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平穏の秩序
タブーに挑戦してみました。この作品はある意味僕の文学的実験作品です。
「パパいってきます」
今日も赤いランドセルに黄色い帽子を被った愛海が元気に学校に行く。彼女はオレの娘で小学3年生だ。オレはというと、5年前に妻を乳ガンで失くしてから、男手一つで愛海を育てている。そんなオレの仕事は市役所の職員。30歳過ぎのオレは市民から電話がかかってくると、市内ならどこへでもかけつけるのさ。お金を得るために、愛海を育てるために。
愛海を見送ったオレはいつもの通り自分の仕事場に行く。黒・赤・青様々な色のペンと黒い文字が煩雑した書類が散らかったオレの机は妙に落ち着く。コーヒーを飲みながら、オレは書類に目を通す。すると、電話がかかってきた。
「もしもし、こちら市民生活相談課の高橋です」
「あのう、うちの近所の家から動物の死体のような異臭がするんですけど」
声の主は40歳そこそこのおばさんって言ったところだろうか。とても不安げだ。
「わかりました。今からそちらに向かいますね。あなたのお名前は」
「斎藤です。早くしてくださいね。ホントあの家自体何だか不気味で」




