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16.ヤバい。騎士服着ている所みられた2

青い顔をしている。


対する相手は赤い顔をしている。


……何故?

それよりもこれ、この状況、



…………

私一体どうしたら良いの?

「…………し、……える様も」

「…………」

「きゅ、キュウリ……たべ……ます?」





絞り出せた声が。

それだった。






しゃく、、

、、しゃく、、




二人のキュウリをかじる音が響く。

なんで、隣国の王子様とそれも婚約者と庭で並んでキュウリ食べてるんだろうな。


シエルは何も言わずに、渡されたキュウリを受け取り、しゃくしゃく、ごくん。といった行動を繰り返している。

ただ顔は赤い。

たまに此方をみては、照れたように目を反らす。

私としては頭の中では

どうしたらごまかせるのかがめぐっている


というか、ごまかせるのかこれ。

そんな可能性あるのか?


さきに口を開いたのはシエルだった。

「あー……このキュウリ、しゃきしゃき感がとても美味しいね」


「そうなんです。私のお気に入りでして、こないだ作ったサンドイッチも……」

そこまで言って言葉がとまる。女子力の低さを認識した日だから。おまけに今日は騎士服。英雄王とはばれないだろうとは思うが、今、自分につっかえてる問題はそれじゃない。


これじゃあ女の子としてみてもらえるのはほど遠い……。

何故だろうか、そう思ってしまう。


「アイリーナ殿から聞きいた。ピクニックのあの日以来、女子力というものにこだわっているって。そんなに気になることなの?」

姉はなんて正直な事を……というか、拘らせたのは姉だ。姉に言われ自分のステータスを王女(女の子)に振り分けるまではそんなの気にしたことなかったのだから。

でも、それだけではなく、相手がシエル様だから、というのもあるかもしれない。



「え?その……」


「女子力に拘り今の貴女を消してしまうようならよくないと思うよ。確かに頑張っているメイリーンもとても好ましいのだけれど、負担になるほどに、悩んだりするほどに、拘ってほしいとは思わない」

「つまり、僕は今のメイリーンがとても愛らしいと思う」


「今?でも今ドレスきてないし」


「や、そういう意味じゃなくて。」

「でもそう。今、ドレスを着てないメイリーンも魅力的」


「ほんと……?シエル様のめには変に写ってない?」


「うん」


「シエル様……」

メイリーンは頬を赤らめ、蕩けたような目でシエルを見る。



「………………」

情熱的な瞳が、自分を見つめる。その瞳に抗う理性を自分は持ち合わせていない。

夜。二人っきり。明らかに近い距離。あぁこれはキスをしてもいいだろうか……?怯えず、逃げずにいてくれるだろうか?シエルは段々自分の欲が膨れ上がるのがわかった。今この雰囲気がメイリーンに触れても良いと言ってる気がする。この劣情を少しでも彼女にわかって貰えるなら……

「メイリーン……」

見つめ合う二人



「私オススメの場所を知っています」


「え?」


「城をでて、セルナート通り1を真っ直ぐいった先です」


なんだかメイリーンの方向が怪しい

「それ……何のみせ?」


「眼科です」


「眼科……」


「だって、だって、おかしいですもん。アイリーナのような可愛くもないわたしが、この世で一番かわいくない服を着てるのに、シエル様が誉めてくれるなんて!」


「そんな事ないよ。何着ていてもメイリーンは可愛いよ。服なんか関係ない……メイリーンが愛しくて、眩しい」


「シエル様……」


「女子力なんて関係ない。メイリーンが例え女子力皆無でもそれならそれで僕はメイリーンに好感を持てる。というか、お昼間のサンドイッチおいしかった。僕は料理全然できないし、それがメイリーンの女子力だよ」

「だから女子力に、服に拘らなくてもいんだよ」

「むしろ今の服は此方を刺激しすぎて目のやり場に困ってしまうよ。普段見えない足のラインが見えてしまうなんて、触りたくなるのを我慢して無心でキュウリ食べてる僕の身にもなってほしい」


「?触りたい?騎士服に興味があるんですか?触ります?」


「いやいや、今の話聞いてた?この時間。君の侍女も僕の従者もいないこの場所で、大胆な事を言うね。そんな事をしてしまって困るのは貴女なのに」


「ほら、ここの素材はね。見た目薄くて触っても薄いんだけど以外と丈夫にできてるんですよ」


「っっ…………全く話を聞いてないね」

「その……メイリーン。僕の手をわざわざ触らせなくてもいいから」

「その……」


「全くその通りです!」

第3者の怒った声が響く


「お嬢様、こんな夜中に!こんな所で!こんな奴と!共もつけず!何をしてるんですか!」


「ゆ、ユスタ」

こんな奴って。相手は王子だよ?


「お嬢様に遅れて戻ってきたものの、部屋にはいない。探し回ったら庭で殿方二人っきり!まだ婚前なのに!」

「シエル様これはどういう事なのですか?貴方がお嬢様を庭に連れ出したのですか?」


「ユスタ、誤解だよ。私がキュウリ食べようって誘ったの!」


「お嬢様から誘ったのですか!?信じられません何を考えておられるのです?相手は男。天使の顔をしていてもただの狼なのですよ!なんで殿方をこんな時間に、それもキュウリを」

「………………」

「……は?キュウリ?」

「キュウリ……食べてましたの?二人で?何もせずキュウリを?」


「うん。お話しながらキュウリを……」

何故だか、ユスタの怒り顔がおさまった。そしてシエルに憐れみの目を向ける。その視線を受けたシエルも何故だが気まずそうだ。そして両手をあげ、未遂だと悲しそうにユスタに言っている。


「と、とにかく、部屋に帰りますよ。お嬢様。明日またシエル様と会いましょう」


「う、うん。じゃあお休みなさいませ、シエル様」

ユスタに引っ張られるようにその場を去ろうとする。

するともう片方の手をシエルに力づよく引っ張られる。急な事で驚き彼を見ると。


優しく、甘く、ほんの一瞬。唇を奪われる

「お休み。メイリーン」


その出来事に顔を赤くしたのは、私だけではない。


「しんっっっじられません!あの男!アイリーナ様に報告しなくては!」

何故だか、ユスタの方が顔を真っ赤にしてる。

……なんで、そんな怒ってるの?


「お嬢様、今日はゆっくりお休みくださいませ。後は私めにお任せを」

何を任せるのか全く検討がつかないが、ユスタは変なことはしない。メイリーンはそのまま目を閉じた。


女子力がなくても例え皆無でもいいと言ってくれた。

それがとても嬉しく。とても安心できた。

そして、最後の口付け……。


メイリーンは重なりあった部分に触れる熱を持っているのは唇か指先か、はたまた両方か。




……今夜は寝れそうにないかも。






なんて、思っていたが、ユスタがよく眠れるように持ってきたお茶で。

それはもう、ぐっすりと寝れた。


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