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第六話:霧澤美夏

「はい、じいさんそこまで」


 明らかに呑んだあとの匂いをさせながら義臣は入って来た。顔に全くでないのは義臣がそれだけの酒豪だと物語っている。


「おい、一体どういうことだよ!」

「そのままの意味さ。翔は親父さんの片岡航生に六年間くっついていただけだ。

 まあ、翔はろくでもない思い出しか残ってないから口には出さないんだろうな」


 確かに航生についていればろくでもない思い出しか残らないのも仕方がない。事実、翔は航生に置いていかれた性でTEAMに保護されたらしい。


「それに航生の考えてることなんか分かったら宇宙人だ。あそこまで計算できるやつなんて風野博士ぐらいなもんだぞ?」

「確かにそうだろうが…」


 言い返す言葉が見つからない。あの計算高さがなければ潜入調査など出来ないだろうが…


「さあ、そろそろおいとましよう。お前に霧澤美夏を紹介しときたいし」

「わかった。それじゃじいさん、祖母様、また今度」

「なんじゃもう帰るのか…」

「仕方ないわよ、快ちゃんは明日から学校なんだから。またいらっしゃいね」

「はい」


 二人は一瞬のうちにその場から消えた。



 そして場所はTEAM本社へとうつる。


「どうだ美夏、TEAMはいい強さをしてるだろう」

「副社長」


 TEAM本社待合室。翔達が食事をしていた頃、霧澤美夏は身体調査を受けていた。理由は簡単。盗聴器を付けられていないか、魔法をかけられていないかなどを調べるためだ。


「足りない。この程度では殺される」


 今回彼女の護衛に回る高校生バスター達の調書を美夏はテーブルの上に置いた。


「確かにな、闇は強い。だが、あいつらから逃れて来たお前を守るならTEAMにいた方が都合がいいだろう。

 なんせ篠原義臣の名前を聞けばいくら奴らが強くとも迂闊に手は出せないからな」

「篠原義臣か…噂通りのバスターならば闇を滅ぼせるか…」


 美夏はつぶやく。義臣と対峙したことはないが、闇の中でも伝説のバスターと語り継がれているのだ。

 しかし、副島はさらに付け加えた。


「美夏、闇を滅ぼすのは俺達の世代じゃねぇよ。お前達高校生バスターだ」

「冗談は止してくれ。全員の調書は見せてもらったが私と戦える奴など二人だ」

「篠原快と和泉咲か。まあ、あの二人の力は高校生にしちゃ飛び抜けてるな。だが、懐かしい面も一人いるだろ」


 副島の目の先にある一つの調書に書かれた名前。


「片岡翔…何でこんな腑抜けた数値なんだ? 片岡航生の息子だろう?」

「…あいつはあいつだ。わざわざ闇へ引き込まなくてもいい」


 副島はタバコに火を付けた。それは翔の境遇を知っているからこそそれ以上語りたくない表れだった。


「鬼の副社長も人の子か」

「ああ、だからこそ関わらせたくないんだ。ジャックの弟子を死なせたくもない」


 副島の本心だった。しかし、美夏は下を向き答える。


「…副社長、私はすでに人殺しだ」


 タバコの煙が揺れていた。




はい、次はこの人!


瀬野セノ 龍一リュウイチ

龍二の父親でTEAMの影と表部隊を統括する戦闘指揮官。元は影の総隊長。

同じチームメイトだった霧澤美咲の死後から義臣に呼び戻されるまでは考古学者として世界中を回っていたらしい。

時空系タイプの術を封じるほか、とにかく戦闘においては隙のない無敵なバスターである。

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