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第十話:仲介屋の呪い

 美夏は足早に自分の部屋に戻っていく。女子バスターと同じ階の部屋で同じ食堂で、TEAMの仲間とご飯を食べなければならないらしいが、生憎そんな気分ではない。

 だが、人と群れることを拒む彼女の前に迷子は現れたのである。キョロキョロとしていたかと思うと、満面の笑顔で美夏の背中に乗っかった。


「何やってる…」

「あのね、お兄ちゃんのところに行きたいんだけど迷っちゃったの!」


 突如自分に懐いて来た子供はかわいらしい声で答えた。


「お前の兄の名前は?」

「篠原快。快の弟だ」

「翔ちゃ〜ん!」


 ぴょこぴょこと新は翔に抱き着いた。お兄ちゃん分に会えて嬉しいのである。


「新、病室を勝手に抜け出したら夢乃さんが怒るだろ?」

「だって快兄ちゃんが帰って来たら一緒に遊んでくれるって約束したんだもん」


 とてもさっきまで凍傷だったとは思えない元気さである。まあ、義臣の子供なら仕方ないが…


「そうか。ならばお前が連れていけ」


 お役御免と美夏はその場から立ち去ろうとしたが、翔はそれを止めた。


「翔、俺は片岡翔だ。TEAMの片岡航生の息子と言えば少しは興味を持つか? 霧澤美夏」


 美夏は一度足を止める。しかし、くるりと振り返り放った言葉は冷たい。


「篠原快以上の数値を出すなら興味は沸いたがお前にはない」

「ならば俺は闇の特殊部隊、『スナイパー』に禁術を叩き込まれてるという話は興味を示すだろ?」


 美夏は止まった。彼女と同じ境遇にいた少年なら禁術の一つや二つは知っているはずだ。


「俺が五才の時に親父に連れられて潜入した組織が闇の特殊部隊『スナイパー』。

 今回お前を狙っているのが奴らなら確かに厄介な事この上ない。親父が俺を置いてトンズラこいた最悪組織だからな」


 片岡航生が翔を置いて消えた理由もそれだけ手に余る組織だったと説明はつく。闇とはそれだけ厄介なのだから…


「お前があの日処刑されなかったのも片岡航生が消えたからだろう? せっかく生き延びたというのにわざわざ死にに行くとは馬鹿な奴だ」

「だからお前をほっとけないんだよ。ほら」


 翔は部屋の鍵を美夏に渡した。


「とりあえず俺の部屋にいろ。308号室が俺の部屋だ。勝手にコーヒーでも飲んで構わないから」

「勝手に決めるな…お前!」


 鍵をその場に捨ててやろうかと思ったがそれは手から剥がれない!


「悪いな、お前とはまだいろいろ話さなければならないことがある。その鍵を捨てられないように呪いをかけた。

 おまけといったらなんだがその鍵を持ってる奴は俺の部屋に入ったら暫く出れないから」


 ニヤリと笑う翔に美夏は文句を垂れる。


「ふざけるな!」

「まあ待ってろって。新を医務室に戻したら行くからさ」


 翔は瞬身で消えた。




それではこの子を紹介します!



篠原シノハラ シン

細胞バンクで作られた義臣と夢乃の実の子供で「SHIN」と呼ばれていた。

SHINを作り出す源は夢乃が流産したときの赤ん坊の細胞と陽子がアメリカで任務に失敗した時に渡した細胞の一部が解析、応用されている。

その危険性を考え陽子はSHINを消そうとしたが快に阻止され、夢乃にその記憶を消される。

現在は快の弟として非常に可愛がられている。ちなみに「新」の漢字は義臣が「ニュータイプだから」という理由で決めたらしい…

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