東京15
警察署から会場へと大勢の警視庁の刑事達や鑑識達が押し寄せ来るとすぐさまその会場や炎上し黒焦げとなった車を調べていく。
その現場がニュースになって報道されており病衣を着た瑠奈が面倒くさそうにベッドにあぐらをかきストローでジュースを吸い飲みながら見ていた。その傍に早希がおり瑠奈がうんざりとしながらストローを離す。
「どこのニュースもおーんなじ」
「そうね」
「うん。ていうか、うち手だけ。手だけだよ。よかたい入院せんでも」
「念の為よ」
「おかげでミオ達送れんかったし。飛行場のスイーツ食べれんかったし」
「また今度連れていくから」
瑠奈がくそおと声を出し早希がはいはいと瑠奈の頭を撫でる。
「瑠奈」
瑠奈が呆れすぐさま入ってきたタイシへと突っ込む。
「なんでくるとかわざわざ」
「そっくりそのままお返しする」
「返さんでよか」
「元気だな」
腕章を付けた畑中がその場にくると瑠奈がうんざりと見ていく。
「タイシ君。警察の人も含めて話する?」
「ああ」
「なら、わたし外した方がいい?」
「いや。いても問題ない。手配書の犯人たちの件で話をしたいってことなんだ」
「ああ。ま、言えば一気に捕まえてくれたし、俺たちもまさか犯罪者同士でつるんでるとは思わなくてな。そうなるとその他の組織があるかもしれないと分かったこともある」
畑中が手続き書類を出して見せる。
「今回捕まえたのが平原。こいつが200万」
「公開手配してから早くないですか?値段つけるの」
「前歴と、まあた警察の落ち度があるから早く値段つけたんだよ。続いて坂上。300万。遠山100万。合わせて600万」
「はあ。えーと、でもー、えー、後半2人は、なんか微妙」
「あちこち聞き回った結果、そっちが先に気づいて炎上した車から助け出したそうだからな。演奏の奴らも瑠奈が動いたからすぐについて行ったそうだし、炎上から救出したのは当たり前の行為であり手配されたとかじゃないから瑠奈に譲るということだった」
「…別いいんですけど」
「こっちはそうもいかないからな。だからしめて600万は税金無しでまるまるもらえるということだ。これはその手続きと銀行の振込先だ。期限決まってるから遅れないよう手続きしてくれ。後未成年だから兄かもう1人の兄のサインが必要だから書くように」
「手配金受け取りに期限あるんですね」
「俺らお巡りさんも忙しいからな」
「はあ…」
「ということで俺も現場行かないといけないからな」
瑠奈が大勢いる警察の映るニュースを指差す。
「あんだけいるのに?」
「あんだけいるけどな。それじゃ」
畑中が手を挙げ部屋を出る。
「警察の方だから厳しい感じかと思ったけどアットホームな人ね」
「確かに…」
「あの人が俺の担当者なんだ。まだ裁判やらで終わってないのがちらほらあるから続けてる感じだ」
「へえ」
「ならいい担当者に会えたのね」
「ああ。瑠奈」
「なに?」
「無事でよかった」
瑠奈がダンマリとすると耳を赤くさせ顔を背ける。
「別に」
「ふふ」
「十四郎か。この前お母さんを殺された人の息子。覚えてるか?」
「覚えてる。なに?」
「ありがとうだそうだ。あと、十四郎の父親と祖父はヤクザで都内の中山組の組長と副組長で吾妻組の幹部の人だ」
「そんなとんでもない息子となんで知り合ってんのよっ」
「なんでと言われても向こうから来たからな。ちなみにさ」
早希がタイシの口を塞ぎすぐさま部屋を連れ出すと壁に押しペンを出しにこやかに汗を滲ませるタイシを見る。
「潰されたい、刺されたいどーっちだ」
「…悪かったから止めろ。あと話してないのか」
2人がこそこそと話すと早希がペンをしまい瑠奈が顔を出す。
「えと、早希姉。そのヤクザさんとなんか知り合い?」
早希が苦笑しながら話す。
「少しね。あと施設にいた時だから」
「…」
「気にしないで。それより部屋に」
「早希お嬢さんっ」
「なんでここにお嬢がっ」
「おじょ」
早希が殺気だち男達へと鋭い視線を向けると男達が硬直した途端足元にペンが2本突き刺さる。タイシが横を向き見て見ぬ振りをし瑠奈が冷や汗を流しペンから早希へと視線を移す。
「…え?」
「早希。おいおい」
兄が慌ててくるとペンを取り早希の元へと向かう。
「なんしよっとか病院で。迷惑たい」
「とりあえずあの子達を」
「あの子達って年齢じゃなかもんあの人たちは。ほらひとまずあっちいくぞあっち」
兄が早希を引っ張り横の廊下を通り休憩室へと向かう。
「…早希姉忍者?」
「はあ。違う」
「その」
タイシが男達を振り向き男の1人が花を持ち近づく。
「これ、東京の中山のおやっさんが見舞いで渡してからってことでしたんで」
「わざわざすみません」
「いえ」
瑠奈が見ていき男が瑠奈へと頭を下げる。
「また日を改めてお二人にお礼するってことでした。連絡あると思うんでお願いしやす」
「分かりました。ならこちらは待ちます」
「はい。えーとあと、早希お嬢の、今の方がお相手で?」
男が休憩室のある方角を気にしつつこそっと話すとタイシが頷く。
「はい。瑠奈の義理の兄です。再婚した父親の相手の連れ子さんです」
「そうでしたか。いや、分かりました。へえ。なら」
男が頭を下げ男達2人を連れ離れる。
「…兄。早希姉って、ヤクザのお嬢さん?」
「はあ。そうだ。暫く家にいたんだが、一度親が逮捕されて施設に入ったんだ。ちなみにああみえて空手は黒帯。ダーツに関しては一流の腕前だ。この間聞いた時まだどっちも仕事としてやっているそうだ」
「そうだったんだ。だから話したがらなかったのかあ」
「話してもいいと思うんだけどな。あと、1日だけだから花は早希たちに預けていいか?」
「いいよ」
「ああ。それと、お前埼玉に」
「住むから。あと都内じゃなくて、埼玉」
タイシがため息をし、瑠奈が鼻を鳴らす。
「何文句ある?」
「少しはな。都会は危険が多いから住ませたくない。まだ俺のことでも振り回されていたりするしな」
「確かにね。そこは暇人達のせい。とにかく、埼玉に住む」
「住むための費用は?」
「バイトとかして働くし。後今月中に引っ越すから」
「早すぎる」
「早くない。と、に、か、く。以上。後は?」
タイシが呆れながらむすっとする瑠奈へと話す。
「その物件の件で少し話そう」
「自分で決める」
「俺も多少は出すから話くらいはさせろ」
「別いい」
「お前は未成年。俺は成年だ。今の書類も俺や」
「ああもう分かった」
瑠奈がむかむかしタイシがああと返事を返し休憩室へと向かう。そして再び瑠奈の病室へと戻ると看護師が体温測定に来ていた。
「こんにちは」
「お世話になります。すみません。見合いの時間は何時までですか?」
「はい。夜の8時まで結構ですよ」
「分かりました」
「そこまで話し合いするわけ?」
「済ませるならすぐ済ませる」
瑠奈がはいはいとやる気なく答える。そして、瑠奈がスマホで物件のサイトを出し、タイシが見ていく。
「まあ、都内より埼玉とかの方が安いからな」
「そお。あと、乗り換え路線が多めなところがいいけど」
「そこらはまた高い。一駅あけての方がいい。ところで瑠奈」
「なに?」
「営業の人とどんな話をしたんだ?」
「どんなって、物件の話。ちょうど探してたし」
「俺の話はしたか?」
「あー、まあ少し」
「俺の話しただろ?相手に」
「いやしたとしても少しだけ」
鋭い眼差しを向けられると瑠奈が気まずく横を向き、タイシが話す。
「相手も何か俺について話したな。そうだろう?」
「え、と…」
タイシが無言となり場が静まると瑠奈が冷や汗を流しぎこちなく項垂れた。
市内のホテル前で、ルイスが黒塗りの車の前に立ち誰かを待っていた。そこにホテルからユリアーナが現れルイスに近づく。
『お出迎えご苦労様ルイス』
『…いえ』
ルイスが後部座席の扉を開け、ユリアーナがその開けられた扉から車へと入り座る。そしてルイスの運転でホテルから離れる。
『貴方もだけど、私たちのお姫様はやっぱり力が優れていたわ。身体能力もだけど、観察能力。状況把握力とね。お兄様であるタイシ様と一緒』
『そうですか』
『ええ。あと、貴方もあの会場に来てたわね。変装して』
『来ていません』
『来てた。まあ、他にも数名いたけど』
ユリアーナが身を乗り出し運転するルイスの耳元へと話す。
『みんな今、貴方の後をつけてるわよ』
『なぜです?』
『貴方のおかげで見つかったから。もしかしたらまだ他にもあるんじゃないかと。重大な秘密を見つけるんじゃないかってね』
ルイスが地図のことを思い出し、ユリアーナが席に座る。
『気を付けておいた方がいいわよ。優しい私からの忠告』
『心得ておきます』
『ええ。早速だけど何か隠してるわよね?』
『何も』
『ふうん』
ユリアーナが髪をいじりながらすっと目を細める。そしてルイスの心臓が強く跳ね上がるとルイスがどっと汗を流し心臓を掴み歯を噛み締める。
ーここでっ。
ユリアーナの瞳の中央が僅かに赤くとまるも着信音が鳴るとユリアーナがスマホを手にし耳に当てる。
「はい」
『鬼坂瑠奈です。遅くに申し訳ありません』
ユリアーナの瞳が元に戻るとルイスが息を吐き出し弾ませる。ユリアーナがタブレットを出す。
「いいえ。いいわよ。どうかしたの?物件のこと?」
『あー、いや、あ』
『ユリアーナ。聞きたいことがある』
ユリアーナがカッと目を開け、鍵が閉められた部屋の中で病衣の瑠奈が複雑そうにし、タイシが話す。
「お前は何を」
『ああ、タイシ様。もしかして瑠奈様からお聞きしました?』
ユリアーナの声色が変わると瑠奈が漏れ出た声を聞き呆れる。
「なんなのこの変わりよう」
「聞いた。そして向こうで俺の部下として動いてくれてきたのは感謝するが一体ここで何がしたいんだ?」
「いや部下なんかい」
瑠奈が突っ込み、タイシが続けて話す。
「俺の周りもどうも俺に何か隠し事をして話そうとしない。そんな時にじゃないが瑠奈の家の防犯カメラにお前が写っていたからな」
「なんで見るかなわざわざ…」
「それでユリアーナ。目的とあちらでは何が起こっているか教えてくれたらありがたい」
『うーん、どうしましょう?』
「会って話すならそれでもいい。その時にユリアーナ。そちらについて詳しく教えてくれ。俺が知らないユリアーナの全てだ」
『え』
「その言い方なんかやらしくない?」
「ん?」
瑠奈が突っ込みユリアーナが顔を赤くし恥ずかしく照れる。
「そんな。私の全てだなんてタイシ様」
ユリアーナがはっとし何も言わずに運転するルイスの背を見て顔を背ける。
『明日の昼に都内に戻る。連絡先は瑠奈に教えているから後で瑠奈から送らせる。ユリアーナの都合と俺の都合と会う日に都内で話し合おう』
「はい。喜んで」
ユリアーナが目を輝かせタイシが以上だと告げスマホを切る。
「ねえ。いつもあんな感じで言うわけ?」
「何が」
「いや、言葉っていうか…いや良いけど…。あと送るから。それから物件の」
「ああ。まあなぜその会社にいるかはわからないが一応大手だからな」
瑠奈のスマホをタイシが返す。
「そこにして良いが他と比べてから決めたら良い」
「分かったよ。あと、ユリアーナさんって兄の部下?」
「ああ。ただここで分かったことはスパイでもあった訳だ。それと、部下として優秀だな。行動も早いし俺がいう前にやって欲しいことをしてくれる」
「ふうん」
「ただ」
「ただ?」
「よく俺の前で転ぶんだよな」
「…」
「まあ起こすだけだからな」
瑠奈が呆れ果て、タイシがなら俺はいくからと告げると瑠奈が分かったと返した。
『秘密にしておきます』
ユリアーナが苛立ち笑みを浮かべ、ルイスがさらりという。
『何かありますか?』
『別に…』
ルイスがはいと返事を返し信号が変わると先に進む。
ー油断したわくそっ。まさかあのタイミングで連絡あるなんて…。でも、ふふ。
ユリアーナが俯きうすらと笑う。
ー向こうで2人きりになることができなかった。これはチャンス。おまけに私たちの王家の方。私の目に狂いはなかったっ。
ユリアーナが少しの間強く無事を握りその手を緩め顔を上げる。
『そういえば、貴方あのお姫様とはよく一緒にいるわよね』
『いえ。なぜです?』
『珍しいと思って。他人とつるむ貴方がね』
『そうでしょうか?』
『ええ。あのお姫様に気があるの?』
ユリアーナが楽しく話し、ルイスが淡々といえと答えるとユリアーナがつまらないと言うようにそうと答えた。
後日ー。
ミオが目の前の久美子の遺影と遺骨。そして白い百合の花が飾られた仏壇の前で唯子と頭を下げお辞儀をする。ミオが顔を上げ明るく笑むぽっちゃりとした当時の久美子の遺影の写真を見て表情を曇らせる。
「知り合って少しだけど、いなくなれば寂しいものね」
「はい…」
それを聞いていた若い男が鼻を赤くさせずっと鳴らし涙を堪える。唯子がいきましょうと告げるとミオが頷き立ち上がり共に仏間を後にした。
ダリスがタイシに石に掘られた竜の絵を見せると、タイシがそれを見て話す。
『これが、あの船で起きたことです。タハルマヤの皇族の一族かもしれないと言うことでした』
『はい。文献で見たことはありますが、ほんの少ししか書かれてない空白の文明の一つとしか俺も知りません』
『ええ。お話できず申し訳ありません。黙っておけば何も気にしないと思ったのですが、やはりそう言うわけにはいかなかったですね』
『連中が動いている以上ですね。あと、ここから向かうへとの行き来を連中は簡単にしている。そこまた聞かなきゃだな』
『向こうでタイシ殿の部下になるものでしたね』
『はい。瑠奈の兄から少し相談されて防犯カメラで確認した時に映ってました。こちらもなぜここにいるんだと見た時に驚きました』
『その時に瑠奈殿からお話を聞いたわけですね』
『ええ。まあ、まだ隠し事をしているようですがそれ以上詮索はしませんでした。聞きすぎるのも、あまり』
タイシが軽く息をつきダリスが小さく笑む。
『血の繋がりのある唯一の家族ですからね。こちらもお話できず申し訳ありません。これ以上タイシ殿がややこしい事に巻き込まれたらと思ってのことでした』
『いえ。まあ、確かにややこしてくわけわからないことですからね』
『ええ』
『血縁者とか、はあ』
『あちらも長きにわたり探していたとか話してましたし』
『迷惑な話です』
『ええ。ただ、その迷惑な話に乗ってきている者たちもおそらくいます。表に出たと言うことはあちらもその探し物に躍起になっているはずですから』
『確かに…』
『ええ。まあ、どんな理由であれタイシ殿には関係ないことです』
タイシが頷く。
『ええ。あと、瑠奈殿はそのユリアーナしか接触されていないでしょうか?』
『いや。おそらくいますね。無理に話せば』
『嫌われるからですか?』
『…そうですね。瑠奈は俺の妹ですから』
『ええ』
『ただ、何もないことを祈りたいですけど、そう言うわけにもいきませんから』
『はい。あと、年内中にこちらの隣の地域に引っ越すそうですがあと、一週間しかないですよ』
『そうなんです…。まだ住むところも決めてないのに迷惑すぎる…』
タイシがため息をし、ダリスがそこはいたしかないことですと告げた。
ーここっ。
タイシがやれやれとしミオとヒカルとタブレットを繋げテレビに映った瑠奈を見ていた。その瑠奈は取り寄せた資料を手にしておりタイシがその資料を見る。
『ここがいい』
「却下」
『はあ?』
「俺も同感。セキュリティが甘い」
ヒカルが告げると瑠奈が不貞腐れ、タイシがやれやれとする。
「駅からもう少し離れたところにしろ。そうしたらまだ安い」
『…分かったよ』
「利便性がいいところはやはり高いんですか?」
「ああ」
「向こうでも一緒だ。店とか近い住居は高く設定してあるんだよ」
「そうなんですね」
『どこも考え一緒ってことなわけね。んんんー。ならもう一つの候補ここ』
瑠奈が見せようとするが非通知から着信があると耳に当てる。
『はい。ん?え?なぜ私に?ああええ』
瑠奈がチラリとタイシを見る。
『兄。兄のお父さん。山縣勉さ』
「なんでお前にかかってくる」
『うちに言わんでよ。はい』
瑠奈がスマホをスピーカーにし向けるとタイシが呆れながら告げる。
「瑠奈の電話は誰から聞いた?」
『玄海からだ。一度面会に来たことがある』
「あいつ」
『ふふ。瑠奈が物件を探しているとか話してくれてな。私が持っていた部屋があるからそこにしろ』
『住所は?』
『神奈川県横浜だ。355-42-801』
『えーと、355-42-4001っと』
瑠奈がタブレットに住所を入れ検索し見る。
『あ、駅近い。あと高層マンション』
「タワマンじゃん。一月10万から50万だぜ」
『え?』
『家賃は42万だ』
「却下。あと、なんてところ住んでたんだ」
『金は持っているからな。そして駅が下にある。エレベーターで直通だ』
瑠奈がほうほうと頷く。
『それにジムにプールとあるからな』
『はあ。さすがタワマン。ここ住むとして家賃は?』
『部屋は別にするが俺と一緒に住むなら問題ない。俺が払う』
『はいはいはいっ兄っ』
「やめろ」
『いいじゃん別に。家賃タダっ。食費と電気水道その他経費だけ』
「一応言っておくが俺よりも警察沙汰の」
『一緒に行動しなければいいじゃん』
タイシが顔をしかめ、ヒカルが話す。
「まあ一理あるよなー。ここセキュリティ万全だし。そこにまさかいるとはってのもないはずだし」
「えと、でも瑠奈。少しでも生活費は出さないと…」
『そこは出すよ。近場でバイトも探したりするから平気』
「ええ」
「…保留だ」
「だってさ」
『えー』
スマホから笑い声が響くとタイシが疲れ果てヒカルがドンマイとタイシの背を叩いた。
ーマンショングラスハート。
オフィスの中でユリアーナがそのマンションの値段などを見ており、垢状況を確認し見ていく。
ー確かに契約がタイシ様のお父様の名義ね。なにか、儲けのあることをしてそうね。あと、流石に一緒は私が会う時に都合が悪いわ。それと、タイシ様の事だからあまりいいとは思わない。ここは。
ユリアーナが楽しく笑む。
ー株を上げるチャンス。
ユリアーナがパソコンを操作し、今度はマンション管理人へと連絡をした。
2時間後ー。
タイシが頭を痛ませながら陽菜の店の手伝いをしており、ミオはせっせと陽菜と共に夕方の下準備をしていた。
「確かに義理の父と同じ部屋に泊まらせるのは嫌よね」
「ええ。だってのにあのバカは」
タイシのスマホがなるとタイシが手を洗いスマホのユリアーナを見て耳に当てる。
「はい」
『こんにちは。タイシ様。瑠奈様の物件の件ですが今お時間よろしいですか?』
「ああ。あいつから何か話があったか?」
『はい』
タイシが頷きユリアーナが話の内容を伝える。
『まず、瑠奈様からマンショングラスハートの最上階のお部屋ご契約されているお父様と同じ部屋にとのお話を受けました』
「…最上階か。ああ」
『はい。それで、タイシ様からは保留。ですが申し上げますと反対のご意見であるとお聞きしております』
「ああそうだ」
『はい。では、同じマンションですが階下のお部屋はいかがでしょうかと言う事でまずはタイシ様にお話をいたします』
「階下か。ああ」
ユリアーナがパソコンを操作しインカムを使い話し、タイシがふむふむと頷きふむと考えた。
ー俺もタイシくんの考えに賛成。そっでお前は馬鹿か。
瑠奈が不貞腐れながらこことユリアーナが事前にタイシに伝えたマンションの部屋の間取り図をテレビを通じてタイシへと見せるとタイシが値段、部屋の設備品を見てよしと頷きヒカルも調べて元の値段の二万値引きされているのを見てやや驚きなぜと首を傾げてみせた。
後日ー。
ミオが目を輝かせながら中華街へと来ると中華まんやタピオカジュースなどの店を見渡す。そのそばにヒカル、ダリスがおりヒカルが辿々しい英語で話す。
『食べ物。飲み物。ミオの楽しみですね』
『いいのではありませんか?イキイキされてますし』
ヒカルが小さく笑むダリスを見て顔を背け頷く。そして先走っていたミオがハッとしすぐに止まると急ぎダリスたちの元に顔を赤らめ戻った。
ーうん。
2階の部屋へと荷物が届いたのを瑠奈が確認していく。そこに玲仁もおり、玲仁が話す。
「赤丸は瑠奈が開けるんだったな」
「そう。見られたくないやつだから。後そろそろかなー」
チャイムが鳴ると瑠奈がキタキタとモニターを見てミオたちを見て鍵を開けることを告げモニターを操作する。そして、マンションのまずは表の自動ドアが開くとエレベーターへと一行が乗り部屋の前へと来ると扉が開き瑠奈が出迎える。
「お疲れ。中華街行ったから後で食うか?」
「いただきます。ありがとうございます。後今日はよろしくお願いします。中にどうぞ」
「ああ」
瑠奈が中へと入り3人を通す。ヒカルがまぁまあいい部屋と見渡しダリスが並べられたダンボールと玲仁を見る。
『どうも』
『ええ』
『玄海さんの部下の玲仁です。ヒカルさんと兄と歳が一緒です』
『分かりました』
『はい。ところで、兄は?』
『用事があるとのことで私達だけです。連絡をしていると思います』
『はい。あ、まだ機内モードかも。やば』
瑠奈が慌ててスマホを開き機内モードをオフにすると通知が数件あり、タイシの通知もまたその中にあった。
「急用。買い物付き合い。以上」
「あいつ淡々としたメール送ってるな」
「兄なんで。ヒカルさんは違うんですか?」
「ああ。ちゃんと文章だな」
ミオもまたこくりと頷く。
「ミオもかー」
「ええ」
「なら私だけか。ま、気にしないけど。後買い物の付き合いって」
「聞いてないのか?」
「え?」
ヒカルがやれやれとし下を指差す。
「この部屋の安くする条件の一つで買い物とか付き合うようにと言われたそうだ」
「は?」
瑠奈が呆れ、ミオがどぎまぎする。
「ええ」
「知りません。あの馬鹿兄…」
「タイシは瑠奈に甘いところがあるからな。取り敢えず時間もあるから荷物」
「ああはい。お願いします」
ヒカルが頷きどれ運んだりしまったらいいかと尋ねると瑠奈がヒカル達に伝えた。
1着10万以上の服が並ぶセレクトショップでユリアーナがウキウキしながら男物の服を手にしタイシの体に当て選んでいた。その隣にスタイリストが選んだ服を手にし立っておりタイシが話す。
「服はそんなに必要ない」
「いえいえ。明日のパーティ用にも必要ですから」
「そのパーティに俺が参加しても問題ないのか?」
「問題ありません。失礼を申す方がおられたらそれはおつむの悪い方ですから。あと第一そうは仰いますが、タイシ様は悪いことは一切なさっておりません。悪いことをしたと馬鹿を申した馬鹿どもが悪いのです。そして、パーティ参加者の中には薬物など使用し逮捕されたにも関わらずまた業界に出戻りした方もいらっしゃるのですよ?なら気になさる必要などございません」
タイシがやれやれとしユリアーナがこれがいいわねと選んだ服をスタイリストに渡した。そして選んだ服をタイシが身につけユリアーナに見せていくとユリアーナが目を爛々とさせる。
「こちらも素敵です」
「さっきから同じ言葉しか」
「それだけお似合いということです。あと、着心地は?」
「ああ。やっぱり肩と胸あたりが苦しいな」
ーさいこーっ。
ユリアーナが興奮し頷きスタイリストの男が話す。
「ではまたこちらのワンサイズ上をご用意しましたのでご着衣ください」
「はい。ユリアーナ」
「はい」
「ユリアーナも自分が着る服を選んでくれ」
「え?」
「さっきネイビーのドレスを見てただろう?それからイヤリングだ」
ー見ていてくれたの?
「欲しいなら買う」
「よろしいのですか?」
「ああ」
ユリアーナが嬉々とする。
「では、試着してから決めます」
「ああ。あと他にも見ていい」
「はい」
ユリアーナがるんるんとその場を離れスタイリストがタイシへと視線を送る。
ー金持ってのか?それより持ってたとしてその金は?慰謝料とかか?
タイシがスマホがなるとタイシが耳に当てる。
『はい。ええ。なら伝えた全額入れてください。あとまた資料を送ってください。はい』
タイシがスマホをしまおうとするが再びかかると耳に当てる。
『はい。ああ、あの品ですね』
ードイツ語。
スタイリストが僅かに驚きドイツ語で流暢に話すタイシを見る。そしてようやく電話が終わると待たせましたと告げスタイリストがいいえと返事を返した。
そして支払いへと変わるとタイシがプラチナカードを出し、スタッフがあずかり会計を行う。
ーまさかドレスやアクセサリーまで買ってもらえるなんて。ただ、お金はどこから来たのかしら?
ユリアーナが嬉々としながらタイシへと話す。
「タイシ様。お金なのですが何かお仕事をされてるのですか?」
「ああ。投資。あとは、海外在住の知人から頼まれごとをしている」
「頼まれごと?」
「ああ」
タイシがスマホを見せる。そこに古代文字が刻まれた石板などがあった。
「古代語の解読とかだ。日本でも教授から頼まれて解読をしている。大抵施設に学びに足を運んだ人やアメリカの知人を通じて繋がった人たちになる。その人達の依頼で解読をした資金を得てる」
「まあ」
「投資に関してはアメリカのディーラーと連絡を取り合って行っているからな。先を見越して入りような時に依頼している」
「そうだったのですね。ちなみにですが、慰謝料とかは?」
「全部寄付か母に渡した。母の方も妹や被害者に慰謝料は全て支払ったと弁護士から連絡があった」
「そうなのですね。あと、タイシ様の慰謝料だったのでしょう?」
「ああ。慰謝料は自分で稼いだ金でもないから自分としては違和感しかなかった。なんと言うか慣れてないし使い道を考える」
「そうですね。確かに」
「お待たせいたしました」
スタッフがクレジットを向けるとタイシが受け取り財布にしまう。そして2人で店を後にするとタイシが暗くなった街を見て時計を見る。
「タイシ様。お食事はいかがしますか?戻られて食べます?」
ユリアーナが嬉々とし、タイシが話す。
「いや。何か食べたいものはあるか?」
ユリアーナがぱあと明るい笑みを浮かべるとはいと返事を返し早速タイシに伝えた。
ー教会。枢機卿。
瑠奈がダリス、ヒカル、ミオとテーブルを囲み中華街やデパ地下で買った食事をしながらほうほうと頷く。
『なら、食事とか食べられるものは決められてますか?』
『はい。毒味もありますので温かい物を食べたことはありません』
『毒味ですか。教会なのに』
『そうですね』
瑠奈が頷き、ダリスが話す。
『なので、ここで食べられる食事は美味しく感じます。ただ辛い物は苦手ですね』
『そこは好き嫌いしてもいいと思いますよ。ここで好きなの思う存分食べれば』
『ふふ。はい』
『ミオは思う存分食べてます』
『う…』
『ミオは綺麗に食べてしまうから見てるこっちも気分いいのよね』
ダリスがふふっと笑いミオが顔を赤くさせやや俯く。
『瑠奈。正月はご馳走。おせちとか』
『はい。出ますよ』
『故郷帰りますか?』
『いえ。どうせ正月は兄は仕事ですから。毎年特に何もせず過ごしてるだけです。正月過ぎた4日目に遅い少しばかりのご馳走食べるだけなんですよ。そして今回の年末年始。ミオのところのおじさん達がご飯誘ってくれたのでいく予定です』
『はい』
『ならミオ達。向こうで過ごすんですね』
『そうなります。あとあちらに年越しとかあるんですか?』
『んー。あるのかなあ』
『一応年は超えはしますが同じかは実際過ごしてみませんとわかりません』
ータイシ様は…。
ユリアーナが目を覚ましその目を擦り付け目の前で目を閉じ静かに眠るタイシを見ると体を起こし顔を真っ赤にし上を見上げ声を上げず発狂する。
ー私っ。私っ。してないっ!
ユリアーナが前にくの字になりくうと小さく悔しがる声を漏らしシャツを着ている自分とタイシを見てため息をする。だが自然に手にしたスマホですぐさまタイシを映す。
ーいいわ。ここまで来たならまだチャンスがあるもの。でもその前にこの寝姿をっ。はっ
『化粧』
ユリアーナが慌ててベッドから降りると洗面台へと入る。タイシが目を覚まし体を起こすとややボーとしながら頭をかく。ユリアーナがオイルで顔を洗い今度は石鹸で洗うとはあと息を吐き出しややズキズキと痛む頭を軽く抑える。
ー昨日飲みすぎたわ。タイシ様が運んでくれたのね……。
ユリアーナが鏡で自分を見る。
「…何も失礼はしてなかったわよね」
扉が突如開くとユリアーナがどきっと心臓を跳ねさせすぐにやや眠たげにする上半身をはだけさせたタイシを見て悶絶する。
ーそれは反則っ。
タイシがふらりとし振り返ったユリアーナに力無く体を預けるとユリアーナが固まり、タイシが小さく唸る。
「た、た、たたい」
「ん…」
ー寝ぼけてっっ。
ユリアーナがふらつき洗面台に手を乗せ掴む。タイシが細い目を徐々に開けるも再び閉じる。
「…ねみゆ」
ーっっっ!!??
ユリアーナが心臓を爆つかせその場にタイシを抱きながら座り込むと震え悶えた。
瑠奈が伸びをする。そしてその隣に寝泊まりしたミオが共に寝ており瑠奈が起こさないように布団から出るとご飯ご飯とキッチンへと向かった。
賑わう朝食レストランで、タイシがユリアーナと待ちながらユリアーナに話す。
「今朝は悪かった」
「い、いえ。そうなると私も昨日、お酒を飲み過ぎましたから。えーと」
ー正直朝から美味しいところ見られたからこちらは満足なのよね。
「声に出てるぞ」
ユリアーナがコホコホと咳き込む。
「い、いえ。えー、タイシ様。明日ですがこちらのホテルから会場が近いのでこちらのホテル前で待ち合わせましょう」
「分かった」
「はい。ところで、恥ずかしいお話ですが…。昨夜どのようにこちらに」
「すぐに泊まれるホテルがなかったからタクシーを使ってここに来た。運ぶ時は背負って」
ー消したいじゃなくて背中の筋肉思い出させてえええっ。
ユリアーナが顔を赤らめ突っ伏し頷くとタイシが言わなければよかったなと申し訳なく告げるのユリアーナが頭を振った。
「ただいま」
煎餅を加えたヒカルが居間から顔を出してを上げる。
「おふぁーえり。服はどうした?」
「吐かれた。一応洗っては来たがもう一回洗う」
「ああ」
「瑠奈の世話は悪かったな」
タイシが上がり居間へと来る。そこではテレビにコタツがありそのこたつにヒカルが入ってるだけで誰もいなかった。
「いいぜ。後みんな正月の買い物。ダリスさんはまた草鹿家」
「ああ」
「ミオは瑠奈のとこに泊まった後都内で服の買い物」
「おはようございます。いるかー」
「聞いたことある声だな」
「ありまくり」
2人が出ると小麦色の肌に焼けたキヨが玄関に立っていた。
「焼けたな」
「焼きまくったぞ。さて、積もる話はなんだ」
キヨがマカダミアチョコナッツを出す。
「これを食べながら話そうか。牛乳あるか?ー」
瑠奈とミオが暖かい喫茶の中で暖かいホットチョコレートを飲んでいく。ミオが顔をほんのりと赤らめ、瑠奈がスマホにメモをしながら話す。
「ミオ。お昼どう言ったの食べる?」
「えと…」
ミオが肉、魚、ラーメンと考えながら何がいいかと迷う。
「ハンバーガーは?たべたことある?」
「ハンバーガーは、ない」
「ならそれ食べに行こう」
「ハンバーガーを?」
「そう」
「ちょっと」
瑠奈が今度はなんだとばかりに振り向きミオもまた振り向くとあっと思わず声を出し私服の横塚を見上げる。
「横塚さん」
「あ、ミオの知り合い?」
「そうね。隣いい?」
ミオが頷き横へとずれ横塚が隣に座る。
「警察の方」
「そうなんだ。なら非番」
「じゃなくて謹慎中よ」
「え?」
横塚が不貞腐れる。
「色々やり過ぎたのよ。それでちょうどここ来たらこの子が見えたから話しかけたの。お友達?」
「はい。あと、タイシさんの妹です」
「へえ。だからなんか似てると思ったわ」
「えー、似てます?」
「似てるわ」
瑠奈が顔を僅かにしかめる。
「あと、あなたネットニュースで有名だから。熊本の指名手配犯を抑えた時にあなたの顔が映ったから。まあ、それもあって声かけしたのよね」
「あー。どうしてもネットはモザイクとかできませんもんね」
「ええ」
横塚がスイッチを押しホットダークチョコを頼む。
「お仕事の復帰はいつからですか?」
「来年の1月10日。ま、久しぶりの年末年始ゆっくりすごすわ。あなた達は?」
「私の親族のお家に行きます。瑠奈も」
「仲良いわね。あと、瑠奈ちゃんはいじめひどかったんでしょ?」
「まあ」
「ネットで今いじめ相手が数名叩かれてるし学校の方も叩かれてるしね」
「あー」
「当時の担任の名前って?」
「ええと」
横塚がじいと見つめ瑠奈が気まずく話す。
「豊橋です。豊橋奈美恵」
「やっぱりそうか」
「え?」
「私の同級生よ。ネットニュースで名前書かれてたからもしかしたらなーと思ったわけよ。そしてそいつは性格悪い女。よくまあ教員になれたと思ったくらい」
「あー」
「性格悪かったの?」
「まあ、陰湿ではあったかな」
そこに横塚が注文した飲み物が届くと横塚が受け取り早速飲む。
「何というか、最初は良くできてますねで褒めてたけど生徒の扱いの格差がひどくてさ。私がそれを何とも咎めたらと言おっか。そこから生徒を巻き込んでの私いじめが始まったわけ。大人不振かあー。まあその頃は酷かったな」
「そうだったの」
瑠奈が頷き、横塚が話す。
「わかるわね。あいつは人の扱いがうまかったもの。ただ、今回ちょっと晒されてるから分からないけど。あと、あいつのことだから都内で教師かと思ったら地方にいたのか。何かあってそっちに移ったのかしら」
「近場ならわかりますけど遠い他方ですからね」
「そう。ちなみに元は清秀学園にいたのよ」
「めっちゃいいとこの進学校じゃないですか」
「進学校?」
「頭が出来すぎな人たちが通う学校」
「そう。だけど8年前に全く知らない学校に移動になったのよ。それも中学校」
「それが私が通ってたとこですね」
「あの時臨さんが連れてきた後輩さん達」
「そお」
「あーあのパーフェクトか。あいつスピード婚するって後輩から泣きながら聞いたわー。うるさいったらありゃしない」
「泣きながらですが」
「そお。あのパーフェクトは仕事先で大変人気でね。向こうが書類届けに来ただけで奪い合い」
「はあ」
「人気なんですね」
「人気よ人気。それがまさかのお嬢様とだから。知ってて選んだの?知ってる?」
「はい。あと、知らないで選んだんです。私たちもその場にいたから」
「ええ。えと、突然結婚前提でお付き合いくださいと姉に」
「へえ」
ミオがやや照れつついい、横塚が話す。
「なあら仕方ないというか、後輩他は完全に負けね。あと、さ。ねえ」
横塚が瑠奈を見る。
「豊橋だけどさ。あいつになんて言ったの?これで陰湿ないじめが始まったっていう原因の言葉」
「はい。成績格差ですね。それから、これは最初の期首テストの時に、私が彼女のおそらく押しの子よりも順位が上だったからだと思います。その時少し皮肉も言われましたから。そしてその頃に兄のあの馬鹿げた指名手配が上がってから酷かったですし」
瑠奈が軽く前のめりになりこそっと話す。
「snsで広めたのがその人。請求してまだその人だけ払ってもらってないです」
横塚が頷き瑠奈が離れる。
「他は全員終了です」
「分かったわ。あと、馬鹿ね」
横塚のスマホがなり耳に当てる。
「はい」
『お前は何してるんだ』
横塚が後ろを見ると年配の男と目があい逸らす。
「話」
「ちょっと気になってたんですけど、知り合いですか?」
「ええ。また仕事仲間。今よく聞く人の雑仕事してるみたい。頼んだ?」
『他が頼んだ』
「いえ」
「他が頼んだそうよ。知り合い?」
『違う…。後で一緒に連れてこい』
「了解。あなた達時間ある?」
男がぶつくさいいながら3人のそばを通り過ぎ会計をし、瑠奈がミオへといくか尋ねるとミオがいくと頷いた。
横塚達が店を出ると横塚の案内の元地下鉄に乗り今度は歩き雑ビルの中にある3階の探偵事務所へと入る。そして扉を開け中でうんざりと待っていた男の元へといく。
「何でお前がいるんだ。仕事は?」
「謹慎中。来年1月復帰予定」
「たく。何したんだか」
「それで?話せるの?」
「はあ。ああ。こっちもやる気ない調査で下手したら俺が訴えられるからな」
「どっち?」
「一応どっちもだ」
「え?」
男が瑠奈とミオを指差しやれやれとし用意していた契約資料を横塚に渡すと横塚が確認し見る。
「人探し調査と企業調査だ」
「人探し?企業?」
「そこのネットニュースで話題のお嬢さんは人探しだ。自分の娘じゃないかと調べてくれということで金をもらった」
「へ?」
「こっちは?」
「伯父のライバルからだ。と言っても天と地の差の会社だがな」
「ライバル?」
ミオが目を丸くし、瑠奈が複雑そうにする。
「隠し撮りしたやつあるわよ」
「あ、はい」
横塚が2人に2枚の写真を見せる。そこにややでっぷりとした女と眼鏡の細い男がいた。
「ていうか依頼者を隠し撮りしてんの?」
「一度逃げられたからな。それは保険で、あるなしじゃ取り立てる確率が変わるからな」
「そうね。警察もあれば探しやすいし。あと見たことある?」
「ないです」
「私あります」
ミオが告げる。
「ええと、ストーカーされました。この人に」
「…」
「そうだ」
横塚がため息をする男を見る。
「同僚に尋ねたらそれだ。午後に隠れて待機してもらう」
「ええ」
「ミオ。他ストーカーいる?ていうか何でこいつに?」
「その、伯父の会社見学に行った時に…。それから付き纏い、手紙、奢るからと私が1人の時だけに来たから」
「うわきも」
「まあとりあえず再犯に近い形だからな。それで俺も協力したからとか勘弁だもんで奴がいないか見張ってたのと、その子についても気になったからな。ここでも突然難癖つけられて嫌がらせされたってのも聞いたしな」
「それ誰から?」
「お前が嫌いな秦野だ」
横塚が舌打ちし、瑠奈が話す。
「まあ確かにされましたね。兄がらみで」
「ああ。そして、知らない?」
「はい。初めて見ましたし、実母と顔似てません」
「調べたら借金があるそうだ。あと、横塚。お前の同級生」
「はあ?いたっけこんなの?」
横塚が瑠奈から写真を受け取りどれどれとみる。
「下里透華だ」
「うっそっ。いやでも面影ある…」
横塚が驚きまじまじと見る。
「ある日を境に引きこもりになってその体格になったみたいだ。今はネット住民になっている」
「ええ」
「どう言った人ですか?」
「生意気。うるさい。あと、豊橋の下っ端の1人」
「豊橋か」
「ええ。この子の元教師でこの子とかをいじめてたそう」
横塚が瑠奈を示し男が頷く。
「俺が知ってるのは半年前に生徒を自殺未遂まで追い込んだことで懲戒解雇されたのは知っている。その後は不明だ」
「はい。わたしもそこまではしってます」
「ああ。後についてはこっちも探偵だからな。依頼をしてくれたら調査する」
瑠奈が頷き、横塚が写真をミオが持っていた分とともに渡す。
「分かったわ。なら、後でミオちゃんのストーカー男については対処するわね?」
「ああ。でないと仕事できないし営業妨害になりかねないところだからな。まあ、きてはいなかったみたいだから問題ないだろうが注意はしていたほうがいい」
「はい」
「分かりました」
「ああ。なら横塚。こいつが後1時間もしたら来るから」
「ええ。そうしたらいきましょう」
2人が頷き礼を述べ階段を降りると瑠奈が去り際に扉を見てまた前を見てもやもやとする。そして、探偵事務所の窓から男が3人が過ぎるのを見下ろしていた。
『瑠奈様だけ怪しんでおられましたね』
『そうだな』
『ええ。後よろしかったですか?男の方は処分したとして女の方』
男が後ろを向き、後ろにいたものが話す。
『ああ。暫く泳がせてくれ。この件でまた事が動けばルイス。奴もまた現れる』
『隠れて行動されているとのことでしたね』
『ああ。そして、こちらの姉は姉でタイシ様に夢中だからな。ならこちらはその妹だ』
男がはいと返事を返しその者がああと頷き引き続き行動してくれと話した。
昼ー。
「暇なんですね」
「そーよ。謹慎中よ」
瑠奈が見つけたバーガー店で今度は横塚も加わり共にハンバーガーを食べていた。ミオはというと夢中でハンバーガーを食べ進めており、横塚がジンジャーエールを飲む。
「あれから追っかけとかあるの?」
「私ですか?」
「そう。あの手配犯人達一斉検挙から」
「あー、まあ。ご近所さん達から心配な声とか。あとはー、元学校の同級生達からまた謝罪やらなんやらで、特に追っかけとかはなかったですね」
「なんかありそうな気もしなくないけど」
「うーん…」
「ま、いいわ。付き纏いやらあればすぐに警察に言いなさいよ」
「はい」
「ええ」
横塚がポテトを食べる。
「あの、槍ダンスはどこで習ったの?」
「ええとせめて、舞と言って欲しいです。あと、独学とかもありますね」
「へえ。ちなみに雅楽もあったでしょ?瑠奈ちゃんもなんかするの?」
「はい。神楽笛です。ちなみに兄は龍笛」
「え?」
「あなたの兄もするの?」
「はい、後、言えば兄がしてたんですよね。龍笛。聞いた話じゃ独学で習得したらしいです。で、私はそれを見てー、まあ、格好いいじゃないですけど…。それで亡くなった父にお願いして似たようなの買ってもらって練習して吹いてました」
「へえ」
「龍笛はどういったもの?」
「横笛。私の神楽笛も横笛でさ。違いは形と材料。それで高低差が生まれるんだ。あと、兄から聞いたことない?」
ミオが頭を横にフリフリと振る。
「へえ。もしかしたら、龍笛本体がなかったからかなあ。寺とかにはなかった?」
「見たことない…。自分のを持ってるの?」
「持ってるよ。あと、龍笛は白鷺神社の神主さんからもらったとかって話だから。もしかしたら持ってるかも」
「ええ」
「あそこもある意味有名よね。白鷺神社」
「どんなことで?」
「お祓い。そして白髪隻腕の変わり者の巫女」
「キヨさんの事」
「そう」
「少し兄達から話は聞いてます」
「あ」
ルナ達が振り向きミオがあった声を小さくあげ十四郎を見て立ち上がる。
「十四郎さん」
「ああ。色々と世話になった。本当ありがとう」
「いえ」
「あと、タイシさんの妹さん?」
「そう」
「あー、どうも。兄から聞いてます」
十四郎が深く頭を下げる。
「ありがとうございました。本当に」
「いや、あー、いいですよ。あとここじゃ目立つんで」
「そうね。とりあえず外出たほうが良さそうよ」
周囲の視線が集まる中瑠奈が頷き横塚が立ち上がった。
ーもし、時間あったら家寄ってくれますか?
ーおー。
瑠奈達が高い塀を見上げる。そして十四郎が帰ると開けられた門の先、左右道を挟んで組員達がずらりと並び頭を下げていた。瑠奈が汗を滲ませミオが驚き、横塚が話す。
「また圧巻。相当な出迎え?もしくはお礼?」
「あー、お礼っす。親父たちもいるんで」
その先に父親と祖父が立っており瑠奈がぎこちなくし小さく会釈した。
「これを返そう」
キヨが漆喰の龍笛をタイシへと向けるとタイシが手にし見ていきヒカルが覗く。
「笛?」
「タイシのだ。龍笛という雅楽器の一つだ。元々今の私の師匠の祖父殿が所持していたのをタイシが貰ったんだ」
「へえ。なら、和尚さんが返したんだな」
「そうだ。あと、預けたになる。理由はまだ刑務所にいる実母が勝手に上がりタイシの私物を留守中に持って行ったりしていたそうだからな。だから預けたそうだ」
「ああ、質屋に売って金にしてたそうだ。弁護士から聞いた」
「またやることやってんな」
「ああ。それで祖父殿が大切な物を預かっていたそうだ」
「でも何で今?」
「なぜかというとだ。私のものが重なり重なりとなってしまった為とれ」
「遺書に書いてあったから俺が神主さんに頼んだ。そうしたら保管場所が誰かの物に溢れた部屋になってしまっていたからな。そしてようやく発掘できたわけだ。だから仕事する前にとっとと不要なものは売ったり捨てたりしろ」
「…私の宝物」
「ほこりまみれが宝ものか。ガラクタだろうが」
キヨが口を尖らせ迷惑だから整理しろと告げるとキヨが渋々と答えた。
ー優しそうな人だ。そりゃ、みんなから好かれるな。
瑠奈が久美子の遺影に手を合わせお参りをする。そして後ろに下がり用意された茶菓子が乗せられた席へと座る。向かいには十四郎とその祖父、父親が座っており横塚もまたお邪魔していた。
「重ね重ね感謝します。家内も少しは浮かばれるでしょ」
「いえ。あと、私はお会いしたことはありませんが、優しい方だったんですね。みなさん慕われているのが出迎えとかで分かりましたから」
「はい。我が子もですが、他の者達にも自分の子のように接しておりましたから。それが、あのようなもののせいで奪われて皆悲しんでおりました」
「はい。あと、相手ですがあれは反省しませんね。そして、久美子さんをこの手でやった事で人を殺す楽しさを覚えたように思えます。あの目はもう普通じゃなかったし、相手が向けた銃の先には子供がいました。最初はそこにいる顔を知り自分を貶めたミオ。できないと分かったら弱いもの。その順で狙ってきましたから。そのことは警察にも伝えてます。多少なりと罪に問われる材料にはなると思います」
「はい」
「人を殺すことにより修羅になるかもしくは地獄を見るかだ。どうあれ人を殺す。生き物を殺すことは自身を苦しめ虐げる。後は周りが悲しみ恨むだけだ」
ミオが心臓をいたく跳ね、アルスランもだがタイシが脳裏に浮かぶ。
「人を殺めていいことはないな」
十四郎が頷き、瑠奈が話す。
「人を謝ることについて今回のは人として人道を外している事と思います。しかし、殺めることに正解もあります。つまり、正当性」
ミオが瑠奈を振り向き瑠奈が話す。
「家族のため、恋人のため、子のため。勿論殺めた者の周囲が望まないこともあるでしょう。しかし、望むならばという方が多い中で行えばそれは正解であり正当な殺人。ただし、今回の場合は間違いであり不当性である事。相手はもう出てくることはないと思いますが、相手はあなたの息子さんを知っている。まず先に出てきて思い浮かべるのがその息子さん。そして息子さんの居場所に向かおうと思います」
十四郎がやや歯を噛み締め、瑠奈が淡々と話す。
「無期懲役でも場合によっては仮釈放が認められます。その時に本性を剥き出し真っ先に向かうはずです。あれは殺意と狂気に満ちた目でしたから」
「そこまでですか」
「…もしきて、もしそれで、相手が先に手を出した場合」
「正当防衛としての殺しは御法度よ」
十四郎が僅かに動揺し、横塚が話す。
「急所を狙って攻撃を行い死亡させた場合すぐさま殺人として立件される。正当防衛はあくまで己の身と周りの身を守るためのいわば最後の暴力であり防護よ。あなたのようなプロレスラーが相手を止めるという手段をとるならいいわ。でも、仕事柄あなたが力を行使し相手を死亡させた場合は殺人として問われる。これはあなたが素人ではなく、体を使い戦うプロレスラーだからよ。そして、正当防衛を盾に相手を殺せば無くなったお母様もだけど周りもあなたから離れるわ」
十四郎が口をグッと噛み、祖父が話す。
「ああ。そうだ。だからもしそうなった時が来れば十四郎。じいちゃんは悲しいし、久美子やみんなも望んでいない。お前には純粋に今のプロレスをやってもらいてえ。そして、タイシくんも話してただろ?自分の仕事に誇りを持ってやれってな。先生さん達もだ。同じになるなよ。悲しみが増えるだけだ」
十四郎がゆっくりと頷く。
「まあ、殺人についてで少し私からも話したのが悪かったです。場にふさわしくない話でした。申し訳ありません」
「構わない。色々と勉強になった。あと、タイシくんの妹だなと思う。こう、雰囲気といおうか考えが似ているな」
「確かに」
「っず。俺もそう思う」
瑠奈がゲンナリとした顔をする。
「あ、そうですか」
3人が頷き、横塚が話す。
「何も話しませんでしたけど一応私は」
「知っている。こっちもたまに珍しければ話がくるからな」
「珍しい?」
「あんたの知ってるやつで向こうも知っているのがここもだがあちこちと借金作っててな。取り立て仕様にも逃げられてんで参ってんだ」
「えと、ちなみにいくら」
「1億」
「1億。はあ?」
「またいい額を」
ミオがこくこくと頷き、祖父が話す。
「ああ。名前は豊橋奈美恵だ」
「は?」
瑠奈が目を丸くし、祖父が瑠奈を見て話す。
「恩人ちゃんについても調べて知っててな。いじめに関しても陰湿な上に悪質だったからまたよく耐えきれたもんだ」
「あー」
「それ詳しく後で話できる?」
瑠奈が気まずく横塚を見て唸る。
「ええと、考えさせてください。でー、もしかして地方転勤は借金の取り立てから逃げられる口実できたとかですか?」
「ああ。俺はそう思っている。あの女はここにいる時、いいとこの教師してたってのに一千万借金をしていた。使い先はホスト、エステ他嗜好品。まあよく聞くものに対して金を使ったわけだ」
「一千万」
瑠奈がはあと声を出す。
「保証人もいるが悪質だもんで多少猶予を与えて協力してもらってるのさ。そして今回そこの恩人さんの事で見つけたからな。そうしたらまあたいつのまにか消えたと言うとこだ。消えたのは一月前だ」
「私が訴える頃ですね。兄の件が落ち着いたので知人の警察官とかに話をしたんです」
「そうか。なら、開示請求した時だろうな。バレると思って逃げたんだろ。学校にも問い合わせたら無断欠勤ときた」
瑠奈が頷き祖父がやれやれとする。
「それであんたのことを知ってんだ」
「じゃあ、こちらの女性は?まあこちらも私の同級生なんですよね」
横塚が下里の写真を出して見せると祖父達が見て父が話す。
「豊橋のリストにあった女だな」
「ああ」
「なんか瑠奈ちゃんが自分の実の娘だからと私の元同僚で探偵しているやつに探して欲しいと依頼があったそうです」
「は?」
「あー、まあ」
瑠奈が複雑そうにし、祖父が顎を撫で父が写真を瑠奈に並べるように掲げてみせる。
「どのパーツで言ってんだ?」
「ああ」
「そうですよね。なんかありますか?引きこもりとは聞きました」
「ああ。ちょっと待ってろ」
父が立ち上がり部屋を出ると十四郎が瑠奈へと話す。
「ちなみに、刑務所にいるのが母親だよな?」
「あ、はい。そこははい。パーツ似てるとこありますから。はい」
「ああ」
「こっちとじゃあまったくだな。恩人さんと比べりゃ目つき悪いわ鼻ぺちゃだわ顔平たいわだしな」
「ああ」
父親がその場に戻る。
「リストは見せられねえからな。だから調べたやつを口頭で言うわ」
「はい」
「ああ。下里だがここの所なぜかはぶりがよくなっててな。宝くじに当選したそうだ。最近じゃ整形やエステ。高級料理店に足がなく通ってるみたいだ」
「ホストは?」
「ホストはねえ。多分、人が怖い、世間が怖いからじゃねえか?引き篭もりにはよくある理由でな。だからまだ人が少ない場所を選んで行動している」
「なのに、瑠奈ちゃんの母親を名乗ろうとしている」
「その探偵さんの話ならな。こっちもそれについては勿論わからねえ。従姉妹とかの可能性も視野に入れて調べたらいいさ。戸籍とか出してな」
「いえ。そこまで深くはいいです。一応彼女の現状が少しでもわかればだったので」
「ああ」
ー戸籍かあ。そういえば自分の見たことないや。
瑠奈が思い、祖父が話す。
「話は他には?」
「後はありません」
「ああ。そんじゃ連れてきたのにだがあんまりここに長くいさせるのもまずいからな。礼についても今じゃ厳しい世の中だ。恩人さんを困らせるわけにはいかねえ」
横塚が頷き、祖父が十四郎の方に手を乗せる。
「まあだもんで孫使うわ。世間人なら問題ねえだろ」
「…」
「世間人が問題ないのはないかと」
「かてえこというな。そいじゃおいっ。恩人さん達のお帰りだっ。送りなっ」
奥からへいと声が上がる。そして最後もずらりと左右並んだ人垣の中央を横塚を先頭に歩き門をくぐりその門が閉じられると瑠奈がはあと息をつき横塚がつきたくなるわよねと答えた。




