第十三話:学級会
「全員席に付け!!」
箒星名物、チャイムより早い『声着』。もちろんバスタークラス担任大原のものである。
「日直!」
「起立!」
本日の日直は陽子だ。凛とした声が教室に響く。
「礼!」
「おはようございます!」
「着席!」
ガタガタと生徒達は着席すると大原は咳ばらいを一つして話始めた。
「とっくに聞いてると思うが転校生を紹介する。霧澤入れ」
美夏が入って来た途端教室からざわめきが起こった。
「霧澤、自己紹介しろ」
「…霧澤美夏だ」
一言だけ言った途端やはり始まるのが質問攻めだ。
「美夏ちゃん! 美夏ちゃんは彼氏いる!?」
「何部に入るの!?」
「野球部のマネージャーになってください!」
「TEAMよりうちの掃除屋に来い!」
言いたい放題である。その有様にさすがの美夏も言い返すことが出来ない。
「お前ら! 毎回騒ぐな! 霧澤、風野の隣の席に座れ。それとこのまま文化祭の話し合いにはいるぞ。学級委員、書記、前に出ろ」
そう言われて美夏は翡翠の隣に座った。
「よろしくね、美夏ちゃん」
「…ああ」
おやっとTEAMの面々は思った。
「咲、美夏は丸くなったか?」
「ええ、翔さんのおかげでしょうね」
龍二の問いに咲はニッコリ笑って答えた。
「それじゃあ、文化祭の出店を何にするか決めるわよ! 何か案があるなら言ってください」
「うちのクラスは喫茶店だろ!」
「異議な〜し!」
予測通りである。どう考えてもそれしかしっくり来るものはない。
「じゃあ、どんな内容にする?」
「メイド喫茶だろ」
「執事もいるしね」
教室内から爆笑が起こった。全員考えは一致していたのである。
「…じゃあコスプレ喫茶に決定ね。メニューは料理長、ちゃんと考えてよ」
「ヘイヘイ。会計士、予算はいくらだ?」
大地は快に尋ねる。快は電卓片手に数値を弾き出した。
「一人千円。もって来れる材料は全員で持ち寄れば問題ない。全員が楽をした場合でも少なくとも二十万は売り上げになる」
「さっすが快様!!」
高校の文化祭で最低でも二十万の売り上げをあげられる猛者は少ない。
「じゃあ次は役割決めていくわよ。男子は大道具、女子は衣装係に分けるのは問題ないわね」
「異議な〜し!!」
実に息のあった返事である。
「後は当日の役割も決めておくわよ。大地と翔以外の男子は全員ホールに入ってもらうから。女子は料理を回す役目が主になるだろうけど…」
「ちょっと待った! 大地はともかく翔がホールに入らない理由はなんだ?」
龍二は勢いよく尋ねるが、それは転校生以外は全員知っている暗黙の了解だ。
「翔は買い出し係だからよ。大地が料理作るんだから当然買い出しが必要になるでしょ? ワープできるのは快と修、咲しかいないけど三人にはホールに出てもらわないと困るし」
「なるほど、だからスピードタイプの翔を使うのか」
龍二は納得した。
「あと美夏はホールに出てもらうから」
「私は」
「参加しないはなしだぞ。TEAMの社長命令は文化祭は参加しろだからな」
快に言われ、美夏は何も返すことが出来なかった。