アニキ!その煮えたぎった豚汁を俺のケツに入れてくれよ!!
俺の名は山川悟。しがないサラリーマン。年甲斐も無く独りで気儘に自転車を乗り回し、休日のキャンプに耽るのが生き甲斐だ。
高校までは後輩を連れ回し随分と言わせたものだが、社会人になってからは鳴りを潜めている。その方が都合が良いし、大人の無茶が通用するような世界では無いこと位知ってるさ。
爽快な晴れ晴れとした天気に背筋を伸ばし、俺はキャンプ場の隅でテントの準備をした。食材や調理器具は予めキャンプ場に頼んであるから、荷物はそこまで多くは無い。テントと小道具位さ。
俺は鍋に水を張り火をくべた。お湯が沸くまでの間に野菜を切る。几帳面に剥かれた綺麗な野菜を見つめては、悦に浸るのも悪くは無い……。
お湯が沸いたら野菜と肉を茹で、味を付ける。やはりキャンプと言えば豚汁だろう。大量に作られた豚汁を他のキャンプ場に居るお客さんに配るのが、俺の密かな楽しみだ。お返しに他の料理を貰えるし、思わぬ面白い話が聞けたりするからな。
「これ、宜しければどうぞ!」
使い捨ての器に盛った豚汁を片手に話し掛けた俺は、こっちを向いた青年の顔を見てハッとした。
「あ……もしかして……!」
「あれ? もしかしてアニキですか!?」
それは懐かしい響きだった。昔よく連れ回した後輩の一人である宮下が数年ぶりに俺の目の前に偶然現れたのだ。
「宮下お前変わったな!! 最初気付かなかったぞ!?」
かつてはもやしっ子だった宮下が暫く見ない間に随分と逞しくなり、男らしくなっていた。男子三日会わざればってやつだな。
「へへ、アニキは変わってなくて安心したよ」
宮下は俺から受け取った豚汁を一口すすり、一気に箸で口の中へと流し込んだ。余程腹が減っていたのだろう。
「あーっ……旨ぇ」
「そうか、気に入ったか」
「アニキ、おかわり頂いても良いかい!?」
「ハッハッハ! ジャンジャン食え!食え!」
宮下はグツグツと音を立てる鍋へと駆け寄ると、俺が飲み終えた口の広いペットボトルの底を包丁で切り落とした。
「何をするんだ?」
「へへ、腹減りすぎて口から食べてたら間に合わねぇぜ!」
なんと宮下はケツにペットボトルの口を押し込むと、三点倒立を始めた! 引き締まった筋肉は見ているだけで生唾ものだ……!!
「アニキ! その煮えたぎった豚汁を俺のケツに入れてくれよ!!」
宮下はやる気満々の表情で俺を見た。
「おいおい、そんな事をしたら腹壊すぞ!?」
「大丈夫さ♪ こう見えて鍛えてるからね!」
倒立で捲れ見えた腹筋は見事に割れており、日々の鍛錬が窺えた。
「よし、それじゃあ行くぞ!」
俺は煮えたぎる鍋を傾け宮下のケツに豚汁を注ぎ込んだ!!
「ああ! アニキの豚汁が腹に来てるぜ!!」
旨そうな顔をする宮下。どうやらケツで旨みを感じているようだ……!!
「アニキ! もっとおかわりをくれよ!!」
「よし! 行くぞぉ!!」
俺は更に宮下のケツに豚汁を注ぎ込んだ!!
「うひぃ! アニキの豚汁で腹がパンパンだぜ!!」
「ヒュ~! この野郎全部食べちまいやがった!!」
宮下は満足げな顔で倒立から戻ると、手を叩き腰に手を当て爽やかな笑顔を見せた。
「アニキのお陰で満腹満腹♪ ご馳走さまでした!」
「お粗末様♪」
宮下はズボンを履き、容器に残された俺の豚汁を見てこう言った……
「アニキもケツで食べてみなよ! 最高に刺激的だぜ!?」
普通に考えれば断る所だが、俺は宮下に負けたくない一身でケツ豚汁にチャレンジしてみることにした……。
「よーし宮下。俺のケツに豚汁を入れてくれ!!」
「行くぜアニキ!!」
―――ジャバッ!!
「あ゛っっっづ!!!!」
俺はその傷みで地面に転がり、下腹部の傷みで激しくもんどり打った!!
「アニキ!?」
俺はケツの痛みを訴え全治一ヶ月の大怪我をした…………。
「アーニキ♪」
「おう宮下! また来たなぁ?」
けれども入院生活も悪くはない。
可愛い後輩が居てくれるからな♪
読んで頂きましてありがとうございました!