大丈夫か? 日本の小説(文章)の未来は…
先日のこと、私はある小説サイトにて、自分の作品のメンテナンスを行っていた。
どこのサイトでも、人気作品のランキングは表示されているであろう。
私の作品も有り難いことに、完結1週間ほどで1万以上のPVをいただいていたので、表紙を含め15万文字近い作品を読破してくださった読者の方には本当にお礼を申し上げたいところである。
話は戻り、そのランキングを拝見していた時の事。〇〇部門1位というご自身の紹介があったので、どのようなものを書いていらっしゃるのか、勉強も兼ねて覗いてみることにした。
・・・・・・。
どうしてなのだろう。やはり最近はこういった短いページに区切ったほうが良いのであろうか?
私の作品は、サイトによっても異なるが概ね1話を3~5千文字で構成することが多い。
そのサイトでは何回かの試験作品を投稿し、そのサイトの読者様の様子から概ね1~2千で読み切れるようにページを調整したほうが良いという感覚を得ていたから、「なろう」では27章だったものを、先方では追記拡張したとは言え、全97ブロックまで分割した。(本文総文字14万文字強)
そういった試行錯誤の中で、拝見したのは1ページ当たり300文字程度が300ページ…。単純計算で9万文字である。(リターンや空白も1文字としてカウントされるので中身は…ということだ)
総文字数ではなくページ数だけを見れば、私の作品など短編になってしまう。これはどういうことなのだろう…と考えた挙句、「そうか、某有名な「つぶやき」SNSの感覚なのだ」と気づいた。
また、作家の手法として「行間を読む(表現する)」というものがあるのは、読み手の皆さんはご存知であろう。しかし、そのためには、行間を読ませるための材料というものをセットしておかねばなるまい。
私が見た中で、これはいくらなんでも・・・というものを1例として(内容は全く別にして)挙げてみようと思う。シーンは、高校生の女の子二人が朝の挨拶を交わす場面だ。今日は〇〇のテストがあると言われているというシチュエーションが設定されていると頭の中に入れておいていただきたい。(どちらの文章も私が例として書いたものであるということを付け加えておく)
例1
(前略)
学校へ急ぐ途中でクラスメイトのAちゃんに会った。
「Aちゃんおはよう」
「あ、Bちゃんおはよう・・・。今日の○○のテスト憂鬱で」
Aちゃん眠そう。Aちゃん〇〇の教科苦手だもんね。
「大丈夫だよ」
(以下略)
例2
(前略)
学校に小走りで急ぐ途中、クラスメイトのAちゃんが前を歩いているのが見えた。
「Aちゃんおはよう」
小走りを止めて、Aちゃんとスピードを合わせる。
「あ、Bちゃんおはよう・・・。今日の〇〇のテスト憂鬱で」
目が赤くて眠そうなAちゃん。今日は確か〇〇のテストがあるって言われていたし、Aちゃんは〇〇を苦手科目っていつも言っていたから、きっと遅くまで勉強していたんだろうな。
「大丈夫だよ」
(以下略)
私の頭の中で、例1と2は全く同じシチュエーションを書いたものである。この2つを見て、どちらの方が情景がより深く浮かぶであろうか?
例2は文字数も増えてしまうし、まどろっこしいと思われる方もいらっしゃるかもしれない。
ただ、作品の完成度という意味では・・・これは読んでくださった方の感性に委ねたいと思う。
私個人として、あまりにも例1のような作品が多く、またPVや評価も高いということに疑問を感じてしまう。
これはひがみではなく、書き手および読み手双方ともに、簡単な短文は読みやすいが、少しでも難しくしてしまうと、読みにくいと判断されてしまうことだ。これでは長文は受け入れられない=書籍の発行部数が減るということは必然的なものだと感じてしまう。読解能力が落ちているという調査結果にも合致する。
書籍にするためには、いろいろなコンテストを見ても最低8万文字がボーダーラインになっているから、300字を8万文字にするためには270ページを作らなければならない。
いわゆる「つぶやき」の投稿には文字数の制限があるから、300文字1ページというのは、その世代の作者様が書いているのであろう。しかし、もう少し登場人物の深堀をしてもいいような気がしてならず……。これは単なるジェネレーションギャップとして片付けるしかないのかもしれない。一方で、ある程度の経験を積んでおられる方の作品というのは、ページ数が少なくとも、行間をはっきりと読むことができる(言い換えれば文章を読むと情景が脳裏に浮かんでくる)。その中でも、いかに中心読者層に分かりやすい表現を見つけて努力をするという、そう言った方々の姿勢として努力の跡が見える。私もそれに倣わねばならないと感じた次第だ。
確かに、「文字を書く」という意味では「つぶやき」は便利なツールであると思う。ただ、幼稚園の絵本ではない(ジャンルからしても)のだから、もう少し「初めての読者様に読んでもらう」という意識をもって書いてくれる作者様が増えること。また読む側も、書籍になって書かれているものは、起承転結を考えて、何度も推敲を重ねてやっと出来上がったものであるというものを想像しながら読んでもらいたいし、そこにPVやレビューというものを乗せてもらいたいと感じてしまった……。
私の愚痴でしたね。 お粗末さまでした。