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3.やばい。姉は本気だ

「ほら、メイリーン社交界でないじゃない。そこは本当でしょ?」


「そりゃ戦場かけ巡ってるもの……」


「だから、ここはクリアでしょ。次は本ね、まぁ本は兵法とかめちゃ読んでるもんね嘘じゃあないわ。うんこれもクリアね。」


「聞いてないし」


「あとは私に似ている、か、いやぁ。一番ついちゃいけない嘘ついちゃったわね!」

あははと、楽しそうな笑顔で言う


「ひどい!気にしてるのに。どうして同じ姉妹なのに、似なかったの」

アイリーナ・センチュリー

絶世の美女。

10代半ばにして世の中の男を虜にした外面完璧女。(私談)

でも一緒に歩いててすれ違った姉を振り返る男は何百とみた。

美しく艶やかな蜂蜜色の髪は毛先まで手入れが行き届き、アーモンド型の大きなモスグリーンの瞳は3秒目があっただけで全ての人間が恋に落ちる。

健康的に焼けた肌にすらりと伸びた手足に、うらやましいくらいの豊満な胸、腰はきゅっとしまっていて誰もが羨む体型をしている。

加えて、儚げな雰囲気は(もちろん姉の演技ではあるが)どの男性も見破れず、いつでも守ってあげたいと声をかけられている。


対して私はどうだろう。

同じ親から生まれ、髪色や毛質は同じ遺伝子のはずなのに、輝きも艶めきもなにひとつない。サファイアブルーの瞳をもつ私と3秒どころか戦場では対する人間と15秒みつめあうことすらあるのに誰も私に恋に落ちない。

戦場では全身鎧のため肌はやけてないが、これまた全身鎧のためみせる相手もいない。

そして、体型だが……いや、もぅ胸とか比べたくない。姉にはチョモランマが2つ。私は断崖絶壁。登ろうにも掴むところすらない。そんな状態だ。

儚げな雰囲気?まぁ姉は作り出せるかも知れないが、全身鎧がそれ作る意味ある?いや、敵も味方も大混乱かもしれないけどね?

でも基本戦場を単騎で駆けて大将倒してくるの私の仕事だからね?

そういうわけで儚げな雰囲気などない。



「あのね。なんで戦場が戦場の貴女がデフォルメなのよ。戦場が社交場の貴女をデフォルメしなさいよ」



「そんな私は、皆無よ!」

そもそもお姉様と比べられるのが嫌で戦場にでたのに!

というのは些細なきっかけで。自分の考えた戦略や、鍛えた体が役立つのは純粋に嬉しい。


「いい。メイリーン。私が縁談を成功させる気でいるうちは、私が主よ!!」

「つべこべ言わず私に仕えなさい!!騎士でしょ!」


「王女だよ!?」

戦場に出てるから、お父様もお姉さまも、ひいては部下たちも忘れてるけど、私は王女だからね!騎士じゃないから!


「だったら鎧を脱ぎなさいよ!2話の冒頭からずっと着てるんじゃないわよ!暑苦しいのよ!」

「いっとくけど、男が振り向くのは私じゃなくてあんただからね!え!鎧??とかいって二度見してんのよ!」

「あんたがモテないのは、ステータスを戦場に全ふりしてるかよ!いい、今からの時間私に全てを預けなさい?かんっぺきな私の妹にしてあげるわ」

「ね?付き合ってくれるでしょ?騎士さん?」

にこにこと笑う姉に逆らってはいけないと。

私の全人生をかけて学んできたことだ。



折れるしか、私の道はないらしい。


「だから……王女だって……」




そうして、私は鎧をぬぐことになる。


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