからな」

「はい」

「マナ様も何か感じられますか?」

「ああ。ただ、私以上に瑠奈の方が感じているだろう。古代人の血が色濃く継いでいるからな」

「はい」

「全く…。その古代人のとかどうにか言われないようにしたいんですけど…」

「いわば特別扱いされたくないようにだろう?」

「その通りです。あと、本当乗っ取られたような状態ですね。見張りかな?」

ミオが不安な面持ちをし村の前に立つ男達を見る。

「前来た時はいなかったわ」

エリスが頷き、マナが話す。

「人の団結する力はとても強い。それが信頼しうるものならばより一層だ」

「でもその団結も時が過ぎればなくなりますからね」

男達がやってきたミオ達に警戒すると樹が1人の男と目を合わせると男もまた樹を見てハッとする。

「テオドハルド殿の」

「どうも。貸してたやつ返してもらいたいんですけど。見たことありますよね?」

「……」

「貸していた?」

「それは、その」

『あー、あるねえ』

男がどきりとし陸奥が現れ男の前に立つ。

『塔の中だ。やっぱり遺品として回収されてる』

「ならそれ返してもらえませんか?契約書交わしてて返却するように」

「その」

「いやそのじゃないですから。あれまた一から作るの」

「樹さん。囲まれてます」

樹がため息をし、屈強なもの達が徐々に距離を縮めていた。ミオが戸惑いエリスが警戒する。

「ミオ、エリスね」

「はい」

エリスが答え剣を持つ女が頷く。

「悪いけどこの村自体渡すわけには行かないわ」

「ここはテオドハルド殿の村ではありません」

「父が長年築いた村よ。なのに何も業績もなく父の痕跡もなく開け渡せ」

「当たり前だろ。ギルドに所属するならば当たり前の話だ」

女が樹を睨み樹が話す。

「他もだ。魔王を倒した。龍を倒した。その倒したやつの名前なんて歴史に刻まれるなんてそうそうない。ましてギルドならより一層ない。テオドハルドさんの偉業を残したいのなら勝手に石碑を建てたらいい。歴史に名を残すならそれだけのことを行なったという証拠を魔道局に提示して認められて歴史書に刻ませたらいい。あんた達が今やっている行為は汚すだけだからな。父親が作った村?初めからじゃない」

女が奥歯を噛み締める。

「おたくらはいまギルドや他の周りにとって迷惑でしかない。そして一月後にはお尋ね者として捕まえられるからな。そうなる前に村ごと明け渡して今後について」

「その勝手に腹が立つのよ!何も知らないくせに!」

「なら話をしましょう」

女がフードを下げた瑠奈を振り向き瑠奈が話す。

「テオドハルド様並びに奥様のマーサ様について。私の兄が大変お世話になり可愛がられていたとお聞きしております」

「兄…」

「まさか、ティーチの?」

「え」

周りがどよめき、瑠奈が話す。

「はい。タイシです。今は諸事情でおりませんが、最後の時まで、手伝いをしていただいたとミオからお話を聞いております。テオドハルド様のご家族並びに信頼をされてこられた方々について、もし良ければお話を聞かせていただけませんか?双方食い違いのないように。そして樹さんが話された通り一月後にこちらをギルドが制圧するという方向で進んでおります。ですが、その前から何か動きがあれば教えていただきたいです」

「あなたは、なに?説得に来たの?」

「説得ではなく、話し合いです。そしてアーサーギルド長個人からの依頼になります。話を聞いてもらいたいと」

「アーサーの……」

「あの、女たらしのか」

「だが腕は確かだし、あの人は、まあ、いい人ではあるか」

周りがざわつくと大抵女たらしと聞こえておりマナがふふっと笑いミオが気まずくする。

「女ったらしだが男前でもあるな。男女ともに信頼ある者だ。私も瑠奈の手前話すとしよう」

マナが胸元に手を当てる。

「マナという。今は瑠奈の相談役としている。タイシの師でもある。本来ならば人の前に姿をあまり見せたくはないが訳あって相談役として着任してからはこの通りだ」

マナがフードを下ろすと周りが驚愕し女が目を見開きマナの龍の角をみる。

「龍と人とのハーフだ。エルフ、いや、それ以上長い時を生きている。弟子の世話になったものたちの住まうところ。そして弟子を可愛がったものとぜひ話をしたい」

「え、と」

女が混乱するも息を吸い吐き出す。

「ちょ、ちょってまって」

女が踵を返し急ぎその場を離れギルドの塔へと向かう。

「そりゃ驚くよな」

『ねー』

「いや、その子龍にも…」

『ん?』

男が陸奥を指差しているのがわかると陸奥がくるりくるりと回る。

『僕よりアンナたちかなー』

「え?」

「何も聞かされてないか?」

男がマナ達を振り向きマナが話す。

「今各国で改めて龍達との間に交わされた盟約を再び結び直そうとしている」

「盟約?」

「ああ。私や瑠奈はそのための仲介役などでもいる。私もだがここにいる瑠奈、そして今はいない弟子のタイシには龍を創造した」

「騙されるなっ」

周りが後ろを振り向くと年配の男が汗を滲ませその場にくる。

「その者その頭のつのは飾りだろうっ。そして他もさっさと立ち去れっ」

瑠奈がじっと見ていきアンナが僅かに殺気を立てる。

「飾りではないのだがな」

「ならその証拠を見せろ!」

男がマナへと手を伸ばすとマナが男の手を避ける。周りが戸惑うと女が来る。

「ちょっとカーランさん!勝手なことしないで!」

「カーラン?」

『カーラン?』

『南の龍を返せ!!』

アンナが元の竜の姿へと変わると周りが阿鼻叫喚する。

『げっ』

「ま、さか、りゅ」

「アンナ!!!!!」

アンナが震え、周りもまた体を固める。そして樹が目を丸くし瑠奈が青く光る目でアンナを睨みつけ下を指差す。

「勝手な事をしない」

『…は、はい』

瑠奈が頷き体をこわばらせたままのカーランを振り向くとカーランがビクッと震える。

「さて。探してましたよ。イーロンの元研究員。カーランワイゼル。龍はどこに隠しました?」

アンナが睨むと瑠奈の影からラファも姿を見せる。

「ま、幻の、次元龍。本物…」

カーランの頭を誰かが掴むとそのまま持ち上げられる。

「母さんっ」

ミオが驚き痩せこけたマーサを見てすぐに向かう。

「マーサさん。お願いです。寝てください。休んでください」

マーサが口をつぐませ、ミオが苦痛に顔を歪める。

「皆さんがあなたを心配しています。私もですしそばにいます。何もしませんから」

「ミオのいう通りだ。休め」

あぶくを吐いたカーランをマーサが落とすとふらつき女がすぐにマーサを支える。

「マーサ…」

「母さん」

「訳ありありだな」

『だねー。あとカーラン。みっーけたあ』

「だな。俺たちも用があるそのおっさんにな。取り敢えず」

樹が縄を出す。

「拘束していいか?そいつ奴隷商人でもある」

『そうそう。被害者の1人だから』

「ああ」

「え、ええ」

「ああ…」

樹が頷き縄で縛ると陸奥が浮かせ瑠奈を見る。瑠奈が頷き滞在したいと許可を願い出ると周りが僅かに頷いていき女もまた力のないマーサを見てゆっくりと頷いた。


ミオが白髪が多くなり深いクマを作り眠るマーサのそばに座らながら手を握りしめ、女がその隣に座りながら話す。

「ありがとう。あとごめんなさい」

「いえ。マーサさんなので無理をずっとされてきているとは何となく。以前テオドハルドさんがマーサさんは徹夜してまで無理をするから心配と話してましたから」

「そう…」

ミオが頷くと女を見る。

「テレサさん。テレサさんも隣で休んでください。私やエリスさんが交代で見ます」

「…ありがとう。甘えるわ」

ミオがはいと返事を返しテレサが隣に設置されたベットに転がった。


ーさて。

椅子に縛られたカーランの元に樹、アンナ、陸奥、エリス、ラファが揃いカーランが震え陸奥がカーランの頭の上に来る。

「さて。尋問といくか覗きジジイ」

『いっくかー』

「小僧っ。貴様ただで済むとおっ」

カーランの口がチャックへと変わるとそのままジーと音を立てとじられる。

「変化の術ではあるようですが…」

『そうそう。でも樹ならではのオリジナルさ』

エリスが興味津々にはいと返事を返す。

「そうだ。さてと、お前はただ頭に思い浮かべるだけでいい。仲間がこの村にいるだろ?」

「む」

『いるね』

カーランが陸奥を見上げ陸奥がふふふふと不気味に笑う。

「村を制圧するまで焚き付けた」

『はい』

「外のギルドにも仲間がいる」

『はい』

カーランが頭を振りジタバタとするとアンナがふふっと笑う。

「滑稽だわ」

「うっせえ年増トカゲ。黙ってろ」

「ふんっ」

『樹だけですよそう言われる方は』

「それはどうも。イーロンの上は生きている。誰だ?」

『んー、ラマーダ。それからー、テオドア。以上』

「なら次。今村タイシについてなんか知ってることあるか?」

『古代人だった、のは、初めて知ったとか。おかげで降格させられた』

「降格う?となると、まだお前らの階級社会は生きてんな。大統領は生きてるか?」

『いいえ』

「ならお前らにとって大統領は何だった?」

『ただのコマ』

「そうか」

カーランがゾッとし青ざめ武装したアルスランがその場にくる。

「早かったですね。上には?」

「まだばれてはいない」

「大変だったよ…」

「お疲れ」

透華が頷く。そしてエルハルトが来るとその後ろから静かにタイシが姿を見せる。

「タイシさん」

タイシがエリスへと会釈する。

「お久しぶりです。ご心配しておりました」

「…すみません」

「いえ。お元気でしたら構いません」

エリスが優しく笑むとタイシが申し訳なくするも一樹がタイシの肩に腕を乗せ引き寄せる。

「あいつが俺たち攫ったガキの行き場を決めた元締めの1人だ」

『だよー。タイシも知ってるし、こっちもタイシのこと覚えてるみたい。痩せこけたゴミくさいガキだなって』

「むおっむむうううーっ」

タイシの影から赤い目を光らせた紅蓮が怒り出るとカーランが必死に声を上げ、ラファがやれやれとする。

『忠誠されて』

『黙れ。貴様に言われたくない』

『はいはい』

ラファがぶつくさいい、アルスランが話す。

「ここにイーロンの研究員はどの程度いる?」

『八名。その内二名は裏切られたから閉じ込めてる。名前はリンユー。それからアイラ。アイラは元々聖女候補として連れてこられたそうだけど力が研究に適してたから研究者として働かされてリンユーはそのアイラの相手をしてて一緒に捕まったそう。あと、イーロンの残党はここから1時間ほど歩いたオアシスの地下施設に隠れてる。そこからまだ発注してるみたい』

「ああ」

「このじじいども。懲りずにしてんな」

「うん」

ーまずい。まずいこれ以上見るな。見るな。

『あっ。ばれた。やばっ』

陸奥の手が光るとカーランの顔に血管が浮かび膨れ始める。

『だめだ抑えらんないっ』

紅蓮とラファが同時に結界を出し、樹が陸奥をすぐに引き寄せ結界に開けられた穴を通し中へと入れてすぐにカーランが風船のように膨れ爆発する。透華が汗を滲ませ、ラファが姿を消す。

「消したか」

『人間って怖い…』

「人間で一括りするな。タイシ。瑠奈と連携してんだろ?」

「…ああ」

「何だそのぎこちなさは」

「ふふ。妹である瑠奈さんにまだ頭が下がらないのでしょう?」

「それもですけど、師匠も、いるとは…」

エリスがくすりと笑い頷き、タイシが複雑そうにする。


ー見つけた。

「焔!」

紬が砂地を炎で払うと遭わられた建物の屋根らしきものを見てすぐさま熱で溶かし侵入する。そこに白衣を着たものや迷彩柄のもの達が複数おり迷彩柄の服を着で銃を持つもの達が即座に紬へと銃口を向けるが突然銃が斬られ、服も着られるとパンツ一枚の姿となる。そして高笑いと共にダンガンや兵士たちが無防備の者達を殴りとらえる。

「うちの出番は?出番は?」

「屋根を溶かして突破口を開くだけだ」

望が刀を鞘にしまいながら淡々と告げると紬がえーと声を上げる。

「まさか、小鳥遊か?」

望が抑えられた白衣の男を振り向くと歩を進め紬もまたついていく。

「何でお前」

望が男の胸ぐらを掴みそのまま持ち上げると男がジタバタする。

「こちらのセリフだな」

「ま、まで。くる、しい」

「兄さんおろさんか。あと知り合い?」

望が男から手を離すと男が尻餅をつき咳き込む。

「元同僚だ。科捜研にいた」

「まじ?え?」

「あとは、高校の同級生で剣道部でもあった。濱口和真」

濱口が息を弾ませ、紬が話す。

「あー、副将の人。なんでまたこげんところに無精髭生やしておるとか」

「髭は関係ない。あと仕方なかったんだ…。あ、遊びすぎて、ちょっと」

濱口がボソボソとつぶやく。

「濱口和真、ねえ?」

濱口が汗を滲ませ横塚が目の前に来るとうすらと笑い見下す。

「大変お久しぶり濱口くん。白衣がお似合いねえ」

「あ、あね、さん」

「あねさん?」

「横塚さんは科捜研の方達とよくつるんでいたからな」

「物騒な仕事ばかり私に回ってきてたからよジジイどものせいでっ。あー今思い出しても腹立つわ。濱口!」

「は、はい」

今度は横塚が濱口の胸ぐらを掴む。

「話聞かせろおい」

濱口が無言で頷いていくとダンガンが告げる。

「知り合いか?」

「ええ。そっちは?」

「終わったとこだ。捕まってたイーロンの研究員2人も一応解放した」

「あ、あの2人?」

「なに?」

「いや。その、話せないんで…舌を抜かれてるんだ」

「ああ。その通りだ」

「その、だから、俺とかが交代っ」

濱口が震え血管が浮き上がる。だがすぐに静まると苦しく息を荒げる。それは周りのもの達も同じで突如息を荒げ切らす。

「なに?」

「呪いです。尋問していたカーランがその呪いで死にました」

瑠奈がその場に来るとやれやれとする。

「でもまだ解かれていないです。一時的に止めているだけなのでこのままだと爆死します」

「そ、そん」

濱口がごほごほと咳き込むと横塚が大きくため息をしダンガンがやれやれとする。

「どうしたらいい?」

「呪いをかけた相手を探しています。それまでは何とかもたせます」

「分かった」

「あーもおお。おい濱口!呪い解くから解けたあと覚悟しとけよこら!」

「うっ…」

ー警視庁内で、協力してる人がやっぱりいた。これは証拠…。

瑠奈が僅かに浮かぶ。

「え?」

瑠奈が鳥籠に閉じ込められるとラファがギョッとする。

『るっ』

「そのままでいて!いなさい!望さん!」

望がラファを囲む柵を切り囲いを阻止する。

「ラファを移動させたらダメ!」

「このっ」

紬が瑠奈の鳥籠に刀を振るい当てるも突如刀が消え紬の目の前に現れる。紬がすぐに避け離れると自身の刃で切れたうずく頰の数に触れる。

「あ、あぶな」

「反射の魔法かけてんな」

『リオル!まだですかリオル!』

ー交戦しております。奴らは異界人に南の龍の、くっ。

砂漠の上でリオルが結界を張るもその結界が溶け出すとすぐに横によける。そこに赤い魔道服を着た金髪の女が楽しく微笑みながら揺れる酸の水をあやつる。

「誰と話してるの?」

「…貴様らに教える価値などない」

「酷いわね」

ーエリザ。古代国のお姫様を閉じ込めた。上に運ぶ。

「了解。ならそれまで足止めね」

エリザが酸の水をリオルへとむけ放つとリオルが術で受け止め、砂でもまた受け止めた。


ー最悪っ。また足を引っ張るのは嫌っ。

瑠奈を閉じ込め浮かび上がった鳥籠が砂漠を浮き走っていく。そしてどんどんとオアシスから遠ざかる。

「イーロンなのは間違いなさそうだけど…」

瑠奈が考える。

ー確か、教会と暗躍してる組織があるって聞いたな。そいつらの可能性が高っ。

瑠奈が檻にぶつかると肩を抑え小さく呻く。そして生臭い温かい息が拭きかかると前を振り向き糸目の巨大な海鼠のような魔獣を見る。それは蟻地獄のような巣を作り中央から現れ、その周りには骨が散らばっていた。

ーしまった。

「うっ」

檻が揺れるとねっとりとした触手が檻に次々に絡む。瑠奈が触手を掴み息を吸い吐き出す。すると魔獣が動きを止め瑠奈を凝視し瑠奈が汗を滲ませながら魔獣と目を合わせ見ていく。

「あなたの敵じゃ」

「へえ」

瑠奈がすぐに上を見上げ檻の上に茶髪の男が座り見下ろしていた。

「さすが古代国の姫様だな」

檻が破壊されたと同時に魔獣が真っ二つに割れ奈落へと落ちる。

「あっ」

茶髪の男が瑠奈の手を掴み空に浮かぶと瑠奈が顔を歪めその手を握る。

「離してっ」

「やだね。たく。阻害されたからすぐにいけって人使いあらっ」

顔面に拳が入ると瑠奈を握った手が離れるがハリーが手を掴みボードを操り相手を殴った光が声を上げる。

「上あげろ!拾い直す!」

「んのおっ」

ハリーが風を操り瑠奈を上へと上げると光が反転し瑠奈を両腕で抱き留める。

「た、助かりました」

「どうも」

「ねえそれかっこつけ?」

「違う。何でそうなっ」

瑠奈が光の腕の中から消え岩が変わりに現れると下へと落下する。瑠奈が今度は背の高い優男の腕の中に収まると身を縮め汗を滲ませる。優男が白い歯を見せながら笑む。

「初めまして。お姫さっ」

優男が吹き飛ばされると瑠奈がタイシの肩に担がれる。

「ある意味落ち着くわ」

「そうか。あとイーロン以外もいるようだ。晩餐会が原因だな」

「やっぱりい。もう最悪…」

優男がふらつき起き上がり、頰を腫らした茶髪の男が隣にくる。

「お姫様の兄上殿も起こしとは。挨拶しないといけないな」

「する必要」

「私はライアス。イギリス出身です。ちなみに彼はミール。ブラジルだ」

「必要ねえって言っただろうがてめえっ」

タイシが呆れる瑠奈を下ろすと瑠奈があっと声を上げ火傷だらけのリオルを引きずった女がその場に来る。

「リオルっ」

「あんた達何やってんの。使えないわね」

「いやまさか兄上」

「うるせえっ。そっちはどうなんだよっ」

「見ての通りよ。龍一匹」

ー龍一匹だと…。

3人が硬直しグレンが姿を見せると唸り黒い炎を操ると、今度は白い炎が現れると青く目を光らせたラファもまた牙を向け姿を見せる。

「やばい」

2体の黒い炎と白い炎が放たれるとライアスが2人を掴み姿を消すと丸太が姿を出す。そしてその丸太に炎が当たり消し飛ぶ。瑠奈、タイシが風を浴びるも2体が出した結界がその風を阻む。

「やばいやばい!!」

「分かっている!!」

光達が上昇しながら離れ上空へと上がる炎を避ける。そしてそこの見えない巨大な穴が砂漠に出来ると光が冷や汗を流しハリーが苦しく唾を飲む。

「底が見えない…」

「ああ…」

「あんたらはやりすぎる!」

瑠奈が2体の体を強く叩くとグレンが苛立ち唸りラファが怒る。

『何する小娘!』

『身内が大怪我負わさられたのですよっ』

「だからってここまでさんでよか!!どがんすっとかこん穴は!ああ!!」

光達が降り立つとハリーが恐る恐る近づく。

「ライアスという奴が使った術か?まるで忍術だな」

「ニンジュツ?」

「ああ。忍術に似せたオリジナルの術なんだろうな」

タイシが結界に囲まれたリオルを引き寄せそばへと横たわらせると光が話す。

「酸だな。回復するのに時間いるぞ」

「ああ」

「ラファ。呪いの足止めは?」

『アンナがしています』

「あれだけの人数と力だからアンナじゃ厳しすぎる。すぐ戻って」

ラファがむくれ瑠奈が話す。

「身内を守るためとはいえあまりにもやり過ぎるし力を見せて仕舞えば向こうにも攻略される。探られるから」

「ああ。とっておきは見せないほうがいい。紅蓮。お前もだ」

『…是』

『…わかりました』

タイシ、瑠奈がそれぞれよしと頷く。

「なら、ラファはまた呪いを防いで」

『はい…』

「紅蓮。リオルの治癒を頼む」

『承知…』

2体が渋々とお互いやることを行う。

「タイシ。アルスラン将軍達をここに連れてきていいか?」

「ああ」

「なら行くか。ハリーは残って治癒の手伝いしてくれ」

「えっ!?」

「お前得意だろ」

「ちょ、ちょっと待ってよ…そんなあ」

光がハリーを残しその場を離れる。

「て言うか、暑い。日差しが痛い」

「術を使って日射を遮ったらいい」

「まだそこまで上手く使いこなせてないの。やってよ」

タイシが頷き瑠奈の肩に触れ紫外線などを遮る結界を張ると瑠奈がはあと息を吐き出し涼しいと声を漏らした。

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