自由はいいもの
自由はいいものだ。
そう聞いていたから、管理社会だった国を飛び出して、自由をかちとったのに。
ちっともいいものだとは思えない。
自分で自由に何かをする事ができる。
自分で自由に服や靴を選んで身に着ける事ができる。
自分で自由に生きたい場所に行く事ができる。
それらはとっても素敵な事で、いいものだと聞いたのに。
ぜんぜん笑顔になれないんだ。
むしろ、苦痛だった。
選択肢が多いし、選んだ後の責任は負わなければならない。
頭を悩ませる事がこんなに辛い事だったなんて。
以前いた場所はこうではなかった。
少ない選択肢からぱっと決められたし、管理している人が全ての責任を負っていてくれた。
それならばもう。
ここにいる意味はない。
振り返って、元来た道を戻り始めた。
管理されていてもいい、あそこの生活は楽だったからだ。
王様がすべて決めてくれるのだから。
戻ろう。
未来予知の魔法で、何から何まで決めてくれたあの国に。