2.やばい。何がやばいって、姉がやばい。
何故こんなことになったのか遡ること半年前
メイリーン・センチュリー
レビデバ国の第2王女。社交的な第1王女とは違い部屋で引きこもり、本ばかり読んでいる。
ただ、第1王女と同じく、とても見目麗しく。儚げで守ってあげたくなるような女性。
という噂。
「ってどういうこと!?!?全くのでっち上げじゃない!誰こんな噂流したの」
「私よ」
「お姉様かよ!!敵が灯台もと暗し!」
姉がこともなく平然と答える。
「だって、メイリーン。貴女……モテないじゃない。結婚できないと困るわ。第2王女なのに。それとも、まぁ、40すぎのデブではげてるおじさまと政略結婚したいなら、まぁいいわよ。でも、貴女だって恋愛結婚したいでしょ?」
「うぐ!」
痛いところをつく。確かに、ハゲでデブな夫より自分の好みにあって、自分で。
いやいやいや今問題はそこじゃなくて、
「っていうか、なんでお姉様が縁談調整してるの!」
「えぇだって、お父様が」
「メイリーンてば、戦場駆け巡るのもいいけど、たまには手見上で生首ばっかじゃなくて、生きてる男を捕まえてきたらいいよね。サプラーイズってさ!」
「って」
「どゆこと!?そんな、サプライズあると、お思いか!?」
「あと」
「このままだと、あの子を一生面倒みるのは私だよ?そのうち敵大将間違えて私の首とっちゃわないかなぁ。さっさと結婚さしてこの国から出しとくべきだよね。でも私がやると、怒って首とられちゃうかもだし、アイリーナやってくれない?」
「って」
「お父様ーーーーっ!!?」
どゆこと!?まちがえないよ!っていうか、完全なる厄介ばらいじゃんか!
そもそも首とってないから!今まで首とってきてないから!なんでお父様知らないの!?
「私が、首とってるってお父様に言ったわ!」
「おねぇさまぁぁぁぁぁぁ!!」
私の心の声を読むな!そして親指たてるな!全然グッジョブしてないけど!!
「ほらみてー、てっきとうに噂を流した割にはほら!縁談が結構来てるわよ!私に似てるって宣伝がよかったのかしらー?」
「え、切り替え早!はぁ……そりゃ、お姉様は美人だけども。私はそうでもないじゃない…」
「メイリーン……」
「…………」
「こういうのは言ったもん勝ちよ!!!!」
「え!?」
今のそういう流れ?
しかし、姉の勢い、段々自分ものまれそうになってくる。
けど、でも、それにしてもだ。
「この嘘の噂は如何かものかと思うわ」
「そうね。如何なものかしらねー」
自分でいっといて何いってんの?もぅ意味わからんこの姉。
「だからねメイリーン」
「うん」
「ほんとに、しちゃいましょ!」
その、笑顔の姉は、今まで戦ってきた、どの大将よりも、怖かった。