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観測者、地に眠る記録を紐解く

本日はこちらの作品をご覧いただき誠にありがとうございます。


作者の宮田幸司と申します。


熱血バトルが好きで、個の作品を書かせていただきました。

謎解きやらほのぼの、時にきつい展開なども盛り込んでいますので、

王道ものが好きな方は楽しんでいただけるかと思います。


それでは…………どうぞ!



惑星ウルアーデ



 有り体に言うと、惑星ウルアーデに住む人々は一生命が行える限界というものを超えた。


 彼らは自身で食料や水を生みだせるため食に困ることはなく、


 自身で寝床や服を作れるため、住処に困ることはなく着る服に困ることもない。


 彼らは個人で軽々と一軒家を持ちあげる力を秘めており、走りだせば科学の粋である自動車や電車を超える速度で動くことが可能であった。


 耐久力もその小さな肉体には収まるはずのないものを持っており、自動車や電車に轢かれてもさして大きな傷を負う事なく立ち上がり、家屋に潰されても何食わぬ顔で出てくるものも多い。


 銃弾で体を撃ち抜かれたとしても、脳を破壊されない限り致命傷になく、体にできた傷は放っておいても血が止まり、ある程度の時間が経てば勝手に傷自体が塞がって行く。


 そのような形で戦うのに最適な体を手に入れた彼らは、ついには無重力空間、すなわち宇宙で生存するだけの方法も編み出し、その結果銀河系の中を自由に動き回る力さえ得た。


「貴方に聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「なんだ?」


 するとある時、別の星から男がやって来た。

 彼はこの星に住む用心棒兼案内人の男と共に、標高一万メートルを超える山が連なる山脈全てを目に映す事ができる空の島に訪れ、その場所に連れてきてくれた男に質問をした。


「この星は何もかもが満ち足りていると私は思います。人がいて、法があり、資源に満ち溢れている。なのになぜ、貴方達は戦うという野蛮な行為を行うのですか?」

「それは…………」

「貴方達の力があれば戦いなどする必要はないはずだ。この星に住む人々は基本性格は穏やかで、理性的になるために必要な法も敷かれている。だというのになぜ貴方達は戦うのですか?」


 問いを投げかけられた男は、言葉に詰まった。

 言われてみれば確かにその通りで、戦う必要性は何もないように思えたのだ。

 しかし彼自身一人の武人として戦いの場に立つことは多々あり、それを悪い事であると思ったことはない。


 だから考えて考えて考え抜いて、


「戦う理由…………理由か」


 腕を組み、必死に答えを模索。


「ああ…………分かったぞ。我らが戦う理由。それは」

「それは?」


 強い関心を持つ異星の男に彼は答えを口にし、それからしばらくして男は笑った。




「食い逃げだ! 誰か捕まえてくれ!」


 人の笑顔でにぎわう真昼の歓楽街に、老年の男性の声が響く。

 白いチノパンに真っ黒なTシャツ、額に真っ赤なタオルを巻き髪の毛が落ちないようにしたラーメン屋の店主が、食事代を払わずに店から出て行き逃げる男に対し、声を荒げ叫んでいるのだ。


 その声を聞き、周囲の数人が鋭い目つきに変わり、男に向け襲い掛かる。


「捕まるかよ!」


 逃げる男は軽業師のように重力を感じさせない動きで迫る炎の拳を躱し、地面から生みだされる大地で形成された刃を容易く避けると足場にして付近の建物の屋上にまで移動する。


「あらよっと!」


 追う者達は店主への恩義から男を捕まえようとついて行くのだが、制空権を握られている食い逃げ犯に蹴り落とされ地面に叩きつけられる。


「この野郎! さっさと捕まらなけりゃ兵士を呼ぶぞ。そうなりゃ罪状は倍増だ!」


 走る男に対し、遠くから店主の怒声が聞こえてくる。

 しかしそれを耳にしても男が恐れる様子もなく、むしろ得意げに笑いながら店舗から離れていき、


「はっ! 兵士どもなんぞ恐れるか! これからは、力こそが正義の時代だ!!」


 逃げて来た店舗が米粒程の小さな点になるほど離れたところで、振り返り声を張り上げた。


「はは! 傑作だぜ」


 目を細めよく見れば、店主が顔を真っ赤にしながら地団太を踏んでおり、その姿を確認し男が腹を抱えて笑う。


「あのーすんません」


 その時であった、彼の背後から声が聞こえてくる。

 思わぬタイミングでかけられた声に驚きながら振り返れば、彼と同じ目線に一人の少年がいた。


 少年は真っ赤な長袖ワイシャツに黒のジーンズを履いており、背中辺りまで伸びた髪を緑色の輪ゴムで縛っている。


「あん? なんだ?」


 追われている状況で突如現れた少年に対し一瞬警戒するが男であるが、その少年の穏やかな目、物腰の低さ、そして全身から溢れる草食動物のような雰囲気を前に、さして警戒することもなく言葉を返す。


「いや、さっき少し離れたところから『食い逃げだ!』って叫ぶ声が聞こえたんですけど様子をみるにお兄さんがそうですか?」

「……だったらなんだよ」


 その質問は、目の前にいる草食動物が口にしないであろうと考えていた内容であり、頭の隅に奇妙な違和感を覚え、すぐに戦えるよう意識を切り替えるのだが、


「いや、もしそうなら自首して欲しいなーって思って」

「はぁ?」


 彼の口から発せられた気の抜けるような提案を聞き、男が裏返った声を口にする。


「いや誰かに連れて行かれるより自首の方が罪が軽いって言うじゃないですか。それを思えば、そっちの方がいいんじゃないかなーって」

「たく、こちとら逃げ足の速さには自信があるんだ。第一、俺が誰に捕まるって言うんだよ。ええ?」

「いやそれは……」

「はぁ……もういい。そこどきな」


 煮えたぎらない少年の態度に呆れた男が、掌を少年に向け迎撃態勢に入る。

 それだけで道を開けるだろうと考えていたのだが、少年は一向に道を譲るつもりはないらしく、それどころか腰から剣を抜くと正面から彼を見据え、その状況になりやっと、男は目の前の二十にも満たない少年が自分を止めるつもりであると認識した。


(まあ、威嚇射撃の一つでもすればいいか)


 とはいえ、さほど警戒心を持つこともなく、男は掌から冷気を発するとそれを固め発射。

 それは少年の右太ももへと向け一直線に進み、少年の体に近づいたかと思えば、明後日の方角へと飛んで行った。


「あ?」


 戸惑いや困惑よりも先に自分の思い通りに行かなかったことによる苛立ちが脳を支配し、男は今度は殺意を込めて連続で発射。


「うわ!」


 焦りの感情をそのまま口にする少年ではあるのだが、威力をどれだけ上げようとそれは少年の体に届く前に明後日の方角へと向かって行く。


「んの野郎!」

「ちょ、それはまずいって!」


 男が掌から自身の身の丈を超える程の巨大な鉄球を作りだし、振り下ろす。

 それはこれまでとは一線を画す、空気を引き裂くような音を発しながら少年へと迫り、


「あらよっと!」


 その途中で、真横から現れた一目で染めたとわかる赤髪にサングラスをかけた少年が、男の持っている鉄球と同じ大きさの鉄球で吹き飛ばし、


「優! ゼオス!」


 その少年の声に反応し、一組の男女が落ちてくる鉄球の真下に移動。

 目の前の少年と同じ姿をした少年は腰に携えた漆黒の剣の薙ぎ払いで鉄球を二つに割り、美しい金の長髪を携えた少女はそのか細い腕から撃ちだされるとは思えない威力の掌底で、二つに割れた鉄球を壁に吹き飛ばした。


「畜生!」

「あ、待て!」


 何かがおかしい、そう感じた彼は鉄球の後始末を見守る二人の少年を無視して繁華街へと向け移動。


「狙撃か!」


 しかし一歩動いた瞬間彼の鼻先を銃弾が通り、すぐに動きを止め周囲を捜索。

 すると近くのビルの屋上にいる少年を捕捉して、黄色い鉢巻を肩に巻いた少年へと向け一気に肉薄。


「まずはてめぇからだ!」


 狙撃手が元来不得手とする接近戦の距離まで接近。


「死ね!」


 あとは頭部を掴み地面に叩きつければ少年の頭部は、つぶれたトマトのような無残な姿を晒すはずであったのだが、


「死なねぇよボケが」


 そんな彼の思惑が、少年の腕払いで全て破綻。

 先程から続く、自身の想定とは全く違う展開の連続に、彼の堪忍袋の緒が切れた。


「この野郎!」


 自分を追う存在が迫っているという事実さえ頭の片隅に置き、全身を支配する怒りを目の前の狙撃手にぶつける食い逃げ犯。


「脇が甘いな」

「がっ!?」


 だがどれだけ攻撃の速度を上げ拳を鋼でコーティングして殴りつけても、その全てがらりくらりと躱され、大ぶりの一撃に合わされ、持っていた銃で殴りつけられる。


「――――ふっ!」


 それから先は一方的だ。

 二丁の拳銃を手にした少年が、引き金を引くことなく銃身を使った打撃のみに徹し、男を一方的に追い詰めていく。


「なんなんだよてめぇは!」

「おう冥土の土産に……て死にはしねぇんだが聞いておけ。俺達は」

「おらぁ!」

「っと」


 その問いかけに対し答える少年は、男の渾身の一撃を躱し反撃に出ようとするのだが、その瞬間に敵は狙撃手の少年と対峙していたビルの屋上から飛び降りた。


「逃がすかよ!」


 その姿を確認した少年が五階建てのビルから身を乗り出し、銃を構えると照準を合わせ引き金を引くが、虚空に作られた鉄の壁が、銃弾を弾く。


「やった!」


 その結果を前にしながら舗装されたコンクリートの地面に着地し歓声を上げる男であるが、


「…………何をしている古賀康太」


 その直後に目の前に黒い渦が現れ、その中から感情というものを感じさせない声が聞こえてくる。

 すると黒い渦の奥から先程鉄球を斬り裂いた少年が現れ、男を油断なく睨みつけている。


「おら!」


 怒声をあげ、鋼属性でコーティングした拳で殴りつけるが、現れた少年は躱すこともなく真正面からそれを視界に納め、


「…………くだらん」

「が!?」


 拳が自身の頭部に到達するよりも早く漆黒の剣を鞘から抜き出し、男の腕を斬り落とし声を上げている隙に蹴り飛ばした。


「うっし、これで逃げ場はねぇぞ!」

「…………」

「はぁ……アンタ、あの状況で逃がすってどうなのよどうなのよ?」

「何度も言うなクソ犬が。ぶん殴るぞ」


 蹴り飛ばされた男は壁にその身を埋め、すぐに起きあがろうと力を込めるが、顔を上げれば既に五人の少年少女が彼を囲っていた。


「くそ、なんだよ……テメェらは何なんだよ一体!」


 負け惜しみとばかりに叫ぶ男に対し、最初に出会った草食動物を思わせる少年が前に出て口を開き、


「ギルド『ウォーグレン』のものです。えっと、店主さんに確認が取れたら、逮捕させてもらいます」


 少々遠慮がちであるが、しっかりとそう言いきる

 対する青年はその名を聞くともはや逃げる事ができない状況を理解し、肩を落とし項垂れ、


「うーし、行くぞー」

「腹減った……ああそうだ! 確認ができたら、そこで昼飯にしよう。そうしよう!」


 それを確認した一行は蒼野を先頭に定食屋へと向け歩き出していた。


ここまでご閲覧いただきありがとうございます。


作者の宮田幸司と申します。


初めてご覧になられた方ははじめまして、


前作から引き続き見てくださった方はお久しぶりです。まあ一日ぶりなだけなのですが…………


先日お伝えした通り、本日からまた毎日投稿を始めさせていただきたいと思います。


今回のテーマは『非日常』かつ『闘争』などです。楽しんでいただければ幸いです。


初めて見てくださった方向けには、明日あらすじを投稿しますので、

本日はプロローグ部分を読んで、こんな雰囲気なんだ、などと思っていただければ幸いです。


前作(一章)のURLはこちら

一つの作品として完結してますので、もしよければ暇な時にぜひ

https://ncode.syosetu.com/n6101fq/


次回以降は毎回前作の案内はできないかと思いますので、

ブクマなどしておくと、見失わないかな……などと考えています。


本日は連続投稿をする予定でして、早いうちに二話目を投稿させていただくのでよろしくお願いします


合計何話になるかは、申し訳ないのですが今の時点ではわかりません


あと、次回からは最初に用語集やらキャラクター紹介を行うので、そちらもよろしくお願いします


それでは、次回もよければご覧ください

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