6.やばい。目の前の天使に混乱した
「メイリーン・センチュリー」
「僕と踊って頂けませんか?」
どうしたもんか、でもとりあえずチキンでも食べようそしてその後はビーフだ、と今後の予定(食事)を立てていたところに、急に目の前に手がだされる。
「え?」
突然の事で驚いた。本当に姉を差し置いて誘って人がいるとは。
というか、驚きはそれだけではなかった。
何だこの天使。
そう。天使。まさしく天使。
身長は私より少し高いくらいなんだけど、なんといってもふわふわの髪。人懐っこい笑顔、でも、蕩けるようで目を話せない。背景から後輪が常に指しているように思える。愛らしいとは、この事。
え?なんで天使?もうすぐ私しぬ?もしかして既に死んでる?お迎え?などと、戸惑っていると、曲か始まる。強引に手を引かれ中央へ出てしまう。
「ダンスは好き?」
「え、いえ、そぅ得意では、なく」
戦場にダンスなどないから。機会も、踊る意味も。
「こんなに踊れるのに?」
「ご、冗談。貴方が上手だから」
本当に上手な少年だった。初対面なのに安心して体を預けてしまえる。何者だろう。
ダンスが終わってから少年は挨拶をする。
「強引な誘いかたをして、申し訳ありません。僕はシエル。シエル・ルントレア。ライラック第1王子で、貴女に縁談を申し込んでいたはずなのだけれど」
「ん?え?」
「ご存知ないようだ」
あ、また笑った。かわいい。
この胸の暖まる感じはなんだろう。
表現するのであれば、天使に幸運をもらったという感じか……。
「よかったらもう少し話せる機会をもらえないかな?」
そう手に口付けを
「んぇぇ!?」
慣れて無いこと過ぎて、頭がパニックになる。頬も堪らなく熱い。慣れてないのよ勘弁して!
たまらず姉をみると。
「よくやった!王子か……やればできるじゃない!」
そういう眼差しをむけられた
まって、何もしてない。なにもしてないよ!
冷静になるのよメイリーン。
思い出してここは社交界というなの戦場。
平静を保てなければ、そう、即ち死よ。
「す、少しなら」
って、保てない!
保てないよ!保てるわけないよね!だってめちゃくちゃかわいい子が手繋いだままなんだもん。なんで繋いだまま?なんで離さないの?どゆこと?なにこの状況どぎまぎしちゃうよ!だって戦場にはこんな事ないんだもん!育つのは男の友情で、というか私に集まるのは羨望で。英雄王かっけー!流石!みたいなのばっかで……だから、その、こういうのは……
そこまで思ってはたともう一度彼を見る。
私をみる視線が、英雄王へのそれの似てる……。
…………なんで?
こんな少女に憧れ?や?彼より私の方が年上か?
そこはどうでもよいが、
そう思うと冷静になれてこれた。
「あの手を……」
「わ、ごめんなさい。つい」
「貴方があまりにもきれいで」
はにかんだ顔がめちゃくちゃかわゆい。胸が高鳴る。
冷静になんて無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
脳内からめちゃくちゃそう悲鳴が聞こえる。
ちょっと待って頑張って脳。冷静になるのよ。
でもそんな脳は次の言葉で機能を停止する。
「一目見たときから、僕ずっと貴女を思ってます。僕との縁談を受けてくれないですか?」
よく分からない。でも、天使との縁談。
機能の停止した脳が告げる言葉は「はい」の二文字
家に帰って冷静になった私は
いやいや。
一目惚れしたのは私の方だから!と叫び。
姉から「胸だけじゃなくて、頭もどうにもなってなかったわね。しまったわ」
といわれた。