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運命のミオ  作者: 鎌月
24/64

東京4

翌日ー。

ーならまず。

「大判小判と箱は博物館に無償で寄贈で」

ミオが強く何度も頷くと香苗が止める。その目の前に都庁の者がおり、博物館関係者が頭を下げる。

「ありがとうございます。大切にいたします」

ミオがいえと今度は頭を横に振り、香苗が話す。

「その他古銭については博物館が買い取ってミオちゃんにお金が渡されます」

「全部良いんですが…」

「流石にそれは申し分立ちませんし、こちらも歴史的な品が見つかだだ場合所有者の方に妥当な金額での買取を行なって展示しておりますから。本来なら大判小判も買い取る予定の品です」

「……」

「公平性が必要ですからね」

「はい」

「わ、分かりました」

ミオがぽつりと話し、ミオ以外が頷くと契約書が向けられる。香苗が読み説明をしていきミオが香苗の説明を聞き納得すると自身の名前をアルファベットで書き、今度は振込指定先としてタイシの通帳の一つの情報を書いた。


タイシが宝石鑑定者と話しており、鑑定者が数個の宝石をタイシに見せこれだけはどこの国かわからないと伝えられるとタイシが頷いた。そして、ダリスが宝石に触れ光を通す。

『その3点だけ不明とのことです』

『でしょうね。これらはおそらくここのものではなくあちらの石でしょう。そしてこの石』

ダリスが紫の石を手にする。

『行方不明になっていたアリウスの獅子に違いありません』

『アリウスの獅子?』

『ええ。持ち主はダスミアン国でもちろん窃盗された品です。それも50年程前です』

『そうなると、あの宝石は全て彼方の盗品』

『ええ。おそらく。そしてこの石について国宝になります。あなたのその血のつながりのあるとされる祖母が気になりますね』

タイシが頷き、ダリスが話す。

『こちらの石たちはどうなりますか?』

『鑑定不能ということでこちらでは価値のない石になりました。なので、ミオに返されます』

『分かりました』

『はい。他の宝石の類いはこちらにもある宝石に似ているので鑑定されています』

『そうですか。一度石を全て見る事はできますか?』

『はい。鑑定後は戻されます。その時に見られます』

『ええ』

ヒカルがやって来るとタイシの元へと来る。

「タイシ。鈴子が来た」

「ああ」

タイシがダリスに伝えダリスが石を袋に入れタイシに渡し共に席を立った。


そして応接室へと入るとミオが顔を真っ赤にし両腕を広げられ香苗と鈴子ともう1人の女性に化粧や髪、そして服を当てられたりとしていた。

「やっぱりこっちの色がいいわ」

「でもこれも」

「またミオは可愛がられてるな」

ダリスが軽く失笑し、タイシが金髪の女を見る。

「鈴子。そちらは?」

「ええ」

「あ、はい」

女が頭を下げる。

「初めまして。草薙唯子と言います。草薙葵さん。私にとっては叔母に当たります」

「つまり親族ですか」

「はい。あと、私の父が葵さんの兄になります。ちなみに鈴子さんとは早稲田女学院小等部で友人で幼馴染です。お話聞いて、それで警察の方からもお話があり鈴子さんを通じて一度お会いできないかと思って参りました。突然になってしまいましたが警察の方にはお伝えしてそれから許可を貰いましたし、こちらにも連絡を行ったとお聞きしましたから参りました」

「連絡?」

「タイシ君そこはごめん。じいちゃんなのよ受けたの」

タイシが申し訳なくする香苗を見てやれやれとした。

「耳遠いのにまたでたがったのか?」

「そう。俺しかいなかったからっていうのよね。ばあちゃんがあんたにわかるかっていっても意地張って変わらないんだから本当」

香苗がやれやれとし置いてあった書類を手にする。

「あと、ミオちゃんとは親族に当たるって話よ。これはそのコピー。原本は警察が保管しているそう」

「ああ。で、その服と化粧とかは?」

「お洋服は私と鈴子さんからです」

「化粧はせっかくだから私の使わせたのよ」

ミオが固まり、ヒカルが話す。

「ミオ。嫌なら嫌って言って良いぞ」

「い、いえ。その、あの、こ、ここって、こんな短いスカートとか」

「はく」

「ズボン」

「はくな」

タイシがミオが手にしたミニスカミニパンを見て突っ込む。

「タイツ履くから」

「ええ」

「私も夏暑い時は短パンで過ごすわよ。だって楽だし」

「鈴子。来た目的は?」

「分かってます。はい」

タイシがやれやれとし鈴子が出たあと少しだけ時間が欲しいと告げるとタイシがため息をついた。


ーかわいいっ。

ーミオちゃん凄くいい。今度はこっち着てみて。

隣で香苗と唯子のはしゃぎ声が響き渡る。ヒカルが賑わいでるなと思い、タイシが呆れつつ1人そわつく鈴鹿に茶を注ぐ。その隣にサイの人形が座り、サイが話す。

『話が早く終わればいい』

「あ、はい。そうですね」

『病院からどうなりましたか?探偵につけられていた時です』

ダリスが尋ね鈴子が頭を下げる。

『はい。お祖父様やオジ様たちが注意をされました。私がこれ以上苦しむ事をするなと。見苦しいとです』

『はい』

『ならそれから探偵が来る事はなくなったんだな?』

『ええ。ただ油断はならないとのことでこちらに来る際も護衛の方を増やして来ました』

「俺言葉わかんねえから向こう行こうかな…」

ヒカルが顔をしかめ、タイシが話す。

「なら後ではなす」

「ああ」

ヒカルが席を立ち部屋を出ると隣の部屋へと入っていいかと尋ね入るとミオが猫の着ぐるみパジャマを着た姿を見て吹き出し笑うとミオが顔を真っ赤にし両手で顔覆う。

『あいつもうるさい…』

『無視しておけ。今あちらについて元の世界に戻すための方法を探っている。イーロンのような人質を使った方法ではない別のやり方をだ』

『ああ』

『私たちを召喚した時に1人以上の命を失いますから』

『そうだ』

鈴子が頷き、タイシが話す。

『今回は鈴子以外戻るからな』

『タイシさんの場所はもう彼方と決めているのね』

『ああ』

『はい』

『サイ殿。教会。あと、アストレイはどうなっております?私やタイシ殿について』

『まず、ダリス卿。そちらは大怪我を負って療養していると言うことにしている。ただし、期限があるのでどうにかその期限内には戻せたらと言う話だ』

『いつまでですか?』

『半年程だ。そして、彼方に通じる道をここに作る。私が通じていると言う事は彼方の力を干渉しやすいと言う事だ』

『確かに』

『俺はここから向こうの世界に行きましたからね。ナガハラ先生は海。鈴子は樹海だからそれを考えるとここが一番安全でもあります』

『ええ』

『なら、ここで。いつになるかはまた私が話をする。そして、今彼方がどうなっているかについても話していく。こちらについてもだ』

『なら、あの石』

『そうですね。先に話して調べてもらった方が何かわかりそうです』

タイシが袋から石を出しサイに見せるとダリスが説明しサイが頷き分かったと返事を返した。そして、話し合いが終わり隣の部屋へと来ると、ワンピースを着たミオに加えやや唇を尖らせ化粧をし女装したヒカルがおり、軽くダリスが吹き出す。

「あ、今笑った」

「久しぶりの女装だな」

「その通り」

「ミオちゃん見て笑ったから罰として。でもまさかここまで似合うとは」

「化粧も自分でしましたしね」

「そりゃ前女装して過ごしてた時期あったしさ。ていうか、どこからそんなに服持って来てんの?」

「無論買ったり」

「私は家から。自前と母の以前着てた服ね」

「はあ」

タイシがやれやれとし、ヒカルが話す。

「ていうか、さっきタダリスさんも俺見て笑ったし」

「んー、まあ」

「そうね」

「タイシは?」

「タイシ君はない」

「彼はないわね。服の上から見ても筋肉質だし服がダメになるから」

「ダリスさんは…。行けそう?」

「…行っちゃいます?」

タイシが呆れ、鈴子もまた苦笑するがヒカルが化粧箱から筆などを持つと目を爛々とさせダリスがそれを見て僅かに眉を寄せた。


一時間後ー。

ダリスがオイルを使い顔を洗うとタオルで顔を拭きながらため息を漏らす。

「いや、やっぱイケメンいけてたわ」

「背が高いからもう少し長い服が合いましたね」

香苗と唯子が楽しく話ながら撮った画像を見ていく。そして顔を先に洗ったヒカルがスッキリした顔をする。

「お前なあ」

「いいじゃん。後ここだけだし」

呆れるタイシへと話、ミオが戸惑いつつ唯子に話しかける。

「あの、お洋服とか」

「ええ。もらって。私のお祖母様でミオちゃんのお祖母様からのプレゼントだそうよ。行方不明になって、亡くなったと聞いてとても落ち込まれていたけれど、あなたの写真を見て何かしてあげたいと思って買われたのよ」

「えと、でも」

「まあ、困惑するわよね。でもよかったらね」

ミオが複雑そうにし、タイシが話す。

「もらっとけばいい。それでまた後日面会があるからその時に礼を言えばいい。ただし、もう必要以上のプレゼントはいらないからな」

「分かったわ。伝えておくわ。そうでないと次々買いそうだもの」

「ああ」

「唯子のとこって金持ち?」

「ええ。まず、祖父がロシアの外交官で、元議員でもあるわ。祖母は日系人の秘書官で、その後は通訳者として海外あちこち走り回っていたそうなの」

「へえ」

「そして、私の父と、葵おばさま。皐月叔母様の三人兄弟が出来たわ」

「その皐月おばさんは?」

「ええ。皐月叔母様はドイツのパイロットの方と結婚されていまドイツで暮らしているわ」

「うーん、エリートな上に金持ちだ」

「そうね」

ヒカルが頷き、タイシが話す。

「それで面会の時は誰が来る予定なんだ?」

「ええ。まず、お祖母様ね。お祖父様は認知症があってどうしても動けないそうだから面会はできないわ。あとは私のお父様のこの2人ね。そして私はその日は鈴子さんとお出かけするから」

「ええ。彼女は特別で今は皇宮警察学校に通っているの」

「なら。皇室の護衛か。高卒か?」

「いいえ。海外に留学していたから。後大卒。飛び級なの」

「凄いわね。優秀なのね」

香苗が褒め、唯子が照れ臭くする。

「なら、見習いとしてもだが、鈴子の我儘もあって来たわけか」

「ええ。ミオさんは知らなかったそうだから悪い事をしたわ」

「あと,いえ」

「そこは私の祖父も原因ですから気にされずに」

「ああ。あと、鈴子はこの後は?」

「ええ。お話も済んだから戻るわ。唯子さんは?」

「私も終わったから。それじゃミオちゃん。また時間が合えば今度は街を見てまわりましょう。美味しいものとかもたくさんあるから」

ー美味しいもの。

「具体的にどう言ったものですか?ご飯?ぱん?ほれとも」

「え、と」

「ミオ」

困惑する唯子の前でタイシがミオの頭を後ろからわし掴みなおせその癖と回すとミオがぎこちなくすみませんと告げた。


ーまたしませんか、と。

ダリスの手がヒカルの顔面を鷲掴みにし指圧がかけられる。ヒカルがダリスの手を握り抵抗する。

「タイシッ。ちょっ。この人何っ。なにかしていてててっ。たすけっ。ごめんごめんすみません」

「ソーリーだ。あと、ダリスさんの剣の師匠は俺の養父でミオの父親だからな」

「え?」

「早く言えっ。そーりーそーりーーっ」

ミオが驚きダリスが手を離しまったくとぼやき、ヒカルが顔を抑え悶絶していく。

『その、剣は、私の父が?』

『ああ、ええ。はい。一応ではありませんが教えの通り普段から鍛えています』

『ここでも早朝帯から体を動かしているし、あの時。そう言えばミオが池で掘っていた時は?』

『ええ。あの日だけ霧が深くて見えなかったんです』

『霧、ありましたか?』

ミオが目を丸くし、ダリスが頷く。

『ええ。なので、ライトを借りて行きました。それから、日が差し始めた頃にまた戻った際妙な音が聞こえましたのでタイシ殿に寺の裏側に誰いると伝えたのです』

『ええ。で、俺が行ったらお前が手で池を掘ってた』

ミオが頷き、香苗が話す。

『そうだったんだ。じゃあそこにミオちゃん案内されたとかかしらね。実はおばあちゃん少し感じる方で前から気になってた山に近い池側にあった気配がその日を境に無くなったって話してたわね』

『ああ。確かに言ってたな。だから俺はいくなって言われて池には近寄らせなかったんだ。ただいなかった時には行ったけど』

「ミオー、俺わかんないから」

ヒカルが渋々しながら話ミオがこう言った話だと伝える。

『失礼ですがお祖母様のその感じるはどこまで感じますか?他にどこかここはと言う所は?』

『ええ。ええと、あとは、駐車場ですね。戦争慰霊墓誌がある場所です。あそこからいけば家に近いんですけど、祖母は嫌な感じしかないから遠回りしていくんですよ』

『行ってみます?』

『ええ』

香苗がなら私もと話、早速全員で向かう。そして、ミオが離れた位置に立ち香苗がそばに立ち目の前の墓誌のそばにいる3人を見る。

「なんか怖い?」

「あ、そう、ですね。こう、変な感じが…。私もあの文字の書いてあるものは避けていたので。池とかは知らなかったです」

「ええ」

「また調べてもらうか?」

「そうだな。後ここはコンクリだから壊してしまわないとダメだ」

「ええ。それと、その墓誌50年前にできたの。戦争遺産らしくて国が作っていったらしいわ」

「戦争遺産?」

「そう」

「戦争遺産って…これ違うだろ?」

タイシが突っ込み、香苗が気まずく私に言わないでよと話した。


翌々日ー。

警察の捜索隊が寺周辺、近所周辺を探す。そして香苗の父親が呆れ、退院した畑中がうんざりとしていた。その間にタイシが気まずく立っていた。

「すみません。退院してすぐに」

「いや。というより、ここ色々出て来すぎですよ」

「俺にいうな」

「なんかスッキリしそうだね」

香苗の父親が大きくため息し、祖母が嬉々としここに来る。

「母さん」

「妙なうやむやが取れるかもしれないって聞いたからよかったわー」

香苗の父親がため息し、タイシが話す。

「もうあの戦争墓誌だけ?」

「ええ。嫌な感じがしてたのあそこだけ。話した通りできた頃。子供の時から避けてたんだ」

「言ってくれ」

「言って無視したつけたのは誰だい?」

香苗の父親が顔をしかめ無言となり、祖母が鼻を鳴らし嬉々とする。

「ミオちゃんが来てくれて助かったわー」

「…ああ」

「埋蔵金見つけたのもその子でしたね。その後の変な感じは?」

「ないわ。すっきり。もしかしたらその和尚さんの弟さんがいたからかもしれないわね」

「だが見つかったのは井戸だぞ。あの場所からはなれすぎだ」

「もしかしたら、俺の元母親の母親の霊とか?見つけたのに触れなくてそこにいつづけたとか?いやでも、そうしたら、ミオに干渉するような」

タイシが考え、祖母が話す。

「聞いてみたらどうだい?ミオちゃんの夢枕に出て来て話したそうだし」

「そうだな。ならちょっと行ってくる」

「ええ」

タイシが離れると畑中がやれやれとするもつつかれると祖母を見る。

「ところで、あたしらもう歳だからね」

「…」

「まだ早い」

「早くないわよ。私はひ孫だけなかったら祟るからね」

「今仕事中だ。向こういってろ」

「突っ立ってるだけでしょうが」

「指示とかあるからここにいなきゃならないんだ」

2人が言い合いを始め、畑中がやれやれとするもコンクリの破壊作業を始めると伝えられると香苗の父親の代わりに分かったと答えた。


ーあの時。

「そう言えば、男の人と女の人が喧嘩して言い争ってました」

ミオがタイシに話す。

「ええと、お寺の前で。女性の方が宝を出せといって、男性の方が離婚した。俺は知らないって。男性の方については、お嬢さんと同じ服を着てました」

「ああ。それから?」

「それから、緑の服。タイシさんから見せてもらった弟さんの案内でその池に」

ヒカルもまた話を聞いており、ヒカルが話す。

「となると、お前のじいちゃんとばあちゃん?」

「だろうな。後、言い争いしたことがあるかじいちゃんたちとか聞いてみる。もししていなかったら多分、じいちゃんがそこで止めてたかもしれない」

「だなー」

タイシが頷き離れる。

「ここ不思議いっぱい」

「はい」

「後何か不思議とかあった?」

「いえ。あとはないです。それで、私もおばあちゃんと一緒でその墓誌だけが」

「お墓場は」

「いえ。特に何も」

ヒカルが頷きそしたら、墓誌の方見学行くかと尋ねるとミオが戸惑うが頷いた。


その墓誌の周りの掘削作業をダリスが先に来てみていた。そこにヒカルとミオがくる。

「へえ。ああ言った道具を使ってこの固い地面壊すのか」

「音が凄いです」

『見学ですか?』

『はい』

『なら、まだ嫌な気配は?』

『あります。ここまでなら、いいんですけど。この先はちょっと』

ミオが複雑そうにし、ダリスが頷く。

しばらくしてタイシがその場にくる。

「どうだった?」

「寺の中ならあるが、寺の玄関や外で言い争いをしたことは一度もなかったそうだ」

「なら食い止めてたのかもな。お前のじいちゃん」

「ああ」

ミオがぞわっと鳥肌を立てる。そして、同じく見物していた祖母がぞわぞわと両腕を擦る。

「あー、なんか嫌な感じがして来たよ」

「私も…」

「後で関係者全員お祓いしてもらっとくか」

「それ経費でできるの?」

「いや。自費だ」

香苗の父親がスッパリ言うと、祖母が呆れる。

「あんたが出してやりな。頑張ってくれてんのに」

「なん」

「部長っ!」

「ああ」

香苗の父親が向かい掘削された後掘られた穴を見る。そこに陥没した頭蓋骨があらわれ、他に着物の切れ端、軍服の切れ端と共に無数の骨が見え隠れしていた。

「仏さんか。それも頭が壊れてんな」

「はい」

「なにがあった!」

「はあ」

香苗の父親が離れ自分の母の元へとくる。

「仏さんだ。まだ結構ある」

「やっぱりねほら。私が正しかった。ね、ミオちゃん」

「えと、はい」

香苗の父親がため息し、祖母が声を上げる。

「あんたたち終わったら神社に行ってお祓いしてもらいなさいっ。金はうちの息子が出すっ」

「おいっ」

「でないとやばいからねっ。ついて行くよっ」

ミオがこくこくと頷くと香苗の父親がうんざりする。そしてヒカルが穴を指差す。

「なんか見えてるのか?」

「あ、はい。黒いモヤが出て掘ってる方の背中について来てます」

「そうそう。数ある分ついてるしあんたもいるからね」

「やめてくれ」

「事実だよ」

警官達が複雑そうにしたり、若干青ざめ始める。するとそのうちの1人の足がもつれ後ろに引っ張られるように倒れ掘削機に激突する。周りがすぐにそちらへと目を向け、近くにいたもの達がかけよる。

「おいっ」

「平気か」

「あ、ああ」

香苗の父親がだんまりとし、祖母が話す。

「ほらみろ。あと仏さん掘る前にここを少しでもはらって進めないと怪我人増えるよ」

「はい」

ミオが力強く返事を返す。

「倒れた方みたいに足を引っ張られますから動かないほうがいいです」

「だね」

場が静まると畑中がやれやれとする。

「なんでこうなるかだな。一旦作業中止。その場に座って動くな。お前のとこ寺だから清めの塩とかは?」

「ありますので持って来ます」

「ああ」

「隆。近くの神社の神主さんこの手合い強いから呼びな」

「はあ」

タイシが離れ、祖母がウチにもあるから持ってくると同じく離れた。


ーなんかあざが…。

ー…やばいな。

倒れて怪我をした男の足に赤い握られたようなあざがくっきりとあり、神社の神主が驚き見る。

「恨みつらみがひどい。よほどだな」

「…呪われません?」

「いやこの感じは呪いではないから問題ないです。早く見つけて欲しいとしがみついたようですね」

神主がその場で軽めのお祓いをし一升瓶の酒を注ぐと立ち上がり拝んだ。その間に他の宮司達がお祓い、見送りの準備をしておりミオが外でウズウズとしながら見ていたが畑中が話しかける。

「何か見えるのか?」

「あ、はい。なんだか嬉しそうにしてます」

「それは何よりだ。あと、そのもやは何体あるか大体わかるか?」

「18人です」

「そうか。ならまだこの下眠ってるのか。面倒臭え」

「……」

「処理あの人にさせよう。そうするか。そっちが早くすむし俺もまだ体万全じゃないし」

畑中が離れ警官へと話しその場をさり、ミオが複雑そうにして行った。


「畑中!!あいつ逃げやがったなちくしょお!!」

香苗の父親隆が畑中の乗って来た車がないことに気づき声を上げると香苗の祖母がうるさいと背中をはたく。ヒカルがそれを見てタイシへと話す。

「逃げた?」

「ああ。仕事口実で逃げた。あとはおじさんがしてくれるから。他に仕事あるから。そしてお前はここいろよな言って行ったな」

「ああ。なら、諸々全部あの人がするのかー」

「良いわよ。家の近くだし」

香苗が話しながら時計を見て行く。

「あと私も行くわね」

「ああ。気をつけて」

香苗がええと手を振り離れて行く。

「あの人もかわいそう」

「俺はあの人はいつもあんな感じに振り回されるの見て来てるから慣れてるな」

「そうか」

隆が走りタイシの前に苛立ちきて文句を言い始めるとタイシが顔を背け、ヒカルが地獄耳だと思った。


翌日ー。

ー…お腹空いた。

ミオがそろおと暗い部屋を出るととことことキッチンへと向かう。そして、壁傳を歩き冷蔵庫に辿り着く。

ーここのアイスはいつでも食べて良いからね。

ーアイス。

ミオが迷わず冷凍庫を開けカップアイスを出すと今度は食器棚に進みスプーンを取り出そうとするがパッと明かりがつくとビクッと震えすぐさま明かりをつけたタイシを見てドキドキする。

「ミオか。太るぞ」

ミオがかあと顔を赤らめるもくううううとお腹が鳴ると頭を落とし、タイシがやれやれとした。


「ほら」

タイシが湯気立つうどんを出すとミオがじいと見る。

「これは?」

「向こうじゃないな。うどん」

「うどん?」

「ああ。小麦で作ったやつだ。夜食もだが、病気の時にも食べられる消化に良いやつだ」

ミオが頷きフォークを手にし早速麺を巻いて食べると再び巻き巻きと食べて行く。

「向こうでは俺が時間がある時に蘭丸達に作って食わせてたな」

「向こうで?これは?」

「それは売ってるやつだ。市販の。あと今日は普通の量食ってただろ?いつもの量だ」

「はい…でも、お腹空いて…。あの時の、宝石とか見つけた時もでした」

「その時は?飯は?」

「ご近所の方がお菓子とかたくさんくれて」

「だから冷蔵庫やら野菜とか大量にあったわけか」

「その、はい。なんか、良くやったとか」

「あー、あの捕まってる人の思惑とおりにいかなかったからだろ。迷惑かけて来たな…」

タイシが申し訳なくしミオが頷く。

「その、母親でも、そう言った方もいるんだと…」

「いるな。子供を道具としか思ってないのもいる。そして、勝手にできたからと仕方なく扱う母親もある。生まれてすぐ我が子を殺すのもいる。ただそれも一部だ。俺は運悪くその一部に入った感じだ」

ミオが頷き、タイシが食べながらと告げるとミオがうどんを食べて行く。

「その時もとなると、もしかしたらミオの力が影響してるかもな。ここだと本来使えない力になるからその影響で体力を奪われてるかもしれないな」

ミオが食べながら頷いていき、タイシが話す。

「止めようにも自然と出てしまう。無意識に現れるから難しいようだしな」

「ん。えと、ちなみにおばあさんは」

「あっちはずーっとここの生活だから関係はない。あと考えられるとしてサイか。ただその前に俺何も聞いてないけど。サイのこと一切」

「え?」

「いやだから、なんで人形に魂が移ったのかと思って。ああいった器用なことができるのはオーガン局長しかいない」

「そういえば…」

「あいつが来たらまた聞くか」

ミオが頷き少し冷めたスープを飲みふうと息を吐くと再び飲み進める。

「うまいか?」

ミオが頷き、タイシが笑みを浮かべる。

「それはよかった」

ミオがゆっくりと頷きスープを飲み切るとごちそうさまでしたと言い頭を下げ器を洗いぺこりと頭を下げタイシ残しキッチンを後にしタイシも俺も何か食べるかと野菜室を見る。そして、ミオが元の寝室へと来ると扉を閉め布団に潜りすぐ顔をかあと赤らめた。


「また来たのか」

タイシが居間でミオに観光雑誌を見せる唯子に突っ込むと唯子がニコニコする。

「今度はお休みで。それから外人のイケメンダリスさんいらっしゃる?」

「いるがなんだ?」

「服。ほら。着てる服短かったから」

「まあ、あの人は背が高いからな」

「あと、あなたもでしょ?ヒカル君とかも服ないんじゃない」

「ないはないが別に」

唯子が目を輝かせ手を叩くと待機していたアタッシュケースを手にしたスタイリストの男女数名が現れた途端ミオが驚きタイシが呆れ顔をした。


ダリスが採寸されていきヒカルが質問しながら同じく採寸される。それを彼方の祖父と友人1人が見物し、タイシがやや呆れつつ大人しく採寸される。

「あの金持ちめ…。鈴子も鈴子だ全く」

「お礼と言うことでしたから」

タイシを採寸するスタイリストが話し、ヒカルが告げる。

「服作るのってこんな面倒なことしてたんですね」

「いえ。その人に合わせた服ならこうやって手間をかけます。ただ、ご自分のサイズがわかりますから今度店で選ぶ時のご参考にもなります」

「へえ」

ヒカルがダリスをチラリと見るとタイシを見る。

「ダリスさんは?採寸されて服作ってもらってるのかな?」

タイシがやれやれとしダリスと質問する。

『ダリスさん。普段の服を含めてこのように全て採寸されたものを着られるのですかというヒカルからの質問です』

『いえ。全てではありませんね。正装のもののみ採寸はされますがここまで細かくはしません。普段から物については同じものばかりで同じ作りのものばかりです。そして、まあ、一番着るまで手間がかかる服の場合、その場で服の部位を繋ぎ合わせたり、装飾を取り付けたりしますので一時間以上かかりますから待つまで大変です』

ーあの金属のか。

タイシが頷き、ダリスが話す。

『私からも一つ。ヒカルさんに』

『はい』

『ここだからか知りませんが私に対して調子に乗りすぎてませんか?ここのところ』

ダリスが話すとタイシがヒカルへと話し、ヒカルが口を尖らせノーノーと答えた。


ー80D。

「やっぱり合わないブラしてたわね。そして谷間ができてるほどの大きさね」

「ち、ちちが」

ミオが顔を真っ赤にしぶんぶんと頭を振り、下着のスタイリストの女性がおかしくくすくすと笑う中唯子がミオの胸にぴったりのブラを見せると澪があたふためいた。


ー出来上がりは一週間内。あとは何か好きな服を選んでこの注文票に書いてください。

唯子が持って来たカタログやファッション雑誌をダリスたちが見ていた。ダリスが興味津々に見ていき、ヒカルもまた見る。

「短パンとかの人もいるのかあ。へえ」

「いるはいるが履きたくはない」

「チャレンジ」

「却下する。履くなら自分が履け調子に乗るな」

「…お前もかよ」

ヒカルがぶつくさいい、タイシがまったくとぼやき雑誌を読むも祖父が畑中を連れくると雑誌を下ろす。

「こんにちは」

「ああ。あと、あのお嬢さんか」

畑中が雑誌を拾い読んでいく。

「隆おじさんどうなりました?」

「あー、頑張って仏さん18人調べてるところ」

「婆さんがあの後喜んでたぞ。ようやく気味の悪いものが無くなったとかな」

「それは何よりです」

「足掴まれた人は?」

「ああ。病院行ってまた特別休みもらって同じ神主さんのとこにお祓いに行ったな。暫くうちの連中が世話になりそうだ」

「そりゃ、怖いですしね」

「ああ。あと、お前ら2人。タイシとヒカルだ。うちの上から」

畑中が一つの封筒を出し2人に向けるとヒカルが受け取る。

「タイシ。お前も被害者とはいえお前の実の母親は凄まじいな。移送中に暴れて女性警官の顔殴ってたそうだ」

「…」

「あとおまえらのせいだ。私の金を返せと叫んだ」

「全くなんて女だ」

「それまで贅沢して来たようですからね。借金もありましたし」

老人が頷き、タイシがダリスに話しながらやれやれとする。

「タイシは俺と今から俺の仕事場行くぞ」

「はい」

「タイシだけでいいですか?」

「ああ」

ヒカルがはいと返事を返し、タイシがダリスに行くことを伝え立ち上がった。


そして車で山を降りると畑中が話す。

「とりあえずは、檻の中の実母のビデオ見てみるか?」

「まあどれだけ暴れたのか参考までに見ておきます」

「ああ。あと、実父の方について埋蔵金に心当たりあるらしい」

「え?」

「仏さんたちもだ。あれ以来なんか腫れ物が取れたかとかで話してくれるがお前が居るときだけ話すそうだ。ま、つまり捜査協力になる」

「はい。それは構いません」

「ああ。あと、手配書いた元上司は書類送検になった」

「え?手配のだけでですか?」

「いや。経費捏造をしていたんだ。嘘の領収書。私的なものを出して金を掠めてた。まあだ、被害としては少額だし、返せる額だから書類送検になった」

「はあ」

「ちなみに、これは余分な話。お前をいじめていた同級生で元上司の息子。手配の問題が明るみになる前に会社内でセクハラと準強姦で訴えられていたようでな。表沙汰にしなかったのは元上司の力があった」

「被害者の方に和解金を押し付けたんですか?」

「ああ。あとは、息子の犯罪に近い行為を消した。今息子はクビになって家に引き篭もったとは聞いたがお前が今いる場所は今知れているからな」

「はい。埋蔵金の件でさらにしれましたけど」

「だな」

山を降り都内に入ると暫く走った後警視庁へと入った。


ーユナ寂しがってないかな。

唯子たちが戻ったあとミオが寺の裏にある竹林でぼうとしながらしゃがみ込んでいた。

ー向こうどうなってるのかな…。

ミオがため息し立ち上がりかけたが突然力強く引っ張られ飛ばされる。ミオが僅かに顔を歪めるも髪を掴まれ引き上げられる。

「い、つ」

ミオが目の前の男を見てゾッとし、男が血眼でミオを掴み引きながら竹林の奥に進む。

「だれっ。嫌っ!?」

男がミオのほおを叩き再び叩く。ひどい耳鳴りと回りが回ると男がミオを人影のない場所へと無理矢理押し倒す。

ーこわいっ。こわいっ。

ーミオ。

エリスの顔が浮かぶとエリスが話す。

ー怖いからこそ落ち着かないといけないわ。怖いと思えば相手を喜ばせるだけ。あなたはまだ動ける。

ミオが拳を握るとエリスがあごを撫でる。

ー届けばここか顔を打ちなさい。石があれば石を握って拳で思いっきり打つ。あと足が動けば足。

ー手足が動かせなかったら?

ーその時は声をあげて。とにかく上げるの。相手も怯むわ。そしてあなたの周りには必ず誰かいるわ。だからお腹から声をあげて怯んだ隙にとにかく逃げる。

「がっ」

男の顔にミオの拳が直撃すると男が後ろにのけぞってすぐミオが今度は男の股間に蹴りを思いっきり当てる。男が声をあげ股間を抑えうめき、ミオが頭をふらつかせながら這い出て立ちあがろうとするもその場に倒れる。そしてひどい耳鳴りと共に風景が回る。

ーおきて。逃げて。声。声を上げる。

「だ、れ」

ー声を。

「あ」

男の悲鳴が上がるとミオが僅かに震えるも複数の音を感じ取ってすぐに息を吐きその目を閉じた。


ー見つかった死体は。

「最初の集落に暮らしていた住人達だ」

タイシの実父がタイシを前に話す。そこに畑中と筆記官もおり、タイシが尋ねる。

「最初?」

「ああ。そうだ。あそこは元々集落はなかった。明治に入った後にできた。太平洋戦争頃に。あの土地は特別でな。年寄り達に聞けばわかる。あそこは先祖代々暮らしていたところではないと答えるはずだ。いつ頃からしたかについては、太平洋戦争後。第二次世界大戦が始まるくらいだろう。あそこの年寄り達の年代はほぼ同年代。つまり、あの土地に来たのはまだ物覚えもない前のはずだ」

「なら、その親は?」

「知っているものもあれば知らないものもいたはず。あそこは元は軍の実験施設のあった場所と言われている。そして元住人達は口封じに殺され埋められたものだが、それと同時に実験のための人員を集めていた。その記録は全て焼却されたが、実験施設があったという証拠であり、今もまだ残されている。それは竹林にある」

「ああ。なら、あの寺は?」

「実験施設を隠すための偽造工作物になるな。そして埋蔵金はその実験施設の軍資金。実験施設はある程度年度が経てばあちこちと移動をする。それは国を問わず」

「あんたに関わった場所というわけか」

「その通りだ。今はどこの国にあるかはわからないし、実験をしているのかも不明だ」

「ああ」

「あー」

タイシがスマホを見る畑中を振り向き畑中がやれやれとする。

「あのやろ。タイシ。まあた俺たち悪く言われる」

「え?」

「お前のとこにいた女の子。あの子をクビにしたバカ元上司が襲ったそうだ。病院行くぞ」

男が軽く笑う。

「苦労するな。あと、それは大変だ。一応、軽く知っている」

「その子のことも?」

「新聞は許されているからな。そして、以前は一応あそこにまだいたはいたからな。軽く情報は与えてもらっていた。なので調べたらすぐにわかった。草鹿葵の娘。草鹿家の次女の職業を知ってるか?」

「いや」

「インターポール所属の課長をしている。夫はアメリカ国大統領秘書官だ。中々な経歴だろう?」

タイシが目を丸くし、畑中が話す。

「突っ込まれなければいいな」

「最悪だ…行くぞ」

「あ、はい。でも関係ないでしょ?」

「分からねえ」

2人が出ていき、男が楽しく手を振りまた次はいつ来るかなと楽しみにしていった。


ー鼓膜が左右とも少し破れてますね。特に右が左と比べればひどいです。

眠るミオのそばで担当医が警察へと話す。

「それから足の捻挫です。無理やり抑えられた時にやられたところで、相手に抵抗して蹴りを加えてしまったために捻挫したようです。怪我の程度からして1ヶ月の治療が必要です」

「はい」

「マスコミには?」

「こちらから伝えます」

医師がわかりましたと告げ警察と共に離れる。そして、畑中がタイシと共に部屋へと入る。

「耳やられたみたいだな」

タイシが近づき落ち着き眠るミオを見て軽く安堵する。

「話じゃお前のとこの外人が抑えたけどか。痛めつけたらしい」

「え」

「そこはあのヒカルが止めた。だが、元バカ上司は鼻を折る重傷だ」

「あー…」

「なんか関係あるのか?」

「婚約者同士ですね」

「まじか」

「え…」

タイシ、畑中が入り口を振り向くと唯子がぐいっとくる。

「それ本当?そうなの?」

「近い…」

タイシが顔をしかめ唯子を押し除ける。

「隠していたが事実だ」

「…えと、大分、年」

「12だな」

唯子が複雑そうにしタイシがやれやれとする。

「ダリスさんは?」

「とりあえずはか。一発殴って折れたそうだから正当防衛と言うグレーゾーンにして済ませたと、聞いた。今はヒカルと柳瀬さんの娘が話して次はなるべく強く殴るなと注意させてもらっている。今回は穏便に運ぶよう指示してると言う上からの話。まあこっちも流石に」

「さすが日本。建前上手ね」

畑中がダンマリとし唯子が白髪混じりのスーツの女を見る。

「おばさん」

「あれか。アメリカの有名な警察の」

「なんでまた知って」

「そこのタイシ君のお父様から聞いた。違う?」

畑中がため息しタイシが尋ねる。

「各国の行方不明事件の捜査をされてるんですが?」

「その通り。ここに来たのも言えばその要件でもあるけど…はいどいて」

女が畑中を押しやり中へと入りミオを見て頭を撫でる。

「かわいそうに。こんな年頃の子を殴って怖い思いさせて怪我まで追わせて。なんてクソ野郎」

「…」

「クソが」

女が怒りに震え、唯子が頷きタイシが話す。

「国巻き込んだりはしないな?」

「しないしない。そこまで大事はないけど、全て相手の物を絞り尽くす予定にはなるわね」

「ええそうよ」

女がすっと冷ややかな目で畑中を見る。

「その通り。後で警視庁に行くわ。もう話つけているから」

「…あ、はい」

「ええ。あと、さっきこの子婚約者がとか聞いたけど」

「私も初めて知ったわ。イケメンの12歳上の人。礼儀正しくて」

「そんなの関係ない。なぜ?12歳も上?この子聞いた話じゃ16の未成年よね?なぜ?」

「ミオの実父で、まあ、俺の養父の人が決めたことですから」

「養父?ふーん」

女がじっと見る。

「アルスラン」

「ええ。ご存知ですか?」

「少しね。ただ私は上べでしか知らないし、今回あなたのお父様との対話も行うためにここに派遣されてきたのもあるわ」

「上部ということは、知っているものから直接聞いたということですよね?」

「ええ。それも犯罪者。奴隷職人や強殺犯ね。もしかしたらあなたやあなたと一緒に来た人たちも知ってる連中が中にいるかもだから一応リストを持ってきてるの。ただ、見せる代わりに貴方の実父の対話をお願いしたいわ」

「そこは畑中さん達と話し合ってからです」

「わかったわ。まあ、今回の件で」

女が再び畑中を睨む。

「大目には見てくれるかしらねえ?」

「はあ。俺を今ここで脅しても無意味ですし決めるのは上です。とにかく事情は分かりましたし、警備強化も一層行います」

女がふんと鼻を鳴らし、唯子が話す。

「いっそ我が家に来ればいいのに」

「流石にそれはできない」

「ええ。無理ね。なら、唯子ちゃん。貴方も無理しないように」

「ええ。あ、エドおじさんも来てる?ターナーは?」

「エドは明日来るわ。ターナーも一緒よ。それじゃ」

女がミオをひとなでしそばを離れ唯子のほおにキスし最後に畑中にふんと鼻を鳴らし病室をさる。

「色々また面倒なことになりそうだ」

「唯子。聞いた話2人は離婚したそうだ。ミオを暴行した人だ」

「でしょうね。聞いたらDVあったそうだから。その人の慰謝料分でしょ?ある程度は工面したと話しておくわ」

「ああ」

「ええ。それから息子の方は父親と一緒に逮捕とかとも聞いた。なんか会社のセクハラ行為で目に余ることされたらしいから。後上司を脅したとか」

「俺の管轄じゃないからよかったわ」

「いやでも元上司ですよね?」

唯子がやや安堵した畑中へと告げると畑中が話す。

「元上司ではあるが関係なし。後俺は今はこいつのお守り。こいつが何かしなければー」


タイシが襲いかかってきた大柄な男を掴み足払いし片腕で投げ飛ばし相手の頭を自分の足に落とし叩きつける。畑中が嫌な顔をしぼそっとコンビニの中で隣にいる唯子に聞こえるように話す。

「コーヒー買うとかお前が言うから…」

「私のせいにしないでくださいよ。ほら警察の仕事ですよ。私はけがした人の手当しますから私は」

唯子が手を叩き腕を切られている店員の元へ行き畑中がため息をつき連絡をする。タイシが商品の荷締め紐で男の両手を後ろで縛る。

「おい。その紐とはさみくれ」

「はい」

タイシが下に滑らせ畑中へとやり畑中が受け取り唯子に渡し、唯子が腕を深く切られた男の店員の肩を暇で縛る。

「いい。大人しくしていろ。店長は?」

「私です」

老人店長が話、畑中が告げる。

「他に店員は?客は?」

「はい。あとひと」

「おおおおっ」

店長がビクッと震え

男が突然動くとタイシが後ろに下がり男がタイシを血眼で睨みつける。

「てめえこのやろう!!」

タイシが向けられた蹴りを両腕で受け止め商品棚に男を当て倒し押さえつける。

「はなじやがれええええっ」

「畑中さん。ハサミと紐」

「ああ」

畑中が立ち上がり手渡しで渡すとタイシが男の両足を両腕で挟み込みエビぞりにさせる。男が痛がりタイシがそのまま押さえ込みつつ男の靴を脱がせると顔を思いっきり顰める。

「お前足が臭すぎる。水虫もできている」

「う、うるせええ!!いででで」

「もう少し自分の手入れを足の隅々からしておけ。周りが迷惑だ周りが」

タイシが素足にさせた男をの足もまた縛り付けると立ち上がりも額男を前にため息をすると畑中がやれやれとする。

「余裕みたいだな」

「ですね。あんな体格差のある男を簡単に投げ飛ばせるなんて」

警察官が到着し救急車もまた到着すると畑中がもがく男を指差す。

「そこの足臭いやつ連れて行け。暴れるが運べるか?」

「はい」

「止血して2分です」

「分かりました」

救急隊員がすぐに処置をし、警官が暴れる男の手足を持とうとすると更に暴れていく。

「さわんじゃねえこら!!」

「暴れるなっ」

「ああくそっ」

男が暴れるがタイシが掴み持ち上げ肩に担ぐ。男が冷や汗を流し、警官達がぽかんとする。

「パトカーに?」

「あ…」

「ああ。ぶちこめ。あとは署でどうにかする」

タイシがはいと答え汗を滲ませ唖然とする男を運んでいくと警官達が後を追う。

「あんな重量級をよく運べますね」

唯子が驚き、畑中が話す。

「向こうでそう言ったこともしてたんだろ。あと、あいつも負けたと思ったようだ。大人しくなったからな」

「ですね」

隊員が店員をストレッチャーで外へと運ぶ。そこはもう野次馬が集まっており、マスクにメガネをしたタイシがやれやれとしながら男がなるべく見えないよう陰に隠れつつパトカーへと運び開かれた後部座席に男を座らせ入れる。男が呆然とし、タイシが話す。

「暴れると更に罪を重ねるから今から絶対に暴れるな。あと暴れたところで何も起こりはしない」

男が項垂れタイシがやれやれとする。

「それだけ力があるんだ。力作業が必要な農家で力仕事して暮らせ。腹も減らないし役立つしいいものも食べられる。以上だ」

タイシが顔を引きドアを閉め男が項垂れ小さく唸る。タイシが離れまたコンビニの中に戻る。

「どうします?」

「車は他に任せたからこのままパトカーに乗ってまた引き返す。そっちもだ」

「はい。そうしかありませんし」

唯子がやれやれとし、畑中が店長へと伝えると店長が分かりましたと告げ今度はありがとうございましたと深々と頭を下げた。


一週間後ー。

ミオが一口みかんを食べると目を輝かせうまうまと食べ見舞いに来た鈴子がほのぼのと見ていく。そこはタイシの祖父の寺でヒカルもまたそのみかんを夢中で食べる。

「これ。この果物美味い」

「ふぁい」

「ふふ。それはよかったです。あとあちらにはない果物でみかんと言います」

「ああ。あと、父さんが話してたやつだ。持って帰れたらなあ。みかんが食べたいって前話してたし」

「そうでしたか。けれどあちらに持ち帰るには流石に難しいでしょうね」

「うーん。確かに」

ミオが一個平らげるとまた教えられたようにみかんの皮を剥いていく。

「耳の聞こえはまだでしたね」

「ああ。だから通院と往診に医者が来てくれる。鈴子は何か進展は?」

「あまりこれと言ってはありません」

鈴子が困ったように笑い、ヒカルがそうかと話すとみかんを向け鈴子が軽く笑いみかんを受け取り自分も食べる。

「このおみかん美味しいです」

「ええ。よかったです。他にもいろんな種類があるんですよ。それからとても大きなおみかんも。そちらは簡単に剥けませんが瑞々しくて爽やかなんです」

「はい」

「色々食べてみたいな」

扉が開く音が響き話し声が響くも。

「あの時はすいませんでした!」

ミオもまた聞こえ驚き鈴子、ヒカルと目を丸くする。そして、タイシが土下座するあの大男とその隣にいる着物の老人を見ていく。その後ろに畑中といかつい禿頭の男がいた。そして駐車場には黒塗りの車が3台止まっており、老人が頭を下げる。

「倅の子供。私の孫が大変なご迷惑もですが世話にもなりました」

「あ、いえ…」

ヒカルがさっと覗き、タイシが畑中達を見る。

「俺が聞いたのはヤクザのとか」

「ああ。正確にはヤクザの幹部さんの息子のその息子だな」

「ああ。で、今回は罰則金払って出て来たわけだな」

「はあ。でもなんでこちらに…」

「兄貴の懐に惚れましたっ」

ヒカルが口を抑え後ろを向き震え、タイシがため息をする老人と軽く顔を背ける畑中、両腕を組むハゲの男を見る。

「俺多分、あなたより下ですけど」

「関係ありませんっ」

「いや…」

「すまんが、か」

タイシが老人を振り向き、老人が話す。

「よかったら色々と教えてくれたら助かります。孫に」

「いや教えることありませんから」

「真っ当な道行かせてやれ」

「暇だろ?」

「まず俺自身真っ当な道来てません。そして暇とか関係ないじゃないですかっ。だいたい何がどうしてこうなったんですかっ」

タイシがうんざりとし、ヒカルが笑いを堪えるも鈴子がくると目を丸くする。男と老人がはっとし畑中が気まずくする。

「何の騒ぎかと思えば畑中さん」

「はい…」

「何ですか一体?」

「そこは、課長から」

「えー、はい、まあ、よければ話をと思いまして。それから後ほどまた来る予定のものがおります」

「そのことはタイシさんに伝えましたか?」

「畑中?」

「いや俺は合流しか聞いてませんからね」

「そうだったか?」

鈴子がため息しタイシが呆れる。

「あなた方は経験ある大人の方々なのですからしっかり連絡の取り合いはなさってください」

「は…」

「…はい」

「まったく」

「仕方ないんで上がってください。あと何人来られますか?」

男が二本指を立て人数を伝えるとタイシがわかりましたと告げじいとみるガタイのいい男を見てため息をついた。


ーまあ。

鈴子が驚きつつやれやれとすると気まずくする畑中達へと話す。

「ていよくタイシさんを使われおりませんよね?」

「いや、そう言うのはなく、えー」

「…」

「その、彼が来たら話します」

別室へと3人が案内され鈴子が相手をし話す。そして、タイシが呆れつつ掃除道具を男に持たせる。

「なら相手が来るまでここの本堂の掃除を頼む。ヒカルが教えていく」

「へい」

「よろしくです。あと名前なんですか?」

「熊谷十四郎っす」

「名前格好いいですね」

「そ、そうか」

十四郎が照れヒカルがうんうんと頷きタイシが離れ部屋へと入る。

「寺の掃除させてますから。友人がついてます」

「申し訳ありません」

タイシがやれやれとし座る。

「一応俺も気にはなってたんですよね。怪我人まで出たのに新聞にも特に何も記載されてなかったので。あったのは喧嘩の末で事件性なしということでした」

「ああ。そこは野原課長が話する」

「ああ。まあ、今回連れてきたからについて一応怪我をさせた1人ではあるので罰金を払ってもらって厳重注意の上で解放したんだ」

「となると、もしかしてあの小太りの店員ですか?原因は?」

「その通り。周りをよく見ている」

「そこは癖でもありますね。棚の陰に隠れていたその店員の近くに血まみれのナイフが落ちてましたから。それから、どうも今来ているあなたのお孫さんが怒鳴ってたのはその担任に対してのようでしたし」

「はい。SNSはご存知ですか?」

「はい」

「その店員が孫の母。私の義理の娘のプライベートを載せたのですよ。仕事先。そして、関係のない麻薬の取引をしているなど。孫はそれに怒り自分で調べてあの店員だと分かり乗り込んだんです」

「よく分かりましたね」

「本当はい。私もそう思います」

「話じゃ弁護士の力も使ったそうだ。あいつああ見えて東大出だ」

「はあ」

「まあ…」

「頭がいい孫ですが、母を思っての行動であの騒ぎを起こしてしまって。本当、止めて頂いたことを感謝します」

「いえ。で、その店員は何故そんなことを?」

「格好つけと嫉妬心からだ」

「は?」

畑中がやれやれとし野原が告げる。

「怪我したコンビニの男いただろ?あいつとその店員は同級生だったらしい。そして、こちらの孫さんもそうだ。奴はそれを知ってわざとその孫の母親を使って焚き付けた。焚き付けて、コンビニにおびき寄せたんだ」

老人が頷き、野原が資料を出しナイフ、そして縄を出す。

「このナイフは奴が所持して孫に向けたもんでな。で、ここでやつの大誤算があった」

「大誤算?」

「ああ」

「孫ですが、幼い頃は病気しがちで体も細く弱かったのです。そして私の孫としれておりましたので学校でいじめを受けておりました」

タイシが頷き老人が話す。

「そして、不登校になり、転校を余儀なくされたのです。今の孫になったのは次の学校の時にもまたいじめを受けていたところをプロレスラーの方々が助けてくれましてな。そして、その方達に誘われてプロレスを教えられながら、勉強も頑張り、アマチュアのプロレスラーとしてもですが、東大にも合格したんです。そして、まあプロレスラーですからね。中学まで痩せこけていた孫は見事にがっしり体型となりそこでいじめた連中を体でも頭でも見返したんです。もう、祖父の私としては誇りに思って思って」

老人がじんとし、野原が話す。

「で、今回やつの大誤算というのはだ。奴は小学生の頃しか知らんわけだった。ただ、家族思いで家族のことについて悪口を言えばすぐに言い返すとわかっていたので利用したんだ」

「相手の良さを使っての犯行がまさか、あんな体躯になった相手とは思わなかったわけですか」

「そうだ」

「ナイフについては奴がこちらの孫さんに向けたんだ。そして、その怪我した店員がどっちも止めようとしたところ誤って刺さったのち倒れて深く刺さったんだ。そして刺さってすぐにその小太りがナイフを抜いたんだそうだ。今度は護身用で使うために」

「ええ。それで孫がその店員ごと飛ばした所にあなた方が来たんです」

「はい」

「では、その方はナイフを持った店員を遠ざけただけになりますし、ナイフを所持していた問題の店員は銃刀法違反になりますね」

鈴子が話し畑中達が頷く。

「あとは、孫の母親に対しての差別的発言やプライベートを曝け出してくれたのでその件についても被害届を出しました。孫も大変反省しておりますし、怪我をさせてしまった方に謝罪など行う予定です」

「えー、それをここででして」

野原が気まずく話すと鈴子が圧をかける。

「なぜ?」

「いや、えーと。その、怪我をされた方は、タイシ君に感謝をいいたいと。もし良ければ、その、お孫さんを許して欲しいと、いうことでして。直談判に」

「あとは、まあ悪いですけどここなら穏便に済ませられるんで。何せ今警視庁はバカ元上司のせいで記者がうろついてるんで」

「その通り」

鈴子がため息し、タイシが話す。

「確かにそれはそうですけど。他にもありますよね?」

「ああ。あの女の子のおばさんが部下連れて今日来るんだよ。二日までに相手に連絡したとか言ってたけど聞いてるか?」

「いえ」

「ならまた爺さんが出たか?」

「あーもしかしたら…」

タイシが複雑そうにし、鈴子が話す。

「畑中さんはいつそれをお聞きになられたのです」

「ここついてですよ」

畑中がスマホを出し不明からの通知を見せる。

「これです。誰かと思えばその女の子の叔母でここ来るからあなたも来なさいと。話は通してると言われたんです」

「はい」

「たぶん、通してない気がするな…」

タイシがやれやれとする。

「分かりました。あと、その小太りの店員は?」

「書類送検だ。被害届についても受理したからその罪に対しても問われる。今朝俺たちが教えて確認して出したからな」

「はい。孫の親思いを使いましたからね。そして、どうもその男はその時休んでいた女性店員に惚れてましてな。ただその女性店員は怪我をした男性店員に惚れ込んでいた。なら、孫を使いいいところを見せたいという浅はかな考えで今回の事態を招いたのです」

ふすまが叩かれるとヒカルが開ける。

「すみませーん。お客さん2人。1人はギプスしてるのと、十四郎さんがまた土下座してるから知り合いっぽい」

「わかった。鈴子。ミオのところに」

「はい」

鈴子が立ち上がり先に部屋を出ると畑中と野原がため息をする。

「何でいたんだ」

「ミオの見舞いです」

タイシが話し部屋を出て玄関へと向かうとギプスした男が土下座する十四郎へといいと手を振り、父親と思しき男がタイシを見て頭を下げた。


ー本当俺も驚きましたから。

そして新たにヒカルと十四郎が加わると、十四郎が老人の隣に気まずく正座をし座り、男が小学校の卒アルに一部映る十四郎を見せる。そこには痩せこけてて気弱な十四郎が映っていた。

「警察の方からお話聞いた時はまさかと思いました。病気しがちで休んでた藤谷君なのかと」

「まあ、そん時はな…」

「ああ」

「こちらもまあ、ご家庭の事情を知っておりましたので、授業参観でこの小さな子なのかと思い覚えておりました」

「はい。そこは、仕方がないことですし孫には苦労させてしまったと後悔しております」

「いや…」

「そして、こっちは俺も知ってたからさ」

男が小太りの男児を指差す。

「だから、バイトで採用されて紹介された時覚えてたしお互いに驚いた。ただ向こうは俺を迷惑そうにしてた。俺は特に何かしたわけじゃないんだけどな」

「普段のバイトの時は?」

タイシが尋ね男が話す。

「ええ。バイトでは先輩だったんですが、少し態度が悪かったと言いますか。客層を見て接客を変えるんです。怖い相手に対しては早く終わらせたり、俺を呼んだレジ交代させたりして自分は裏に逃げてましたから。でも弱い相手。お年寄りの人たちには強気で食ってかかって商品も雑に扱ってましたね。店長も困ってました。あとは、女性店員が入ってきた時にも態度を変えてましたし、注意も何だと受けたり、高校生のバイトの子について,気があるとか勝手に決めてその子が迷惑して辞めたら機嫌悪く作業も適当。こっちがその尻拭いをする羽目を何度させられたかとか。問題ばかりでしたけどその同級生の父親がそのコンビニの入っているビルのオーナーだからということで店長もどうにかしたいけどどうにもできないと迷惑してました」

男がため息する。

「そして今回です。まさか、あいつがナイフを持ってたとはこちらも思いませんでしたから」

「その、すまなかった…」

十四郎が頭を下げ、男が手を振る。

「いい。事情は聞いてわかった。親の悪口を言われた上ネットにも晒されて苦しい思いをして怒るのはわかる。たぶん、俺も同じことされたら同じことをする。ナイフについて、あいつが最初から持っていたのが悪いし、全部あいつのせいだし迷惑してたからな。これを機にあいつが反省するのはおそらくないし、逆に藤谷君のせいだというはずだ。その時は俺は藤谷くんの味方をする」

父親もまた頷く。

「ああ。まあただ、息子が仲裁に入り怪我をおった件について。お話しした通りになります」

老人が頭を下げる。

「はい。そちらの費用はこちらから支払います。ただ、孫について許してくださったこと感謝いたします」

「いえ」

十四郎が落ち込み、男が話す。

「最終的には中村さんが止めてくれたので助かりました。ありがとうございます」

「いえ。あと怪我の程度は?」

「はい。太い血管が少し。ただ、大事な部分は避けて骨までは至ってなかったと言うことでしたので手術するまではありません。消毒などの通院のみでいいとのことで半月ほどになります」

「分かりました」

「はい」

「中村さんにもですが、十四郎くんにも感謝します。あいつは息子に刺さったナイフを引き抜いてまた危険な行為に及ぼうとしたとのことでしたから」

「本当そうだ。腹が立って仕方がないし、ナイフを抜かなかったらまだ軽くで済んだんだ。あいつがナイフを抜いたおかげで血管が切れた」

男がムカムカし、野原が話す。

「傷害についても被害届を出しているがそこはわからない」

「あまり例にみませんからね」

「ああ。まあだとしても、ナイフを所持していた件についてと藤屋さんとこのお母さんの件は問われる事になる」

タイシがはいと返事を返し、父親がお礼にとタイシに菓子折りとお礼と書かれた封筒を向けるとタイシが菓子折りだけ受け取り金が入った封筒は丁重に断った。

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