第十二話:朝食は戦争
一夜があけた。霧澤美夏は箒星の制服に身を包む。スカートを初めて履いたので多少の違和感を感じながらも部屋の外に出た瞬間!
「おはよう美夏ちゃん!」
「おはよう、美夏」
高校生女子バスター達が全員待っていた。そして腕を掴まれる。
「さっ、早くご飯食べに行きましょ」
「私には関わるなと言ったはずだが?」
鋭い目つきが彼女達に刺さるが、
「記憶にございません!」
全員がそう言い切った。彼女達にかかれば美夏の都合などお構い無しである。
「そうか、ならば…!」
「はい、お痛はそこまでに致しましょう。美夏さん、あなたは私達の仲間であり護衛する対象です。私達を死なせたくなければ仲良くしていただかなければ困ります。
それにあなたに渡された私達の調書はあくまでも目安。事実、私の力は時空タイプだけではありません。私はギャンブラーの和泉元二の実の孫娘ですから」
美夏の表情が変わった。それだけ彼女にとっては衝撃的なことだった。
「ほらほら、早く食堂に行くわよ! あいつら待たせるとうるさいのよね」
「そうだね! 行こう!」
半ば強制的に美夏は食堂に引っ張られていった。
「おはよう!」
「おはようさん」
「ウッス!」
「遅い」
「さっさと座れ」
「飯出来てるぞ」
白真、翔、龍二、修、快、大地の順番でそれぞれが朝から言いたい放題である。
「ゴメンゴメン、ほら、美夏はここ」
紫織は美夏を中心に座らせた。
「それじゃあ皆さんご一緒に」
「いただきます!!!」
そこからは戦争である。
「大地! 味噌汁おかわり!」
「大地! 飯!」
朝から高校生バスター達は元気いっぱいである。その有様に美夏は呆気に取られるが紫織が正気に戻す。
「美夏、あまり気にせず食べなさい。こいつら昼ご飯は任務で呼び出されるからいつも朝に入れるだけ入れてるだけだから」
「…異常だろ」
朝から最低ご飯三杯とは吐き気がする。美夏は元が少食だったためにご飯に味噌汁でも多いくらいだ。
「あ〜!! 私のデザート!!」
「油断してるお前が悪い」
快は翡翠のプリンをさっとかきこんだ。しかし、目には目をである。
「だったら翡翠もフルーツポンチとるもん!」
翡翠は快の好物をさっとかきこんだが、快は気にもとめていない。犠牲者は隣だ。
「快ちゃんひでぇ!! 俺のフルーツポンチとってたな!!」
「お前が四日前の朝食で人の卵焼きとってたからだよ」
「だったら!」
「白! 行儀悪いわよ!」
彼女もとい紫織は母親である。お行儀の悪い悪ガキには当然説教だ。
「怒られてやんの」
「お前も茶碗に米粒残ってるぞ」
龍二に修は冷静なツッコミを入れる。緑茶を飲む姿が爺臭く見えるのは気の性なんだろうか…
「食うよ!」
「龍二さん、頬にご飯粒が…」
咲は龍二の頬についた米粒をパクリと食べた。それを見て全員が真っ赤になって固まる…
「なんだ? どうした?」
「どうなさいましたか?」
二人の問いに全員が勢いよく手を合わせた。
「ごちそうさまでした!!!」
そして全員が洗面所に向かい、歯を磨いて登校である。
「翡翠」
「なに?」
翡翠は首を傾げて快に聞く。
「咲と龍二ってある意味うちの親より性質悪い…」
「…かも?」
朝から妙な心境になった篠原快であった…