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第一話:帰還

 幼い少年は紅みのかかった髪色をした少女を知っていた。薄暗い部屋の中で自分と同じ境遇にいる少女は血を滴らせている。


「お前さ、なんでそいつを殺したんだ?」


 汚れた白いTシャツにボロボロになった短パンを身に付けている少年は少女に尋ねた。決して感情の篭らない声はその少年を取り巻く環境が与えたもの。六歳とは思えない冷たさがある。


「仕方ないだろ? 私を犯そうとしたんだ。そんな屈辱に堪えるぐらいなら相手を殺してでも自分の身を守る。

 忘れるな、私はTEAMの影なんだ。任務を遂行しなければ守れない事が多すぎる」


 少年と同じ歳とは思えない、血に染まった少女には闇で生きることしか残されていなかった。

 霧澤美咲の娘、それだけで説明がついていた。


「ふ〜ん。別にいいけどさ、やっぱり外の空気が吸いたくなる。あんな親父にくっついて生きてるだけでもろくなものじゃないのに、俺と同じ歳の奴が人殺しなんてたまらない」


 少年は壁に身を預けた。しかし、その言葉の裏を理解することも表現することも彼等には難しすぎた。


「人殺しか……、確かにこの日本ではおかしいのかもしれない。だが、世界にはとっくに銃を持たされるのが常識だって国もあるだろう?」


 少女も死体の前で腰をおろした。そして、涙を流したいわけでもないのに涙を流す。


「なんだ、まだ人間らしいじゃないか」

「お前ほどでもない……、翔」


 少年の名前は片岡翔。この半年後、TEAM本社が保護することになる子供の一人である。



 放課後、箒星学院文化祭会議。バスタークラスの学級委員長は美原紫織、色鳥白真コンビである。


「白、うちのクラスは何やろう?」

「喫茶店じゃねぇの? 大地がいるし、うちのクラスの女子は家庭科優秀だし」


 白真はあっさり答えた。確かに大地さえ文化祭当日にいれば料理は何でもごされと回転が止まることはない。

 売り子達もかなりの戦果をあげれそうな美人揃い。おまけに会計士に快がいれば売上は一般企業も負けるだろう。


「そうね、じゃあその線で提案してみましょうか」


 紫織はニッコリ答えた。



 TEAM本社。本日は一人の帰り道だった翔にいち早く衝撃的な事件の知らせは届く。

 相変わらずでかい正門をくぐり、不況とも縁がなさそうな家は威風堂々としていた。だが、所々にこの家の主の趣味が見えている。


「さみぃ〜、秋になったばかりなのになんで雪だるまなんか作るんだよ……」


 そんな思考の社長である。おそらく快の弟であるSHIN、つまり新が雪をみたいとでも言って召喚したに違いない。


「ん? なんだあれ」


 やけにリアルな顔をした雪だるまが一つ。それも可愛らしい子供の……


「新っ!? 何やってんだぁ!!」


 正しく雪だるまもとい新だるまである。翔は急いで新を雪だるまから掘り出し、医務室へと飛んでいった。



「はい、治療完了」

「ありがとうございます、夢乃さん」


 TEAM医療室。社長婦人でTEAM医療責任者である夢乃は女神級の微笑みを浮かべて治療を終えていた。

 怪我をして来る社員の手当はもちろんのこと、戦場に赴いてサポートするまでと幅広く活躍する二児の母親である。


「さて、もう一人患者が来るのかしら」


 猛ダッシュの足音に夢乃はクスリと笑った。気配で翔と断定しているのでおそらく任務絡みの重傷ではないと予測していた。軽傷患者なら他の医療兵がすぐに治療してしまうからだ。


「夢乃さん! すぐに治療してっ!」

「新ちゃん!?」


 夢乃は翔が抱えて来た我が子を見て面食らった。予測を越えていた出来事。穏やかな秋に凍傷である。


「一体どうしたらこんな事に……」

「雪だるまになってたんですよ……」


 夢乃は一つため息を付くとすぐに治療を開始した。後から元凶の社長はお説教決定だ。


「翔ちゃん、悪いんだけど食堂からお湯を貰って来てくれるかしら」

「わかりました」

「必要ないさ」


 渋い声が翔の行く手を遮った。身長百九十のサングラスをかけた大男は鍋とやかんをテーブルの上に換装した。TEAMでここまで配慮の行き届いた大男は一人だけだ。


「えっ?」

「久しぶりだな、翔」


 穏やかな秋の日、鬼の副社長の御帰還である。



さて、THE TEAM!(2)からキャラクターも増えましたし、そろそろ自己紹介コーナー再開です。



山岡ヤマオカ 優奈ユナ

ポニーテールが似合う大地の彼女。

重力を操るバスターなため体重をごまかすなどおちゃめなこともやってるらしい。

とはいえども、体操部に所属しているのでスタイルはかなりいい少女だ。

社員と小隊を組むことが多いので実力はかなりのものらしい。

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