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18/50

18.やばい。何故か好感度が上がってる

「昨日は素敵な夜を過ごせて凄く幸せだよ」

朝一にキラキラ光る天使はなおいっそキラキラしながら私に言った。

といってももう昼近いが

「僕はどきどきしてあまり寝れなかったよ。メイリーンは?」

頬を明らめながら語るこの青年のなんと心惹かれる事か。


「そうなんですね!私はぐっすり寝ました!」

疲労と不安からの解放、おまけにいつもは寝ている時間。それと暖かいお茶。いろんな要因が集まりベッドに入って直ぐに、ぐっすりと寝た。質の良い睡眠だった。おかげですっきり。

まぁ昼近くまで寝てたというのもあるかもしれない。

と、言ってしまってから思い出す。

そいえば、昨日帰り際にシエルから初めて口付けをかわした。


待って、待って待って。

今の所やり直しした方がいんじゃないか?

ぐっすり寝れました!って反応どうなんだ?

でも事実!

あれ?というか、私も寝れないと思ってたのに。

だって昨日……


意識すると急に頬に熱が集まり出す。


あぁぁあああああぁ、もう直ぐに照れてしまう。

なんでなの?勘弁してよ。カッコ悪い。

シエル様変に思ってないかな?


ちらりと伺うように相手をみると


「うんうん。そうだよね。メイリーンはそうでなきゃ」

何やら納得して頷いている。なんで?まぁ私の回りの人間は姉を先頭によく同じような反応をするので別によいか。

「ねぇメイリーン今日は僕、城下を見てみたい」


「城下?」

特にイベント事はやってないけど?


「うん。城下はとても活気があって楽しい!って僕の国で教えてくれた奴がいて、まぁそんなに楽しいのなら一回みてみたいなぁと」

なるほど。確かに城下は私もよく降りる。舞台だったり、賭博、サーカス、音楽、武道大会など我が国の城下では様々なものが流行っている。そんなには詳しくないが、お忍びで行って、姉に怒られてというのが私の常。3回に1回くらいはばれている。


「シエル様は何に興味があるのですか?」

案内できるものだと良いけど……。


「うーん。これといってないんだけど、人混みがあって行き交う人間が多い場所に行きたいなぁ。そういう所ってあったりする?」


「人混みがあって?…行き交う人間が多い…。うぅん?」

一体なんでそんな所に?


「なければ適当に歩こう。興味が惹かれた所に行くって感じでもいい?」


「シエル様がそれで良いのであれば」


「うん。じゃあそうしよ」



というわけで、早速父に許可をとり、二人で大通りまで来てる。二人といっても、ユスタやシエルの従者が後ろをついているが。

今日も城下は賑わい大道芸をそこらじゅうでやってたりする。よぼよぼのおじいちゃんが火を吹いたり、きれいなおねぇさんが瞬間移動したり。

人々は足をとめ、わいわいと騒いでいる。

公園ではチェスで賭博を行い、いかさまだなんだと、殴りあいまでに発展していた。

屋台では、まけろ、まけない争いが起き、あちらこちらで警備隊が走り回っている。

「……うるさい国ですよね」

苦笑まじりに話す。


「でも、好きなんでしょ?」


「はい。とても。なんで、わかったのですか?」


「すぐわかるよ。楽しそうに町の人を見ているから」


「……好きなんです」

この町が、この国が

「確かにもめ事多いのですが」

町での争い事、平民同士、貴族同士、ましてや平民貴族間でも、よくもめている。

お父様やお姉様がよく苦労しているのをみる。それでも

「怒ったり、辛そうな顔より、みんなの笑顔が多い国なんです」

守る価値のある国ー。私は自信を持って自分の国をそう思える。


「本当に……眩しい人だ」


「え?」

シエルが急に足を止める。どうかしたのか?と私も数歩後ろにいる彼の方を見る。

少しの沈黙のあと何か迷うように、彼はきいた。


「ねぇ。メイリーン、本当に僕の国に来てくれる?王妃になったら、いつでも帰れるわけでもないし。……君の大切もの、全部……置いてきちゃうんだよ?」

シエルの目が不安げに揺れる。


私の……大切な……もの……

そうだ。確かにそうだ。私は彼の国へ嫁ぐ事になる。守ってきた民も、共に戦った部下も、大切な家族も、全て置いてくる事になる。

「考えた事なかったなぁ……」

そっか。全部かぁ……


………………

………………


……ん?

「全部じゃあないですよ?」


「え?僕の国に知り合いでもいるの?まさかアイリーナ殿も来たりしないよね?僕お断りなんだけど…」


「だって、シエル様がいるじゃないですか!」


「……っつ!?」


「シエル様がいれば、安心できますし、向こうで大切なものをまた作れば…………シエル様?」

心配しながらうつむいた彼の顔を覗き込むと、何故だか珍しく顔が赤い。

「え?シエル様?えと?」


「あーもう!なんでそんな事!もう!名案!みたいな顔で言わないでもらってもよいかな!?なんで嬉しそうにいうの!ほんとに……!これだから無自覚は!」


「えぇ?シエル様のが嬉しそうですよ?」


「僕は嬉しいからいいの!」

えぇー。どういう事なの?

なんだかさっきから、シエル様は情緒不安定では?

急に不安げになったり嬉しそうだったり。




そういえば、なんでシエル様は人混みに来たかったんだろうなぁ。

「あ。ありました!人混みが多い所!夜限定ですが」


「どこ?」


「色町!」


「い、いろ?………………僕の機嫌を返して!!」

きょとんとしたかと思えば

つん、と、怒ったように今度は彼が先に歩く。


「え、えぇ??」

人混みに行きたかったんじゃ?

困惑してると、シエルが振り替えって私のてをとる。


「全く……君がいるのに、そんな所いくわけないでしょ?」

少し尖った声で攻める。


「あ、そっか」

確かに、シエル様は15歳だからまだ行けないか!



「どうせ通じてないんでしょ?はぁ……ほんとに上げて落とすのが上手なんだから……」

「それが嫌じゃない、僕って、相当君のこと……」

困ったように悔しそうにシエルが笑う

それと同時に繋がれた手が、



強く握り直された気がした。


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